顔認証ソフトウェア NeoFaceの紹介 日本電気株式会社 第二官公ソリューション事業部／ 主任 浜田康志、主席技術主幹 坂本静生 わたしたちは毎日出会う人々が誰であるか、日々認識しながら暮らしている。この、ひとの認識 に、身体的あるいは行動的な特徴を直接利用するバイオメトリクスがある。特に2001年9月11日に 起きた米国同時多発テロ以降バイオメトリクスは社会的な重要性を大きく高め、パスポートや出 入国管理での応用が加速度的に進んでいる。 当社は1989年に顔認証技術の研究開発を開始した後、多様なソリューションへ展開してきた。認 証精度も継続して改善を重ねており、有力ベンダーが数多く参加する米国国立標準技術研究所 主催の顔認証のベンチマークテストにおいて、2009年、2010年、2013年と参加したすべての テストでトップ評価を獲得した。 本稿では当社の顔認証技術概要および、米国国立標準技術研究所とミシガン州立大学による性 能評価結果について述べる。また、この技術を搭載した顔認証製品を利用してユーザに提供した ソリューションおよびその成果の事例を紹介する。 1 はじめに 証を所持していた。これにより、米国に留まらず 日本や世界各国において、パスポートを含む出入 わたしたちは毎日出会う人々が誰であるか、 国管理でのバイオメトリクス応用が加速度的に進 日々認識しながら暮らしている。このようなひと むこととなった。 の認識は、様々なマンマシンインタフェイスの入 バイオメトリクスでは指紋、虹彩、静脈や顔など り口として非常に重要である。ひとの認識には、 様々な身体情報が使われる。なかでも顔による認 旧来からの持ち物（ID カードなど）や記憶（パス 証はひと同士のコミュニケーションに最も近い認証 ワードなど） に基づく方法に加え、認証対象となる 手段であり、セキュリティ以外の様々な目的にも顔 人物の身体的あるいは行動的な特徴を直接利用す 認証技術を応用することができる。また、顔認証 るバイオメトリクスがあり、近年注目されている。 では汎用のカメラで撮影した顔画像で認証が可能 特に 2001 年 9 月 11 日に起きた米国同時多発テ である。これは、他の身体情報のバイオメトリクス ロがきっかけとなり、バイオメトリクスは社会的 では専用センサの操作をしばしば要求されること な重要性を大きく高めることとなった。これは とは、大きく異なる点である。ほかにも顔認証に カードの所持や、ID・パスワードの利用などによ は、利用者に特別な認証動作を強いる必要がない る本人の証明では、漏えい・偽造・なりすましを という大きなメリットもある。これらのメリットに 本質的に防ぐことができないためである。実際、 より、顔認証は、後述の事例のように、幅広く様々 19 名の 9.11 ハイジャック犯は計 62 通の運転免許 なソリューションへ応用することができる。 eizojoho industrial February 2016︱21
© Copyright 2024 Paperzz
