2014 年 10 月 23 日 FX/CFD モーニング・レポート 水谷文雄( FOREX.COM スポンサード・コメンテータ) 市況概況: 各国 CPI で景況感、中銀の金融政策動向を探る金融市場→為替の方向性(豪ドル安、ドル高、NZ 安の相場) 昨日から今朝にかけて、豪、米、NZ の消費者物価指数(CPI)が公表されました。時系列的に見て行きましょ う。 豪第 3 四半期消費者物価 0.5%前期比、2.3%前年比と、前期比の数字が予想より高い、しかし前年比では、第 2 四半期の 3.0%からは低下していると言えます。RBA(豪準備銀行)の 2~3%インフレ目標からは大きく下 回っています。当面 RBA は利上げをする気配はなくなるのではと思います。そのため、豪ドルは頭を重くす ることになります。引き続き中国経済後退懸念、資源価格の下落から豪経済に不安定要因をもたらす、そして RBA は利上げすることはないとの流れとなる。結果中期的豪ドル安のシナリオとなります。 米 9 月消費者物価指数 0.1%前月比、1.7%前年比、コアも予想通りの結果です。先週の小売売上高のような大 きな落ち込みがなかったことで、金融市場は安堵が出ました。本来なら米債利回り上昇の動きになっても良さ そうなもの、そして米株式市場も上昇となっても良さそうなものです。これに水を差したのが、カナダ議会で の発砲事件です。欧米メディアはこぞって生中継となりました。イスラム過激派の関与まで憶測するメディア です。このため市場は一気にリスク回避モードになってしまったようです。10 年米国債利回り 2.21%、NY ダ ウ平均-153.49 の 16,461.32 となりました。イスラム過激派の関与が焦点ではと思います。否定されれば、単 なる発砲事件として処理されることになります。そうでないと欧米での不安が高まると推測します。事件の推 移を見守りましょう。 今朝の NZ 第 3 四半期消費者物価 0.3%前期比、1.0%前年比と予想より悪い数字となりました。下記のグラフ (出所:NZ 統計局)は過去 10 年の消費者物価 の推移を表しています。RBNZ(NZ 準備銀行)の インフレ目標は 1~3%です。下限の数字と言え ます。インフレが収まっていれば、RBNZ は利上 げをする根拠を失うこととなります。また消費者 物価の発表前に、ウィーラーRBNZ 総裁の声明文 が発表され、その中で、「昨年 10 月導入の LVR (住宅担保貸出枠)制限で、著しく住宅市場と消 費者物価圧力を弱めた。これは金利引き締め(利 上げ)を遅らせる役割を果たした。」と語ってい ます。利上げは来年春頃まではないのではと思い ます。このため NZD は下落することになりまし た。筆者の予想通りです。 その他経済圏のニュースとしては、BOE(イングランド銀行)議事録が注目でした。政策金利(0.50%)7 対 2 で据え置き決定しました。ウィール委員、マッカファティ委員が 0.25%の利上げを主張し、反対しました。 資産購入プログラム(3,750 億ポンド)は 9 対 0 の決定でした。内容はユーロ圏の景気後退が英国に及ぼすの ではないかとの懸念が委員から出ているようです。英国経済の勢いを失う兆候があるとしています。利上げ時 期が来年春から夏頃に先送りされる観測が強まりました。このためポンド安のトレンドを強めることになりま した。債券市場では 10 年ギルト債 2.21%、2 年債 0.67%と長期債が利回り上昇、短期債は変わらずとスティ ープニング(立つ)傾向となっています。少しおかしな動きになっているようです。短期金利が低下する動き になるのではと思うのですが。 ユーロ圏のニュースとしては、クーン・ベルギー中銀総裁が、「ECB(欧州中央銀行)追加措置について語る のは時期尚早。」そしてノボトニー・オーストリア中銀総裁は、「社債購入はバランスシートを拡大させる可 能性。社債購入に関する ECB の決定はない。ECB の社債購入に関して未解決の問題が残る。」として否定的 な意見も出ているようです。また ECB の銀行ストレステストで少なくとも 11 行が不合格となったとのスペイ ン通信社の報道もあります。ユーロ安方向の材料ではと解釈します。 日本からは西村内閣府副大臣が、「緩やかな円安はマイナスではない。米国は金融緩和の出口に向かっている ので、そういう状況で為替は決まってゆくと思う。」と円安擁護の姿勢です。 今日の注目点:欧米経済指標、各種ヘッドラインに注意を アジア時間帯では、中国 PMI に注目、そして兜町の動きに注意。 欧州時間帯では、独 10 月 PMI 製造業・速報値(予想 49.5(前回 49.9))、サービス業(予想 55.0(前回 55.7))、ユーロ圏 10 月 PMI 製造業・速報値(予想 49.9(前回 50.3))、サービス業(予想 52.0(前回 52.4))、英 9 月小売売上高指数(予想 0.0%前月比、3.4%前年比(前回 0.2%、4.5%))に注意。ブロード ベント BOE 副総裁、リンデ・スペイン中銀総裁の講演が予定されています。 米国時間帯では、米新規失業保険申請件数(予想 28.1 万件(前回 26.4 万件))、米 8 月住宅価格指数(予想 0.3%前月比(前回 0.1%))、ユーロ圏 10 月消費者信頼感・速報値(予想-12.0(前回-11.4)) 明日早朝 NZ:9 月貿易収支(予想 6.25 億 NZD 赤字(前回-4.72 億 NZD 赤字))に注意。 為替見通し: ドル高相場が基本 ドルインデックスは 85.75 とドル続伸の相場になっています。これを基本としたい。 ドル/円:106.70~107.70 カナダ議会の発砲事件が重石になっているものの、米 10 年債は大きくは利回り下 落の動きになっていません。ドルインデックスは上昇基調です。ドル円は上昇トレンドではと思います。下記 は日足チャートです。フィボナッチ分析では、7 月 18 日と 10 月 1 日の間の 38.2%戻しが 106.64 であり、サ ポートして機能しています。緑のトレンドラインを引いてみました。5 日移動平均線(107.08)がマイナーな サポート。下段のストキャスティックスは高値圏にあり、下落する可能性もあるのではと思います。時間足で 見ると、20 本 EMA は緩やかな上方曲線です。昨日と同様に EMA 水準で仕込み、35~40 ポイント下に損切で 良いと思います。 2 ユーロ/ドル:1.2580~1.2700 引き続き ECB 社債購入の話、ストレステストの結果がユーロ安相場を形成し ています。ドル高相場がアシストする。素直にユーロ安相場と考えたい。ボリンジャーバンドの上限バンド (1.2838)からはかい離してきており、またミドルバンド(1.2686)も下回ってきている。下限バンド (1.2538)が当面の下値目安ではと思います。今日のユーロ圏、各国 PMI に注意したい。ストキャスティッ クスは下方基調継続です。短期的動きを時間足で見ると、20 本 EMA は下方曲線となっている。ドル円同様に EMA 水準で仕込み、35~40 ポイント上に損切設定です。 ユーロ/円:135.00~136.20 ドル高相場の中、ユーロ安、円安と進み、クロス円ではユーロ安相場になって いるようです。ユーロ安相場が円安相場よりも勝っていると言えます。5 日移動平均線(136.11)がレジスタ ンス、ボリンジャーバンドの下限バンド(134.88)が下値目安です。ストキャスティックスは下方基調と、ユ ーロ安条件が揃っています。 ポンド/ドル:1.5980~1.6100 BOE 議事録で英国経済悲観した見方、利上げが先延びになるとの観測から、 ポンド安相場展開となりました。ギャンチャートが有効です。7 月 15 日高値 1.7190 起点の 1x1(1.6073)を 下回ってきました。これから 1x1 で上値を抑えられる展開を予想したい。ボリンジャーバンドの下限バンド (1.5934)が下値目安と言えます。ストキャスティックスも下方基調とアシストします。 豪ドル/ドル:0.8700~0.8800 引き続きレンジ相場(0.8840~0.8660)から脱し切れていません。豪経済悲観 論から豪ドルの上値は重い。ギャンチャートの 9 月 5 日高値 0.9401 起点の 1x1(0.8787)をレジスタンスに 下値トライとなるのではと思います。時間足で見ると、20 本 EMA は緩やかな下方曲線となっている。MACD も下方基調となっています。 豪ドル/円:93.30~94.30 対ドルで円安方向になっていても、クロス円で豪ドル高にならない相場となってい ます。引き続きローソク足で上下にヒゲが長く伸びる形状となっています。ストキャスティックスが高値圏か ら下方転換しており、豪ドル安相場をアシストします。 NZD 相場:ウィーラーRBNZ 総裁の声明文、消費者物価の予想より低い数字に NZD 安の相場になっています。 下記は日足チャートです。ギャンチャートで見ると、7 月 11 日高値 0.8832 起点の 1x2(0.7908)をやっと下 回ってきました。1x3(0.7433)との間のゾーンを NZD 安方向に向うのではと思います。 ファンダメンタルズとチャートが一致しています。ボリンジャーバンドのミドルバンド(0.7832)も下回って います。そして当面の下値目安は下限バンド(0.7742)とします。ストキャスティックスは下方基調と NZD 安相場をアシストします。対円相場でも、ウィーラー総裁声明文と消費者物価に素直に NZD 安に反応してい る。ストキャスティックスも下方基調です。 3 CFD 見通し:NY ダウ平均は回復途上 下記は日足チャートです。緑丸で囲った部分を参照ください。下落局面になっても、NY ダウ平均は 90 日移動 平均線まで戻す耐性があるのではと思います。期待したい。戻ればリスク志向が強まり、ドル上昇の動きが鮮 明になるのではと思います。その場合は兜町上昇、円安継続となります。下段のストキャスティックスは 20%を下回る局面では、底値拾いで良いと言うのがダウ平均からは言えます。(緑丸参照。) 本レポートにおける情報および意見は、一般的な情報であり、当社の金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。 同情報及び意見は、事前の連絡なく変更されることがあります。本レポートは、特定の読者の投資目的や財政状態またはニーズを 考慮して作成されたものではありません。過去の価格動向や相場水準に関する記述は当社の分析をもとにした情報であり、将来の 価格動向や相場水準を表明または保証するものではありません。ここに掲載された情報は信頼できる情報源から入手したものです が、その正確性、完全性を保証するものではなく、当該情報または意見を信頼したことに起因して発生するいかなる直接的、間接 的または結果的損害について、当社はいかなる責任も負いません。 先物、オプション、外国為替、その他のレバレッジを利用した金融商品は重大な損失を生じるリスクを持っており、すべての投資 家に適しているとは限りません。証拠金を利用した取引は、預託した金額以上の損失を生じるリスクあります。レバレッジをかけ ればかけるほど、リスクが増加します。取引を開始する前に、ご自身の収益目標、投資経験、リスク許容度を注意深く考慮して下 さい。なお、当社の書面による許可なく、本レポートを配布、複製することはできません。 4
© Copyright 2024 Paperzz