CAEユーザが欲しい計算環境 計算機も商品でなければならない 売れない計算機は,長続きしない 計算機は道具であり,目的では無い 2013/02/13 福井 義成 1 エンド・ユーザがやりたいこと • 事故解析からフロントローディングへ • 事故解析 – 事故解析では,問題が限定されており,その原因が理解できれば良い • 自明なことの説明がつけば良い – 解析モデルは,限定的でも良かった – 高性能化やコストダウンには繋がらない • フロントローディングでの解析 – 設計の戻りが無くなれば,大幅なコストダウン,期間短縮が可能 – 事故解析の様に問題が限定されていない – 解析モデルは,全体をカバーしなければならない • 概念設計時と詳細設計時では,モデルの解像度は,異なる – 詳細設計時の全体モデルは,大規模計算となる • (例)原子炉丸ごとシミュレーション 2 シミュレーションの要望は,広い分野で増大 • • • • • 蒸気タービンの連成解析 車輪とレールの接触解析 CCSの解析 非線形構造(大規模変形) 電磁界解析 – – – – 現在,1,000万要素 → 現象が把握できそう 1億要素データを準備中 最終的に30億要素を計画 電磁解析用のメッシュ生成で難航 • 大変形解析 – PCで,解析モデルの検討中 • 塑性加工解析 – モデルを検討中 • ・・・・ 3 ユーザの要望 • • • • 計算機が速いことではなく,結果が早く得られること 普通に書いたプログラムがそのまま動くこと 同じソフトが,数年間は使えること(継続性,ソフトの資産性) 高速化が容易なこと(高速化が不要なこと) – 1コアでの高速化,および並列化 • • • • • • アプリケーションの価格が適正であること メッシュ生成が容易なこと(ソフト&人的要因) 可視化が容易(可視化装置へのデータ転送時間がかかる) バグが発見し易いこと システムとしての安定性,容量,サポート,運用の容易性 ファイル・システムの速度,安定性 4 ユーザの要望(詳細1) • 計算機が速いことではなく,結果が早く得られること – ピーク性能が高くても,実効性能が悪くては,ダメ – 計算精度が不足で,収束に時間がかかることがある(精度不足でランダム探索等) • • • (例)CCDの半導体デバイス・シミュレーション 倍精度演算が50倍遅くては,使いものにならない → 専用回路無しでも実現可(CDC7600,北村先生) 普通に書いたプログラムがそのまま動くこと – コンパイラー,ミドルウェア,OSの互換性 Intel,PGI,gcc等 • 今は,移植に半年以上かかることも • 同じソフトが,数年間は使えること(継続性,ソフトの資産性) – 計算結果の検証に移植の倍以上の時間が必要なことも – ベクトル計算機は,10年変わらなかった – マイクロ・プロセッサのアーキテクチャは,良く変わる • データ・キャッシュ,命令キャッシュ対応の変更 – GPGPUのアーキテクチャは,更に良く変わる 5 計算機 ・スカラー計算機 ・SMP ・ cc-NUMA 高速化が容易なこと(高速化が不要なこと) ・PCクラスター ユーザの要望(詳細2) • – – – – – • 並列化の手段 ・自動並列化 ・OpenMP ・マイクロ・タスキング ・マクロ・タスキング ・MPI(PVM) 性能測定ツールの充実 何もしないで30%の性能 ・Co-array Fortran 少し高速化して60%の性能 高速化,並列化がバグの原因やソフトの保守性の悪化にならないこと ・UPC ・Chapel 高速化,並列化を楽しんではいけない • MPI並列化は,コスト大(現状では,使わざるを得ないこともあるが) ・X10 アプリケーションの価格が適正 並列化のコストと効果を検証 – 価格は,安いだけではダメで,維持できなければいけない – 有償ソフトは,並列化でハードよりも高価になる場合がある • • 定額性? CPU数比例? 従量量制? 成果制? 計算機,OS等の多さ → コスト増 (デファクト・スタンダードではない環境では,さらにコスト増) – 無償のソフトは,間接費用が以外と大きくなる(カスタマイズ,保守等) – 自作ソフトは,最先端の事が出来るが,コスト大 • メッシュ生成が容易なこと(ソフト&人的要因) – 良いメッシュが出来れば,解析が成功する (名人が必要?) – 答えが分かれば,良いメッシュがきれる 6 ユーザの要望(詳細3) • 可視化が容易なこと(可視化装置へのデータ転送時間がかかる) – 計算と同時に可視化 • バグが発見し易いこと – 検証システムの充実 • • システムの安定性 システム容量 – 急なシミュレーション要求が可能 • システムのサポートの充実 – システム側面,人的側面 • ファイル・システムの速度,安定性 – 実際の運用時点での影響大 蛇足:現在の計算機の問題点 プロセッサ・メモリー間のデータ転送速度 メモリー・ウォール問題 データ転送能力の有効利用にはベクトルが有利 命令のデコード削減がポイント インテルもベクトル命令を強化 ノード間通信 問題とネットワーク・トポロジーの適合性が重要 (ユーザと元半導体屋としての視点から) 7 CAEユーザが欲しい計算機の使用環境 • インターフェースは使い慣れたもの – Windows,iPad等 – インターフェースの開発コストの削減,計算以外のコスト不要 • 計算の実行は,CAE向き計算機 – 高効率,安価,使い易い • アプリケーションが直ぐ使えること – プリインストール,メモリー・スティック化 Windows NetWork ステーションソフト CAE Computer Cyber-176 CRAY X-MP Wireless LAN iPad NetWork Mainframe IBM NetWork 8 小規模環境 開発環境の容易さ 手元でも,一応のチェックが可能 ソフト開発から,大規模シミュレーションまで 統一された環境で利用可能 研究室 個人環境 計算能力の増強も容易 中規模環境 同じプログラムで動作 部門サーバー 大規模環境 全社サーバー,それ以上 9 SC2012(ソルトレーク)で ポスターを展示 10 マーケット (事業として成立するCAE向き計算環境) • CAE分野 – 産業分野でのシミュレーションの要望が大きくなっている • • • • 流体解析 非線形構造解析 電磁界解析 これらの連成解析 – 可視化機能を強化し,計算と同時に可視化 • 計算結果の検証,プレゼンテーションを容易に – 使い易ければユーザは,広がる • IBM7090やCRAY-1は,最初,世界に数台あれば良いと言われていた • 医療画像処理 – SIMDによる大量データ処理+可視化 – 固定アプリ • セキュリティ分野 11 ご清聴ありがとうございます 12
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