自転車通勤の推進方策の 課題と方向性

自転車通勤の推進方策の
課題と方向性
(株)住信基礎研究所
京都大学客員教授
古倉宗治
JCOMM発表 080704
他の交通手段との環境比較(人キロ当たり)
自家用
車
触媒
自家用
車
バス
自転車
飛行機
列車
必要空間
100
100
10
8
1
6
燃料消費
100
100
30
0
405
34
2
CO2
100
100
29
0
420
30
NOX
100
15
9
0
290
4
炭化水素
100
15
8
0
140
2
CO
100
15
2
0
250
3
負荷量合計
100
15
9
0
250
3
事故可能性
100
100
9
2
12
3
出典 EU報告書 自家用車=100とした計算
2
日本の医療費と死因
出典 平成19年版厚生労働白書
3
自転車の継続利用と病気予防効果
病.気の効果 医(学専門誌
1. 運 動 形 態 の 特 ①日常生活に組み込まれており、特別の時間や費用を運
色 (医学専門誌) 動に割く必要なし
②呼吸が通常より深く、息切れせず、継続可能
③ひざに重さがかからず(70%削減)、エネルギ 消費を
③ひざに重さがかからず(70%削減)、エネルギー消費を
筋肉運動に集中可能
2 ①死亡率
非自転車通勤者は死亡率39%増
②冠状動脈
軽減(死亡 男性の1/4 女性の1/6) 予防に中年時の低
軽減(死亡・男性の1/4、女性の1/6)
=心筋梗塞
燃焼運動
③脳卒中
軽減(予防に軽度又は中度の運動)
④糖尿病
軽減(50%は肉体運動の欠如原因)
⑤大腸がん
軽減(40−50%リスク軽減)
⑥乳がん
軽減(日常自転車利用ありの場合)
⑦体重過
軽減(成人人口の50%)=高血圧、冠状動脈疾患、糖尿病、
多・肥満
慢性関節炎等の原因の除去
⑧精神病
精神の安定 情操の維持 自信の高揚
精神の安定・情操の維持・自信の高揚
)
出典 英国国家自転車戦略資料(医学専門誌を基にして作成)
4
自転車が時間的に有利な距離
都市内の移動距離500mから4.5㎞⇒自転車が所要時間最短
z
国土交通省ホームページより
5
オーストラリア政府自転車委員会
出典 オーストラリア国家自転車戦略2005-2010
6
個人=自転車で行ってもよい距離・
個人
自転車で行ってもよい距離
時間
距離回 うち5キ 割合 時間回 うち30 割合
答者
ロ以
答者
分以上
上
57 8%
201人 108人 53.7%
53 7% 268人
153人 57.8%
出典 (財)自転車駐車場整備センター調査。福島市、練馬区及び
名古屋市における街頭等におけるアンケート調査。N=409
注 「天候がよく荷物がないなどの条件がよければ」何km
(又は何分)くらいの距離までなら自転車でいけるかに対する
答え
答え。
30分は、自転車の環境未整備下での可能時速
10km(建設省道路局報告書) として、5km
として 5km
7
自家用車の移動距離の実態
都市規模別
∼2㌔
2−4㌔ 4-6㌔
∼6㌔
単位%
(参考) 自
動車利用割
合(通勤)
三大都市圏政令市
22.5
16.7
11.0
50.2
23.8
三大都市圏その他
24 5
24.5
18 1
18.1
11 2
11.2
53 8
53.8
48 2
48.2
地方中枢方都市圏
22.9
15.3
11.7
49.9
53.7
地方中核都市圏50万人以上
24.0
21.0
14.0
59.0
68.9
地方中核都市圏50万人未満
26 2
26.2
20 7
20.7
13 9
13.9
60 8
60.8
72 2
72.2
地方中心都市圏
30.1
21.1
12.9
64.1
76.6
自動車のトリップ長の分布(移動距離平日)及び通勤目的自動車割合 単位%
出典
平成11年全国都市パーソントリップ調査1.基礎集計編p18、p24国土交通省
8
自家用車通勤通学者数((小面積都市)
自家用車通勤通学者数
小面積都市)
面積
km2
半径
自市内
km
数
自家用車通勤
割合%
割合
%
自転車通勤
割合%
5.1
1.27
8113
816
10.1
3426
42.2
埼玉県鳩ヶ谷市 6.22
6 22
1 41
1.41
6536
1374
21.0
21 0
2667
40.8
40 8
東京都狛江市
6.39
1.43
8626
876
10.2
3033
35.1
埼玉県上福岡市 6.81
1.47
6246
869
13.9
2793
44.7
京都府向日市
7.67
1.56
5983
1215
20.3
2039
34.1
愛知県岩倉市
10.49
1.83
5909
1783
30.2
2495
42.2
愛知県高浜市
13.00
2.03
8004
4287
53.6
1830
22.9
福岡県春日市
14.15
2.12
15681
5035
32.1
3811
24.3
宮城県塩竃市
17 85
17.85
2 38
2.38
12692
6152
48 5
48.5
1265
10 0
10.0
沖縄県浦添市
19.06
2.46
23683
13127
55.4
421
1.8
埼玉県蕨市
出典 平成12年国勢調査 市域の面積20平方キロ以下の53市から選定
市域を円と仮定して想定半径を計算
9
通勤者=通勤距離(住民アンケート)
∼1 ∼2 ∼3 ∼4 ∼5 ∼7 ∼10 10キ 無回
合計
キロ キロ キロ キロ キロ キロ キロ ロ∼
ロ
答
構成比
16.4 20.0 11.9 7.2 8.7 6.8
(%)
5.5 7.9 15.7 100
5キロ未満の累計=64.2%
住民アンケート調査(住民基本台帳)による通勤・通学者の距離(福島市、静岡
市) 単位% ∼は未満を表す。
∼は未満を表す
N=761
10
通勤者 通勤距離 時間の実態
通勤者=通勤距離・時間の実態
距離感覚
割合(%)
自転車通勤可能距離
28
無理をすれば自転車通勤可能
24
自転車通勤不可能
29
無回答
20
全体
100
距離(101名)
割合(%)
時間(156名)
割合(%)
1キロ以下
2
2キロ以下
11
4キロ以下
22
5キロ以下
38
20分以下
37
10キロ以下
26
30分以下
38
10キロ超
2
30分超
12
10分以下
13
73%
50%
11
注 福島市及び静岡市の地元大手企業数社の従業員対象アンケート調査(361名)
自動車通勤の割合(通勤手段割合)
通勤手段の特徴
自動 ①三大都市圏の一部
車
以外は、約半分以上が
以外
、約半分以上
自家用車
②人口規模が小さい
都市になればなるほど
割合が高い
③地方中核都市の周
辺都市で8割以上が
自家用車
二輪 大都市・地方都市を問
車(含 わ ず お お む ね 10 ∼
む自 20% と 底 堅 い 利 用 割
転車) 合
出典 平成17年全国都市交通特性調査結果
鉄道定期代と自転車通勤手当の比較
国家公務員通勤手当一覧
京王線定期代
距離
通勤定期(1ヶ月)
距離
自転車、自動車
等通勤手当
4キロ以下
4500円
6キロ以下
4870円
9キロ以下
5640円 5キロ以上10キロ
12キロ以下
6410円
15キロ以下
19キロ以下
7120円 15キロ以上
8620円 20キロ以上
11300円
24キロ以下
10210円 25キロ以上
13700円
30キロ以上
16100円
35キロ以上
18500円
40キロ以上
20900円
以下略
出典
京王ホームページより
順
個人=
自転車
利用の
条件
(施策別)
福島市、練
馬区及び名
古屋市の街
頭アンケー
ト調査(N
=
402)2002
2キ 以上5キ 未
2キロ以上5キロ未
満
2000円
4100円
未満
10キロ以上
出典
6500円
8900円
一般職の職員の給与に関する法律
施策条件の内容
13
もっと乗る
1 自転車通勤手当の支給
76.3
2 スーパーなどで自転車来店者割引
76.0
3 通勤先までの自転車通行空間の整備
70.7
4 荷物や天候対応の自転車
66 5
66.5
5 まち中の自転車走行空間の整備
56.7
6 交通規制等
交通規制等で自転車安全性向上
自転車安全性向上
56.5
7 バスや車両への持込
54.8
8 自動車運転者の自転車に対するマナー向上
53.0
9 坂道対応の電動アシスト自転車
50.9
10 主要な施設に屋根付駐輪場
46.2
11 手軽に利用できるレンタサイクル
42 1
42.1
12 自転車優先信号
41.6
13 バス停の自転車駐車場
41.6
14 中心市街地への車の乗り入れ禁止
40.3
15 自転車マップ
40.1
16 自転車向けの案内板やカラー舗装
34.5
17 自転車の利点の紹介及び理解
30.1
14
個人=自転車通勤しない理由
事項
割合%
事項
割合%
①疲れる、体力がない
30 ⑥自転車乗れない
5
②雨などの天候で遅刻
21 ⑦駅周辺に駐輪場がない
4
③交通事故心配
13 ⑧通勤手当がない、安い
4
④快適に走れる道路なし
9 ⑨会社で禁止や指導
2
⑤駐輪場のいたずら盗難
7 ⑩シャワ
⑩シャワー、ロッカーな
、ロッカ な
し
5 その他
2
⑥駐輪場がない
27
注 福島市及び静岡市の地元大手企業数社の従業員対象アンケート調査(361名)の
福島市及び静岡市の地元大手企業数社の従業員対象アンケ ト調査(361名)の
うち自転車通勤者以外の者(271名)
15
個人 自転車通勤で困っている点
個人=自転車通勤で困っている点
困っている事項(MA)
①途上 交通事故が心配
①途上の交通事故が心配
②走行空間のなさ
③いたずら・盗難
④通勤手当なし又は小額
④雨等の天候による遅刻
⑥駅周辺に駐輪場なし
⑦会社に駐輪場なし
⑧労災非対象
シャワー・ロッカーなし
特になし
その他
実数
33
29
13
12
12
8
8
4
0
17
4
割合%
37 1
37.1
32.6
14 6
14.6
13.5
13.5
9
9
45
4.5
0
19 1
19.1
4.5
注 福島市及び静岡市の地元大手企業数社の従業員対象アンケート調査(361名)のう
ち自転車通勤者(N 131 MA) 。
ち自転車通勤者(N=131、MA)
16
個人=天候の悪い日の対処方法
自転車通勤者の天候の悪い日の通勤方法
単独
実数
複合
徒歩
18自家用車+自転車
自転車
25自家用車+バス
バス
15自家用車+自家用車(家族)
電車
6自家用車(家族)+自転車
自家用車
8自家用車(家族)+バス
自家用車(家族運転)
5自家用車(家族)+電車
他者の車に同乗
2
小計
79小計
無回答
2合計
実数
1
1
1
1
1
2
8
89
注 福島市及び静岡市の地元大手企業数社の従業員対象アンケート調査(361名)のうち自転車
福島市及び静岡市 地元大手企業数社 従業員対象アンケ
調査(361名)
ち自転車
通勤者89名
17
個人=自家用車通勤で困っている点
事項
ガソリン代、車検等の費用かかる
お酒の後の代行運転、夜間駐車
交通渋滞で時間読めない
特になし
駐車スペ スの確保
駐車スペースの確保
その他
割合(%)
43
41
32
20
9
3
注 福島市及び静岡市の地元大手企業数社の従業員対象アンケート調査(361名)の
うち自家用車通勤者162名
18
企業 通勤で困っていること
企業=通勤で困っていること
事項(自動車の割合順)
自動車(%)
自転車(%)
①通勤途上での交通事故の危険性
67
42
②駐車場・駐輪場の確保
45
18
③労災問題
28
20
④渋滞などによる従業員の遅刻・ストレス
27
⑤駐車場における車の管理
21
⑥帰宅時における酒気帯び運転
13
⑦自動車または自転車通勤者がいない
9
⑧環境にやさしいイメージに影響
7
⑨出入り口での交通渋滞または放置自転車
5
9
13
17
⑩雨などの天候による遅刻
15
⑪快適に走れる道路がない
16
その他(自転車のシャワー・ロッカー2%含)
5
2003.3福島市及び静岡市での企業で従業員上位各150社アンケート調査(回収率37.3%)
6
(N=112)SA
企業=自転車通勤に対する現状
姿勢
奨励している
奨励も抑制もしていない
抑制している
無回答
合計
割合
6%
92%
1%
1%
100%
2003.3福島市及び静岡市での企業で従業員上位各150社アンケ
2003
3福島市及び静岡市での企業で従業員上位各150社アンケート調査
ト調査
(回収率37.3%) (N=112)
20
企業==自転車通勤奨励策の実態
企業
選択肢
自転車通勤者への手当ての支給
静岡市
福島市
全体
10 4%
10.4%
11 1%
11.1%
10 7%
10.7%
着替えのためのロッカールームの設置
0.0%
0.0%
0.0%
シャワールームの設置
0.0%
0.0%
0.0%
通勤用自転車の貸与または購入補助
0 0%
0.0%
0 0%
0.0%
0 0%
0.0%
自転車奨励のための社内での広報
0.0%
2.2%
0.9%
71.6%
71.1%
71.4%
0.0%
0.0%
0.0%
特に行っていない
その他
2003.3福島市及び静岡市での企業で従業員上位各150社アンケート調査
(回収率37.3%) (N=112)
21
企業=
企業
=自転車通勤に対する考え方
推進すべきでないとする企業はごくわずか。推進すべきとする企業が半数近く。
回答内容
自転車通勤直ちに推進すべき
自転車通勤長期的には推進すべき
自転車通勤は推進すべきでない
どちらとも言えない
福島市
7.5%
7.5
%
静岡市
6.7%
6.7
%
全体
7.1%
7.1
%
43.3%
43.3
% 37.8
37.8%
% 41.1
41.1%
%
6.0%
6.0
%
2.2%
2.2
%
4.5%
4.5
%
40.3%
40 3%
40.3
3% 53.3%
53 3%
53.3
3% 45.5%
45 5%
45.5
5%
無回答
3.0%
3.0
%
0.0%
0.0
%
1.8%
1.8
%
合計
100.0
100 0
100.0
100 0 100.0
100 0
2003.3福島市及び静岡市での企業で従業員上位各150社アンケート調査
(回収率37.3%) (N=112)SA
22
行政に望む自転車通勤施策
施策内容(MA)
割合
①地域における自転車走行空間(自転車レーン・駐輪場等)の整備
64.3%
②自転車に必要な施設(駐輪場、シャワールーム等)の整備に対する補助金
39.3%
③自転車を奨励している企業に対する税制の優遇
38.4%
38.4
④マナーやルールを守るための交通教育の実施
21.4%
⑤国や公共団体との協力による自転車通勤促進キャンペーンの実施
⑤国や公共団体との協力による自転車通勤促進キャンペ
ンの実施
19 6%
19.6%
⑥企業が通勤用自転車の貸与または購入する場合の補助
19.6%
⑦手軽なレンタサイクルの普及
⑦手軽な
ン サ クル 普及
17.0%
17.0
⑧自転車を奨励している企業に対する表彰などの認定制度
8.9%
⑨新しい自転車の開発と支援(天候や坂道対応、荷物たくさん運べるなど)
9.8%
⑩会社付近のフィットネスクラブとの提携による通勤者の自転車の預かりと
シャワーロッカーの利用システム
その他
出典 福島市及び静岡市での企業アンケート調査(N=112)
8.0%
4 5%
4.5%
23
自転車通勤奨励策の在り方
自転車通勤奨励策
在り方
項目
1 通勤手当支給
2 自転車通勤計
画
3 計画策定企業
の支援
内容
企業に対する自転車通勤手当の支給の奨励
企業の自転車通勤計画策定に対する支援(公
共団体から企業に専門家派遣など)
ⅰ立地企業に至る自転車通勤空間の重点確
保(企業の68%が要望)
ⅱ駐輪施設、シャワー施設等に補助(企業の
39%要望) 税制優遇(企業の38%要望)
39%要望)、税制優遇(企業の38%要望)
4 フィットネス 自転車ロッカーとサウナとの提携
バイクセントラル(米ポートランド市)
トランド市)
クラブと提携 例 バイクセントラル(米ポ
5 適切な公共交 自転車の特性を生かして、公共交通との適
正な分担と駅・バス停における連携方策
バス停における連携方策
通との分担・ 正な分担と駅
(レンタサイクルを含む)
連携
24