2012 年度 楓門祭発表原稿 Exchange between Umm Qais secondary school and Misono elementary school 東京都板橋区立三園小学校とヨルダン・ウムカイス中等女学校との交流 富田富喜夫 1、はじめに 昭和 44 年私がタイの日本人学校に赴任したとき 1 ドルは 360 円であった。 その後日本は、 ニクソンショックや石油ショックなどものともせず、世界第二の経済大国になった。今で は 1 ドル 80 円である。この経済的な発展は私たちに続く団塊の世代が少なからず寄与して いると言って良いだろう。しかし、今の日本は本当によくなっているのだろうか。同時に、 当時から言われていることは、 「これからの日本は、世界の中での生き抜くためにどうすれ ばよいのか。 」 「ますます世界中の人々と仲良くすることが大切である。」であった。いずれ にしても これからも国際理解教育の重要性はますます増えることは間違いがない。 その流れの中に、ゆとり教育、総合的な学習の時間があったと思う。ゆとり教育を受け てきた人たちが社会に出てくる。これから答えが出てくるのだが、私はこの世代に大いに 期待を寄せている。 そしてヨルダン・ウムカイスにおいて、文化遺産学を学ぶものとして私に何ができるの か、私の得意分野を活かして何ができるのか。教育に携わって来た者として、この交流を 通して2校の子どもたちの意識改革に少しでも役立てたいと考えた。 今年交流会は 5 回目を迎える。5 年と言うのは大きな節目を感じる。第 1 回の交流会の時 の三園小学校の子どもたちは高校 2 年生、ウムカイス中等学校の生徒たちは高校 3 年生で ある。大学進学の年齢に差し掛かっている。この子どもたちに、交流会が果たした役割は どうだったのかと考えると、1 割でも5分でも子どもたちの将来にすばらしい影響を与えて いることを願っている。 写真1:三 園 小 学 校 の 6 年 生 の 皆 さ ん「アッサラームアライクム」 今年の三園小学校の 6 年生(写真1)には、ヨルダンについての自由記述のアンケートを実 施した。この学習の終了時点で、再度アンケートを実施し、子どもたちが、ヨルダンに限 らず世界に目を開くちっぽけなきっかけになってくれたかどうか、確認できればと考えて いる。結果は後程公表できるだろう。 世界に羽ばたくたくましい日本人の育成に少しでも役立つことができれば、これほど嬉 しいことはない。これから教師を目指す人にも参考になるように,今回の交流会の様子は、 写真を見ながら報告する。 2、経 過 ① 3 月 19 日(月) 於;三園小学校 第 1 回打ち合わせ 日程の調整。 ② 4 月 21 日(土) 於;国士舘大学 今年度の発掘・交流会の実施等打ち合わせ。 ③ 6 月 28 日(木) 於;三園小学校 導入授業(写真2)及び第2回打ち合わせ。 第 5・6 校時(午後 1 時 30 分~3 時 045 分)。 ・ 総合的な学習の時間「国際理解教育」 講師 ・平山 優 写真 2:平山さんの授業 ・富田富喜夫。 内容 「広い世界に目を向けて」 ヨルダンをはじめとするアラブ諸国の生活や文化を 知ることによって、広い世界に目を向ける。 ④ 10 月2日(月) 於;ウムカイス中等女学校 第1回打ち合わせ(写真3・4・5・6) ⑤ 10 月 10 日(水) 前日準備 両校の学校間通信 繋がる。 ⑥ 10 月 11 日(木) 本番 写真 3:今までの交流の様子が ⑦ 11 月 1 日(木) 於;三園小学校 紹介されていた 帰国挨拶及び来年の実施日の確認。 ⑧ 11 月 2 日(金) 於;国士舘大学 楓門祭で報告 写真 4:スーザン先生と オマリ校長先生 写真 5:ウムカイス中等 女学校の皆さん(中休み) 写真 6:玄関の日本コーナー 3、資料・覚書 ◎ The date Data 11/Oct/2012 2012 年 10 月 11 日(木) ◎ Umm Qais secondary school 1grade ウムカイス中等女学校 1 年生 ◎ Misono elementary school 6grade ◎ Exchange Time 交流時間 6 年生 三園小学校 名 102 名 Jordan time ヨルダン時間 8:30~ 9:30 Japan time 日本時間 ◎ Opening speech 開会の挨拶 ◎ Chair man 司会 44 Fukio Tomita ① Misono 14:30~15:30 富田富喜夫 ・Natsumi Matsuike 松生夏実(写真 7) ② Umm Qais ・Najwa al Rousan ナジュワー アルサン(写真 8) ◎ Interpreter 通訳 ◎ Guest Mr. Atsumu Okada 岡田 總 ゲスト Superintendent of schools at Beni Kanana Dr. Ahamad Mqadadi 教育長 アハマッド・マカダーディー(写真 9) ◎ Supported by Kokushikan University Cultural heritage project 後援 写真 7:松生夏実さん 国士舘大学文化遺産プロジェクト 写真8:ナジュワーアルサンさん 写真9:アハマッド・マカダーディ様 左は通訳の岡田總様 4、交流会次第 Program 1、Guest speech 来賓挨拶 教育長 アハマッド・マカダーディー Superintendent of school at Beni Kanana Dr.Ahamad Mqadadi 2、Start speech and self introduction 始めの言葉と自己紹介 ① Misono 三園小学校 ・Runa Usami 宇佐美瑠菜(写真 10) ② Umm Qais ウムカイス ・Najwa al Rousan ナジュワー アルサン 3、 Headteacher speech(message) Ra’eda al Omari 校長 ラーイダ アル オマリ 4、 Principal speech (message) Toshiko Nagase 校長 永瀬登志子 5、Umm Qais Chorus ウムカイス合唱 ① Viva The King (王様を讃える歌) (写真 11) ② Jordan Ya Ghali(誇り高きヨルダン)(写真 12) 6、Misono Chorus 三園小学校合唱 (写真 13) ① National Song (国歌) ② School Song (校歌) ③ Bridge of the glory (栄光の架け橋) 7、Misono Presentation and quiz 三園小学校発表とクイズ ・Nana Higashionna 東恩納ナナ ・Hibiki Muramatsu 村松響稀 ・Iori Naitou 内藤伊織 ① School Lunch 給食(資料 1・写真 14) ③ Natural Heritage 自然遺産 ② World Heritage 世界遺産(資料 1) ④ Nikko 日光 8、Umm Qais Presentation and quiz ウムカイスクイズと発表 ① New Seven Wonders of the World (新・世界の 7 不思議) ② Bottom of the Earth(一番低い土地) ③ The name of Jordan food(ヨルダンの食べ物) ④ Introduce of Folk costume(民族衣装の紹介)(写真 15・16) 9、Finish speech 終わりの言葉 ① Umm Qais ウムカイス ・Jana al’ Eksh ジャナ アル エキシ(写真 17) ② Misono 三園小学校 ・Sana Ogata 尾方沙凪 10、Closing speech 閉会の挨拶 Professor Ken Matsumoto 松本 健(写真 18) 写 真 1 0: 写真 11:全員敬礼 写真 12:ヨルダンヤガーリ 写真 14:ヨルダン風メニュー 写真 15:民族衣装のショー 始めの言葉:宇佐美瑠菜さん 写真 13:三園小学校合唱 4、 資料 1;交流会三園小学校クイズ ・ 第一問 「第一問です。三園小学校の今日のメニューは、ヨルダ ン風メニュー(写真 14)です。ヨルダンでよく使われている 食材を使っています。さて、何でしょうか?一つ選んでく ださい。 ① ヒヨコ豆 ②ヨーグルト ③羊肉 (答えは①、ヒヨコ豆を使ったコロッケ) 写真 16:モデルさんたち集合 ・ 第二問 「第二問です。日本には登録されている世界遺産がいく つかあります。さて、全部でいくつあるでしょうか?一つ 選んでください。 」 ① 16 ②6 ③106 (答えは①、日本には文化遺産 12、自然遺産 4 の計 16 件の世界遺産がある。) 5、成 果 写真 17:終わりの言葉 ジャナアルエキシさん ・ 5 回目になるので、取り組み方に一つの道が見えてき た。カリキュラムも毎年作成されている。 ・ 通信が切れた時点で、今回も両校で記録をとり、交換 することに早く決定した。 ・ スカイプチームが今回も頑張ってくれた。 ・ 通訳は岡田さんに今回も快く引き受けていただけた。 ・ 三園小学校で、新しい試みとして給食の取り組みがあ った。 ・ 民族衣装のショーは、今年も実施された。 ウムカイス中等女学校では、前回の交流会に会場の都合で 写真 18:閉会の挨拶松本団長 参加できない生徒がいたが、今回は全員が参加できた。 (写真 19) 6、課 題 ・ 民族衣装は、個別に写真を撮りたかった。 ・ ウムカイス学校の機器が相変わらず不備であった。機器のソフト面だけでも万全を期 したい。たとえば、電源延長コード、マイクコード、電源タップ、スカイプ用レシー バー、ウェブカメラ等。 ・ 予備のパソコンが双方に必要であることを感じた。 ・ 今年は私のパソコンがダウンし、さらに三園小学校への、デジカメ・パソコン等の持 ち込みができなくなった。 ・ 給食の取り組みがあったがしっかりとクイズに活かせなかった。6 年生と綿密な打ち合 わせが必要であった。 ・ 取り組みの内容が広がりつつある。今後は、松本先生の現場での授業。スカイプを通 しての学校紹介、行事紹介、地域紹介など進めて行きたい。 ・ 三園小学校に 1 名の不参加者が出たのは残念であった。次回は全員の参加を目指す。 7、ま と め 冒頭にも書いたが今年は三園小学校の 6 年生から学習前のアンケートを実施した。この学 習が終了したときに再度アンケートを取り比較する。学習前と後の子供たちの中東地域と りわけヨルダンに対する意識の変化がどの程度認識できるか、興味津々である。 2013 年 10 月、第 6 回交流会の予定が入った。三園小学校ウムカイス中等女学校とも交流 会の有効性を認め継続してくれるのだろうと感じた。条件が会えば子供たちが世界を知る よい機会である。長く続けるように努力したいと考える。 5 年間交流会が続いてきたことは、関係の皆様のご協力が無ければできなかったことであ る。心より感謝申し上げたい。第 6 回の交流会もよろしくお願いいたします。 写真 19:ウムカイス全員集合「マッサラーマ」 ※ 掲載写真は三園小学校および平山優さん(国士舘大学グローバルアジア学科博士課程)からご提供いただいた。
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