事 業 報 告 書 決 算 報 告 書

事
業
報
告
書
決
算
報
告
書
2 0 1 3 年 度
第26期
自2013年4月
1日
至2014年3月31日
あ し な が 育 英 会
2013年度事業報告
我が国経済はアベノミクス効果によるデフレからの脱却、景気浮揚が期待されているが、
非正規雇用が多く、景気回復とはほど遠い立場にある遺児家庭の生活環境は依然として厳し
いままである。本会では、貧困の連鎖を断ち切るためには教育を身に付け自立する以外に途
はないと考え、あらゆる場を通じて遺児の意識の変化、自覚を促した。奨学生採用にあたっ
てはこれまでの減点主義から加点主義に切り替え、できるだけ本人にやる気をもたせ、自信
を取り戻すよう努めた。
その目玉が、13 年度から始まった英米の大学生による「あしながインターンシップ・プロ
グラム」である。英国オックスフォード大学や米国プリンストン大学などのインターン生が、
7~8 月の約 2 か月間、東西の学生寮などで日本人学生や海外留学生らと生活を共にした。同
世代でありながら、志高く、情熱溢れるインターン生に接し、多くの遺児学生は自尊心を取
り戻し、海外に目を向け、積極的に勉強に励むようになるなど、大きな効果をもたらした。
本会では、09 年以来毎年、政府、各政党に対し、いわゆるあしなが法案と言われる「子ど
もの貧困対策法」制定を訴え続けてきたが、その地道な努力が実を結び、13 年 6 月に衆参両
院において全国会議員の賛成で可決され成立、14 年 1 月 17 日に施行された。
東日本大地震津波遺児支援活動については、建設を進めていた宮城県仙台市と石巻市の両
レインボーハウスが 14 年 3 月に相次いで竣工を迎え、3 月 13 日には、完成した仙台レイン
ボーハウスを、秋篠宮殿下並びに眞子内親王殿下がご訪問され、東北各地から来館した震災
津波遺児との交流を図られた。なお、岩手県陸前高田市のレインボーハウスは、14 年 6 月完
成の予定である。11 年度から 10 年におよぶ計画で始まった津波遺児家庭に関する実態調査
では、90 世帯を訪問し、被災地のみならず、今なお遠隔地で避難生活を強いられている方々
の深刻な状況をインタビューし、その分析を進めるとともにケース記録の整理を進めた。
サブサハラ 49 か国の優秀な遺児を毎年各国1名選抜し、ヨーロッパ、北米等の一流大学へ
留学させ、アフリカのリーダーに育て、サブサハラの貧困削減を究極の目的とするアフリカ
遺児教育支援 100 年構想も大きな進展をみた。
1
100 年構想の応援者となる賢人・達人探しはルイ・シュバイツァー氏(ルノー名誉会長、
日仏パートナーシップ仏外務大臣特別顧問・フランス)が賢人代表に決まった他、世界的に
活躍を続ける著名人が次々に決まり、10 か国が決定した。
欧米の大学へのアフリカ遺児留学生第 1 号として、あしながウガンダのエイズ遺児ナルワ
ンガ・ヒルダさんが米国の名門校スミス・カレッジに合格、授業料、寮費、生活費の全てを
含む特別奨学生に採用された。ウガンダでのエイズ遺児支援活動開始から 10 年目の快挙であ
る。
小説「あしながおじさん」刊行 100 周年を記念し、100 年構想の広報活動の一環として本
会と米国ヴァッサー大学が共催するコラボレーション公演「世界がわが家」
(演劇界のトップ
ランナーのジョン・ケアード氏が脚本・演出)が 3 年間の準備期間を経て、14 年 3 月に仙台・
東京で開催された。東日本大地震津波遺児らによる勇壮な和太鼓、ウガンダ・エイズ遺児の
エネルギッシュなダンス、米国ヴァッサー大学聖歌隊の美しい歌声、遺児の作文朗読に会場
は涙と喝采に包まれた。初演の仙台公演では秋篠宮殿下並びに眞子内親王殿下もご鑑賞にな
り大きな拍手を送られた。教育の価値と必要性を深く認識しているヴァッサー大学生、極貧
から脱出するために最も教育を必要としているウガンダの遺児、そして家族、家、思い出を
一瞬にして失い、悲しみと孤独と不安の中で仲間との絆を渇望していた東日本大地震・津波
遺児がひとつになり、遺児たちの国際的連帯の効用を確信した。
事業の細部については、以下逐条的に説明する。
2
1.奨学生の採用と奨学金の貸与等
(1) 奨学生採用者数と貸与額
13 年度は 1,937 人を採用し、22 億 7728 万 5 千円(入学一時金 1 億 1050 万円およびオンコセ
ラピー・サイエンス奨学貸与金 577 万 5 千円を含む。以下同じ)を貸与した。
88 年の本会発足以来、
26 年間に累計 36,946 人を採用し 366 億 5528 万円の奨学金を貸与した。
13 年度における制度別の採用者数と貸与額は次の通りである。
継続者
予約採用
在学採用
合計
貸与額(千円)
高等学校
2,518
982(1,168)
386(408)
3,886
1,299,150
大
学
1,042
265(573)
139(196)
1,446
798,855
専修各種
186
154(162)
340
159,600
9
11( 11)
20
19,680
690(777)
5,692
2,277,285
大学院
合
計
3,755 1,247(1,741)
※貸与額には入学一時金とオンコセラピー・サイエンス奨学貸与金を含む。
※合計人数は、留年・休学等による奨学金送金停止者を除く。
※予約採用者とは 12 年度に予約申請した進学予定者で 13 年度に正式採用された者。
※在学採用者とは 13 年度に在学申請し、正式採用された者。
※(
)内の数字は申請者数である。
(2) 学生の異動状況
13 年度における奨学生の異動状況は次のとおりである。
辞退
退学
高等学校
72
85
大
35
専修・各種学校
大学院
合
学
計
期間
死亡
合 計
休学
復学
17
1
175
6
1
55
30
3
123
36
30
4
17
2
0
23
5
0
1
1
0
0
2
1
0
112
158
49
4
323
48
31
短縮
(3) 私立高等学校および私立大学入学一時金の貸与状況
私立高校入学一時金は 235 人に 30 万円を貸与し、私立大学入学一時金は 100 人に 40 万
円を貸与した。
2.奨学金の返還
(1) 返還額と返還率
要返還額 15 億 3874 万 5825 円に対し返還額は 13 億 9119 万 5235 円。返還率は 2 年ぶりに
3
90%を超え 90.41%となった。
3.教育事業
(1) 「あしなが心塾」活動
東京の「あしなが心塾」の 13 年度の入塾生は日本人学生 26 人、海外遺児学生 2 人の計 28
人で、06 年 2 月に開塾して以来、塾生の累計は 314 人となった。また、16 人が卒塾し、卒塾
生の累計は 111 人となった。
(2) 「神戸虹の心塾」活動
神戸の「虹の心塾」の 13 年度の入塾生は日本人学生 5 人、海外遺児留学生 6 人の計 11 人
となった。海外遺児留学生は、ウガンダ共和国から 4 人、インドネシア共和国から 2 人を迎
えた。99 年 3 月に第 1 期生 16 人で開塾して以来、累計 183 人となった。また、7 人が卒塾し、
卒塾生の累計は 85 人となった。
(3) インターンシップ・プログラム
13 年度から始まった「あしながインターンシップ・プログラム」では、英国オックスフォ
ード大学や米国プリンストン大学をはじめとする世界の一流大学からのインターン生が、夏
休み期間の約 2 か月間、
「あしなが心塾」、
「虹の心塾」の両学生寮、およびウガンダレインボ
ーハウスに滞在し、日本人学生やウガンダの海外留学生らと生活を共にした。
「つどい」においてもインターン生が遺児たちと交流することにより、高い志と自信を持
つための教育プログラムを提供するとともに、
「アフリカ遺児教育支援百年構想を進める」た
めの多くの提案を得ることができた。
(4) 日本遺児学生の海外研修支援事業
13 年度は、本会大学奨学生 25 人を 1 年間の海外留学研修に派遣した(95 年に海外留学研
修制度が発足して以来、のべ 213 人が 11 か国で研修を行った)。研修先は、中国(2 人)、ウ
ガンダ(11 人)
、ベトナム(4 人)
、メキシコ(2 人)
、インドネシア(2 人)
、トルコ(3 人)、
台湾(1 人)の 8 つの国と地域(計 25 人)になった。
(5) 短期交換交流プログラム
12 年度より実施しているインドネシア、スラバヤ市の国立アイルランガ大学人文学部日本
研究学科で日本語を学ぶ遺児学生 2 名が夏期に来日し、日本の遺児学生や海外からの遺児留
学生と交流を深めた。
毎年実施している南加日系商工会議所との「レインボー交換交流プログラム」では、本会
大学奨学生 4 人が 8 月にロサンゼルスに派遣された(84 年度からの累計派遣者数 158 人)
。
また、
「ライオンズクラブ Youth Exchange」プログラムを通じて、本会の大
学奨学生 8 人が米国、スペイン、タイでホームステイや国際キャンプを体験した。
4.心のケア事業
(1) 高奨生のつどいの開催
13 年度の高校奨学生つどいは、8 月中に全国 11 会場の国立青少年交流の家において 3 泊 4
日で開催した。本会高校奨学生 1,252 人(参加率 33.1%)、大学・専門学校奨学生リーダー
4
等 636 人が参加した。
つどいのテーマを「志高くWORK
HARD」に全会場統一し、どんな時代になっても
生き抜いていく力を付けなければならないことを伝え、本気で具体的にWORK
HARD
(一生懸命に勉強し働く)していくことを決意できるよう努めた。
つどい史上初めて英米大学からのインターン生 12 人が高校奨学生と 3 泊 4 日を共にした。
(2) 大学および専修学校・各種学校奨学生のつどい
13 年度は、会場を「潮来ホテル」
(茨城県潮来市)に移し、9 月 1 日~5 日までの 4 泊 5 日
開催した。
大学・専修学校・各種学校の 1・2 年生 284 人(出席率 52.8%)、リーダーとなる 3 年生以
上 108 人(うち海外遺児学生 18 人)
、役職員等 36 人の計 428 人だった。高校奨学生のつどい
と同じ「志高くWORK HARD」をテーマに掲げ、
「加点主義」に大きく方針転換し、短
所を指摘する「つどい」から、長所を褒め伸ばし自信をつけさせる「つどい」とした。
(3) あしながレインボーハウスのケア活動
あしながレインボーハウスでは、神戸レインボーハウスと連携し「全国小中学生遺児のつ
どい」を開催し、病気・災害・自死遺児と、全国に避難している東日本大地震・津波遺児の
ケアと成長を促した。
(4) 神戸レインボーハウスのケア活動
神戸レインボーハウスでは、従来から行っているグループタイム、つどい、偲び話しあう
会、教育プログラム「虹の寺子屋」
、ファシリテーター養成講座などを実施し、病気・災害・
自死遺児とその保護者らが参加した。
5.広報・調査研究事業
(1) 機関紙の発行
13 年度は第 127 号から 131 号、
“号外”2 回の計 7 回発行した。
(2) ウェブサイト
ご寄付者、遺児家庭への情報発信を活発にすべく、ウェブサイトの更新体制を一新し、平
均で 4 日に 1 回の割合で新しい情報を掲載した。80 か国以上からアクセスがあった。
(3) ACジャパン支援キャンペーン
公益社団法人ACジャパン(旧公共広告機構)の 2013 年度支援キャンペーン団体に選出さ
れた(4 年目)
。キャッチフレーズは「進学できた。前に進めた。
」
(4) 調査研究活動・子どもの貧困対策法制定に向けた活動
① 遺児家庭の生活実態訪問聞き取り調査
9 月から 12 月にかけて全国各地で大学奨学生らが、遺児家庭約 100 世帯の訪問聞き取
り調査を実施した。
② 遺児家庭緊急アンケート調査
高校奨学生の全保護者 3,464 人を対象に、緊急アンケート郵送調査を 11 月に実施し、
2,273 人から回答があった(回答率 65.6%)
。
67%の世帯が「教育費不足」を訴え、教育費不足で「学習塾に通わせられず」42%、
5
「進路変更」33%、
「進学断念」19%、など深刻な状況が明らかになった。
③ 遺児と母親の全国大会の開催
上記②の調査結果を踏まえて 13 年 12 月 15 日、
「第 25 回遺児と母親の全国大会」を国
立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)で開催した。大会には下村博文・
文部科学大臣をはじめ、政府・各党代表が出席、
「子どもの貧困対策法」の早期施行と実
効性の高い大綱の策定、給付型奨学金制度の新設、遺族年金・児童扶養手当の支給期間
の延長をはじめ 7 項目を要望した。
大会後、センターから渋谷まで、約 4 キロの「デモ行進」を実施。シュプレヒコール
とともに 7 項目の要望を道行く方々に訴えた。
④ 「子どもの貧困対策法」制定に関する運動
09 年 12 月の「遺児と母親の全国大会」から毎年、「子どもの貧困対策法」の制定を訴
えてきたが、13 年 3 月から、与野党間で議員立法による法制化の動きが本格化した。5
月 18 日に、東京・代々木公園で「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークと共催で
市民集会を開催し、下村博文・文部科学大臣と全党から各党代表として国会議員が出席
した。約 500 人の参加者は集会後、渋谷・表参道・明治神宮前をデモ行進し、沿道の方々
に法律制定の必要性を訴えた。
「子どもの貧困対策法」は 13 年 6 月 19 日に衆参両院の全国会議員の賛成で可決・成
立、14 年 1 月 17 日に施行された。
6.東日本大地震・津波遺児支援事業
宮城県仙台市と石巻市の両レインボーハウスが 14 年 3 月に竣工式を迎え、岩手県陸前高田市の
レインボーハウスは、14 年 6 月の完成に目途をつけた。
(1) 各被災地でのケア活動、家庭訪問の実施
(仙台市)
・ 仙台市内、および周辺に在住の津波遺児とその保護者を対象に、仙台ワンデイプログラム
を地元のNPO法人「子どもグリーフサポートステーション」と合同で計 18 回のべ 63 世
帯(子ども 84 人、保護者 54 人)が参加した。
・ 14 年 3 月 13 日、完成した仙台レインボーハウスを、秋篠宮殿下並びに眞子内親王殿下が
ご訪問され、東北各地から来館した 23 世帯(子ども 30 人、保護者 19 人)の津波遺児らの
交流の様子をご覧いただいた。
(石巻市)
・ 石巻駅前の石巻レインボーハウス建設準備室を隔週金曜日に開館し、学校を終えた子ども
たちが集まり交流する場とした。13 年度は 23 回開催し、のべ 95 世帯、子ども 106 人、保
護者 63 人が参加した。
・ 地域の施設を使用した日帰りのワンデイプログラムや宿泊を伴う「平成の森のつどい」を
開催した。また、津波遺児家庭への家庭訪問を 10 回実施し、計 96 世帯を訪問した。
(陸前高田市)
・ 11 年 8 月にトレーラーハウス(1DK程度の広さ)を設置し、津波遺児と保護者の交流の
6
場として、準備室での交流会を毎月開催した。計 19 回でのべ 51 世帯、子ども 71 人、保護
者 11 人が参加した。
・ 地域の施設を利用してワンデイプログラムを開催したほか、津波遺児家庭への家庭訪問を
4 回行い、計 140 世帯を訪問した。
(釜石市以北)
・ 釜石市以北に在住の津波遺児家庭を対象に、地域の施設を使用してワンデイプログラムを
開催し、4 世帯子ども 8 人、保護者 4 人が参加した。また、大槌町、山田町、田野畑村、
岩泉町に在住の津波遺児家庭への家庭訪問を実施した。
・ 対象地域を岩手県全域に広げたワンデイプログラムを 2 回開催し、のべ 26 世帯、子ども
41 人、保護者 29 人が参加した。12 月のクリスマス・ワンデイプログラムでは子ども 29 人、
保護者 20 人が参加した。
(全域を対象としたプログラム)
・ 中・高校生のつどい、小中学生キャンプのつどいを開催し、計 4 回、のべ 40 世帯、子ども
48 人、保護者 21 人が参加した。
・ 東京都日野市のあしながレインボーハウスで開催した全国小中学生遺児のつどいに、津波
遺児家庭が、計 7 回、のべ 25 世帯、子ども 42 人、保護者 21 人が参加した。
(海外への招待)
・ 津波遺児の海外への招待事業では、他団体の協力によって、オーストラリアへ 4 人、アメ
リカ・ニューヨークに 2 人が参加した。また 13 年 3 月末から 4 月にかけて、フランス体験
入学に 20 人が参加した。
(2) レインボーハウスの建設
① 仙台レインボーハウス(仙台市青葉区五橋 2-1-15)
仙台レインボーハウスの竣工式が 3 月 1 日に行われ、遺児とその家族、寄付者、仙台
市長など総勢 200 余人が出席した。
② 石巻レインボーハウス(石巻市中里 2-2-3)
石巻レインボーハウスの竣工式が 3 月 25 日に行われ、石巻市長をはじめとして関係者
総勢約 60 人が出席した。
③ 陸前高田レインボーハウス(陸前高田市高田町字鳴石 112-7)
市街地の中心部が大津波で壊滅的な被害を受けた陸前高田市では、津波の浸水地域か
ら離れた高台の土地(2,228.50 ㎡)を借地契約し、13 年 4 月に着工した。地上 2 階建の
新築建物を建設中で、14 年 6 月完成を目指している。
(3) ファシリテーター養成
震災津波遺児たちに寄り添う地元のファシリテーターを養成するため、仙台、石巻、盛岡
のそれぞれで、計 3 回のファシリテーター養成講座を開催し、94 人が修了した。東北のファ
シリテーターの累計は 327 人となった。
(4) 津波遺児家庭調査委託事業活動
津波遺児家庭に関する調査は、副田義也・筑波大学名誉教授に委託し、11 年度から 10 年
におよぶ計画で始まった。
7
東日本大震災で保護者が死亡・行方不明または重度後遺障害を負った子どもの保護者 1,180
人を対象に、遺児や保護者の死別体験、保護者の仕事、住居の被害や移転などに関して、13
年 1 月に郵送によるアンケート調査を実施し、789 人から回答があった。
13 年度は、津波遺児の保護者への訪問インタビュー調査を実施し、90 世帯を訪問、被災地
のみならず、今なお遠隔地で避難生活を強いられている方々の深刻な状況を把握した。
(5) 東日本大地震・津波遺児への特別一時金の給付
7 人の東日本大地震・津波遺児に、使途自由・返還不要の「特別一時金」として一律 282
万 1964 円、
合計 1975 万 3748 円を給付した。
特別一時金の給付累計では給付者総数 2,083 人、
給付額は総額 58 億 7732 万 9048 円となった。
自宅が被害を受けた遺児奨学生 168 人への住宅一時金給付(被害に応じて 1 人あたり 30 万
~50 万円)は 5640 万円となった。
7.海外遺児支援事業
海外留学制度で日本の大学進学を果たした海外遺児は 40 人を超え、また、
「あしながアフリカ
遺児教育支援百年構想」の応援者である「賢人達人」探しは 100 人の予定のうち 4 分の1が決定
した。小説あしながおじさん出版百周年記念事業となる本会と米国ヴァッサー大学共催のコラボ
レーション公演「世界がわが家」は、14 年 3 月に仙台、東京で開催され、両公演とも大きな感動
を呼び起こした。
(1) 海外遺児の日本留学支援事業
新たにウガンダ 4 人(同志社大学 2 人、関西学院大学 2 人)、ハイチ 2 人(早稲田大学 2 人)、
インドネシア人 2 人(関西大学 2 人)の計 8 人が日本に留学し、13 年度の海外遺児留学生は
大学、大学院生を含めて 34 人であった。
3 人が大学を卒業し、2 人は日本企業および外資系企業へ就職。1 人は大学院へ進学した。
13 年度までの累計者数はのべ 36 人(8 か国)となった。
(2) アフリカ遺児教育支援百年構想
14 年 1 月、あしながウガンダのエイズ遺児ナルワンガ・ヒルダが米国の名門校スミス・カ
レッジに特別奨学金付(授業料全額免除、寮費、生活費支援)で合格した。ヒルダの他に 2
人のエイズ遺児が米国トップ 100 大学に合格し、各大学から特別奨学金が給付されることが
決定した。
(3) 賢人・達人会議
「アフリカ遺児教育支援百年構想」を進めるにあたって、世界 5 大陸に創設する
「ASHINAGA
AFRICA」の諮問機関の役割を担うとともに、アフリカ遺児の相
談や応援団としての「広告塔」を担う賢人・達人は、すでに、欧州を中心に 20 人が決定した。
賢人代表には、ルイ・シュバイツアー氏(ルノー名誉会長、日仏パートナーシップ仏外務大
臣特別顧問・フランス)が決まり、エリック・トーマス卿(英国大学協会前会長、ブリスト
ル大学学長ほか・英国)
、アルベルト・ミケリーニ氏(国営テレビアンカーマン・イタリア)、
アンドレア・ボッチェリ氏(テノール歌手・イタリア)、そして小澤征爾氏(指揮者・日本)
などが賢人・達人に決まった。
8
(4) 出版 100 周年記念事業
本会と米国ヴァッサー大学共催のコラボレーション公演「世界がわが家/At Home in the
World」は、米国ヴァッサー大学コーラス部、あしながウガンダ寺子屋キッズおよび東北津
波遺児被災者和太鼓隊による共演(脚本・演出は演劇界のトップランナーのジョン・ケアー
ド氏)で、仙台公演(3 月 13 日で観客 1100 名)・東京公演(3 月 20 日で観客 1600 名)とも
に大好評を得た。初演の仙台公演では秋篠宮殿下並びに眞子内親王殿下もご鑑賞され、その
様子はNHK、仙台放送等テレビ各社や新聞各社に掲載された。
(5) ウガンダ寺子屋教育支援事業・ケア活動
・ 「ASHINAGAウガンダ」はナンサナ村での活動開始から 10 年を迎え、寺子屋を卒業
した 10 人の生徒が公立の小学校 5 年生に編入した。また、新たに 16 人が寺子屋へ入学し
た。
・ リーダー育成奨学金制度がスタートし、6 人を中学校 1 年生の奨学生として採用した。
・ コラボレーション公演「世界が我が家」に向けてカルチャークラブの練習に力を入れた。
週 2 回のダンス練習に加え、コーラス練習も週 2 回継続して実施した。
・ 14 年 4 月から仙台育英学園への高校留学がスタートすることが決まり、男女各 1 人を選出
した。留学に向けて日本語クラスを設置し、日本人ボランティア、職員による言語指導を
行なった。
・ 日本の大学への留学生として 5 人を選出し、1 人が 9 月に同志社大学に入学した。残り 4
人は 14 年 4 月に日本の大学に留学することが決まった。この結果、あしながウガンダから
留学生は合計 24 人となった。
・ 米国留学生第 1 号が誕生した。1 人が難関のスミス・カレッジに合格。他の 2 人も全米ト
ップ 100 の大学に合格し、それぞれ奨学金の給付が決定した。
・ 夏季に米英国から 5 人のインターン生を迎え、ウガンダ遺児の留学支援活動に助力しても
らった。
・ ケアプログラムは、小学生低学年、小学生高学年、中学高校生と 3 つのグループに分け、
毎週土曜日に年間を通じて実施した。また、スタッフが週 1 回の家庭訪問を実施し、家庭
の現状に合わせたケアプログラムを行なった。
・ 13 年 5 月にエンテベ動物園への日帰りのつどいを実施し、200 名が参加した。9 月にマシ
ンディでリーダー育成キャンプを実施し、100 名の参加があった。
・ サブサハラ 49 か国の遺児が世界の大学への入学前に様々な研修を行う「ウガンダ心塾」は、
12 年 10 月末に第一期工事(男子寮、多目的ホール、学習棟)が始まり、13 年 10 月 31 日
に完了した。
8.募金事業
13 年度の寄付総額は 48 億 905 万 4823 円で、12 年度比 16%の減少となった。寄付件数は 40 万
件 9453 件で 12 年度比 8%の減少となった。
(1) あしなが学生募金
あしなが学生募金事務局は、春の第 86 回募金では、東日本大地震・津波遺児の心のケア活
9
動の拠点「東北レインボーハウス」建設募金の支援を呼びかけた結果、募金総額は 1 億 3863
万 5113 円となった。秋の第 87 回募金では、「病気、災害(津波・震災含む)
、自死遺児への
奨学金」と奨学金の継続的支援者「あしながさん募集」を呼びかけた結果、募金総額は 1 億
1557 万 8163 円となった。
(2) あしながPウォーク 10
第 40 回あしながPウォーク 10 は、ウガンダ・エイズ遺児への教育支援を訴え全国 45 コー
ス(8 コースが悪天候のため中止になった)で実施し、14,386 人が参加した。主旨にご賛同
いただいた企業、個人の方々から 4,545,180 円(受取利息除く)のご寄付が寄せられた。
(3) 東日本大地震・津波遺児支援募金
13 年度の寄付額は 2 億 5236 万 2697 円(5 万 1584 件)で、11 年 3 月からの累計は 62 億 974
万 4261 円(25 万 793 件)となった。
(4) 東北レインボーハウス建設募金
13 年度のご寄付額は 12 億 6896 万 518 円(1 万 2372 件)で、11 年 3 月からの累計は 49 億
4366 万 1387 円(4 万 7024 件)となった。建設費と 5 年分の維持運営費として目標とした 41
億 5 千万円を大幅に上回るご支援を国内外から寄せられたため 14 年 3 月末をもって「あしな
が東北レインボーハウス建設募金」の受付を終了した。
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