セーリング競技規則2013-2016改定の要約 - VENTO ORIENTALE -東

〈セーリング競技規則2013-2016改定の要約〉
Edited by Sen Yamaoka
2013/1/1
セーリング競技規則2013-2016(RRS)が発行され、2013年1月1日から発効される。今回変更された規則にはRRSブックの右端に“変更バー”として垂
直線が引かれている。
当要約はUS Sailingがまとめた改定の要約を基に、解説を加えて編集したものある。
また、Dave Perryが Understanding the Racing Rules of Sailing through 2016で「重要な規則とゲームの変更 (Significant Rule and Game Changes)」と
して解説している規則を「網掛け」で示している。
規則
定義
改定要約
定義がRRS本書の先頭に移された。
①“最終マークの方向から”を“コース・サイドから”に変更。(最終マークの方向が不明瞭な場合のため)
フィニッシュ
②フィニッシュ・ラインをコース・サイドから横切ったとしても、(a)規則44.2に基づきペナルティーを履行する場合、(b)規則
28.2に基づきフィニッシュ・ラインで行った誤りを正す場合、(c)コースの帆走を続ける場合、はまだ“フィニッシュ”はしていな
い、すなわち“レース中”である。
(a)ペナルティーを履行するか、(b)誤りを正した後に、コース・サイドからフィニッシュ・ラインを横切る時、”フィニッシュ”
する。
(c)コースの帆走を続ける場合、とは風上/風下コース等で、コースの中間にフィニッシュ・ラインが設けられたり、複数ラップ
の場面を想定したもの。
避けている
①(旧)”同一タックでオーバーラップしているとき、風下艇が風上艇と接触することなく、コースを変更できる”
(新)”オーバーラップしているとき、航路権艇が接触することなく、コースを変更できる”
②“接触する”(当規則では“他の艇との”は不要とした)
マーク
(新)マークの一部とならないのは、"偶然に"付着した物体、例えばKeep-off buoyなど。(従来どおり、レース委員会艇はマークで
あり、アンカーラインはマークの一部ではない)
①(旧)規則で区別していた“to (マークへ)”対 “at (マークで)” の規定を消去。
②(a)艇のプロパー・コースがマークに向かって近ずくことである場合のみ、マークに帆走するためのルーム;
(b)コースの帆走に必要なだけマークを回航するためのルーム; が許される。
③これらはプロパー・コースより小さい(狭い)。
マークルーム
・シーマンらしいやり方で帆走してマークに向かうための必要な余地、
その後コースの帆走に必要なマークを回航するための“ルーム”
・マークを回航し、シーマンらしいやり方でコースの次のレグの帆走を開始するための余地
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マークルーム
④新規則 18.3(c)(2)も参照。
⑤(旧)マークルームを与える必要がある艇の風上かつ内側にオーバーラップした場合を除き、マークルームにはタックするため
のルームは含まない。
(新)マークルームを与える必要がある艇の風上かつ内側にオーバーラップしており、かつタックの後にマークをフェッチング
することになる場合を除き、マークルームにはタックするためのルームは含まない。
当事者
救済に関し、救済が求められている艇、不適切な処置または不手際に関わった者または組織、を追加した。
規則 62.1(a)の変更も参照。
"これには2章の規則と規則31に基づくその艇の義務に従うための余地を含める"を追加。
ルーム
例えば、規則16.1(コース変更)において、航路権艇は、避けている艇に他艇に違反をさせたり、マークとの接触をさせたりする
ようなコース変更はできない。
第1章
基本原則
“環境責任”を追加。(新) 規則55(ごみの処分)も追加。
第2章
第2章A節前文
"航路権" 少し表現を整理。
14(b)
"ペナルティーを課さない"を"免罪されなければならない"に変更。
第2章C節前文
"規則20を適用する場合、規則18および19は適用しない"を削除。
18.2(c)(2)
新規則:“その艇がマークルームの資格がある艇の内側にオーバーラップした場合には、オーバーラップが続いている間、相手
艇がプロパー・コースを帆走するルームもまた与えなければならない”。
(新)マークルームの定義に関連付けた。例としては、プロパー・コースまではセールアップできるが、それ以上高く帆走した場
合で、その艇が規則16.1に違反した場合は免罪されない。
18.2(e)
"または他艇の風上でタックすることによって"を追加。(Clock-Roundの場合に発生)
(旧)"艇がクリア・アスターンから内側にオーバーラップし"
(新)"艇がクリア・アスターンから、または他艇の風上でタックすることによって内側にオーバーラップし"
ゾーン内で ”風位を超えて、その後同じタックになる” に変更。
18.3
適用される場合:
(旧)“ゾーン内でタッキングが完了した場合”、たとえゾーンの外で風位を超えていたとしても、タッキングの完了がゾーン内
だった場合
(新)“ ゾーン内で風位を超えた場合”、すなわちタッキングを開始し、風位を超えた位置がゾーン内だっだ場合
結果的には、新規則では旧規則と較べて、マークから“おおよそ”1艇身近づいてタッキングを開始できるようになった。
(旧)2艇間が、(新)複数艇間の適用に拡大された。
20
3つの規則に整理: 声をかけること、応じること、声かけを別の艇にする場合。
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20.2(b) (新) 艇は不適切な声かけにも応じなければならないと明確な規則にした。
20.2(e) 規則18.2は適用されない。旧規則ではC節全文にあった。
20.3 (新) たとえ最初の声かけの条件が中間の艇には適用されないときでさえ、他艇に声をかけることが許される。
第3章
第4章
21
免罪を、規則18からC節全部をカバーするように移動-規則19にとっては大きな措置。
規則19の免罪は、旧規則では規則64.1(c)しか適用できなかった。
22,23
(旧)規則21, 22を、(新)規則22, 23に付番替え。
22.3
(旧規則は21.3)、"水面に対し後進している"を追記。
25.3
RCは、同様に見えると云うことであれば、旗の代わりに同型のものが使用できる。
28
2つの規則に整理: コースの帆走および糸の規則。実質の変更はない。
29.1
“プレ・スタート・サイドに完全に入るまで”を、“プレ・スタート・サイドに完全に帆走するまで”に変更。
41(a)
外部からの援助の除外に“危険な状態にある…乗員に対する援助”を追加。
41
“しかしながら、規則41(a)に基づいて受けた援助により、そのレースにおいて明らかに有利を得た艇は、抗議され、ペナル
ティーを課せられることがある;この規則のよるペナルティーは、失格より軽減されることができる。"
42.3(c)
(旧)“波の風下側”を(新)“波の前面”に変更。
(旧)"シートやガイでも引き込んでもよい”、(新)どのセールでも引き込むことできる:ブームを使うことも可となった。
42.3(e)
(新) “バテンが裏返っている場合には、艇の乗員はバテンが正しく返るまでセールをパンプすることができる。この行動は、艇
を明らかに推進する場合は許されない。”
42.3(h) (新)“船舶と衝突後 …” 、(旧)“艇”となっていた。
44.1
1件のインシデントで1つかそれ以上の第2章の規則に違反した場合、1回の2回転ペナルティーでよい。
得点ペナルティーを"二者択一"とした(よって、2回転ペナルティーか得点ペナルティーのいずれかで、両方はない)。
44.1(b) ペナルティーにその艇が有利を得たかどうかの判定を含める、と明確にした。
第5章
48.2
新規則:分離通航方式
49.2
ライフラインはISAF OSRに適合しなければならない。
50.4
ヘッドセールが大きいローチを持てる-75% 中点幅 - 依然スピネーカーではない。
52
"人力”を“乗員の力”に変更-表現の整理。
55
(新) “競技者は故意にごみを水中に投棄してはならない”(水上では常時適用)。一般的な帆走指示書をRRSに移設。
60.1
インシデントに関与したか、目撃した抗議を、(旧)"第2章の規則 "から(新) "第2章の規則または規則31"に変更。
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第5章
61.1(a)(3)
艇が規則28(コースの帆走)に基づいて抗議できるのは、相手艇がフィニッシュした直後の時間までであると明確にした。
61.1(b)
表現を整理。
62.1(a)
不適切な処置または不手際に対する救済を、装備検査委員会、計測委員会等によるものまでに拡げた。
62.2
救済... – 表現を平易に整理。特に”理由を明記した”書面でなければならない。
“出席した当事者の証言…”
63.6
“インシデントを目撃したプロテスト委員会のメンバーは、当事者が出席している間に、その事実を述べなければならず、証言
することもできる”(義務化)
64.1
“プロテスト委員会は艇が….規則に違反し、免罪されないと判定した場合、その艇を失格としなければならない…”
64.1(a) 同時に、この規則を再編集-特に規則に違反せざるを得なかった免罪は旧は規則64.1(c)、新は規則64.1(a)に。
64.3
(旧)計測抗議を(新)クラス規則に関する抗議に変更。
67
(旧)規則67を削除 – 付則Pを適用する場合の規則42の適用の処置。付則Pの規定と重複のため。
4つの規則に分割:1. 不正行為の禁止; 2. 申し立て手続; 3. 各国協会の処置; 4. ISAFの処置。
実質上の変更は1箇所だけ: 規則69.1(c) はプロテスト委員会の “comfortable satisfaction (十分な納得)”という立証の基準を明記し
た。
69
このことは“preponderance of the evidence (証拠の優越)”より強く、“beyond a reasonable doubt (妥当な疑いを超える)”より弱
い。それには全員の合意か、それとも審議の後で少数意見の見解がないのが必要と考えられる。
規則69.1は“競技者(艇の乗員またはオーナーを指す)”のみに適用する一方で、規則69.3は“競技者もしくは艇、または関与したそ
の他の者...に対して”各国連盟が処置することを許可している、ことに注意。
第6章
第7章
70.1(b)
新規則:(b) 審問がないことに対して上告ができる。
71.2
上告が支持された場合、各国協会は新しいプロテスト委員会を任命できる。
76.1
(新) 艇からの要求があれば、速やかに書面で理由を示さなければならない。
(新) 艇は、拒否または排除が不適切であると考えた場合には救済要求をすることができる。
78.2
計測証明書が不備の場合 – 表現を平易に整理。
81
大会日程の変更 – 表現の整理。
86.1(b)
ゾーンの大きさは、これからは帆走指示書では変更できない。
89.1
主催団体を務めることができる組織に関し、曖昧な表現を変更した。
“加盟”を定義。
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90.3(c)
(新) 規則 - 間違った得点の訂正、レース委員会は、救済要求を受けることなく訂正ができる。
A4: (旧)“低得点方式とボーナス得点方式”を(新) “低得点方式”に変更。"ボーナス得点方式"は削除。
付則A A11: "RAF"を“RET”に置き換え、フィニッシュ前または後のリタイアを意味する。
“DPI"を追加、裁量ペナルティーが課せられたを意味する。
B
全面改定
C
RRS改定を反映した変更
2.4, 2.6, 2.7, 2.8, 2.9, 3.1, 3.2(a), 6.5(a), 7.4(c), 8.6, 10.3, 11.1(d)
D
大幅改定
E
(旧)ラジオコントロール艇競技規則を(新)ラジオ・セーリング競技規則に変更。
大幅改定
F
新付則-カイトボード競技規則
旧上告は付則Rに。
G
行政上の更新
H
変更なし。
J
RRS改定を反映した変更
1.2(1)(2)(5)(14), 2.1(5), 2.2(1)(3)(5)(9)(12)(29)(30)(32)(33)
K
RRS改定を反映した変更
15, 21
L
RRS改定を反映した変更
5.4, 9.1, 9.5, 11.2(スタート・ライン、フィニッシュ・ラインはコース側), 11.5(U旗), 12.2, 13(フィニッシュ時刻), 16.2, 30, 付属文書A
M
RRS改定を反映した変更
M2.2 (rule 63.6), M3.2 (rule 63.6), (rule 63.3(a))
(新) M4.2 「新しい証拠」
N
変更なし。
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Edited by sen yamaoka
P5(a): O旗
最後の文"O旗はスタート信号時に降下しなければならない"を削除。
状況に応じた降下ができる。
P
スタート信号後数分間O旗を掲げることによってスタート・ラインに遅れて到着した艇にパンプ、ロック、ウーチングが可能である信号とな
る。またスタート信号後O旗を掲げ続けることによって、ジェネラル・リコールとか短い延期があり、風速が規定の制限以上のままの場合も適
切である。
しかしながら、続くクラスの予告信号が前のクラスのスタート信号と同時に発せられる場合は、スタート信号時にO旗を降下する必要があるこ
ともある。
R
表現を平易に整理。
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Edited by sen yamaoka