事業計画書(PDFファイル) - 全国ハイヤー・タクシー連合会

平成28年度事業計画書
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ハイヤー・タクシー業界は、長期的な輸送需要の落ち込みが続く中、平成 14
年の需給調整規制の撤廃 など一連の規制緩和の流れに揉まれ、加えてリーマ
ン・ブラザーズの倒産に端を発した不況、さらには東日本大震災の影響等によ
り大変厳しい状況に立たされてきた。また、平成24年の政権交代以降現政権
が実施してきた一連の経済対策については、未だハイヤー・タクシー業界にお
いてはその効果が実感できる状況には至っていない。
こうした状況の下、タクシー事業者は平成26年1月より施行された改正タ
クシー特別措置法に基づき、特定地域及び準特定地域において事業の適正化(供
給過剰の是正)と活性化(需要の拡大)に全力で取り組んでいるところである
が、今後も、当連合会も参画した「新しいタクシーのあり方検討会」が平成2
8年3月にとりまとめ公表した「タクシー革新プラン2016」も踏まえ、乗
務員の労働条件の改善及び利用者への輸送サービスのより一層の向上のため、
全力でタクシー事業の適正化・活性化を推進する。
昨今、「シェアリングエコノミーの成長を促す法的環境整備」という名目の
下、インターネットを利用した白タク行為を合法化すべく道路運送法の改正等
を目指す新経済連盟等の動きがある。
この動きは、国民に対し安全・安心な旅客輸送サービスを提供すると共に地
方創生の担い手である公共交通機関たるタクシー事業の根幹を揺るがすととも
に、与野党共同提案の議員立法により圧倒的多数の賛成の下成立した改正タク
シー特措法の意義を著しく損なうものであり、業界一致団結し全力で断固阻止
することとする。
さらに、ハイヤー・タクシー業界においては、公共交通機関として課せられ
た重要な使命を改めて自覚し、様々な課題に一歩一歩着実に取り組み、成果を
挙げることが重要である。
このため、若年・女性・元気な中高年等良質な運転者の雇用、「事業用自動
車総合安全プラン2009」等に基づいた交通事故防止の徹底、ユニバーサル
デザイン車両の導入促進等によるケア輸送体制の整備、更には環境対応車の導
入促進等による環境対策など諸対策に積極的に取り組み、様々な創意工夫を発
揮して新しい時代のニーズに的確に対応した公共交通機関として健全に発展で
きるよう、全国各地の会員事業者及び各都道府県協会と緊密に意見交換、情報
交換を図りながら、全会員一丸となって明るい未来を目指して諸施策を総合的
に推進していくこととする。
一方、2020年に東京において開催されるオリンピック・パラリンピック
については、東京のみならず日本全国において、「おもてなしの心」をもって、
世界各地からのお客様にご満足いただけるタクシーサービスを提供することに
より、その成功に向けて総力を挙げて取り組むこととする。
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1.平成24年4月に移行した一般社団法人として、的確な予算執行や組織の
見直しを行うとともに、引き続き、地方の実態や要望が全タク連の運営に的
確に反映されるよう努める。
また、地球環境問題、ケア輸送問題、乗合タクシーなどの地域における足
の確保等公共交通機関としての使命達成に必要な取り組みに対する支援措
置として、予算・税制の一層の充実並びに自賠責保険料率の適正化に努める
よう関係機関に要望する。
平成29年4月に予定されている消費税の再引上げに関しては、引き続き
負担の軽減を求めて関係方面への働きかけに努めることとする。
さらに、公益法人制度改革に伴う一般社団法人移行後、これまで取り組ん
できた公益目的支出計画の実施が完了し、名実共に移行を果たした一般社団
法人として、創意工夫した公益的な事業はもとより柔軟な事業展開を推進し
ていくこととする。
(総務委員会付託)
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2. 「ハイタク事業における総合安全プラン2009」に掲げた平成30年ま
でに交通事故件数1万件以下、交通死亡事故件数20件以下にするという削
減目標達成に向け、平成30年までの間を「交通事故抑止重点対策期間」と
位置付け、これまでの対策の更なる推進を図るとともに、重点対策として「出
会い頭事故防止対策」及び「路上寝込み者轢過事故防止対策」を業界の総力
を挙げて推進する。また、運輸安全マネジメント制度の一層の浸透・定着を
図るため、独立行政法人自動車事故対策機構や民間機関等が行う認定セミナ
ーの受講勧奨に努める。
運転者の健康管理を確実に実施するため、運転者に対して定期健康診断の
確実な受診を指導するとともに、要再検査、要精密検査等の所見がある場合
には、所見に応じた検査を受診させるなど、定期健康診断の結果を踏まえた
健康状態の把握に努める。また、外見上の前兆や自覚症状のない運転者に対
しても、できるだけ人間ドック、脳ドック、SASスクリーニング検査を受
診させるなどして、健康起因事故を引き起こす可能性のある疾病等の早期発
見に努める。
飲酒運転及び覚せい剤・危険ドラッグ等薬物使用運転防止のため、出庫時、
帰庫時の点呼等における日常的な指導・監督を徹底するとともに、警察と連
携して覚せい剤・危険ドラッグの危険性についての研修会等を実施する。
利用客の安全確保のため、シートベルト着用促進ステッカーやシートベル
ト着用を促す自動音声案内の活用などにより、シートベルト着用を促す努力
を徹底する。
地域における公共交通機関として、各季の全国交通安全運動や地域独自の
交通安全運動等に主催団体の一員として参画するなど、交通安全活動の積極
的な推進に努める。
(交通安全委員会付託)
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3.平成26年1月27日施行された改正タクシー特別措置法に基づき、特定
地域及び準特定地域において、地域計画、事業者計画及び活性化事業計画の
策定を進めるとともに、計画内容を着実に実施することにより、供給過剰状
態の解消と需要の拡大を図り、乗務員の労働条件の改善及び利用者への輸送
サービスのより一層の向上を実現する。
また、各特定地域・準特定地域で開催される地域協議会等の動向をフォロ
ーアップし、改正タクシー特措法のさらなる円滑な運用のため見直し改善す
べき事項について、業界の意見要望を集約し、国交省に対し要望する。
さらに、平成26年1月27日施行の改正道路運送法により新たに導入さ
れた旅客自動車運送適正化事業実施機関制度に基づく適正化事業への取り
組みを推進するとともに、昨年10月から施行された改正タクシー業務適正
化特別措置法に基づく運転者登録業務について、会員協会と連携してその円
滑な実施を進めていくこととする。
また、喫緊の課題であるライドシェア問題への対応策の検討を深度化す
る。
(経営委員会及びタクシー事業適正化・活性化推進特別委員会付託)
4.自動車運転者の労働時間等の労働条件の維持・改善を図るため、改善基準
告示のなお一層の理解及び定着の促進に努める。
労務管理の適正化に資するため、労働関係法令の周知に努めるとともに、
労働関係判例の収集・整理を行う。
労働組合組織実態調査(平成28年10月実施予定)及び乗務員の年齢別
構成等に係る調査(平成29年3月実施予定)を行うほか、労働時間、賃金
等の労働条件の改善並びに若年乗務員及び女性乗務員を始めとする労働力
の確保の推進に向けた調査研究等を行う。
(労務委員会付託)
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5.平成27年5月新たに作成した「ハイヤー・タクシー業界の低炭素社会実
行計画」に基づき、環境対応車の普及を着実に進めるとともに車両数の適正
化、スマートフォンを活用した配車システムの導入、デジタル式GPS-A
VMシステムの導入等による運行の効率化、グリーン経営認証制度の普及等
によりエコドライブに努めて、業界のCO2排出量削減を推進する。
次世代タクシーを目指し、燃費性能に優れたハイブリッド仕様のLPガス
自動車の開発促進、ユニバーサルデザインタクシー車両の普及促進について、
メーカー等関係機関に要望する。
また、ユニバーサルデザインタクシー車両の表示を確実に実施する等社会
的な認知を促進する。
(技術環境委員会及びケア輸送委員会付託)
6.ハイタク事業に係る情報を共有し、会員相互の連携を強化するため、機関
紙「全タク連ナウ」を、提供情報内容の充実を図りつつ毎月発行する。
ハイタク事業の実態及び安全輸送やサービス向上への取組、さらには社会
貢献活動の状況等を広く国民一般にPRし、タクシーに対するなお一層の理
解の促進を図るため、「TAXI Today in Japan」を引き続き発行するほか、
適宜適切に記者会見やニュース・リリースを行う。
タクシーに関する各種情報をインターネットを通じて利用者の方々に幅広
く提供する「全国タクシーガイド」の全会員登載実現を図るとともに提供情
報内容の拡充に努める。
「タクシーの日」の実施に当たり、各県協会の用に供するための統一頒布
物の作成・斡旋を行う。
(広報サービス委員会付託)
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7.平成23年3月に示された国の「移動円滑化の促進に関する基本方針」に
定められた福祉タクシーの導入目標、2020年度
28,000台に向け
て、ユニバーサルデザインタクシー、福祉タクシーの導入を促進する。その
ため国の助成に加え、自治体からも支援を受けられるよう要望活動を展開す
るとともに、ユニバーサルドライバー研修等職員教育をより一層推進し、全
ての運転者が受講するよう努める。
ケア輸送の推進を図るため、共同配車センターの運営や移動困難者のタク
シー利用に対する国及び地方公共団体の助成、介護保険・障害者福祉制度に
おける介護タクシーの報酬単価の引き上げ等について、引き続き関係機関に
要望する。
また、ケア輸送にかかるタクシー事業のあり方を検討する。
(ケア輸送委員会付託)
8. タクシーが地域の公共交通機関として重要な役割を担っていることを認識
し、道路運送法に基づく運営協議会、地域公共交通会議及び地域公共交通活
性化・再生法に基づく法定協議会等に積極的に参画し、自治体と連携してデ
マンド型乗合タクシーの導入等に積極的に取り組む。
首長、交通政策担当者との意見交換の場の構築等自治体との相互の連携を
強め、自治体の行う「まちづくり」と一体となった安全・安心なタクシーサ
ービスの展開により地域住民の生活交通の確保に努める。また、自治体や地
域住民からの乗合タクシーの導入等の要請・要望等があった場合には、会員
事業者から県協会への連絡・報告の徹底を図り、組織的な対応に努める。
改正クシー特措法に基づき、便利タクシー等高齢者の日常生活の支援、救
援サービス、育児支援タクシー、妊婦応援タクシー、観光タクシー及びIT
を活用したスマホアプリ配車サービス等のタクシー活性化策を業界あげて
推進する。
一部の悪質な自動車運転代行業者による白タク行為やNPO法人等によ
るボランティア輸送を装ったタクシー類似行為については、白タク行為等の
取締りの更なる徹底と自家用有償運送や福祉輸送事業限定制度の厳正な運
用を国土交通省、警察庁及び関係地方公共団体に対して要望する。
(地域交通委員会付託)
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