中国建機業界、建機メーカーの無秩序な競争により市場が混乱、価格競争の悪循環に 掘削機オーナーの杜建軍(仮名)氏は、身を持って感じている。 確かに、昨年よりは良くなったが、メーカーや代理店の言うほど、業界が回復しているとは思えない。 杜建軍氏は、2010年に掘削機業界に入り、現在手元に3台の掘削機(2台は友人と共有)があり、それを リースしている。 10年以降のリース市場は国内の大手建機メーカーの過激な販売モデルにより、急成長したが、 エンドユーザーにとっては災難であった。 杜建軍氏は「メーカーは参入のハードルを下げたため、多くの業界をよく知らない人々が参入してきた。 リース業界はもっと参入しやすく、すぐに飽和状態になってしまった。 リース業者の中には、分割支払いの方法を採用した。 リスクはここから代理店、建機メーカーへと広がっていった」という。 ■「頭金なし」の誘惑 7月3日、杜建軍氏によると、掘削機業界に従事してまだ長くないが、この業界の最も良い時を経験したと話した。 3年前、まさに4兆元の景気刺激対策の投資により、大量のインフラ建設が行われ、建機に対するニーズは一気に 噴き出した。 「建設現場では掘削機が見つからないほどだった。」 その頃、各大手建機メーカーは、シェア獲得のため、頭金を少なくする、ひいては頭金なしで販売するなど、 過激な販売方式を採用した。 掘削機市場は数年前から好調であったため、販売競争はさらに激しくなっていった。 業界が最も活況を呈している時、杜建軍氏は25万元を元手に、掘削機3台を購入し、リース業を始めた。 最初は確かに儲けがあったが、しばらくして、徐々に儲からなくなってきた。 儲からなくなった原因のひとつに、リース業界に詳しくない多数の人々が、誘惑に引かれて、参入してきたからで、 市場はすぐに飽和状態となった。 「メーカーが業界参入のハードルを下げたので、多くの人が参入してきた。 ただし、参入してから、思ったような状況でないことがわかる。」 杜建軍氏の話によると、頭金なしで購入しても、それは、一時的に支払わなくて良いだけで、一定期間内に 支払わなければならない。 「多くの人が、掘削機を購入すれば、機械を使ってお金を稼ぎ、利益が出ると考えていた。 実はそうではない。 頭金を支払って、手元に10万元から20万元の現金がなければ、やりくりできない。 燃料代、人件費、ローンの支払い、すべてにお金が必要だ。」 経済の成長速度が鈍化し始めたとき、その他の問題も現れ始めた。 「月ごとの決済が遅れて、実際は3カ月を過ぎて決済をする場合もあった」と掘削機リースに長期間従事する ユーザーが話した。 この掘削機オーナーによると、このようなことに遭遇したことがあり、顧客が半年間決済をしてくれず 「催促に往復した費用などを合せると損失になった」と述べた。 掘削機リース業者から見れば、ここ3年、燃料価格は値上がりし、人件費も上がったが、リース料はあまり上がって いない。 「ディーゼルオイルは6元から8元に値上がりし、運転手の給料も3,000元から5,000元に上がった」と 杜建軍氏は言う。 ■リスクの連鎖 杜建軍氏は「10年以降の機器リース市場は、無秩序に増長し、その結果、多くの設備が捨て置かれるようになった。 工事を行わないので、機械は太陽に晒しているが、晒してもお金が出てくるわけでもない」という。 リスクは、最も低位のリース市場から、川上へと伝わっていく。 エンドユーザーの返済が困難になり、「貸倒金」となった場合、その問題は、代理店に伝わり、メーカーに伝わって いく。 「エンドユーザーがローンを支払えなければ、メーカーが機械を回収してしまう。 機械を回収しても、やはりメーカーのキャッシュフローを悪くすることには変わりない」と杜建軍氏は言う。 「メーカーも迷うところだ。 機械を回収しなければ、リスクコントロールできないし、損失は大きくなる。 機械を回収しても損失は大きい」と前述の掘削機オーナーは言う。 「機器を大量に回収しても、メーカーは場所を借りて停めておかなければならないので、お金がかかる。 ユーザーが払えなかったローンは、メーカーが銀行に支払わなければならない。 これにもお金が必要だ。」 良い時は、すべての人がこのような日々が、ずっと続くものと思うものだ。 建機メーカーも例外ではない。 「10数年前は、製造すれば誰かが買ってくれた。」 国営企業の機械部門で長年働いた魏氏は、メーカーとやり取りした経験を持つ。 彼は、建機メーカーについてこう見ている。 「技術のハードルが高くないので、多くの人が一斉に同じものを製造する。 今では、価格競争の悪循環に陥っている。」 また、「メーカーは、大量に生産してシェアを占めることしか考えていない。 その結果、現在、市場は混乱している。 自分で運んだ石で、自分の足の上に落としているようなものだ」と話した。 最新のデータによると、国内の各建機メーカーの売掛金が急増しており、この状況は13年も続くと見られている。 13年の1~3月でみると、徐工機械の売掛金及び受取手形は、昨年よりそれぞれ26億4,500万元、 6億8,000万元増加し、203億8,500万元、32億4,000万元に達している。 現在、低調期に入った業界に対応するために、これらの建機メーカーは過激な販売戦略を採らない、売掛金を 減らす、融資販売を減らすなど販売戦略を調整している。
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