2 超音波画像診断装置 SeeMore (VA7.5MHz) の 超音波ガイド下神経ブロックでの使用経験 愛知医科大学 学際的痛みセンター 講師 新井 健一 先生 以前は実用性が低かった超音波画像診断装置を使用した神経ブロックも、 ここ数年の間に、 装置の著 しい機能向上と小型化で、 多くの医師に実践されてきている。 超音波画像診断装置 SeeMore (VA7.5MHz) は、 最新の小型化された生体に便利な装置である。 今回、 腕神経叢ブロックと坐骨神経 ブロックに使用したので報告する。 腕神経叢ブロック斜角筋間アプローチ法 : 輪状軟骨の高さで胸鎖乳突筋の外側の領域でプ ローブを動かす。 まず、総頸動脈を確認して、次に、 BP 前斜角筋と中斜角筋を確認する。 SeeMoreTM (VA7.5MHz) で腕神経叢の神経束を描出する事は困 SAM SAM CA 難なため (図 1)、 前斜角筋と中斜角筋の間の腕神 経叢と思われる部位に神経刺激器の併用で、 ブロッ ク針を進め、 運動神経刺激による上肢の動きを確認 する方法がよいと考える。 図 1. CA: 総頸動脈、 SAM: 前斜角筋、 BP: 腕神経叢 腕神経叢ブロック鎖骨上アプローチ法 : 鎖骨上窩にプローブを冠状に近い状態で置き、 鎖 骨下動脈の横断像を描出する。 鎖骨下動脈の外 BP TM 側頭側部に腕神経叢があるが、 SeeMore (VA7.5MHz) では神経叢の神経束は同定すること SCA が難しいので、 この場合も、 腕神経叢と思われる 部位に神経刺激器の併用で、 ブロック針を進める 方法が良いと考える。 鎖骨上アプローチでは、 副 作用として気胸が問題だが、 超音波画像診断装 置を使用することで、 動脈や第一肋骨の位置を確 認できるので、 発生を避けることが出来る。 図 2. SCA: 鎖骨下動脈、 BP: 腕神経叢 2 坐骨神経ブロック臀下部アプローチ法 : 坐骨結節と大腿骨大転子の間にプローブを皮膚 に垂直に置き、 坐骨結節と大腿骨大転子を描 GMM 出確認し、 坐骨神経は大臀筋腹側にやや高エ コー性の物として認めるので (図 3)、 この部位 に神経刺激器を併用して、 ブロックする方法が 良いと考える。 IT SN 図 3. IT: 坐骨結節、 GMM: 大臀筋、 SN: 坐骨神経 結語 : 超音波ガイド下で神経ブロックを行うと、 安全で確実なアプローチと誤穿刺のリスクを回避すること ができることが最大のメリットである。 近年、 神経ブロックに超音波画像診断装置を用いることが多く、 携帯型超音波装置が今後も期待 される。
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