第95回 E・T・E - 冷凍機の省エネはETE(株)

2012/09/26 wed.
第三種郵便物認可
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熊谷支店発
∼企業の現場に迫る
第95回 E・T・E㈱
∼ 環境を科学する会社 ∼
東日本大震災が発生して1年半。被災地では逆境のなかでも「前」を向き、総力をあ
げて「復興」に向けて懸命に取り組んでいる。一方、原子力発電所の稼働が停止、電力
需給がひっ迫する中、被災地への賠償問題なども抱え、電力料金の引き上げが企業業績、
家計を圧迫している。今回はこうした中、
「省エネ・CO2削減を実現する技術・製品の
開発や設置を通じて、環境改善に貢献し続ける」ことを信念に、画期的な製品を開発し
た企業、E・T・E㈱を紹介する。
地球と“アラユル生き物”に優しい企業であり続ける
当社は、日本一暑い町=埼玉県熊谷市の隣に
ある深谷市に拠点を置き、群馬県などの近隣地
域を商圏に取り込みながら、冷凍・空調機の省
エネ装置の開発、設計、製造、販売、設置を行っ
ている。社名であるE・T・Eは、Environment
Technology Engineeringを意味している。環境
を科学しながら、環境改善に貢献することを目
指しており、“省エネ・CO 2 削減を実現する技
術・製品の開発や設置を通じて、環境改善に貢
献し続けるマジメな企業であり続けたい”という
のが当社の願いだ。
当社がこのたび開発したのが新システム:Mi
「お気軽にMiラクルコイルについてお問い合わせください」
と話す岡本社長
ラクルコイル<ミラクルコイル>。エアコン・冷
蔵庫・冷凍庫の消費電力を10∼25%削減させるとともに、最大需要電力も25%以上削減することに成
功した。
Miラクルコイル<ミラクルコイル>とは
Miラクルコイルは、熱エネルギーを速度エネルギーに変換させる特殊コイル(スパイラル管:銅
管製うず流・整流発生器)のことで、その不思議な力から商品名を「Miラクルコイル」とした。既
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存のエアコン・冷蔵庫・冷凍庫など冷凍機の室外機から出た配管部分(液ライン)に取り付けるだけ。
冷媒の流れに直接働きかけ、従来のシステムでは凝縮しきれなかったガスを完全に液化させることに
より、コンプレッサーの負荷を軽減させ、消費電力及びCO2を10%∼25%削減可能とし、さらに最大
需要電力も25%以上削減可能とした。Miラクルコイルの取り付けは1台1時間程度で完了。工事は、
当社認定の冷凍機専門技術者が行うので、安全・安心な取り付けが可能だ。
冷凍機の省エネ対策の現状
冷凍機の省エネ対策は各メーカーが課題としている分野。これまでコンプレッサーを中心に開発が
行われ、レシプロ、ターボ、スクリュー方式が開発されてきた。凝縮器回りの省エネ対策に関しては、
いったん冷凍機を設置した後は、夏場に向けチューブの高圧洗浄を行ったり、水噴霧およびサブコン
デンサを設置するくらいしか方法がなく、そのどれもが効果に課題を持っている。
室外機に散水して圧力を下げる方法を採用した大手冷蔵倉庫会社の担当者は、
「ランニングコストが
かかりますし、環境にも良くありません。結局コンプレッサーが壊れて何百万円もかけて交換しまし
た。やらなければよかったと思っています」と漏らす。散水は一度かけたら止める事ができず、膨大
な水道料がかかってしまうほか、フィンについたカルキやほこりで効率が悪化してしまっているのが現
状だ。
これまでの開発成果
当社は8年前より「冷凍機の省エネ技術開発」を大学、家電メーカーおよびカーエアコンメーカー
などと共同で行ってきたが、これらの研究開発実績が認められて、公的機関から以下のような支援を
受けた。
2010年9月には次世代型自動車技術開発支援事業「スパイラルチューブ膨張器を使った省エネル
ギー型空調機の開発」にて当社技術が採択されたほか、2011年10月26日には『埼玉県チャレンジ経営
宣言企業』に登録。2012年8月にはテーマ名『うず流・整流発生管(スパイラル管)を用いた業務用
冷凍機の省エネルギー機器の技術開発』にて、経済産業省の特定研究開発等計画の認定(第25回)に
採択された。当社は関連特許を出願しており、国際特許では日本、中国で既に登録されている。
震災後の電力不足への緊急対策
震災後の緊急課題として、当社は今まで積み
上げてきた技術と研究成果を生かすべく、大量
E・T・E ㈱
に電力を消費する業務用の冷凍・冷蔵倉庫、大
【企業コード】910092065
型エアコン、ショーケースなどに着目し、自社で
【本 社】深谷市柏合86-1
の装着事業を立ち上げた。関東運輸㈱熊谷共配
【設 立】2009年(平成21年)3月
センターにMiラクルコイル(5.5kW冷凍機5
【資 本 金】200万円
【代 表 者】岡本 智子氏
【事業内容】冷凍機空調装置製造
【U R L】http://ete-eco.com
台)を設置して、2011年5月より2012年8月ま
で実証テストを行ったところ、電力使用量で平
均20%(対前年同月)削減及び最大需要電力
25%削減ができた。
この結果を踏まえ、今年4月に関東運輸㈱県
央物流センター(冷凍機5.5kW×17台26kW×8
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台)への設置工事を行った。8月までの結果で省エネ20%以上、最大需要電力25%以上を削減したほ
か、2011年9月から2012年8月までの実績で、最大需要電力を400kWから290kWまで27.5%削減。
2012年9月からは契約電力値が290kWに更新され、契約電力料金について毎月16万円の削減効果を達
成した。2012年7月実績で、前年同月比、使用電力量も21.94%削減した。
Miラクルコイル設置の実績
上記のとおり2012年4月に関東運輸㈱県央物
流センターへ設置したが、投資回収は2年半以
内に完了の見込みで、首都圏物流センターへの
設置日程について現在調整中だ。
さらに、2012年8月には群馬県館林市のクリ
タ食品㈱の工場へ設置を行った。環境変化によ
り数値は変化するが、投資回収は3年内に完了
可能。両社とも順調に省エネ効果を上げている。
こうした省エネ効果の実績を評価され、現在
外食チェーンなどへの拡大を展開中だ。
Miラクルコイル設置写真(Mi-20H型)
当社の思い
当社は、数年来大手メーカーを対象に事業を展開してきた。これまでの経験をもとに、本当にコス
ト削減に頭を抱えているエンドユーザーに貢献できる事業展開を目標に頑張っていく構えだ。
当面は事業対象を家庭用ではなく事業者向けに特化し、電力削減に最大限貢献する。冷凍庫・冷蔵
庫・エアコンを使用している冷凍・冷蔵倉庫会社、食品加工会社などはもちろん、スーパーマーケッ
トやコンビニエンスストア、各種店舗など食品を販売している事業者にも設置していく意向だ。
将来的には、データセンター、工場、病院、介護施設、オフィスなど、
「エアコンの電気料を減らし
たいけどこれ以上の削減は無理だ」と悩んでいる事業者に対し、Miラクルコイルを使用して20%以
上の節電効果を上げられるようにしたい、このような現在の社会的ニーズに合致した形で着実に事業
を伸ばしていきたい、としている。
「埼玉のほんの小さな企業でも、現在の日本の最重要課題である省エネ対策の一翼を担うことができ
る。これを励みとし企業活動ができる事に感謝する日々」と岡本社長は語る。