2 0 1 3.4.19 第57号 発行:さいたま市教育 9 条の会 さ い た ま 市 大 宮 区 吉 敷 町 4-93-5 大宮教育会館3F TEL 048−641−6763 現実が憲法と違う、 さて 変えるのは! 昨年末の総選挙で民主党が大敗し、自民党が勝利。結果、自民+公明で3分の2を超える議席を獲得した。 自民党の安倍総裁は選挙中から憲法9条に係わる話をしていた。 世界は自衛隊を軍隊として認めているのに、憲法上は軍隊ではない。 集団的自衛権を行使できるように、解釈を見直したい。 憲法9条を変えて、自衛隊を国防軍としたい。 確かに、現実の自衛隊は、外国から見れば明らかに軍隊である。憲法9条2項には「陸海空軍その他の戦力 は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とハッキリ「戦力としての軍隊」を保持しないと言い切っ ている。矛盾している。 しかし、憲法9条の力は抜群である。 例えば、アメリカ軍が中心になってイラク戦争を起こした。自衛隊も様々な口実を付けこの 戦争に参加した。しかし、最前線ではなく、あくまでも後方支援だ。この戦争は「イラクが大量 破壊兵器を隠し持っている」事を理由に、アメリカ軍がイラクを攻撃した。フセイン大統領を見 つけ出し裁判もせずに死刑にした。後で明らかになったことは、「イラクは大量破壊兵器は持 っていなかった。アメリカはそのことを知っていた。」今もイラク情勢は混沌としている。自衛隊 は後方支援を行った。アメリカ軍の艦船に油を搬入したり、間接的には参戦していた。アメリ カ兵はイラク国民を傷つけた。アメリカ兵も戦争の犠牲者を出した。でも、自衛隊は直接には 武器の行使はできない。イラク国民を傷つけずにすんだ。自衛隊員も犠牲者を出さなかった。 この事実は大切にしたい。第2次大戦後70年近く経過したが、その間も世界はあちらこちらで戦争を、紛争を 繰り返してきた。その間の犠牲者はいったいどれほどになるのか想像できないが、この間の戦争や紛争の中で 他国民・自国民を問わず、殺したり殺されたりしなかった国の一つが日本だ。なかなか認識されないが、ここに憲 法9条の力があるといえる。 「変えるのは 現実」 初めの問いに戻るが、「変えるのは現実」が正しい答えとなるのだが、この答えを認めないのが、自民党であり 安倍総裁である。他にも自民党と一緒になって「憲法9条があるから、日本はダメなんだ。」という国会議員はい る。結構多いかも知れない。 では、安倍自民党の答えはどうか。「変えるのは 憲法」が正しいとなる。 えっ!日本の宝 平和憲法を変えるのですか。 はい、そうです。 自民党は憲法をどう変えたいと考えているのか。 9条はどうなるかを簡単に見てみると 【第9条は 「国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段 としては用いない。」】。あまり変わったようには見えないが、追加がある。 2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。 第9条の二が新設された。(国防軍)の項目だ。現憲法の9条2は削除される。 「・・・内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。」 以下2∼6まで全て新設する。(詳しくは別の号で) 9条を大幅に変える内容であることは明らかだ。そもそも9条のある章は、第2章「戦争の放棄」という章立 て、それを第2章「安全保障」と変えている。 そして、日本をどんな国にしたいと思っているのかも見えてきそうだ。 9条の2項をなくし、国防軍と名前を変えた軍隊を持ち、「戦争の放棄」を「安全保障」と変える。さらには集団 的自衛権の行使を可能にさせる。この集団的自衛権は、自民党へと政権が変わることがハッキリした頃からアメリ カ側から盛んに出されていた話だ。「安倍は日本の集団的自衛権の行使を約束した。これは日本領海への直接 の攻撃に関係のない危機において、日本が米軍支援のためにより多くのことを行うのを許すものだ」(米国のシ ンクタンク・戦略国際問題研究所のマイケル・グリーンの解説)その結果、イラク戦争ならば後方支援から米軍と 共に武力行使をするようになる。すでに自衛隊と米軍の海兵隊との共同訓練も行われている。その時は、もちろ ん指示命令は全て英語である。おまけに、イラク戦争やアフガニスタン戦争に参戦した海兵隊員の話も聞かされ ているという。戦争で人を殺す心構えなのか。 自民党の中からも反対の声 野中広務元官房長官は3月16日、長崎市の原爆資料館での「今、日本を憂う」という 講演の中で「今の日本のあり方が私には本当に恐ろしい。マスコミもこの動きに追従して いるのではないか、その裏側にアメリカの大きな力が働いているのではないか。日本は、 またアメリカの占領地になってしまったのかと錯覚するようなことが現に起きている。・・・ 戦争はやりません、憲法は変えません。その思いを新たにする今日であってほしい」と話 を結んだそうだ。 自民党総裁経験者でもある河野洋平元衆院議長は新聞インタビューで、安倍作戦は 「猫かぶり」だと、そのずる賢さを指摘しつつ、「今の憲法によって不自由な生活を強いら れている人はいません」と述べ改憲前のめりの安倍路線をけん制している。 最後に、朝日新聞の投書を紹介しよう。「憲法を声を出して読んでみた。まず、序文がすばらしい。『・・政府の 行為によって再び戦争の惨禍が起きることのないようにすることを決意し・・』『主権が国民に存することを宣言し・ ・・』『・・・我らは、平和を維持し・・・名誉ある地位を占めたいと思う・・・』誇らしい気持ちになりました。」 自民党の意のままにさせないためにも今、何ができ、しなければならないのか大いに論議していきましょう。 埼玉憲法会議講演会 2013年5月30日(木) 18:30開会 埼玉会館小ホール 「小森陽一さんが語る憲法」∼第二次安倍政権は危険な改憲政権∼
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