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Kathy Lien,
Director of Currency Research
BY KATHY LIEN
今日の FX マーケット 05.04.12
(2012 年 5 月 7 日発行)
FX: 来週の波乱要因は?
予想を下回る非農業部門雇用者数 (NFP) の発表を受け、今日通貨と株式は急落した。米ドルは早朝の取引で全主要通貨に対して下落
したが、株式市場が取引を始めるとリスク回避の動きが鮮明化し、ユーロは上昇分のすべてを失った。コモディティ通貨の下落に伴い、
USD/JPY は 80 円の大台を割り込んだ。追加緩和の可能性は USD/JPY 下落の効果をもたらすが、米国の景気減速は他の国々にとって
も大きな打撃であり、正にこの理由で今日は高ベータ通貨が大きく売られた。NFP の伸び悩みが示唆するほどに米経済は弱くはない
と、投資家を説得し得る重要な経済指標の発表も当面は予定されず、一層の下落もなしとしない。来週は木曜日に貿易収支と新規失業
保険申請件数、金曜日に生産者価格とミシガン大消費者信頼感指数が発表されるのみであり、リスク選好の趨勢は中国発のデータが決
することなる。来週中国では貿易収支、インフレーション、鉱工業生産、小売売上高などが発表される。直近の PMI によれば、中国
ではソフトランディングが進行中であり、その限りにおいて中国経済の減速が世界経済に大きな脅威を与えることはない。しかし来週
発表のデータが予想を大きく下回れば、米中両国同時の景気減速が世界経済に及ぼす負の効果に対する懸念から、市場のボラティリテ
ィは弥が上にも上昇するだろう。
EUR: フランス大統領選の意味
今日ユーロは米ドルに対して大きく値を落としたが、下落の背景には様々に異なる理由がある。第一かつ最大の原因は、リスク回避の
動きであり、米国株式市場の開場と同時にユーロは NFP 発表後の上昇分をすべて失った。第二に、ECB は昨日利下げに対する市場の
思惑を一蹴したが、経済指標の悪化が続く状況下、投資家は ECB がいつまで楽観的態度を維持できるのか懐疑的になりつつある。4
月のサービス部門景況指数は製造業 PMI 同様下方修正を受けた。落ち込みの大半はフランスとイタリアであり、ドイツでは依然サー
ビス活動の拡大が見られたものの、地域全体の指標を押し上げるには不十分であった。ユーロ圏で製造業と非製造業 PMI の双方が 50
割れとなり、地域経済の縮小は明白である。ECB はいつまで追加刺激策への言及を回避し続けることができるのか、投資家の不信感
は募る。とはいえこれが現状である。EUR/USD の下落にも関わらず ECB は平然とした姿勢を崩さず、声高らかに景気減速の懸念を
表明する FED と好対照を成す。最後に、週末の仏大統領選を控えて投資家のユーロ売りが強まった。フランソワ・オランデ氏は依然
現職のニコラス・サルコジ氏をリードしているが、決選投票を僅か二日後に控え、その差は余りにも小さい。当社の考えでは、フラン
スに新大統領が誕生する可能性は高い。ショイブレ独財務相はオランデ氏と協調の用意があると述べ、新体制発足に向けた準備の開始
を伺わせた。ユーロと金融市場にとって最大の問題点は、オランデ候補が欧州条約の再交渉を望む点にある。氏は金融税とユーロ共同
債を支持している。欧州ソブリン債務危機への対応に当たっては、メルケル独首相とサルコジ仏大統領の親密な協力関係が大きな役割
を果たした。オランデ氏はサルコジ氏ほどドイツに協調的ではないだろうが、少なくとも既に歩み寄りの姿勢は伺われる。たとえばユ
ーロ共同債発行の目的を、ソブリン債務問題の処理から欧州投資銀行 (EIB) の増資へと転換した。EIB 資本ベースの拡大は投資主導の
景気回復をもたらすため、彼が成長の盟約を支持していることは明らかである。オランデ氏がフランスにとって長期的には賢明な選択
であるとしても、短期的には氏の政策を取り巻く不確実性は、EUR/USD の下落をもたらすものと思われる。5 月 6 日に選挙が行われ
るのはフランスだけではなく、ギリシャでは 2 年半ぶりに総選挙が実施される。選挙後に発足する新政府が財政緊縮を適切に推進す
るか否か、市場は注意深く見守ることになろう。
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