外来採血マニュアル

外来採血マニュアル
改定 第1版
獨協医科大学越谷病院
臨床検査部
採血実務委員会
平成15年5月
外来採血のながれ
受付 (患者様には受診券のみ提出していただく)
1.受診券の読み込み
2.採尿はオートラベラーにてハルンカップに添付される。
カップを患者様に手渡し、採尿室にて採取・提出していただく
採血管はロボにて指示書・採血管がトレイ上に出力される
*受付番号
ルチン 1∼
緊急 9001∼
外注 5001∼
救命 7001∼
*オーダー 2 件以上は受付番号が異なるので指示書・トレイは別に出力される。
*受付番号は同日/同一患者の場合,指示書に表示される
3.採血管のトレイ順に患者様を誘導
*名前は<様>でお呼びする
*誘導は原則として時計周り
*<尿検査>や<ポリス糖尿>は時間がかかることがあるので終わった順に誘導
採血の準備
1.患者様がいずれか持参するので提出していただく
・ 当日の再診予約票(検査後診察または外来で処置等)
・
ファイル 透明(検査後診察)
青または黄(診察済み)
* 受診券のみ(検査後診察)の場合は受付票を提出していただく
<当日の再診予約票>
*氏名と日付の確認 『確認のため』と断って必ず本人に氏名を言っていただく
*『手書き伝票あり』のコメントがあれば採血前に外来に電話確認する
*尿検査がある方は採取済か確認し、予約票に「済印」を採尿で 1 つ、採血で 1 つ押す
2 科以上から採血・採尿の依頼があればそれぞれの予約票に押す
*その他コメントのチェック
生理機能検査(心電図)、X−P(レントゲン検査)など
<ファイル>
*『確認のため』と断って必ず本人に氏名を言っていただき、同時にファイルの氏名を
確認(外来で渡し間違いあり)する
*尿検査がある方は採取済か確認し、外来連絡票に「済印」を採尿で1 つ、採血で 1 つ押す。 二
科以上から採血・採尿の依頼があればそれぞれの予約票に押す
*ファイルの中を見て伝票の有無を確認する
以下の伝票があればファイルから出して受付をする
OMR伝票
140
血液型(オレンジラベル) 伝票及び採血管に受付番号を記入
117
細菌
143
病理
外注 (ピンクラベル)
その他、白伝票、治験
会計・医事課伝票はそのままファイルに入れておく
2.指示書の確認
*採血管の氏名・種類・本数は指示書と合わせて全て確認する
*同一科のオーダーの重複は受付または採血メインに声をかける
*指示書に下記の表記がある場合は注意する
<尿検査><ポリス糖尿> 採尿したか確認する
<便○日目> 採血前に便のラベルを一般まで持っていく。
採血後、患者様に便カードを渡して廊下で待って
いただき、採血が終わった旨一般担当者に声をかける
<出血時間> 検査後結果をラベルに直接記入し、専用容器に入れる
<EDTA凝集>(指示書に明記される)
採血メインに声をかける
専用FC管(緑の○印灰キャップ)の追加採血
<紫 氷中> 氷水を用意し、採血後直ちに採血管を氷水にいれる
<血ガス 静> ヘパリンシリンジの用意
採血
患者様には椅子に深く腰掛けていただき、枕は肘の下に当てる
1.穿刺部位の選定
駆血帯をして,患者様には親指を中にして手を握っていただき,血管を怒張させる
* 駆血帯は2分以上 締めると検査値に影響がでることがあるので、時間がかかった時は1
度緩めて締めなおす
採血しやすい静脈を選定する
2.採血針の準備
真空採血時 針をしっかりホルダーに取り付け、セフティーナにセットする
シリンジ採血時 (黒キャップのみの採血 、血管確保が難しいと思われる時)
針を取り付け、エアー抜きを2,3度行う
*シリンジの内筒を動かすときは針先を患者様に向けない
針は、切れ口が上を向くようにし、セフティーナにセットする
3.消毒
通常はアルコール綿を使用
*アルコールでかぶれるまたは沁みる患者様はステリンクロンW液で消毒する
アルコール綿を2枚とりだし半分に折って、余分なアルコールをごみ箱に絞る
穿刺部位の径3cm くらいの皮膚を消毒する
*消毒後は穿刺部位に触れない。触れたら、再度消毒する
4.穿刺
空いている手で皮膚を緊張・固定させておいて穿刺する
針が血管にはいったら、抜けないようにしっかり固定する
*キャップを取った針には絶対触れない
*セットしたが未使用または1度使用した針はすてる
5.採血管への血液採取
血液採取後,採血管を転倒混和
抗凝固剤入り採血管(紫・黒・灰・赤沈) 直ちに混和
オートセップ,プレーン管 凝固促進のため数回混和
採血量の確認
黒キャップ,赤沈は規定量まで採れているか
全量は依頼項目の検査に十分か
*採血量が必要量に満たない時は自分で判断せず分離又は外注担当者に相談する
*シリンジ採血の場合,採血管に分注するときは内筒を強く押さない(溶血防止)
*血算の採血に時間がかかったときは患者様にお待ちいただき、大至急血算担当者に
測定してもらう.凝固していない事を確認後、患者様を誘導。凝固の場合再度採血
する
特殊処理の採血管
アンモニア・BNP・外注の指定採血管 血液採取後転倒混和し,氷水へ
血小板β-TG・PF4 駆血帯なしで,シリンジ採血後
ふたと針を取って分注し,氷水へ
6.血液採取後
駆血帯をはずして,アルコール綿で押さえながら速やかに針を抜き,セフティーナに
戻す
アルコール綿をさらに2つに折って,2枚重ね4つ折りの厚さにし,テープで固定す
る
採取部位の止血を確認する
患者様にはテープの上から5分ほどしっかりと圧迫するよう指導する
採血後
1.患者様の誘導
受診券を手渡しで返却する
再診予約票持参 特に他の検査等の記載がない場合 外来へ
心電図、X−P(レントゲン)等の指示がある場合 各検査へ
透明ファイル持参 外来連絡票の指示に従って各検査または外来へ
黄色または水色のファイル持参 外来連絡票の指示に従って各検査または会計へ
受診券のみ持参 外来へ
2.採血管とラベルの処理
採血管は<ブンチュウラベル>と共に専用トレイへ
緊急の黒キャップ は直接血液へ
新規採用(手書きOMR伝票)は採血管と共に血液へ
<紫 氷中> は到着確認後、化学へ
<婦人科 至急> .は到着確認後<ブンチュウラベル>と共に血清へ
指示書は採血順に貼付する
採血注意事項
・採血時は手袋の着用を心がけ、1 回ごとに消毒液を使用する
・当日、注射、点滴をした腕からの採血は避ける
・同一患者様の採血は原則一人2度まで
・採血量が多いときまた血管確保できず針を動かすときは、患者様に声をかけ気を配る
・患者様からの質問を受けたときの応対に十分注意する。曖昧な返事は避け担当医へ
助言を求めるようすすめる
外来採血のながれ
受 診 券
受 付
尿 検 査
採
再診予約票
透明ファイル
氏名・採血管・伝票の確認
尿採取の確認
済印を押す(採血・尿)
血
青または黄色ファイル
受診券のみ
再診予約票の指示に
外来連絡票の指示に
外来連絡票の指示に
従って検査等へ
従って検査等へ
従って検査等へ
外来へ
会計へ
外来へ
採血における感染防止対策
(臨床検査部 検査事故防止対策マニュアル 第2版より)
1.標準予防策
1)手袋と手洗い
・標準予防策の基本は手洗いであり、石鹸と流水による手洗いが原則です。
2)ガウン、マスク、ゴーグル
・血液、体液など衣類が汚染される可能性がある場合は、ガウン又はプラスチック
エプロンを着用する。
・血液、体液などが飛散し、目、鼻、口を汚染する危険がある場合は、マスク、ゴ
ーグルを着用する。
3)注射器、血液付着物の処理(検査室や技師が採血を行っている場合など)
・注射針はリキャップをせずに使用直後に専用容器に捨てる。
・針刺し事故防止用安全器材を導入する。
・飛散した血液や体液の処理は、手袋を着用しペーパータオルと消毒薬を用いて拭
き取る。
4)職員安全対策
・血液や体液などに暴露される可能性がある職員は、B 型肝炎ワクチンを接種する。
・血液や体液の飛散が起こりうる領域では、飲食、リップクリームの塗布、コンタ
クトレンズ、ピアスの着脱、喫煙などは行わない。
※血液、体液などに暴露した場合は、直ちに上司あるいは感染対策のスタッフに報
告し迅速に対応する。
2.針刺し事故に対する対処
1)傷者は針を刺した部位の血液を搾り出しながら、流水で十分に洗浄後、消毒用エタ
ノールで消毒する。
2)患者の感染症検査を確認する。
3)技師長に口頭で状況報告する。
4)受傷者の採血。
5)感染症(+)患者の場合、事務部庶務課に報告し消化器内科を受診する。
6)消化器内科医師の指示を受ける。
7)患者が感染症検査(+)の場合、消化器内科で治療を受ける。
8)医療事故トラブル報告書に記入し再度技師長に報告する。事故内容によっては業務
災害報告書(事務部)に記入し技師長からに事務部庶務課に届け出る。
9)感染症検査(+)患者の場合、受傷者は定期的に感染症検査を実施する。感染症検
査(−) 患者の場合、受傷者は 3 カ月後に感染症検査を実施する。
10)患者、受傷者の感染症検査
11)検査項目(部内):HBsAg, HBsAb, HBcAb,HCV,HIV,TPHA,RPR,(ATL)
*
詳細は「院内感染防止対策の栞」を参照
針刺し事故が発生した時の対応
針刺し事故
洗浄・消毒
患者の感染症確認
●局所を流水で十分に洗浄後、消毒用エタノールで
消毒する。
●感染症不明の場合は採血、血清保存する。
技師長に口頭で状況報告
事務手続き
受傷者の採血
消化器内科受診
●カルテを作成する。
●感染症不明の場合は採血、血清保存
●指示を受ける。(当直時間帯は当直医師の指示を
受ける。)
医療事故トラブル報告書に記入後、再度技 ●事故内容によっては業務災害報告書(事務部)に
記入し技師長からに事務部庶務課に届け出る。
師長に報告
*詳細は「院内感染防止対策の栞」を参照。
応急手当について
<採血時、気分が悪くなった時>
1.脳貧血
*症状
・顔が青く、皮膚が冷たい
・額に冷汗をかく
・脈が弱く、遅い
・めまいがする
・バタッと倒れて、意識をなくす
*応急手当
・すぐ寝かせる(枕をはずし、足を高くする)
・衣服をゆるめる
・保温する(ことに体の下側)
・倒れたときの打ち身、傷がないかどうか
・呼吸の有無の確認
→胸が動いているかどうか
→空気の出入する音が聞こえるかどうか
→自分の頬に息が感じられるかどうか
胸の動きがあっても、ロと鼻から空気の出入が間こえず、頬に息が感じられ
ないときは呼吸がないと判断する
2.呼吸困難の時(過換気症侯群など)症状
*症状
・わけもなく息苦しくなる
・息苦しさから抜け出そうとして、さらに一生懸命呼吸するため、ますます息苦しくなる
・手足のしびれ
・失神する
*応急手当
・衣服をゆるめ、患者が楽に呼吸できる姿勢にする
・ゆっくり呼吸させる
・患者に声をかけて落ち着かせ、安心させる
3.胸痛が起こった時(心筋梗塞、狭心症、自然気胸など)
*症状
・胸の中央や左側が、突然激しく痛み出す
・冷や汗がでる
*応急手当
・衣服をゆるめ、患者が一番楽な姿勢にする
・生理検査に連絡
4.技師で対応できない場合 (臨床検査部 検査事故防止対策マニュアル 第2版より)
1)近くに医師,看護婦がいれぱ応急処置を依頼する
意識がない時は患者様を強く揺すったりしない
採血室に常備している自動血圧計で血圧を測定する
点滴台(外来採血)、救急用カート(生理検査)を準備しておく。
2)救命救急の医師にPHSで連絡を取り,現場に急行してもらう
3)PHSで連絡が取れなかった場合
①緊急電話:#99をダイアルする
②交換台に発生場所を告げ,緊急で院内放送を流してもらう
③院内放送は「ドクターハリー○階××室ヘ」を2回繰り返す
4)主治医にも必要に応じ連絡する
5.救急薬品セットの常備
1)救急セツトは生理機能検査室に常備し,薬晶類の管理を定期的に行う。
管理者:飯郷宇多子
2)点滴台,血圧計など応急処置に必要な備品類の整備を行う。
3)救急用カートの中身を定期的に点検する。
①注射薬
②点滴セット
③注射針
④テープ類
⑤挿管セット
<末梢神経損傷、血腫圧迫痛の訴えがあった時>
1.採血直後
・手を握ったり開いたりさせて、その行為ができることを確認する。
・その後、責任者が対応する。鳥山、谷塚、星
①蒸しタオルをあてる。温湿布をすることを勧める(自宅に戻ってから)
②1 週間位様子を見ていただき、痛み・しびれ・腫れ・圧迫感など改善されない場
合は外来採血室にTELしてもらうようにお願いする。
③担当医、外来の主任看護師、技師長から事務へ連絡する
④採血担当者が事故報告書を書く
⑤再診日のチェック責任者が対応する。鳥山、谷塚、星
2.採血後、日数が経っている場合
・患者様に外来受診を勧める
・患者様の担当医に報告。受診時に他科(整形外科)診療が必要か判断していただく