東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森 2013- ボストン響オーボエ奏者 若尾圭介の世界 ~モーツァルトとジョン・ウィリアムズ 日時:2013 年 4 月 2 日(火)19:00 開演 会場:上野学園 石橋メモリアルホール ●モーツァルトの作品 「恋とはどんなものかしら」(歌劇《フィガロの結婚》より) 1786 年に書かれた歌劇《フィガロの結婚》は、伯爵の従僕フィガロを軸に、複数の男 女の恋が絡み合う様をコミカルに描いたオペラ・ブッファ。この曲は、その第 2 幕第 3 場 において小姓ケルビーノが慕っている伯爵夫人に向けて純真な恋心をアピールするアリア である。恋に対する憧れと、瑞々しい気持ちに溢れ、若いケルビーノの天真爛漫さが香る アリアとなっている。 「恋を知る男たちは」(歌劇《魔笛》より) 1791 年に書かれた歌劇《魔笛》は、ドイツ語によるジングシュピールの形式で書かれた モーツァルト最晩年のオペラ。王子による姫の救出劇を軸に、善悪の世界が逆転するよう な仕掛けがある。この曲は、第 1 幕第 14 場で姫・パミーナと鳥刺し・パパゲーノによって 歌われる二重唱で、ベートーヴェンがこの曲の主題を用いて《7 つの変奏曲》を書いたこと でも知られている。 セレナード 第 12 番 ハ短調(ナハトムジーク)K.388(五重奏版) 1782 年 7 月末に書かれたこの作品は、モーツァルトのセレナードのなかでも唯一、短調 となっている異色のセレナードである。後に弦楽五重奏曲ハ短調 K.406(516b)として編 曲されている。第 1 楽章は、オペラの幕開けのように劇的な主題から始まり、第 2 楽章は ゆったりと優雅に歌われ、第 3 楽章ではカノンの技法が駆使される。そして終楽章は主題 と 7 つの変奏を経て、明るいフィナーレで幕を閉じる。 ●ジョン・ウィリアムズの作品 テーマ(映画《シンドラーのリスト》より) 1993 年度アカデミー賞の受賞作品『シンドラーのリスト』は、念願だったオスカーをス ティーヴン・スピルバーグ監督にもたらした作品である。作品、監督、撮影、作曲等 7 部 門に渡っての受賞であり、作曲者ジョン・ウィリアムズは翌 94 年度のグラミー賞でも作曲 賞を獲得した。 ナチス占領下のポーランドで 1000 人以上のユダヤ人救出に奔走したドイツ 人実業家オスカー・シンドラーの実話を描いた映画で、そのテーマ曲は、切ないメロディ が全編に渡って漂い、胸を打つ作品である。 オーボエ協奏曲 若尾圭介と作曲者ジョン・ウィリアムズとは、ボストン・ポップス・オーケストラ等を 通して親交を深めた。この作品は、ジョン・ウィリアムズが若尾圭介のために作曲した初 のオーボエ協奏曲で、2011 年 5 月 25 日にボストン・シンフォニーホールにおいて、若尾 圭介のオーボエ、ジョン・ウィリアムズの指揮、ボストン・ポップス・オーケストラの演 奏で世界初演されている。 全体は 3 楽章構成で、演奏難易度も高い。 「プレリュード」では、軽やかなオーボエの旋 律が美しいハーモニーを紡ぎ出し、「パストラーレ」(牧歌)は、不思議な足取りで小道を 行くような、思索的かつ内省的な音楽である。最終楽章の「コメディア」は、音楽的ユー モアに満ちた楽想となっている。 © Spring Festival in Tokyo Excective Committee.
© Copyright 2024 Paperzz