女性パワーで夢を実現! - JA全国女性組織協議会

女性パワーで夢を実現!
中国・四国地区 島根県 JAいずも女性部
佐々木 安 江
JAいずもは、平成8年の4月に、2市4町 7 JAが合併して誕生しました。現在、正組合員数
13,605 名、準組合員数 32,644 名で、県内最大の組合員数を有するJAです。
私たちJA女性部も同時に合併しましたが、多伎と大社という地区には、女性部組織がありま
せんでした。当初の部員数は 4,672 名でしたが、「女性の声をもっと地域やJAに反映できるよう
な組織にしたい!」という部員の思いが非常に強く、まずはこうした女性部がない地区に組織を
立ち上げようと、取り組みをすすめることにしました。
まず最初に取り組んだのは、JA役職員との対話活動です。それと同時に、多伎と大社の両地
区への呼びかけも始めました。役職員との対話活動を通じて、女性の参与制度を導入していただ
くことになり、JAと女性部がお互いの理解を深める良い機会となりました。さらに、「女性部に
加入することで目に見える経済的メリットが必要」という声から、JAの生活購買店舗であるラ
ピタに、女性部だけのポイント制を設けてもらえるよう何度も要望を行いました。その結果、女
性部員は毎週水曜日、ラピタの通常ポイントに3%を加算される「女性部デー」を設けることが
実現したのです。
当初、女性部組織がなかった大社は、今やJAいずも女性部のなかでも、とりわけ部員拡大の
成果が上がった地区として有名です。ぶどう栽培が盛んな大社では、生産部会のぶどう婦人部が
足がかりとなって、各支部ごとに集会を重ね、ラピタのポイントメリットを説明したり、時代に
対応できる女性部結成の必要性について、理解と認識を求める努力を地道に続けました。時には、
以前の農協婦人部の印象からか、「もの売りのための婦人部ではないのか?」と敬遠されることも
ありましたが、何度も何度も話し合いを重ね、1年後、320 名の部員数で大社地区設立総会の開催
にこぎつけました。まず、部員全員を対象に、「どんな活動をしたいのか」についてアンケート調
査を実施。その結果、文化教室のニーズが非常に多いことが判明し、その要望に応えて各地区で
さまざまな教室を開催しました。「女性部に加入して良かった」と実感していただくために、地域
へ積極的にアピールしました。こうした地道な取り組みが実を結び、女性部への関心が地域全体
に広がった結果、仲間がどんどん増えていきました。2年目の部員数は 650 名。実に2倍です。
特に、グループ活動の発表の場として、年に1回「ふれあいの集い」を開催したことが、部員
のやる気と活動の活性化につながりました。本当に、大社地区全体が生き生きと生まれ変わった
ようでした。これで勢いがついた大社地区女性部は、平成 13 年、設立して5年目にして、ついに
部員数 1,000 名を達成したのです。このときは記念大会を開催し、「1,000 名達成音頭」を製作。部
員全員で踊って、その喜びを分かち合いました。
こうした部員数拡大の実績がJAでも認められ、永年の夢だった女性部活動拠点施設「ふれあ
いの家あすっこ」が、昨年、誕生しました。今後の夢は、この「あすっこ」から、大社地区なら
ではの加工品をつくり、売り出していくことです。
JAいずも女性部が地域に住む女性のニーズを活動に反映させ、活性化に結びつけたもっとも
大きな取り組みとしては、高齢者福祉活動が挙げられます。昭和 60 年頃より、旧出雲市農協婦人
部では、健康診断を始めました。この中で、受診者や部員から家族の介護に関する悩みが非常に
多く寄せられていることに気づいたのです。地域に根ざした女性部として、この問題を自分達自
身の問題としてとらえ、取り組みが始まりました。
平成3年から、女性部員がホームヘルパー養成研修を積極的に受け、平成5年にはホームヘル
パー資格者を中心に、助けあい組織「やすらぎ会」が発足しました。平成8年のJA広域合併と
同時に、JAの事業の中でも福祉活動が重点的に取り入れられることになると、各地区で本格的
な養成活動が始まりました。こうした養成研修で誕生したヘルパーが、介護のプロとして大活躍
している地区があります。それが、平田地区です。
平田地区の部員数は、合併当時は 450 名でしたが、このヘルパー養成が地域の女性達のニーズと
合致しました。手に職をつけられる、介護のプロになれるということが大きな魅力となり、ヘル
パーの数が次第に増えていったのです。
私たちはこの機会を逃す手はないと思い、助けあい活動を通して女性部の仲間づくりをすすめ
ることにしました。一軒一軒歩いて女性部への理解を得、仲間を増やしていったのです。
介護保険事業が始まった平成 12 年、JAの介護保険サービス事業として、ヘルパーステーショ
ンが立ち上がりました。やすらぎ会員 102 名の中から申し込みを募り、登録ヘルパー 61 名、常勤
ヘルパー1名でスタート。さらに行政からの委託事業として、お茶の間バスヘルパーサービス、
田舎流ホームヘルパーサービスなども行ない、地域の皆さんに利用していいただくことになりま
した。
こうした事業が認められ、平成 16 年4月、JAいずも福祉会による「みどりの郷平田デイサービ
スセンター」がオープンしました。オープン当時の利用者数は一日平均8名程度でしたが、現在は
25 名と順調に推移しています。実は平田地区には福祉施設が8ケ所あります。競合地域であるに
も関わらず、「みどりの郷」の利用者が増えているのは、JAらしい特徴を生かした、心温まるふ
れあいを大切にしたサービスだからだと思います。利用者の方にも大変喜んでいただいており、
これからも地域密着の施設として、皆様から愛される施設を目指していきます。
福祉活動をきっかけに自信をもった女性部は、購買店舗「ラピタ平田店」の出店運動にも取り組
みました。平田地区にはこれまで購買店舗がなかったため、女性部員はその不便さを切に感じて
いたのです。「私たちの手でぜひラピタ平田店を!!」を合言葉に運動を進め、平成 15 年、ついに
出店が決まりました。店内には女性部の提案によるファーマーズマーケットや、女性部展示コー
ナーを設置するなど、女性部パワーを最大限に発揮。一人でも多くの仲間で、新生「ラピタ平田
店」を支えていこうと、さらに女性部の部員拡大にも弾みがつきました。合併時にはわずか 450 名
しかいなかった部員は、平成 16 年には何と 1,300 名に。地域の福祉活動から広がった仲間の輪によ
って、平田地区女性部はいまや地域においてなくてはならない存在になっています。
JA女性部では、各地域で浮かび上がってきたニーズや課題を女性部自身の問題としてとらえ、
その都度真剣に、正面から取り組んできました。地域で吸い上げた要望や私たちの思いは、JA
との対話集会の積み重ねによって現実にすることが可能になるのです。今後は、多様化する部員
のニーズをどう実現し、また、維持・存続させていくかが、課題となってくるでしょう。そこで
現在、女性部では、専門部会に分かれて各人の特徴を活かせるような取り組みを始めています。
女性部活動でできた「人と人との絆」こそが、組織づくりの基盤になるものだと思います。
目まぐるしく移り変わる時代の中で、女性は常に先見の明をもっています。時代と地域に向き
合い、前へ前へと進む組織は、JA女性部以外にないと思います。これからも常に夢を持ち、J
Aと共に助け合い、楽しみと喜びを分かち合いながら、さらなる女性部の飛躍をめざしていきた
いと思います。