まずは、とにかく本人が興味を示す本を手に取る、あるいは、読み聞かせ

まずは、とにかく本人が興味を示す本を手に取る、あるいは、読み聞かせるが基本です。いわゆる名作を無理に
仕向ける必要はありません。裏返して言えば、読み継がれてきたから名作なわけで、結果として、名作も読むよう
になるのだと思います。
その上で、小3の前半で初めて自分で読むとなると、小2までで勧められているような絵の多い本になります。
様々なものが出版されていますし、中には自作をされている方もいるようです。最近は「大人の絵本」というジャン
ルも開拓され、高学年になっても絵本はいいですよ、との意見も聞かれますが、それは絵画や音楽の鑑賞もいい
よ、という意味に近くなるのだと思います。
「読書」というのであれば、やはり、早いうちに、文字がほとんどの本を読めるようになりたいものです。塾としては、
それを4年生以上では必ずと考え、指導しています。
さて、絵が多くともといえば、やはり「ごんぎつね」(新見南吉)は、小3までに読んでおきたい本です。以前、小4の
生徒との一対一の振り替え授業でふと、「ごん」の話になり、「僕、泣いちゃって止まらなかった」と聞いた時、人は
幼くても自分と直接関係のないことに、そこまで感情移入し共感できるのだと、妙に感動したことを覚えています。
宮沢賢治、唯一?の絵本「セロひきのゴーシュ」もぜひにでしょうか。ゆくゆくは、他の賢治作品も手にとってほしい
という思いがあります。その他では、人気が決して衰えない「エルマーの冒険」(ルースガネット)、私の趣味で「は
れときどきぶた」(矢玉四郎)、またここで、松谷みよ子の名前も上げておきます。
絵本から卒業し、初めての「読書」をする小3の生徒に、まずお勧めが「車のいろは空のいろ」(あまんきみこ)です。
他愛もない?内容のお話なのですが、なぜか面白いと感じさせます。短編の一話完結型で苦にならないのではな
いでしょうか。以前、小3の検定教科書にも載っていたようです。
ファンタジーでは、9歳の男の子が主人公の「ミオよ わたしのミオ」(リンドグレーン)、長くつ下のピッピの作者で
すが、トーンがかなり違います。そして、その発展編となるのが「はるかな国の兄弟」ですが、難易度的には、その
間に「ナルニア国物語」が入るでしょうか。そしてゆくゆくは、「はてしない物語」(ミヒャエルエンデ)をぜひ。
実は、昨年の小4のクラスで、「はてしない物語」のさわりだけ、読み聞かせをしてみたところ、後で塾の本棚から
借りた生徒がいて、面白さが伝わったかなと嬉しくなりました。エンデとくれば、デビュー作「ジム・ボタンの機関車
大旅行」が、後の作品よりはややスケールが小さくなりますが、読みやすいです。
読み聞かせということであれば、岡田淳を候補に入れてください。高学年向きの作品が多いので、自力ではまだ
大変かも知れません。「二分間の冒険」等、数冊読んだ小 4 の生徒の読書カードが、おもしろ度すべて 100%以
上になっていました。100%までしか記入できないのですが、右にはみ出して色を塗っていました。
最後に、ノンフィクションでは、まずは伝記ものになるのでしょうか。そして、科学ものでは、かつて「なぜだろうな
ぜかしら」というタイトルで有名だったシリーズが、「10 分でわかる!科学のぎもん」(実業之日本社)として出てい
ます。学年別になっているので読みやすいかも知れません。「社会のぎもん」シリーズもあるようです。
児童文学は一つの大きなジャンルを確立しています。必ず興味を引く好きな本に、シリーズに、作者に出会える
はずです。そのためにも、基本的な、学齢相応の国語力を地道につけていくことが大切です。
追記−アマゾンのランキングでは、28 日午後、“子供の SF ファンタジー”では、ベスト3がいずれも「精霊の守り
人」(上橋菜穂子)関係、“童話・子供の文学”では、1位「モモ」 (エンデ)、2位「精霊の守り人」、3位「100 万回生
きたねこ」 (佐野洋子)でした。
「精霊の守り人」は NHK でドラマ化されたのが大きいのでしょうか。「ナルニア国物語」「ゲド戦記」「はてしない物
語」「指輪物語」と並ぶファンタジーの傑作という人もおり、私の知り合い(大人)も嵌っています。原作は、高学年
レベルとなっています。