【3】巨大血小板に起因する血小板数偽低値の補正におけるクロロキン

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巨大血小板に起因する血小板数偽低値の補正におけるクロロキン溶液の有用性
~セルダインサファイアの PLT-O スキャッター異常を認めた血小板無力症症例~
◎馬場 ひさみ 1)、北谷 陽平 1)、松岡 桃子 1)、中田 昭平 1)、野崎 美智江 1)、徳竹 孝好 1)
長野赤十字病院 1)
【はじめに】
自動血球分析装置セルダインサファイアの PLT-O 法では
スキャッタグラム異常により血小板が偽低値に測定され
たが,CD61 測定法は血小板数が測定不可能であった血小
板無力症の症例を経験した.本症例は WBC の 0°90°スキ
ャッタで血小板凝集フラッグが表示されたが末梢血塗抹
標本では巨大血小板が確認された.本症例の血小板偽低
値の補正には 16%クロロキン 2 リン酸溶液(以後クロロキ
ン)が有用であったので報告する.
【症例】10 代 女性
主訴:幼少時からの出血傾向,血小板減少
セルダインサファイアの CD61 測定法で CD61 の発現(),BT5.5 分,血小板凝集能検査で ADP 及びコラーゲン凝集
(-),リストセチン凝集(+),遺伝子解析でIIb
R453(422)X 変異(CGA→TGA)とIIb G1022(991)C 変異
(GGC→TGC)を認めた(大阪大学).
【方法】
① 本症例の EDTA 加血を用いて血小板数を測定した.
② 本症例の EDTA 加血にクロロキンを等量加え,混和直
後に血小板数を測定し測定値を2倍した.
③ 本症例と両親の EDTA 加血及び本症例のクロロキン添
加血の塗抹標本を作成し血小板形態を観察した.
【結果】
① PLT-O 測定法で 1.9×10^4/μl と測定されたがスキャ
ッタグラム異常が認められた.
② クロロキン添加血は 4.6×10^4/μl と測定された.
③ EDTA 加血の塗抹標本で本症例は巨大血小板,父親は大
血小板が観察されたが,本症例のクロロキン添加血で
は巨大血小板は認められなかった.
【考察】
本症例の血小板数が偽低値に測定されたのは巨大血小板
の出現が原因と考えられた. クロロキン添加により巨大
血小板のサイズが小さくなり分析機が血小板として認識
したのではないかと推測され, 巨大血小板による血小板
偽低値の補正にクロロキンが有用である可能性が示唆さ
れた. 連絡先 026-226-4131(内)2226