アメリカ、イリノイ州公立小中学校視察 『デュアルランゲージ』クラス 現在、千葉大大学院教育学部で小学校英語教育の研究を進めており、佐倉市立間野台小 学校の英語授業のカリキュラムを開発させていただいている。より良いものを作る為に、 小学校や幼稚園で英語のテストやアンケートを実施させていただいた。更なる、アイデ ィアを得たく、今回シカゴとシカゴの郊外の学校6校を視察してきた。 充実した施設とパソコン活用度 どの学校も特色があり、施設が充実していた。特にコンピューターの普及度はアメリカ の小学校の方が数段上と言わざるおえない。コンピューター教室のみでなく、各教室に も最低数台以上のコンピューターがあり、数校では、4年生以上には『i-Book』という アップル社のノートパソコンが各自一台づつあった。『i-Book』などは寄付でまかなわ れているそうである。 シカゴから 1 時間位の郊外にある Hoover 小学校では、2年生のクラスでも、キーボー ドに自分の作文を打ち込んでいた。その「Alphasmart」というキーボードをパソコン に接続し、プリンターで作文をプリントアウトできる。教師は教材ソフト 「Boardmaker」で、単語を入力すると、その単語に合ったイラストが出てくる。単語 や文を視覚的に印象づけて覚えさせている。 どのクラスでも、コンピューターをいろいろな形で活用していた。シカゴのハンソンパ ーク小学校の5年生が宇宙科学の発表の為、各自がパワーポイントでプレゼンテーショ ン資料を作成していた。Hoover 小学校の 2 年生のクラスの中の、自閉症の子はクラス の最後に一人コンピューターに向かい、学習する時間を与えられていた。Nichols 中学 校では、英語の時間にプレゼンテーションの練習していた生徒達を数人づづ呼び、コン ピューターを見ながら、個別の説明をしていた。 Advanced Placement Bilingual Class 『バイリンガルクラス』などのきめ細かなシステム 移民の子などの、英語を話せない子たちの受け入れ態勢が整っており、たいがいの学校 に「バイリンガルクラス」があった。アメリカでは、学力が低い子や、移民の子をその ままにしておいたりせず、その能力を引き上げる事が国益と考えられているようである。 能力の高い子もそのままにせず、「アドバンストプレイスメント」と呼ばれる、学年で 数人づつ選ばれた子どもたちに少数精鋭の高等教育を行っている。 Hoover 小学校のマリー先生の 2 年生普通クラスにはバイリンガルの生徒がフィリピン 人 2 人、ロシア人 1 人、プルガリア人 1 人、ポーランド人 1 人、スイス人 1 人で、こ の 6 人は writing や算数などの一定の時間はクラスから出て、バイリンガルクラスに 行く。このマリー先生のクラスは、他に中国人 1 人、インド人 2 人、マレーシア人の母 と日本人の父を持つ子 1 人がいるが、この子達は英語力に問題がないので、どの授業も そのまま、普通クラスで受ける。 「バイリンガルクラス」には2ヶ国語を話す先生とアシスタントの先生がいる。英語を 母国語としない子達が普通クラスから英語や算数、社会などの時間にやってくる。数年 すると普通クラスだけで済むまでに成長する。 『デュアルランゲージクラス』 シカゴから1時間以内の郊外にあるドーリー校には「バイリンガルクラス」の他に英語 と日本語による「デュアルランゲージ」クラスがある。クラスに現地の生徒と日本から の生徒が半々おり、6年生になるまでに、英語と日本語の両方を使えるようになること を目標としている。 現在、年長、1年、2年生の3学年があり、今年持ち上がりで3年生ができる。今日は 英語だけで、明日は日本語だけというように、授業が交互に行われる。授業中にちょう ど視察に訪れたこの 54 地区の評価連絡官に、デュアルランゲージで教育を受けた生徒 の将来を聞いてみた。「このプログラムを始める時にシュミレーションを行ったが、悪 くしても、生徒たちは標準以上の成長するとなっている。」とのことだった。 スペイン語と英語の『デュアルランゲージ』クラスはイリノイ州の他校やアイオワ州な どの学校にも存在するが、日本語と英語のクラスは珍しいといえる。 Hoover School のマリー先生のクラス Dooley School の『デュアルランゲージ』 には 10 人の 2 ヶ国語を話すの生徒がいる クラスを教える日本人のキム先生 教職更新制度 Winnetka のグループ内 5 校合同(年長から 8 年生)の教師の講習に 1 日参加させてい ただいた。春休みに入る前の日に、研修が行われた。この日の研修は 7 単位に数えられ、 5 年間に 120 単位以上を取る事により、教師の資格が更新できる。Tenure と呼ばれる 在職権も何年間か働いた後でないと、与えられないらしい。 Dooley 小学校や Hoover 小学校のある 54 地区では 55%の教師が修士以上を持ってい る。修士以上を持っていると給料も上がるなど、奨励されている。このように、教師も いつもレベルアップすることが求められている。 日本の食生活はすばらしい どの学校の先生方も熱心で、生徒の態度や能力もすばらしく、感動する事が多かったが、 一つ日本のすばらしさを再発見した点は食生活だった。一般的に給食はなく、福祉の意 味での給食があったとしても、日本の給食に比べると、お粗末であった。一般的なラン チは、スナック菓子のようなものや、良くてサンドイッチだった。日本ではもし、給食 がなかったら、母親は大変な思いをしても、お弁当を作ると思う。夕食にしても、冷凍 食品や缶詰を日本より家庭によっては、多用しているようであった。 働く母親が多い中、忙しすぎる日本の生活は考え物ではあるが、食生活もれっきとした 教育の一部と私は考えている。日本のお母さんには今まで通りがんばって欲しいと思う。 もちろん、お父さんのサポートは不可欠である。 あぜりあ らんぐえーじ すくーる 代表 千葉大学教育学研究科英語教育専攻修士課程 勝山ひとみ HP http://www.h2.dion.ne.jp/~azalea
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