薄膜構造評価用X線回折装置 ATX

薄膜構造評価用X線回折装置
ATX-E操作マニュアル
光学系調整全般編
第1版 2003.07.07
注意点
禁止
シャッターが開いている場合には絶対に扉を開けないでくださ
い。
注意
管理区域内での作業には、必ず線量計を装着してください。
(男子:胸部 女子:腹部)
注意
ATX-Eでは、様々な測定が可能ですが、最初に何をどの程
度の精度で測定するかしっかり検討し、測定法、光学系を検
討する必要があります。
注意
各測定の理論的な内容についても、あらかじめ良く習得して
おいてください。
1
測定種類
~ATX-Eでできること~
反射率測定
„ 数nm~数1000nmの膜厚を測定できる
„ 表面および界面の粗さ(ラフネス)が評価できる
„ 各層の組成が既知であれば、密度が評価できる
„ 単層膜でなく、多層膜の構造評価ができる
„ 結晶質、非晶質を問わず、広い範囲の材料に適用できる
„ 非破壊で測定ができる
2
Out-of-Plane測定
„ 試料表面に平行な格子面による回折パターンが得られる
¾ 定性分析、配向の有無などの判断
薄膜測定
„ 表面付近の多結晶による回折パターンが得られる
¾ 表面付近(薄膜)の定性分析
3
極点測定
„ 結晶方位の偏り(選択配向)の分布が得られる
配向・結晶性測定
„ 回折強度の広がりから、配向度、モザイク広がりなどの情報
が 得られる
4
ロッキングカーブ測定
„ 格子面間隔の変化を測定できる
¾ エピタキシャル膜の膜厚や混晶比
逆格子マップ測定
„ 単結晶基板やエピタキシャル薄膜の格子定数、方位関係、結
晶性などの情報が得られる
5
光学系選択
~光学系の使い分け~
光学系分解能
„ X線源から発生するX線には、発散角、波長の広がりが存在
し、これらが測定結果に影響する
„ 散乱X線にも発散角が存在し、測定結果に影響する
6
スリットコリメーション光学系
„ X線発散角・2θ分解能は、2つのスリットの幅、及びそれらの間隔
で決まる
„ 人工放物面多層膜ミラーを併用する場合、入射X線発散角は、0.04°
になる
チャンネルモノクロメータ
„ チャンネルカット結晶を1つ用いる
„ 同種の結晶であれば、回折次数が大きい方が平行性・単色
性が高い
7
4結晶モノクロメータ+アナライザ結晶
„ チャンネルカット結晶を2つ組み合わせることで、Kα1のみ入
射することができる
„ 受光系にもアナライザ結晶を使用し、最も分解能の高い光学
系である
各光学系の発散角・単色性
入射光学系
発散角
スリットコリメーション
0.05°
チャンネルモノクロメータ
4結晶モノクロメータ Ge(220)
入射特性X線
W(コンタミ)
Kα1
Kα2
Kβ
Lα
Cu(ターゲット)
Kα1
0.003~0.004° Cu(ターゲット)
Kα1
0.01~0.02°
Cu(ターゲット)
8
光学系使い分け
„ 分解能を優先させるケース
サンプル表面へのX線入射角を限定したい
例:膜厚が比較的大きい薄膜のX線反射率測定
高い精度で格子面間隔を求めたい
単色性・平行性優先
高分解能光学系の使用
例:格子定数の精密化測定
Ge(220) 4結晶光学系
結晶性を評価したい
アナライザ結晶
例:単結晶・エピタキシャル層のロッキングカーブ測定
光学系使い分け
„ 強度を優先させるケース
広い範囲のX線強度変化を捉えたい
例:極膜厚のX線反射率測定
ごく弱い回折線を観測したい
例:微量成分・極薄膜のX線回折プロファイル測定
結晶性の低いサンプルの回折測定をしたい
例:バルク・配向膜の定性分析・配向測定
強度優先
分解能のあまり高くない
光学系の使用
Ge(220) 2結晶光学系
スリットコリメーション
9
スリットの選択方法
~各光学系共通事項~
入射光学系高さ制限スリット
S2を経て、照射されるX線は、高さ方向で試料上では約2倍に拡
がります。高さ制限スリットに10mmを使用すると、試料上では
20mmの高さのX線になりすので、試料の上下方向のサイズに応
じて選択する必要があります
高さ制限スリットには、0.5mm、1mm、2mm、5mm、10mmの5種
類があります
高さ方向に2倍
に拡がる
10
入射光学系幅制限スリット
試料に照射されるX線の照射幅は、浅い角度の場合非常に大きくな
り、試料からはみ出すこともあります
測定時の角度と試料の幅から適切な幅制限スリットを選択します
幅制限スリットには、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.5mm、1mm、
2mmの6種類があります
(Top View)
受光光学系幅制限スリット
RSに幅制限スリットを設置することにより、2θの分解能を上げるこ
とが可能です
幅制限スリットには、0.05mm、0.1mm、0.2mm、 0.5mm、 1mm、
2mmの6種類がありますが、各々のスリットでのΔ2θは下表の様
になります
(Top View)
スリット幅
Open(5mm)
2mm
1mm
0.5mm
0.2mm
0.1mm
0.005mm
分解能Δ2θ
0.84°
0.34°
0.17°
0.084°
0.034°
0.017°
0.0084°
強度
強い 弱い
11
スリット選択の基本方針
„ S1スリット
¾ 高さ制限スリット
¾ 幅制限スリット
→ 10mm
→ 1.0mm
高さ制限スリット
10mm
幅制限スリット
1.0mm
スリット選択の基本方針
„ S2スリット
¾ 高さ制限スリット
¾ 幅制限スリット
— 反射率測定
— 回折測定
→ 試料上下方向サイズの1/2以下
→ 0.1mm
→ 1.0mm
反射率測定
高さ制限スリット
試料サイズに応じて
回折測定
幅制限スリット
0.1mm
高さ制限スリット
試料サイズに応じて
幅制限スリット
1.0mm
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スリット選択の基本方針
„ RSスリット
¾ 高さ制限スリット
¾ 幅制限スリット
→ 試料上下方向サイズの1/2以下
→ 0.2mm (S2スリットの倍の幅)
→ 1.0mm (S2スリットと同じ幅)
— 反射率測定
— 回折測定
反射率測定
回折測定
高さ制限スリット
試料サイズに応じて
幅制限スリット
0.2mm
高さ制限スリット
試料サイズに応じて
幅制限スリット
1.0mm
スリット選択の基本方針
„ GSスリット
¾ 幅制限スリット
—反射率測定
→ 0.2mm (RSスリットと同じ)
—回折測定
→ なし (Open)
反射率測定
注意 GS用幅制限スリットは、そ
GS用幅制限スリット
0.2mm
れだけで10mmの高さ制限
となっています
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