臨床研究 文献検索・文献の読み方・研究方法 岩崎正則 九州歯科大学地域健康開発歯学分野 【臨床研究】 医療における疾病の予防方法,診断方法及び治療方 法の改善,疾病原因及び病態の理解並びに患者の生 活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学 系研究であって,人を対象とするものをいう。 ① 介入を伴う研究であって,医薬品又は医療機器を用 いた予防,診断又は治療方法に関するもの ② 介入を伴う研究(①に該当するものを除く。) ③ 介入を伴わず,試料等を用いた研究であって,疫学 研究(明確に特定された人間集団の中で出現する健康 に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影 響を与える要因を明らかにする科学研究をいう。)を含 まないもの(以下「観察研究」という。)。 【(臨床)研究をはじめる】 研究計画を詳しく記載した文書 研究を始めるにあたっては,研究の内容を研究プロト コールにまとめる。 プロトコールの作成には,研究者の頭を整理し,これか ら行おうとする研究を, 論理的で,目的が明確で,かつ 効率のよいものにする上で役立つという意味で,科学 的に非常に重要な意義がある。 【優れた研究プロトコールの特徴①】 研究計画の科学的な高い質 • 研究テーマが優れたものであること • 研究デザインや方法が厳密でしかも実行可能なもの であること 【優れた研究テーマの条件】 実施可能性 Feasible 科学的興味深さ Interesting 新規性 Novel 倫理性 Ethical 必要性 Relevant FINER criteria for a Good research question 【優れた研究テーマの条件】 実施可能性 Feasible 対象者数(サンプルサイズ)が適切であること 自分の専門性に適していること かかる時間や費用が適切であること 自分の扱える範囲であること 【優れた研究テーマの条件】 科学的興味深さ Interesting 研究者が科学的興味からその答えを得たいと思うテー マであること ※研究プロトコールを書く前に,指導者や外部の専門 家にその研究の意義について相談するのが賢明 【優れた研究テーマの条件】 新規性 Novel 新しい知見を提供するものであること 過去の知見を確認,否定,もしくは拡張するものである こと ↑ 文献の十分な検索や,その領域の研究に詳しい専門 家に相談したり,既存の研究プロジェクトの内容を調 べたりする 【優れた研究テーマの条件】 倫理性 Ethical 倫理委員会の承認が得られるような研究であること 【優れた研究テーマの条件】 必要性 Relevant 科学の進歩に貢献すること 臨床医学や保健政策に貢献すること 将来の研究に発展すること 【優れた研究テーマの条件】 実施可能性 Feasible 科学的興味深さ Interesting 新規性 Novel 倫理性 Ethical 必要性 Relevant FINER criteria for a Good research question 【優れた研究プロトコールの特徴②】 記述の明断さ • 簡潔で説得力のあるものであること • 整然とした構成で注意深く書かれ,魅力的で,しかも 誤りがないものであること 【研究プロトコールのアウトライン】 研究テーマ 研究の意義(背景) 研究デザイン • 研究期間 • 研究のタイプ 【研究プロトコールのアウトライン】 対象者 • 選択基準 • サンプリング方法 観察因子(変数) • 予測因子 • 交絡因子 • アウトカム 【研究プロトコールのアウトライン】 統計学的事項 • 仮説 • サンプルサイズの推定 • 解析方法 【研究プロトコールの作成】 洗練された記載:論理だった構成に沿いつつ,明瞭か つ簡潔に記載 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 1. 研究テーマを決める 2. 研究デザインを決める 3. 研究実施上の問題に対処する 4. 研究の質管理 参考文献: Statistical and Methodological Aspects of Oral Health Research Lesaffre E, Feine J, Leroux B and DeClerck D, Editors, John Wiley & Sons, Ltd., 2009 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q1: 興味のある疑問をどのように仮説とするか? Q2: 結果は何か? Q3: これまで何が分かっているのか? Q4: どの程度まで研究が進んでいるのか? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q5: 既存のデータセットを利用できないか? Q6: 新たにデータを収集する必要がある場合,最もエビデン スレベルが高い適切な研究デザインは何か? Q7: 選択した研究デザインには,どのくらいの効果量(effect size)を見積もるべきか? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q8: アウトカムデータの変動度variability(バラツキの具合) はどの程度か? Q9: 仮説検定に必要な統計学的手法は?(特に臨床家に 対する)仮説検定の報告として最も適切な方法は? Q10: 必要サンプルサイズは? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q11: 研究チームのスタッフ数とそれぞれの役割は? Q12: 研究に必要な予算は? Q13: 研究助成金の出所は? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q14: 人・動物を扱う研究における倫理的問題への配慮は? (倫理委員会の審査) Q15: 研究の質を保つための要件をクリアできているか? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q16: 研究に必要な対象者数を確保できるか?長期間にわた る研究の場合,研究参加者の脱落を防ぐ対策は十分 か?現実的な脱落者数を予測できているか? Q17: 研究開始前に詳細な研究計画書は準備できている か? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q18: 研究開始前にオーサーシップについて話し合い,明確と なっているか? Q19: 研究中の質(臨床的手技の質,検査手技の質,データ 管理の質,倫理的な質)管理は万全か? 【(臨床)研究を開始するにあたって考慮 すべき20のポイント】 Q20: 研究終了・論文出版後,研究データを外部に公開する 計画はあるか? 【1. 研究テーマを決める】 Q1: 興味のある疑問をどのように仮説とするか? (研究)仮説:研究テーマを,サンプル,研究デザイン, 予測因子,アウトカムを用いて簡潔に表現したもの ↓ 研究テーマへの答えを「有意差検定」という統計学的な 手続きに置き換える基礎を作る。 【研究テーマの構造化:PICO(PECO)】 • Patient / Population of interest 何に,誰に(対象) • Intervention / Exposure 何をすると,何によって(曝露/介入) • Control / Comparison group 何と比べて(比較) • Outcome (endpoint) どうなるのか?(結果) https://kaken.nii.ac.jp/ja/index 【PICO(PECO)に基づく定式化】 【光エネルギーを応用した歯周炎およびインプラント周囲炎の革新的治療法・予防法の 開発】 歯周ポケット治療におけるEr:YAGレーザーを併用した新しい臨床術式の臨床成績に 関する研究 基本治療後の歯周炎患者を対象とし,残存歯周ポケットの2部位について,スプリットマ ウス・デザインでのランダム化臨床比較試験を開始し,計15人において施術を行った。 2部位のうち一方は,根面に対する従来の機械的ポケット処置(スケーリング・ルートプ レーニング:SRP)をキュレットのみで行い,もう一方はSRP後に追加でレーザー治療を 行った。 一重盲検とし,処置部位の検査を術前,術後1,2週,1,3,6ヶ月に行い,従来のSRP単独と 比較して,臨床的,細菌学的,免疫学的に総合的に検索を行った。 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • PICO- 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • P - 歯周炎患者の残存歯周ポケットに • I - 根面に対する従来の機械的ポケット処置(SRP) 後に追加でレーザー治療を行うと • C - SRP単独と比較して • O - 良好な治癒が認められる 【PICO(PECO)に基づく定式化】 【クロルヘキシジン含有・歯科接着剤の抗菌性,接着耐久性の研究】 医薬用殺菌薬のクロルヘキシジンは,口腔粘膜への非侵襲的修復治療に一 般に洗浄剤として用いられているが,さらにこのクロルヘキシジンは歯質接着 性の長期耐久性劣化を遅延する働きが近年報告されている。 劣化原因として象牙質基質から放出されるMMPs (Matrix Metalloproteinases)の存在が指摘されているが,クロルヘキシジンはMMP阻 害剤として,歯科修復への使用が注目されている。 これまでの研究から,象牙質削除後の歯面に30秒間塗布したものは,象牙質 コラーゲンの劣化が抑制されることが,in vivo, in vitroの研究において近年報 告されている。 我々は,長期効果的な薬剤の放出を考え,歯科接着材料そのものにクロルヘ キシジンを付加した。 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • PICO- 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • P - 歯科接着材料に I - クロルヘキシジンを付加すると C - 付加しない場合と比較して O - 抗菌性,接着耐久性が向上する 【PICO(PECO)に基づく定式化】 The purpose of this study was to investigate the effects of a mandibular repositioner on airway, sleep, and respiratory variables in patients with obstructive sleep apnea. Twenty-two patients selected for this study were confirmed with a diagnosis of obstructive sleep apnea based on initial nocturnal polysomnography. The patients were fitted with a mandibular repositioner designed to hold the mandible anteroinferiorly. Six months later, an outcome polysomnographic study was undertaken for each patient with the appliance in place. Lateral cephalometric radiographs in the upright position were also obtained before and after 6 months of treatment. The respiratory disturbance index decreased in 21 of the 22 patients with the appliance in place. The mean respiratory disturbance index of the 22 patients decreased significantly from 40.3 to 11.7 events per hour (P <.01). Some 59.1% of subjects were considered a treatment success with follow-up respiratory disturbance index < 10 events per hour. The mean minimum blood oxygen saturation level during sleep also improved significantly from 73.4% to 81.3% (P <. 01). The mandibular repositioner was constructed to position the mandible at 75% of the maximal mandibular advancement and with a 7 mm opening between the upper and lower incisors, and no aberrant effect on temporomandibular joint was noted. The retropalatal airway space increased and the cross-sectional area of the soft palate and the vertical distance of the hyoid bone to the mandibular plane decreased significantly. The tongue posture became significantly flatter. A significant linear correlation was found between the reduction in apnea index and specific craniofacial skeletal structures (length of anterior cranial base, mandibular plane angle, and upper to lower facial height ratios, P <.05). Subjects with a smaller reduction in apnea index tended to have shorter anterior cranial bases, steeper mandibular planes, and smaller upper to lower facial height ratios. We conclude that a mandibular repositioner may be an effective treatment alternative for obstructive sleep apnea and that a reduction in the frequency of apneic episodes is mainly attributed to the effects of the appliance on oropharyngeal structures. 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • PICO- 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • P - 閉塞型睡眠時無呼吸症と診断された患者22名に I - 口腔内装置を用いた治療を行うと C - 治療前と比較して O - 症状が改善する 【PICO(PECO)に基づく定式化】 CONTEXT: Dental (silver) amalgam is a widely used restorative material containing 50% elemental mercury that emits small amounts of mercury vapor. No randomized clinical trials have determined whether there are significant health risks associated with this low-level mercury exposure. OBJECTIVE: To assess the safety of dental amalgam restorations in children. DESIGN: A randomized clinical trial in which children requiring dental restorative treatment were randomized to either amalgam for posterior restorations or resin composite instead of amalgam. Enrollment commenced February 1997, with annual follow-up for 7 years concluding in July 2005. SETTING AND PARTICIPANTS: A total of 507 children in Lisbon, Portugal, aged 8 to 10 years with at least 1 carious lesion on a permanent tooth, no previous exposure to amalgam, urinary mercury level <10 microg/L, blood lead level <15 microg/dL, Comprehensive Test of Nonverbal Intelligence IQ > or =67, and with no interfering health conditions. INTERVENTION: Routine, standard-of-care dental treatment, with one group receiving amalgam restorations for posterior lesions (n = 253) and the other group receiving resin composite restorations instead of amalgam (n = 254). MAIN OUTCOME MEASURES: Neurobehavioral assessments of memory, attention/concentration, and motor/visuomotor domains, as well as nerve conduction velocities. 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • PICO- 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • P - 8-10歳の小児に I - 永久歯の臼歯う蝕治療にアマルガムを用いても C - コンポジットレジン修復と比較して O - 脳/神経機能(の発達)に影響を与えない 【PICO(PECO)に基づく定式化】 We investigated whether oral care lowers the frequency of pneumonia in the institutionalised elderly. 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • PICO- 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • • • • P - 施設入所高齢者に I - 口腔ケアを行うと C - 行わない場合と比較して O - 肺炎発症率が低下する 【文献の読み方】 • PICO(PECO)に基づく定式化を行うと要点を掴みや すい。 • 用いられている研究デザインを理解することで,その 文献から得られた知見のエビデンスレベル(後述)を 評価できる。 【1. 研究テーマを決める】 Q2: 結果は何か? PICO/PECOのO(主要評価項目): 例) ・試験治療に効果があったかどうか ・薬剤が有効であるかどうか ・疾患のリスクが上昇するかどうか ということを何の値を根拠にして判断するか? 【1. 研究テーマを決める】 Q3: これまで何が分かっているのか? Q4: どの程度まで研究が進んでいるのか? 基礎研究 - 動物実験 - 観察的研究 - 臨床試験 ↓ 研究の必要性を説明する 【研究の背景と意義】 そのテーマに関連した先行研究を, 自分の研究も含め て引用 ↓ それらの研究の問題点と,何が解明すべき問題点とし て残されているのかを指摘 ↓ 研究を行うことによって,どのような新しい知見が期待さ れ,それが臨床のガイドラインや公衆衛生政策にどの ように貢献しうるのかを明確に述べる 【文献検索の意義】 特定の研究テーマ(Research question)について • これまで何がわかっているのか? • どの程度まで研究が進んでいるのか? を知る。 • 何が解明すべき問題点として残されているのか を整理する。 【文献検索ツール】 医中誌Web: NPO法人 医学中央雑誌刊行会が作成・提供する国内 発行の医学・歯学・薬学・看護学及び関連分野の論文 情報データベース。 Pubmed: 世界の主要医学系雑誌に掲載された記事(論文など) を調べることができるデータベース。 米国National Library of Medicine (NLM) のNational Center for Biotechnology Information (NCBI) が作成 し,統合検索システム ”Entrez” の一部として,インター ネット上で無料公開している。 http://www.jamas.or.jp/user/img/pdf/guide5_ver3.pdf ② ① ①検索ボックス ここに検索したいキーワードを入力し, 「検索」ボタンをクリックする。複数の キーワードを入力すると,それらのキー ワードすべてが含まれる文献が検索さ れる。 ②検索対象の選択 「著者名」を選択,または「その他」を選 択してプルダウンリストから対象を選ぶ ことで,検索対象のフィールドを指定す ることができる。 検索ボックスに「口腔ケア」と入力し,検索 ③絞り込み条件 よく利用される絞り込み項目があ らかじめ表示されている。探してい る文献の条件に沿ったものがあっ たら,チェックを入れて検索する。 ③ ⑤ ④ ④履歴表示 検索を行うごとに「検索式」の履歴 が表示されていく。これらをもとに 履歴検索が行える。 ⑤履歴の再検索 「#1」のように表示されるステップ ナンバーをクリックすると,その検 索式が再実行される。 ⑥ ⑥AND,OR,NOT検索 複数の履歴にチェックを 入れ,履歴の右のプル ダウンリストから論理演 算子を選択して「履歴検 索」をクリックすると, AND,OR,NOT検索が 行える。NOT検索は, 「上の履歴」not「下の履 歴」となる。 ⑦更に絞り込む 「更に絞り込む」をクリッ クすると,絞り込み条件 の画面が表示される。 ここで絞り込みたい項 目にチェックを入れて 「絞り込み実行」をクリッ クすると絞り込み検索を 行える。 ⑦ ⑧チェックタグ/副標目 「チェックタグ」と「副標 目」は,クリックするとさ らに詳細な条件を表示 することができる。 ✔ ✔ ✔ ✔ ⑧ ✔ ⑨結果の表示 医中誌ID(文献番号) タイトル Author(著者名) Source(収載誌名,ISSN,巻号, ページ数,発行年月) が表示される。 医中誌IDをクリックすると,詳細が 表示される。 ⑨ ⑩ ⑩リンクアイコン 電子ジャーナルやOPAC(図書館の 所蔵の検索システム)などへのリン クアイコン。 フルテキストへのリンクにもなってい るので,クリックする。 クリックすることでフルテキストを 入手できる。 ① ② ①基本の検索 検索ボックスlこ,思いつく用語(医学 用語,疾患名,薬品名,雑誌名,著 者名など)をキーワードとして入力し, 「Search」をクリックする。 Automatic Term Mapping(自動 マッピング機能)が働き,入力した キーワードを自動的に,索引語であ るMeSH用語や雑誌名などに変換 して検索してくれる。 ②候補語表示機能(Auto Suggest) 検索ボックスに入力された語から, 類推し,これまで検索された頻度の 高い用語が例示される。目的の語を クリックすると,検索が実行される。 入力例 periodontitis oral care “oral care” 説明 入力した検索式にフレーズがある場合,自動的にフレー ズとして認識される。 “ ”(ダブルクォーテーション)で囲むと,必ずフレーズ検 索を行う。語が指定した順序で出現するレコードを検索 する。 metal AND allergy metal allergyとフレーズ認識されるのを回避する場合は, 論理演算子(AND,OR,NOT:大文字)を使って分ける指 示を明確にする。 perio* *(アスタリスク)をキーワードの後ろにつけると前方一致 検索ができる。 →periodontal,periodontitis...など語尾変化を意識しない 検索ができる。 periodontal disease therapy periodontal disease AND (diabetes OR pneumonia) キーワードが複数ある場合,スペースで区切って入力す ると,自動的にAND検索になる。 論理演算子と括弧()を用いることで,複雑な検索式を作 成できる。通常の処理は左から右に行われるが,()を用 いると優先順位が変更される。 periodontal diseases [mh] and English [la] 検索項目を限定するタグ[]を利用した検索もできる。 ④ ③ ③拡張機能を用いた 検索 Filter(絞り込み)機能 を用いた検索 条件を追加した検索 ができる。デフォルト 以外の項目はShow additional filtersで表 示させる。 ④Advanced search 画面へ移動 Search Builderを用いた検索 ⑦ ⑦この状態でSearchをクリックすると 検索式「(("oral care") AND "pneumonia") AND "mortality"」 が実行される。 ⑥ ⑥History(検索履歴) それまでに検索した履歴(検索語と検索結果数)を閲覧できる。 もう一度同じ検索をしたい場合は番号をクリックし,「Show search results」を 選択する。 組み合わせた検索をしたい場合は「Add」をクリックし,Builderに移行させる。 ⑩ ⑧ ⑧Search results (検索結果) 表示件数/ヒット数 ⑨詳細表示 タイトルをクリック すると詳細が表示 される。 ⑩結果の保存・ メール転送 ⑨ ⑪ ⑫ ⑪論文情報 ・Source(収載誌名, 発行年月,巻号, ページ数など) ・タイトル ・Author(著者名) が表示される。 Author information をクリックすると,著 者の所属等の詳細 が表示される。 ⑫フルテキストへの リンク フルテキストを入手 したい場合にクリック ⑬ ⑬フルテキストへのリンク フルテキストPDFファイル を表示する。 【1. 研究テーマを決める】 Q5: 既存のデータセットを利用できないか? 利点:研究に要する時間や経費の大きな節約になる 欠点:含まれるデータの質などについては,研究者が全 くコントロールできない 【2. 研究デザインを決める】 Q6: 新たにデータを収集する必要がある場合,最もエビデン スレベルが高い適切な研究デザインは何か? 【研究の質評価に用いられるエビデンスの階層】 1. ランダム化比較試験のメタアナリシス 2. 少なくとも一つのランダム化比較試験 3. コホート研究 4. ケースコントロール研究 5. 横断研究 6. 症例報告,ケースシリーズ 7. 専門家個人の意見(専門家委員会報告を含む) 研究者は患者を介入または曝露に割り当てたか? はい いいえ 実験的研究 観察研究 患者は治療群にランダムに割り 当てられたか? 研究には対照群があるか? はい ランダム化比較試験 いいえ 非ランダム化比較試験 はい 分析的研究 いいえ 記述的研究 曝露の後にアウトカムを評価 曝露の前にアウトカムを評価 曝露とアウトカムを同時に評価 コホート研究 ケースコントロール研究 横断研究 非ランダム化比較試験 非ランダム化比較試験 ランダム化比較試験 ランダム化比較試験 【2. 研究デザインを決める】 Q7: 選択した研究デザインには,どのくらいの効果量(effect size)を見積もるべきか? 効果量:自分がサンプルを用いた研究でとらえたいと思 う関連(効果)の強さ,あるいは臨床的に重要と考えら れる関連の強さ 【効果量の推定】 • 先行研究を調べて,効果量の推定に役立つ情報が 得られないか? • パイロット研究を行う必要があるか? • 臨床的に意味があると思われる最小の効果量は? (例:空腹時血糖の10mg/dlの低下) • 臨床的な有意と統計学的な有意の違い 【”統計学的な有意”とは?】 • 臨床的な重要性は,結果の生物学的な価値を反映 する。統計学的有意差は偶然が結果に及ぼす影響 を反映する。 • “有意(significant)”とは,“単なる偶然以外の理由に よって引き起こされた可能性が高い”という意味で, 研究者は,通常,偶然による確率が5%未満 (P<0.05)であるとき,その結果は“統計学的に有意 である(statistically significant)”と表現する。 【”統計学的な有意”とは?】 • 統計は確率の概念を取り込んでいる。研究によって 得られた差(関連)が偶然に生じる確率がどの程度で あるかを評価する。 • ある結果が偶然に起こる可能性: 100回に5回より少ない = p<0.05 【2. 研究デザインを決める】 Q8: アウトカムデータの変動度variability(バラツキの具合) はどの程度か? 【2. 研究デザインを決める】 Q9: 仮説検定に必要な統計学的手法は?(特に臨床家に 対する)仮説検定の報告として最も適切な方法は? • 検定方法は,主としてその研究に用いられる予測因 子とアウトカムの変数のタイプによって決定される。 Q1.単変量/ 多変量 Q2.差/ 関連 Q3.マッチング Q4.変数の種類 Q5.比較する群 Q6.サンプル の数 総数 適切な統計学的手法 2 スチューデントのt検定 ≥2 一元配置分散分析 2 マン・ホイットニーのU検定 ≥2 クラスカル・ウォリスのH検定 間隔変数(正規分布) マッチングなし/ 対応がない 間隔変数(非正規分布) 順序変数 2 <20 フィッシャーの正確検定 ≥2 ≥20 χ2(カイ二乗)検定 名義変数 差 2 対応のあるt検定 ≥2 繰り返し測定の分散分析 2 ウィルコクソンの符号付き順位検定 ≥2 フリードマン検定 間隔変数(正規分布) 単変量 マッチングあり/ 対応がある 関連 間隔変数(非正規分布) 順序変数 名義変数 マクネマー(McNemar)の検定 間隔変数 ピアソンの相関分析(r) 順序変数 スピアマンの順位相関(rs) 名義変数 マンテル・ヘンツェル検定 クラメール(Cramer)のV 多重線形回帰 関連 間隔/順序変数 分散分析(ANOVA) 従属変数は時間 に無関係 多変量 差 名義変数 従属変数は 時間依存性 2 ロジスティック回帰分析 2 判別分析 2 コックスの比例ハザードモデル 【PICO(PECO)に基づく定式化】 • P - 歯周炎患者の残存歯周ポケットに • I - 根面に対する従来の機械的ポケット処置(SRP) 後に追加でレーザー治療を行うと • C - SRP単独と比較して • O - 良好な治癒が認められる • 予測因子 = 治療法の違い(2群) • アウトカム = 残存歯周ポケット深さ 【2. 研究デザインを決める】 Q10: 必要サンプルサイズは? サンプルサイズ:ある効果量を,所定のαエラー(第1種 の過誤)とβエラー(第2種の過誤)の確率のもとで,統計 学的に有意に検出するのに必要な推定対象者数 【サンプルサイズの設計】 • 主要評価項目(アウトカム) →Q1&2 • 統計学的検定方法 →Q9 • 効果量(検出すべき差) →Q7 • ばらつきの大きさ →Q8 • 第1種の過誤(αエラー) →Q10 • 第2種の過誤(βエラー),検出力 →Q10 • (実際に集められる最大限の参加者数) 【サンプルサイズの基本的な推定方法】 1. 差なし仮説(帰無仮説)および,片側または両側差 あり仮説(対立仮説)を設定する。 ↓ 「差(あるいは関連)がない」という仮定を置くことに よって, 得られた差(関連)が偶然に生じる確率がど の程度であるかを統計学的に評価することが可能と なる。 【サンプルサイズの基本的な推定方法】 2. 仮説に含まれる予測因子とアウトカムのタイプによ り,適切な統計学的検定方法を選ぶ。 【サンプルサイズの基本的な推定方法】 3. 適切と思われる効果量を設定する(必要な場合は, アウトカムの変動度も)。 【サンプルサイズの基本的な推定方法】 4. α値,β値を設定する。 【第1種の過誤(αエラー)】 • αエラーを犯す確率(本当は差が「ない」のに「ある」と 判定してしまう誤り,すなわち偽陽性)がαで,統計学 的有意水準とも呼ばれる。 • 通常は5%以下になるよう設定:研究者が誤って差が あると判定する確率を最大5%までは許容 【第2種の過誤(βエラー)】 • βエラーを犯す確率(本当は差が「ある」のに「ない」と 判定してしまう誤り,すなわち偽陰性)がβで,1-βは 統計学的パワー(検出力)と呼ばれる。 ※「本当は差があるのに,差がない」と判断してしまう確率のβ を1 から引くことで,残りの「本当は差があり, 差がある」と判断する確率を表している。 • 通常は1-βを80-90%になるよう設定:80-90%の確率 でその効果量以上の関連や差の大きさを有意に検出 することができる。 【サンプルサイズの基本的な推定方法】 5. 表や公式(プログラム)を用いてサンプルサイズを決 定する。 【サンプルサイズの推定例】 歯周炎患者に対する臨床試験において,新しい治療法 (SRP+レーザー)と従来のもの(SRP単独)の治療効果 (影響)を比較し,有効性を検証する。 予備研究を行ったところ,SRP+レーザー前後の残存歯 周ポケット深さの変化の平均は2mm,SRP単独の平均 は1mm,それぞれのグループにおける残存歯周ポケッ ト深さの変化の平均の標準偏差は1.5mmであった。 【効果量の推定】 小規模なパイロット研究, あるいは,何らかのデータ セットを入手して,それを分析して,必要なデータを得る ことを考慮する。 ※実際,新しい測定手段や測定方法,あるいは新しいリクルート方法を用いる研究では,パイロット研究を実施 することが強く勧められる。これは一見手間に見えるが,確かな情報に基づいて研究計画を立てられるようにな るため,結局は時間の節約となる。 【サンプルサイズの推定例】 差なし仮説: アウトカム: 統計学的検定方法: 検出すべき差(効果量): アウトカムの標準偏差: α値(第1種の過誤): 統計学的パワー(1-β): 【サンプルサイズの推定例】 差なし仮説:2つの治療法の効果に差がない アウトカム:残存歯周ポケット深さの変化量 統計学的検定方法:対応のあるt検定 検出すべき差(効果量):1mm アウトカムの標準偏差:1.5mm α値(第1種の過誤):0.05 統計学的パワー(1-β):0.80 n(各群の必要サンプルサイズ)= = 1.52(1.960+0.842)2 12 17.7 残存歯周ポケット深さの変化量 2.5 2 P < 0.05 (結果が偶然に起こる可能性は100回中5回以下) 1.5 1 0.5 0 SRP+レーザー SRP 【効果量の推定】 先行研究を調べて,効果量の推定に役立つ情報が得ら れないか幅広く検索する。 Study Population and Study Design This was a single-center study. The Committee on Human Research at the University of California, San Francisco (UCSF) approved the study protocol. Sample-size calculation was based on Söderling’s study on the effect of maternal use of xylitol gum on MS transmission to their infants (9.7% of infants with MS at 2 yrs in the xylitol group vs. 48.5% in the fluoride-varnish group) (Söderling et al., 2000). The sample size to detect a difference at alpha (two sided = 0.05, power = 80%) with effect size of 38.8% was estimated as 22 children per group with a 10% attrition rate for the chi-square test. 【サンプルサイズの推定例】 統計学的検定方法: 検出すべき差(効果量): α値(第1種の過誤): 統計学的パワー(1-β): 【サンプルサイズの推定例】 統計学的検定方法:χ2(カイ二乗)検定 検出すべき差(効果量):38.8% α値(第1種の過誤):0.05 統計学的パワー(1-β):0.80 【検定力分析】 事前の分析 (Priori power analysis) 研究を実施する前に,こ れまでの先行研究から分 かっている(推測される) 効果量,有意水準(α),目 指している検定力(1-β) からサンプルサイズを決 定する。 サンプル サイズ 効果量 有意水準 (α) 検定力 (1-β) 【検定力分析】 事後の分析 (Post-hoc power analysis) 研究を実施した後に,サン プルサイズ,効果量,有意 水準(α)から,検定力(1 -β)を確認する。 サンプル サイズ 効果量 有意水準 (α) 検定力 (1-β) 【3. 研究実施上の問題に対処する】 Q11: 研究チームのスタッフ数とそれぞれの役割は? 【3. 研究実施上の問題に対処する】 Q12: 研究に必要な予算は? 【3. 研究実施上の問題に対処する】 Q13: 研究助成金の出所は? 【3. 研究実施上の問題に対処する】 Q14: 人・動物を扱う研究における倫理的問題への配慮は? (倫理委員会の審査) 【3. 研究実施上の問題に対処する】 Q15: 研究の質を保つための要件をクリアできているか? 【4. 研究の質管理】 Q16: 研究に必要な対象者数を確保できるか?長期間にわた る研究の場合,研究参加者の脱落を防ぐ対策は十分 か?現実的な脱落者数を予測できているか? 【サンプルサイズの計算に関わる その他の事項】 アウトカム:残存歯周ポケット深さの変化量 統計学的検定方法:対応のあるt検定 検出すべき差(効果量):1mm アウトカムの標準偏差:1.5mm α値(第一種の過誤):0.05 統計学的パワー(1-β):0.80 1.52(1.960+0.842)2 n(各群の必要サンプルサイズ)= 12 = 17.7 【サンプルサイズの計算に関わる その他の事項】 Study Population and Study Design This was a single-center study. The Committee on Human Research at the University of California, San Francisco (UCSF) approved the study protocol. Sample-size calculation was based on Söderling’s study on the effect of maternal use of xylitol gum on MS transmission to their infants (9.7% of infants with MS at 2 yrs in the xylitol group vs. 48.5% in the fluoride-varnish group) (Söderling et al., 2000). The sample size to detect a difference at alpha (two sided = 0.05, power = 80%) with effect size of 38.8% was estimated as 22 children per group with a 10% attrition rate for the chi-square test. L. Zhan (2012) Effects of Xylitol Wipes on Cariogenic Bacteria and Caries in Young Children L. Zhan (2012) Effects of Xylitol Wipes on Cariogenic Bacteria and Caries in Young Children 【4. 研究の質管理】 Q17: 研究開始前に詳細な研究計画書は準備できている か? 【4. 研究の質管理】 Q18: 研究開始前にオーサーシップについて話し合い,明確と なっているか? 【4. 研究の質管理】 Q19: 研究中の質(臨床的手技の質,検査手技の質,データ 管理の質,倫理的な質)管理は万全か? 【4. 研究の質管理】 Q20: 研究終了・論文出版後,研究データを外部に公開する 計画はあるか?
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