エジプト情勢アップデート

Concord International Investments 2013 年 7 月 4 日
エジプト情勢アップデート
これまでの経緯
モルシ大統領の就任 1 年に合わせ、6 月 30 日にエジプト全土で大規模デモが呼びかけられた。その後
デモは拡大し、反大統領勢力と大統領支持勢力との間で対立が深まっている。
国内の政治不安状態への打開策としてエジプト軍は 1 日、政府に 48 時間以内に国民の要望に応えるた
めの包括的なロードマップで合意するよう緊急声明を発表。しかしモルシ大統領は歩み寄る姿勢を見せ
ず、軍に対して最後通告を撤回するよう求めている。
エジプト軍は 3 日、憲法を一時停止し憲法裁判所の長官が暫定大統領に就任するとして、モルシ大統領
を事実上解任したと発表。今後、新たに大統領選および議会選挙が行われるまで、最高憲法裁判所長
官が暫定国家元首を務めることとなる。また AFP 通信やフランス公共ラジオによると、軍と治安当局は同
日、モルシ大統領に対して渡航禁止の措置を取ったと伝えられている。
エジプト国内の現状
軍トップのシシ国防相はテレビ演説で、政界や軍などの指導者から幅広い支持が得られたと強調した上
で、モルシ大統領は「国民の要求に応えることに失敗した」と指摘。野党勢力「救国戦線」を率いるエルバ
ラダイ氏は、シシ国防相との会談において、「政治混乱を防ぐため軍の迅速な介入を支持する」とコメント
している。
一方でモルシ大統領の治安顧問は、軍事クーデターが始まっており、軍や警察当局による大統領支持
勢力のデモ排除が予想されると述べた。
軍の部隊はモルシ大統領が執務を行っているカイロ郊外の施設を鉄条網などで包囲し、装甲車を展開さ
せるなどして大統領支持派のデモ隊が近づくのを防いでいる。ロイター記者によると、「ムスリム同胞団」の
大統領支持者数千人が集まる区域へ部隊が移動している。軍は声明を発表し、この区域の警備のため
に部隊を派遣していると説明。「エジプト軍はすべてのエジプト国民に属する」として大統領支持者を襲撃
しているとの報道を否定した。
米国の対応
オバマ米大統領は３日、声明を発表し、混乱の続くエジプトで軍部がモルシ大統領の権限を剥奪したこと
に深い懸念を示した。また軍部に対し、民主的に選ばれた文民政権への迅速な復帰を促した。大統領は
軍の介入が米国の支援に影響するかどうかの分析を国内関係機関に指示したことを明らかにし、エジプト
軍に対しては、モルシ大統領や支持者の恣意的な逮捕は行わないよう求めた。声明は「軍部が平和的集
会や適正手続き、民間法廷での自由公正な裁判の権利など、エジプトのすべての男女の権利を保証す
ることを期待する」としている。
Concord International Investments 国務省の報道官は、モルシ大統領の解任を発表した軍の対応についての批判を控えている。またホワイ
トハウスによると、オバマ大統領はモルシ大統領に「米国はエジプトの民主化プロセスに深く関与しており、
特定の政党もしくは団体を支持する事はない」と伝えたという。
国内の秩序回復にどれくらいの時間を要するか予想をするのは現時点では難しいが、エジプトと米国との
間でのコミュニケーションは確実に行われていると見られる。
一方で大規模デモが開始された 6 月 30 日の主要株価指数 EGX30 は約 5％上昇し、7 月 3 日も前日比
－0.32％と安定した水準を保っており（7 月 1 日は祝日のため休場）、軍による政治不安の打開策発表を
投資家は好材料と受け止めている。
（出所：ブルームバーグ）
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