Empower 3 ソフトウェアを用いた 分析法開発における条件決定

Empower 3 ソフトウェアを用いた
分析法開発における条件決定の改善
目的
Empower 3 クロマトグラフィーデータソフトウェアの
Empower ® 3 ソフトウェアでカスタム計算やカス
計算機能とレポートフォーマットを使用することで、
タムレポートを用いて、クロマトグラムの分離
を簡便に評価する方法をご紹介します。
分析法開発が合理化されます。
背景
クロマトグラフィーの分析法開発の過程では、
系統的な手順
開発のゴールを定める
開発成功とする基準を確認する
システムを選択し、動作確認をする
分離のゴールを定めることと、偏りなくデータ
を評価することが重要です。
一般的に、分析法開発において異なる変数を
検討する過程では、得られたクロマトグラム
を見た目で判断し、最適な分析条件を採用す
スカウティング
CSH C18
標準的なグラジエント
低/高 pH
Empower でデータを解析する
基準に基づいて
最良な分離条件を選択する
保持しない場合は
HILIC モードで分析する
ることも多くあります。この方法は時間がかか
るだけでなく、個人の分析経験や専門的知識
の偏りが評価に影響し、最適な分析方法を見
スクリーニング
カラム 4~6 本
ACN と MeOH
Empower でデータを解析する
基準に基づいて
最良な分離条件を選択する
逃しかねません。それに対し、クロマトグラ
ムを評価する方法が明確に定義されていると、
最適化
経験値によらず全ての方が、自身の判断でな
pH
その他の変数
く決まった基準によって最善な分析条件を選
ぶことができます。
グラジエント勾配
カラム温度
図 1. クロマトグラフィーの分析法開発における系統的スクリーニングの手順
Empower 3 ソフトウェアは柔軟性のあるクロマト
グラフィーデータシステムです。データシス
ここでは、ACQUITY UPLC ® H-Class システム・P DA 検出器・ACQU ITY ® QDa ™
テム内で多くの演算を行えるため、転記ミス
検出器を用いて、系統的に分析法開発を行う方法を紹介します。分析法開発の
を最小限にし、ラボとユーザーのコンプライ
各段階で得られる結果を Empower のカスタム計算機能とスコアレポートを用
アンスを守ることができます。計算とレポート
いて評価することで、採用すべき最適な分析条件を容易に選択することができ
出力をカスタマイズすることで、ラボにとっ
ます。
て重要なパラメーターのみを計算・表示させ、
適切な分析条件を選択することができます。
ソリューション
0.30
0.00
て変数を調整し、保持と選択性を評価するように
0.60
0.30
CSH C18
0.30
0.30
CORTECS C18+
0.00
0.30
0.00
した例をご紹介します。図 2 は、本手順のスクリー
0.60
を採用することが決まっており、この分析でカラム
0.30
CSH Phenyl Hexyl
0.30
0.00
0.00
0.30
HSS PFP
1.00
2.00
の官能基と有機溶媒を検討しています。それぞれの
クロマトグラムについて、Empower でピークを同定、
及びシステム適合性試験の項目を計算しました。
CSH Phenyl Hexyl
0.00
0.60
AU
のカスタム計算とカスタムレポートを使用して評価
ニングの過程でのクロマトグラムです。既に低 pH
0.60
AU
0.60
CORTECS C18+
0.00
AU
た関連化合物の試験にこの手順を適用し、Empower
AU
ここではメトクロプラミドと米国薬局方で定められ
CSH C18
0.00
0.60
AU
は、混合物中の成分を最適に分離することを目指し
設計されています。
0.60
AU
0.60
AU
。この手順
ラフィーの分析法を開発しました(図 1)
メタノー ル
AU
系統的なスクリーニング手順に従って、クロマトグ
アセトニトリル
分
3.00
4.00
5.00
0.00
0.00
HSS PFP
1.00
2.00
分
3.00
4.00
5.00
図 2. メトクロプラミドと米国薬局方で定められた関連化合物の分離。一般的なグラジエント
を用いて、カラム官能基と有機溶媒を検討しました。
カスタム計算機能を使用すると、自動的にピークの
総数、USP 分離度が 2 以上あるピークの数、USP テー
リング係数が 1.5 以下であるピークの数を表示する
ことができます。カスタムレポートを用いると、図 3 の
ように、それぞれのクロマトグラムを先述の基準に
基づいて順位付けしたテーブルを作成できます。テー
ブルには分離度の最小値、クロマトグラフィーの保
持を評価する保持係数 K '、最後に溶出したピーク
の保持時間も掲載しています。この自動判定により、
それぞれのラボでの基準に合う分析条件を素早く確
認し、分析者の経験や知識の差による評価の偏りを
分析法開発の過程から取り除くことができます。
図 3. Empower 3 で出力した評価レポートの例。ここでは、ピーク総数、分離度 2 以上のピーク
数、テーリング係数 1.5 以下のピーク数を評価の基準にしています。追加情報や二次的な評価の
ためにその他の情報も掲載されています。
まとめ
Empower 3 ソフトウェアとカスタム計算・カスタムレポート機能を使うことで、
素早く自動的にクロマトグラフィーの結果を評価することができます。分析者の
判断ではなく基準に基づいて総合的に評価することで評価の偏りを最小限にし
て最適な分析条件を決定することができます。
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