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産業広告2008年7月号より転載
ア・ン・グ・ル
1938年(昭和13年)創業の株式会社中外(東京都千代田区)は、今年創業70周年を迎えた。
専門・業界紙誌を扱う広告代理店から出発し、その後、時代の変化に対応しながら総合広告会社へ
とサービスを拡大、
さらに最近は独自のクロスメディア戦略を武器に「マーケティング・コミュニケー
ション・パートナー」へと進化している。これまで一貫してビジネスマーケティングを中心に展開し
てきた同社の歴史と今後について、遠山勝代表取締役社長に伺った。
リサーチに基づくクリエイティブ戦略や
クロスメディア戦略を提供し、
お客様のビジネスそのものへの
相乗効果を生み出したい
●専門・業界紙誌の取扱いからスタート
当社は1938年(昭和13年)
に大阪で創業を開始した
のですが、創業から40年間ぐらいは今でいうBtoB向けの
専門・業界紙誌の広告の取扱いをメインにしていました。
戦後の復興から高度経済成長時代には専門・業界紙誌
が次々と創刊され、
当社は鉄鋼から化学、電機、機械、食
品、医薬などあらゆる分野の新聞・雑誌の広告を扱って
いました。恐らく当社の専門・業界紙誌の広告扱い数・量
はダントツだったのではないでしょうか。
当社では、専門・
業界紙誌を網羅した赤い表紙の
『赤リスト』
というメディア
データのようなものを作って配布もしていたほどです。
1963年(昭和38年)
に東京に事務所を設立しました。
将来の東京市場進出も考えつつ、
また、大阪に本社を持
つ企業が続々と東京へ進出したために、
当社もクライアン
トの広告業務に対応する必要から進出したものでした。
●クリエイティブからSPまでの体制を整える
さらに1980年頃から展示会などイベントにも本格的に
当社にとって大きな転機となったのは、1960年(昭和
力を入れ始め、イベントを専門に担当するSP部を創設
45年)
にクリエイティブ部門を設置したときといえます。
当
しました。当時、ダイレクト・コミュニケーションあるいは
時、
たくさんの企業から
「広告扱いだけでなく広告制作も
ダイレクト・マーケティングが重視され、多くの企業でユー
行い、広告会社として機能して欲しい」
などの要望があり
ザーと直接接触する手法としての展示会に改めて注目す
ました。当時すでに、媒体扱いと同時にクリエイティブ機
ることとなり、
当社もこれへ対応したものです。
これまでに
能を持たないと広告会社として認められないという状況も
東 京モーターショーをはじめJ I M T O F 、S E M I C O N
ありましたので制作体制を整え、同時にパブリシティなど
JAPAN、CEATECといった大きな展示会で多くの企業の
PR体制も整えました。
これをきっかけに大手電機メー
出展を支援してきましたが、同時に各企業単独の個展も
カーや機械メーカーなど多数のクライアント開発へと結
多く手掛け、現在は年間約300件を実施するなど当社の
びつきました。
大きな柱の一つになっています。
●他社に先駆けてWebをいち早く手掛ける
平成に入って大きな転換点となったのは、Webへの取
り組みです。
当社には幸いWebに高い関心と知識を持つ
人材がいましたので、将来を見据えてWeb担当部門を設
置しました。広告業界では早い方だったと思います。
まず、
企業のホームページ作りから始めましたが、
まもなく当社
独自のメディアである
「ハイテクWeb」
というのを立ち上げ
ました。
これは産業財を網羅した新製品情報のWeb版の
ようなもので、企業へのサービスとして実施していたもの
です。
これらの取り組みは当社の大きなノウハウとなり、1993
年(平成5年)
に
「インタラクティブ・コミュニケーション部」
を発足させました。特にBtoBジャンルでは、
ネット上で引
合いから販売まで完結させるビジネス形態へのニーズが
高まってきたために、
当社では 売りにつなげるWebマー
ケティング へ取り組み、現在までに
「ユーザーニーズの把
握から商品開発、販売促進までのWebマーケティング」
を
具体化しています。
●ノウハウを
「VMCパートナー」
に結集
当社は専門・業界紙誌の取扱いから始まって各種メ
ディア、
クリエイティブ、PR、
イベント、Webマーケティング
へと事業展開してきましたが、
これらの経験とノウハウを
結集し、お客様の真のパートナーとなるシステムを構築
しました。
それが「VMC(Value & Victory Marketing
●ますます高まるニーズへ向けて専門性を高める
Communication)Partner-Chugai」
今後、企業からのニーズやご要望はますます高度化し
です
(右図)。
ていくものと思われますが、
当社としてはこれに応えるべく
VMCはPDCAサイクルをベースにコミュニケーション
専門性をますます高めていく必要にあります。多角的な調
計画から実行・評価・改善までを戦略的にご提供するも
査分析を行う㈱中外総研をいち早く設立したのも今日の
のです。例えば「Plan」
ではビジネス環境を深く洞察するリ
ニーズに備えたものであり、
さらに新しい手法の開発など
サーチを軸にプランニングやクリエイティブをご提案しま
に取り組んでいます。社員一人ひとりは専門分野や得意
す。
「 Do」
ではWebを核として広告・PR・イベント・ツール
分野を持つよう研鑽しており、社員の半数はBMC資格を
を含 めた 最 適 なクロスメディア 戦 略 を展 開します。
取得しています。
また、企業向けの
「中外マーケティングセ
「Check」
ではリサーチやサイト分析手法を使ってマーケ
ミナー」
を継続的に実施していますが、社員も勉強の場と
ティング効果を測定します。
「Act」
では効果測定結果をフ
して活用しています。昨年、上海事務所を独資で設立しま
ィードバックし、
それにより中長期的な企業活動とコミュ
したが、
これは日本企業の中国ビジネスへの支援が背景
ニケーション活動の最適化を目指すものです。
にあり、今のところ非常に順調に推移しており、
中国のこと
このシステムに基づき、ある企業では製品ブランド広
なら中外へと言えるくらい実績を積んでまいりました。今
告、Webプロモーション、展示会などを一貫した戦略目標
後は中国だけでなくBRICs全体への対応と研究が必要だ
のもとで実施して大きな相乗効果を実現しましたが、
当社
と思っています。
としてはブランディングやセールスプロモーションへの支
これまで当社は、企業や社会のニーズととともに歩んで
援だけでなく、
お客様のビジネスそのものにもシナジー効
きたといえますが、今後もさらに社会の変化に対応しなが
果を生み出していくことを目標にしています。
ら様々なご要望にお応えしていきたいと思います。
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