秋まき小麦プロジェクト

秋まき小麦プロジェクト
~26 年産の結果分析、27 年産播種に向けて~
H26/7/1 小麦プロ現地検討会
JAびばい米麦課
JAみねのぶ営農販売課
美唄市
空知農業改良普及センター
0
H26年産秋播き小麦生育経過
【播種】
表1 播種期の比較
播種始は9月12日で、水稲収穫
直前の、9月15日前後にまとまっ
た降雨が予測されたこともあり、早
めに播種が開始された。ほ場条件が
良くなった9月21日が播種期で、
9月28日に播種終となった。
播種始
播種期
播種終
H26年
9/12
9/21
9/28
H25年
9/27
9/29
10/10
H24年
9/16
9/23
9/30
平
9/17
9/22
9/29
年
【生育状況】
播種後の気温は平年並みに推移し、10月上旬の天候に恵まれ初期生育は旺盛となった。
中旬にはみぞれを観測し、一時期低温となったが根雪前の生育は平年並に進んだ。
表2 越冬前生育年次毎の比較
H26年
H25年
H24年
H23年
H22年
播種日
9/19
9/23
9/26
9/23
9/20
葉数(葉)
6.6
7.3
4.5
5.6
6.0
草丈 (cm)
18.2
16.6
12.5
16.9
16.5
【根雪から融雪】
表3 根雪と積雪期間
11月も断続的な降雨が続き、湿
潤な状態のまま、11月10日から
12日にかけ大雪となり一時期4
7cmまで積雪は観測されたが、そ
の後気温が高めに推移し、一時期積
雪は無くなった。根雪始めは11月
28日で積雪では2月~3月の降
根雪始め
融雪期
積雪期間
H26年
11/28
4/8
140日
H25年
11/18
4/14
148日
H18年
11/9
4/17
160日
平
11/27
4/5
133日
年
雪量が多く、積雪量は平年を上回ったが、3月3半旬より日照時間が多く、融雪が進んだ。
融雪期は4月8日で、積雪期間は140日間となった(表3)。
【天候と生育経過】
4月13日に起生期を迎え、気温、日照時間も平年より高くなったが、5月5日まで降
雨がなく起生期の養分吸収は順調に行えなかった。このことから小麦の生育はやや緩慢と
なった。5月10日以降の降雨を期待し、2回目の分追肥の情報提供を行った。
幼穂形成期は5月5日で生育は平年並、その後5月4半旬より気温は急激に上昇し小麦
の生育は進んだ。止葉期は5月29日、出穂期は6月4日となり、開花期は6月8日で平
年より5日進んだ。開花期より断続的な降雨を10日間程度観測し、受粉が順調に行えず、
1穂粒数が平年より少なくなった。降雨の影響で、赤かび病の被害が懸念されたが、適期
1
防除により被害は見られなかった。乳熟期は6月24日と平年より2日早く、その後7月
に入っても高温に推移し、成熟期は7月12日となった。その結果、登熟期間は38日間
と短くなった。収穫始は7月18日、収穫期は7月20日、7月22日には収穫作業を終
えた(表4)。
表4 生育期節の比較
幼形期
止葉期
出穂期
開花極始
H26
5/5
5/29
6/4
6/6
H25
5/15
6/6
6/13
H24
5/10
5/31
H23
5/7
H22
開花期
乳熟期
成熟期
登熟期間
6/8
6/24
7/12
38日
6/14
6/17
6/27
7/19
36日
6/8
6/12
6/15
6/26
7/18
40日
6/3
6/11
6/14
6/17
6/30
7/18
37日
5/9
6/2
6/11
6/12
6/17
6/26
7/16
35日
H21
4/27
5/22
5/31
6/4
6/7
6/27
7/17
47日
H20
4/27
5/22
6/2
6/9
6/11
6/27
7/16
44日
H19
5/3
5/27
6/4
6/10
6/13
6/25
7/12
42日
平年
5/5
5/29
6/6
6/10
6/13
6/26
7/16
40日
【小麦品質と収量】
登熟期間は38日間で、平年よりも2日短くなった。1穂粒数が少なく、高蛋白の傾向
となり1等Aランクをクリア出来る小麦が少なくなったが、小麦の容積重は基準値以上で
充実し、内部品質では灰分、フォーリングナンバーは基準内に収まった。千粒重は35~
38g(調査区)で、個々の差はあるが、粒揃いが良好で 2.2mm下が少なく歩留まりが
良く製品率は90.2%だった。JAびばい製品反収で平成19年と並ぶ高収量を納めた
(図1)。
図1 収量の比較(JA びばい)
2
【茎数の推移】(表5)
25 年産の生育状況などから、きたほなみは有効穂数が想定より減少する傾向にあるので、
本年の起生期には、茎数が十分にあるほ場も窒素分施8kg/10a以上で営農情報を提
供した。このことは最終有効穂数が700本/㎡を目標に分追肥の計画を進めたためであ
る。しかし、7月1日の茎数では700本/㎡を下回る調査ほ場もあった。
表5 26 年産秋小麦生育調査ほ場茎数の推移(㎡/本)
※穂になった割合;7 月 1 日穂数/5 月 1 日茎数×100%
図2 茎数の推移(JA びばい、JA みねのぶ生育調査)
3
詳しく解析!!今年度の秋播き小麦の生育
JAびばい米麦課
今年は雪も早めに融けたし、お日様も
4
月
8
日
起
生
期
一杯出て暖かいな~~気持ちいいか
分
追
肥
大丈夫かな!!!
4
月
1
0
~
2
5
日
頃
ら根っこを沢山伸ばそうかなぁ・・・
今年は沢山栄養くれるかな???
あんまり肥料が少ないと早く枯れち
ゃうからなぁ・・・心配だなぁ!!!
根張りは平年より旺盛になった。
起生分追肥はN成分で8~12kg/10aの散布を講習会等で提案した。これは茎数
が一時期急激に多くなるが、無効分げつが多く止葉以降急激に茎数が減少することが判明
しているためである。泥炭性のほ場や間作ほ場、輪作の小麦1年目等の肥沃なほ場では養
分吸収が順調に進んだが、今年は積雪量が多く地表面が硬く締まったほ場が多く、この時
期の養分吸収は容易に進まなかった。更に雑草が多いほ場や、低pHの小麦畑、雪腐病防
除を行っていないほ場では生育が緩慢となった。
暖かくて根っこも沢山伸ばした
よ(^_^)
4
月
2
5
日
~
5
月
3
日
頃
畑の叔父さんも肥
料一杯播いてくれたしうれしい
なぁ~~~ でもぉ・・・雪融け
てから一回も雨が降ってないか
ら栄養を吸いにくいなぁ・・・早
く雨降らないかなぁ~~~~~
(>_<、
)
葉色が平年より薄かった。
融雪以降5月4日まで降雨が無く、起生期分追肥の養分吸収が順調に進まなかった。こ
れは茎数の増加数や葉色からも判断出来た。このことから5月4~7日にかけて多少の降
雨が期待出来たので、小麦営農速報「秋播き小麦の2回目の追肥・5月5~10日にN成
分で4~6kg/10a」を情報提供した。
4
ようやく雨が降ったよぉ~~~嬉し
5
月
4
日
~
5
月
2
0
日
いな・・穂の赤ちゃん(幼穂形成期)
も出来てきたし、これで元気になる
ぞ-沢山生長しよう!!だけど、最
近は随分暑いなぁ――おいらもドン
ドン生育進めちゃおうかなぁ???
いいのかなぁ~(;_;)!!
幼
穂
形
成
期
5月5日に幼穂形成期となり、その前後の多少の降雨により、緩慢だった小麦の生育は
頃
多少回復した。更に5月13~17日にかけてまとまった降雨があり、雨前には2回目分
追肥行えた。しかし、5月10~15日にかけて記録的な高温となり、小麦の生育が進み
だした。
16日に雨が18mmも降って良か
5
月
2
1
日
~
6
月
1
0
日
止
葉
~
出
穂
~
開
花
期
頃
ったなぁ――元気になってきた
ぞ・・それに温度も高くなってきた
からそろそろ止葉出しちゃおうかな
ぁ~~
6月に入ったらすごくあっついな
ぁ!!!30℃超えちゃったよ
(@_@;)もう穂も出しちゃおう??
5月20日以降高温傾向となり止葉期は5月29日で平年と変わらなかったが、6月1
半旬に急激な気温の上昇で出穂期は6月4日で平年より2日早まった。開花極始は6月6
日で、開花期は6月8日となり、平年より5日早まった。この時期に最後の追肥をするよ
うに提案した。N成分で4~6kg/10a程度を目安に、茎数の多いほ場や保肥力の少
ないほ場では多めに散布するように情報提供した。
5
ゆめちからの開花は6月4日、きたほな
6
月
1
1
日
~
3
0
日
乳
熟
期
みは6月6日で、営農情報で赤かび病の
適期防除を呼びかけた。しかし、開花中
の6月8日~18日まで梅雨入りした
かのような断続的な降雨があった。
開花期の降雨の影響で赤かび病の被害も懸念されたが、大きな被害にはならなかった。
乳熟期は6月24日で平年より2日早かったが開花期以降の降雨の影響などで生育はやや
頃
緩慢となった。
雨が続いてつらいなー(>_<)
7
月
1
日
~
1
8
日
成
熟
期
~
収
穫
花は咲いたけど、キチンと実になれなかったよぉ・・・
不稔が少ない穂
26 年産の穂 頂点付近の稔実が悪い
開花期より断続的な降雨が10日間以上続き、小麦は順調に受粉できなかった。このた
め平年より1穂粒数が少なくなった。昨年よりやや茎数が多く、干ばつによる枯れ上がり
もあり細麦が懸念されたため、止葉期~開花始の N 追肥は4~6kgの散布を提案したが、
開花期の降雨で1穂粒数が平年を下回り、高蛋白の小麦が多くなった。
7月に入り気温が高く、成熟期は7月12日で平年より4日早く、登熟期間は38日間
と平年より短くなった。生育は草丈が短く、子実も小さいと予想されたが、1穂粒数が少
なくなったこと等から子実は平年よりやや大きく、充実した小麦となった。この結果、容
積重は近年で最高となり、千粒重も38g以上となった。粗原収量では19年には劣るが
製品歩留まりが良好で、製品収量8.3俵となりきたほなみ作付後初めて好成績を収めた。
また、ゆめちからの起生期以降の茎数の減少はきたほなみと同様だった。起生期の分追
肥もきたほなみと同様の管理が必要と考えられた。
6
【JA びばい青年部プロジェクト】
春以降の分けつのほとんどが無効分けつってホント?
JAびばい 青年部
空知農業改良普及センター
秋まき小麦生産は、分けつの発生を前提に生産技術が組み立てられており、
分けつ特性を把握することが安定生産の第一歩になります。そこで、4 月より
カラー輪ゴムで分けつを3つに分類し(越冬前に葉数2葉以上の頑健茎、越
冬前は針のように細い針茎、越冬後に発生した茎)、その後どの様な穂になる
かを追跡調査しました。
秋まき小麦分けつ追跡調査の経過(H26 JAびばい青年部)
・・・越冬前頑健茎
・・・越冬前頑健茎
・・・越冬前針茎
・・・越冬前針茎
・・・越冬後出現茎
【品種ごとの有効茎歩合】
左頑健茎、右針茎
穂として残ったのは越冬前頑健茎が中心
越冬前頑健茎をどれだけ
立てられるかが重要!!
越冬後の出現茎はすべて消失!!
7
越冬前針茎もほとんど残らない!!
品種
きたほなみ
ゆめちから
つるきち
茎の出現時期
1穂子実重
(g/穂)
1穂粒数
(粒/穂)
千粒重
(g)
越冬前頑健茎
1.675
46.25
36.2
越冬前針茎
0.85
23.75
35.8
越冬前頑健茎
1.65
40
41.3
越冬前針茎
0.55
15
36.7
越冬前頑健茎
1.6
42
38.1
越冬前針茎
0.4
12
33.3

越冬前頑健茎の方が越冬前針茎よりも 1 穂子実重が多かった。

越冬前頑健の 1 穂粒数が多い。
左頑健茎、右針茎
越冬前頑健茎は高生産性の穂をつける!!
品種
きたほなみ
ゆめちから
つるきち
茎の出現時期
子実重
(g)
越冬前頑健茎
越冬前針茎
越冬前頑健茎
越冬前針茎
越冬前頑健茎
越冬前針茎
10a当たり収量
(kg/10a)
40.2
5.3
40.2
5.1
40.8
0.7
724
68
592
76
537
9
※子実重は畦 50cm 当たり

左頑健茎、右針茎
収量のほとんどが越冬前頑健茎由来。
いかに越冬前頑健茎を確保するかが重要!!

適期に播種する。→ 9 月 20 日までに播く。

播種量は適量播種を心がける。→ きたほなみで 6~7kg/10a、ゆめちからで 8kg/10a。
(千粒重により調整)

雪腐れ病の防除を徹底する。→ 確保した頑健茎を確実に穂にする!!
越冬前までの主茎の葉数 6.5 枚を目指す!!
8
【起生期窒素増肥試験】-起生期の窒素増肥は有効でした-
調査内容
・起生期に窒素2kg を増肥した
結果
・増肥により穂数は平均 2.8%増加し(表6)、増肥区は成熟期が遅い傾向が見られた
・増肥により 2.2mm 上収量は増収した(表6、図3)
・起生期窒素 12kg に増肥した区は増収が見られなかった
・起生期窒素を増肥したが増収しなかったほ場は低 pH だった(pH4.8)
表6 増肥試験区の茎数・穂数(一部抜粋)
区分
D
E
F
上段慣行
下段増肥
起生期N10
起生期N12
起生期N6
起生期N8
起生期N8
起生期N10
越冬前
茎数、穂数
(本/㎡)
葉数
茎数
(枚)
(本/㎡) 起生期 幼形期 成熟期
5.7
1,467
1,581
1,628
590
1,722
1,394
657
5.7
858
1,140
1,447
415
1,376
1,755
590
6.1
1,427
2,111
2,352
771
1,658
1,725
544
慣行
増肥
穂になった割合
(成熟期穂数/幼形期茎数)
増肥-慣行
36.2
47.1
28.7
33.6
32.8
39.4
39.4
42.3
10.9
4.9
6.7
2.8
2.2mm上収量
(kg/10a)
増肥-慣行
653
564
-89
640
749
109
642
792
150
604
727
123
図3 増肥による 2.2mm 上収量の増加
【輪作効果の確認】-
やっぱり輪作ほ場は収量性が高い
調査内容
・JA びばいで大豆間作ほ場、JA みねのぶで田畑輪換ほ場について調査した
結果
・2.2mm 上収量は 600kg/10a を上回った(表7)
・大豆間作ほ場は穂数 700~800 本で、越冬前の葉数は 6.7~7.1 葉だった
・田畑輪換 1、2 年目ほ場は穂数が少ない傾向が見られた
9
-
表7 輪作ほ場の茎数・穂数
区分
G
H
I 田畑
2年目
J 田畑
大豆間作
大豆間作
慣行起生期N6
増肥起生期N8
1年目
3年目
越冬前
茎数、穂数
(本/㎡)
葉数
茎数
(枚)
(本/㎡) 起生期 幼形期 成熟期
6.7
1,284
2,309
2,164
826
7.1
1,710
1,670
2,058
723
5.9
1,311
1,824
1,704
584
1,736
1,400
448
4.6
864
616
974
431
6.1
946
1,601
1,809
711
成熟期/
幼形期
(%)
38.2
35.1
34.3
32.0
44.2
39.3
2.2mm
タンパク
上収量
(kg/10a)
(%)
722
13.9
660
15.1
797
9.2
596
8.8
842
11.8
684
11.3
千粒重
(g)
38.4
36.6
38.0
39.7
41.2
39.6
【26 年産調査のまとめ】-越冬前葉数の確保、目標穂数700本-
・起生期窒素の増肥、輪作は増収に有効だった
・増肥試験において穂数の多いほ場で収量の低い事例があった(図4)
・大豆間作ほ場で穂数 700~800 本の越冬前の葉数は 6.7~7.1 葉だった(表7)
・増肥および輪作調査から越冬前葉数 6.5 葉で穂数 700 本の確保が可能と考えられる(図5)
・平年の積算気温から越冬前葉数 6.5 葉に生長できる播種日は 9 月 14 日と考えられる(図6)
図4 穂数と 2.2mm 上収量(26 年産)
図6 播種日と越冬前葉数
※9/3 は大豆間作麦を想定
10
図5 越冬前葉数と穂数(26 年産)
【27 年産播種前講習会資料】
越冬前までの生育(管理)で勝敗が分かれる!!
<
○
○
○
平成26年産の秋まき小麦生産 >
起生期以降は、5月5日まで降雨がなく干ばつ。
おおむね「適期適量の分追肥」が行われた。
穂数は平年より多くなったが、開花期の降雨の影響で
1穂粒数が少なくなり、細麦を避けられた。
という状況の中、
「きたほなみ」へ品種が切り替わってから
多くの生産者で多収となりました。
平成27年産の小麦生産も、今年同様に「当たり前のことを
当たり前のようにやる」という決意で、さらに「1俵増収」を
目指して頑張っていきましょう!!
主茎の葉数
年次ごとの平均反収の推移
越冬前までの生育目標
6.0~6.5 枚以内
(6.5 枚以上で倒伏の危険性が高まる)
1㎡当り茎数
1,100 本程度
(1,600 本以上で倒伏の危険性が高まる)
<< 生育目標クリアに向けた3つの提案 >>
提案その①:9月15~20日が「播種適期」!!
○ 越冬前頑健茎を3~5本確保することが高収量の絶対条件!!
→ そのためには葉数を確保したい!!
→ 目標葉数を確保するためには「播種」を早める!!
→ 必要積算気温は520~640℃
目標葉数
6.5葉 6.0葉 5.5葉 5.0葉
必要積算気温
640℃ 570℃ 520℃ 460℃
美唄市アメダス値から
9/14
9/18
9/21
9/27
算出した「播種期」
※ 播種を早めて葉数を確保できると・・・色んな病気にかかりやすくなります。
→ 「雪腐病」の防除は、
「絶対に」+「確実に」+「人や天気のせいにせず」実施しましょう。
→ 越冬も麦にとってはストレス・・・。
→ 連作ほ場は、越冬後の「眼紋病」防除も絶対!!
提案その② → 播種量は8kg 以下にしましょう!!
・
・
播種量が多くなると収量が減少!!
播種時期と品種ごとの播種量(※千粒重 要確認)
9/14~17
9/18~20
9/21~25
きたほなみ
5~6kg
6~7kg
7~8kg
ゆめちから
7~8kg
8~9kg
9~10kg
・ ㎡あたり出芽数を180本確保する!!
・ 深まきは「二段根」で収量が激減!!→深さは 2~3cm に!!
11
提案その③ → 雪腐病の防除は絶対しましょう!!
・ 雪腐病の防除を実施すると、10aあたり約80kg増収!!
・ 「水がない」
「やる暇ない」とかいう声を聞きますが...
→ 少しでも収量を穫りたいのであれば絶対欠かせません。
・ 使用できる薬剤
ランマンフロアブル、フロンサイド水和剤、モンカットベフランフロアブル
※ きたほなみは、越冬前の丈夫な茎(頑健茎)に良穂をつけます。そして、越冬後に出現した茎には
穂をつけないか、つけたとしても小穂や遅れ穂など、良穂にはならないという性質があります。
そのため、越冬前に丈夫な茎(茎あたり葉数が2葉以上の茎)にすることが多収につながります。
<< 大豆間作栽培 編 >>
○ 播種期と播種量のめやす
・ 播種期:大豆の葉が黄化し始めた頃(落葉する1週間前) → 大豆の作況は平年並
・ 播種量:下表を参考にし、時期やほ場条件により調整しましょう。
播種日
播種量(kg/10a)
9/1~5
7~8
(まだ青いか・・・!?)
9/6~10
9~10
← 今年の激アツゾーン
9/11~
11~12
(遅くなれば稲刈りが・・・)
・ 降雨があると出芽率が向上!! → 降雨前播種がカギ!!
・ 「ゆめちから」は、播種粒数確保のため1kg ほど増やしましょう!!
○ 施肥量のめやす
・ 基肥:融雪後に3要素入りを、窒素成分で10aあたり2~4kg
・ 追肥:通常栽培に準じる
葉の黄化が始まった
このタイミングが適期!!
○ その他のポイント
・ 雪腐病防除は絶対!!
・ 極端な排水不良地での栽培は避ける!!
雪腐病防除は絶対やる!!
12
間作小麦を計画的に導入する
近年の傾向・・・大豆間作小麦の成績が比較的安定している!!!
長所
1. 根張り・・・生育日数が稼げるので根張りが良くなる。
2. 融雪後の生存率・・・主茎が太く越冬後に株全体が枯死することが少ない。
3. 初期生育・・・地表面の根が多いので起生期追肥時の肥料吸収が速やかに行われる。
短所
1. 播種・・・大豆の生育状況(黄化~落葉)から、播種のタイミングがはかりにくい。
2. 茎数・・・播種量が多いと茎数が多くなり過繁茂となりやすい。
3. 罹病・・・生育期間が長いため、眼紋病や縞萎縮病に感染しやすい。
4. 肥培管理・・・茎数が多いと分追肥のタイミングがはかりにくい。
○
大豆間作小麦は長所・短所ともにある。経費は、比較的短時間で播種作業も行え、肥
料代や作業機械に係わる費用も低く抑えられる。栽培技術は、近年では生産者が大豆の
生育を把握し間作の播種適期を逃さないようになり、播種量も調整して過繁茂を防止で
きている。越冬前の生育期間が長いため病気に罹病し易い等の欠点はあるが、融雪以降
の初期生育が順調に経過し過去2年間は、比較的良好な収量成績となっている。
遅まき播種で失敗するパターン
1.
2.
3.
4.
天候不順や水稲収穫等から秋小麦を適期に播種できず大豆に変更する。
大豆の作付面積が多すぎて管理が大変で、一部を小麦に変更せざるをえない。
大豆畝間に雑草が多く間作小麦の播種ができない。
やむを得ず大豆収穫後の10月以降に小麦を播種する。
5. 越冬前の生育が不十分で品質も悪く、収量が減収する。
大豆収穫後の遅播き秋小麦より、間作小麦の方が明らかに収量、
品質は安定しています。大豆後の小麦を検討している場合は、大豆
肥培管理時に雑草を十分に抑制し、間作小麦が安心して導入できる
ようにする事が重要です!!
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これからも安定して小麦をとるために・・・
26年産は平均反収が8俵を超えた!
27年産は平均反収が9俵になるように!!
28年産は平均反収が10俵になるように!!!
24~26年までの3カ年の調査結果から
1. 間作を除いて、基肥が投入されていない小麦は播種後の生育が緩慢になる。
2. 間作や播種が早い小麦は病気に感染しやすいので、眼紋病等の防除が多くなる。
3. 低pHのほ場では肥料が2倍以上必要になる。
4. スズメノカタビラが多いと肥料は2倍以上必要になる。
5. 雪腐病防除を実施していないと春からの肥料の吸収が鈍い。外見よりも小麦はかなり
ダメージを受けている。
6. 追肥後2週間経過しても小麦の生育に変化がないときは、養分吸収が行えていない。
7. 最終の穂数は越冬前茎数より少なくなる。
8. 越冬前の生育が旺盛で葉数が6葉を超えていることが望ましい。
9. 根の伸長が進んでいると起生期の養分吸収が速やか。
10. 起生期の茎数が多くても分追肥は十分に与える。
11. 起生期の分追肥が少ないと、止葉期頃から茎数が急激に減少する。
12. 26 年産の穂数で、最高分げつきの茎数の30%以下となったほ場が見られた。
13. 起生期の追肥が好天や降雨の影響で予測以上に生育が旺盛になった場合、2回目の分
追肥を減肥、または、タイミング遅らせたりしてコントロールする。
14. 赤さび病防除はいつでも行えるようにしておく。
15. 最終有効穂数は700本/㎡以上でないと10俵越えは難しい。
ちゃんとキチンと播く!最終的に小麦
を作ることでお金が儲かるように考えて
作業する!!美唄でも小麦作りを真剣に行
っていることを認めてもらう!!!
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【参考
1
26 年産品種比較試験】
目的
秋まき小麦の優良系統品種の現地適応性を検討する。
2
供試品種系統
区分
きたほなみ
北見89号
ゆめちから
北見90号
北海264号
耐雪
性
やや強
やや強
中
中
やや強
耐倒伏
性
強
強
強
強
強
うどんこ
病
やや強
やや強
やや強
やや強
やや強
赤さび
病
やや強
中
強
強
強
赤かび
病
中
中
中
中
中
縞萎縮
病
やや弱
中
強
やや強
強
穂発芽
性
やや難
やや難
中
やや難
中
※用途 日本めん;きたほなみ・北見 89 号、中華めん及びパン;ゆめちから・北見 90 号・北海 264 号
3
結果
表1 生育調査結果及び収量調査結果
区分
きたほなみ
北見89号
ゆめちから
北見90号
北海264号
区分
きたほなみ
北見89号
ゆめちから
北見90号
北海264号
図1
4/16
13.7
14.2
13.3
11.2
14.7
草丈(cm)
5/12
26.6
23.9
28.9
26.2
28.1
6/10
69.5
74.3
67.5
70.3
74.9
茎数(本/㎡)
4/16
5/12
6/10
2,040
1,415
660
2,430
1,625
670
2,520
1,645
765
1,760
1,075
670
1,840
1,160
630
桿長
穂長
穂数
粗原収量
(cm)
67.6
70.5
64.4
64.2
66.8
(cm)
9.7
10.2
9.9
10.0
10.0
(本/㎡)
540
530
590
570
540
(kg/10a)
716
636
664
611
723
収量と穂数
2.2mm
上収量
(kg/10a)
698
628
658
610
716
歩留り
(%)
97.5
98.7
99.1
99.8
99.0
タンパク
(%)
13.9
15.5
18.0
17.5
16.2
千粒重
(g)
40.2
39.6
41.3
42.0
46.6
図2 収量と千粒重
●標準品種‘きたほなみ’、‘ゆめちから’の収量を大きく上回る系統はなかった。
※北見 89 号、北見 90 号は低収のため試験中止。北海 264 号は 27 年産も試験継続。
当面‘きたほなみ’、‘ゆめちから’をしっかり作る!!
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