第一〇一回 参第一五号 国民教育審議会設置法(案) (目的及び設置) 第一条 民主主義社会において教育の果たす役割が重要であること及び教育が不当な支配 に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきであることにかん がみ、その施策に国民の意見が正しく反映されることを図ることにより、日本国憲法及 び教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)に規定する教育の目的の達成等に資する ため、文部省に、国民教育審議会(以下「審議会」という。)を置く。 (所掌事務) 第二条 審議会は、次に掲げる事項に関して調査審議する。 一 学校教育制度に関する基本的な重要事項 二 教育課程に関する基本的な重要事項 三 教科用図書に関する基本的な重要事項 四 教育職員の身分、養成等に関する基本的な重要事項 五 私立学校教育に関する基本的な重要事項 六 社会教育に関する基本的な重要事項 七 学術に関する基本的な重要事項 八 文化に関する基本的な重要事項 2 文部大臣は、前項に掲げる事項に関する企画、立法又は運営の大綱については、あら かじめ、審議会の議に付し、その意見を尊重しなければならない。 (意見) 第三条 審議会は、前条第一項に掲げる事項に関して、文部大臣に意見を述べることがで きる。 2 文部大臣は、前項の意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。 (組織) 第四条 審議会は、委員三十人以内で組織する。 (委員) 第五条 委員は、教育、学術又は文化に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院 の同意を得て、文部大臣が任命する。 2 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 3 委員は、再任されることができる。 4 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散 のため両議院の同意を得ることができないときは、文部大臣は、第一項の規定にかかわ らず、同項に定める資格を有する者のうちから委員を任命することができる。 5 前項の場合においては、任命後最初の国会において、両議院の事後の承認を得なけれ ばならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、文部大臣は、 直ちにその委員を罷免しなければならない。 6 文部大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に 職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議 院の同意を得て、これを罷免することができる。 7 委員は、非常勤とする。 (会長) 第六条 審議会に、会長を置き、委員の互選により定める。 2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。 3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。 (専門委員) 第七条 審議会に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。 2 専門委員は、学識経験のある者のうちから、審議会の意見を聴いて、文部大臣が任命 する。 3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。 4 専門委員は、非常勤とする。 (資料の提出等の要求) 第八条 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、国の関係行 政機関の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めること ができる。 (公開) 第九条 審議会の会議は、公開とする。ただし、出席委員の三分の二以上の多数で議決し たときは、この限りでない。 (事務局) 第十条 審議会の事務を処理させるため、審議会に、事務局を置く。 2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。 3 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。 (政令への委任) 第十一条 この法律に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。 附 則 (施行期日) 1 この法律は、公布の日から施行する。 (最初の委員の任命) 2 この法律の施行後最初に任命される審議会の委員の任命について、国会の閉会又は衆 議院の解散のため両議院の同意を得ることができないときは、第五条第四項及び第五項 の規定を準用する。 (文部省設置法の一部改正) 3 文部省設置法(昭和二十四年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。 第七条を次のように改める。 (国民教育審議会) 第七条 本省に国民教育審議会を置く。 2 国民教育審議会については、国民教育審議会設置法(昭和五十九年法律第 号)の定めるところによる。 (特別職の職員の給与に関する法律の一部改正) 4 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次の ように改正する 第一条二十二号の次に次の一号を加える。 二十二の二 国民教育審議会の委員 理 由 民主主義社会において教育の果たす役割が重要であること及び教育が不当な支配に服す ることなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきであることにかんがみ、そ の施策に国民の意見が正しく反映されることを図ることにより、日本国憲法及び教育基本 法に規定する教育の目的の達成等に資するため、中央教育審議会に替えて、新たに、文部 省に、国民教育審議会を置く必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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