2004/7 No.18 <研究トピックス> 女性養蚕家、田﨑秀子氏を訪ねて ~晩秋蚕期の栗-養蚕体系と防疫的特長~ 蚕業技術研究所 野澤 瑞佳 蚕業技術研究所養蚕チームは、地元茨城県の特産果樹「栗」と養蚕との複合経営 農家で昨年晩秋蚕期に「防疫」を中心に調査をした。上の写真は、左から桑園、 上蔟作業、収繭作業。左の網袋は、笠間稲荷神社奉納の繭。……………………P 2 <オアシス> 珈 琲 礼 讃 大日本蚕糸会監事 市川 博昭 「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように優しく、恋のように甘いコー ヒー」というキャッチコピーを語ったのは、会議は踊るといわれたウイーン会議の 立役者、フランスの外相タレイランだそうですが、日本では現在、赤ん坊を含めた 頭数1人で年間コーヒー茶碗 250 杯を飲んでいます。そんなに沢山?と思いますが、 世界一のフィンランドの 5 分の1程度です。しかし、日本人の飲料としては、緑茶 の 3 倍、紅茶の 25 倍以上をコーヒーで飲んでいます。……………………… P 6 < ト ピ ッ ク ス > 平成16年度の先導的養蚕農家育成推進事業 (財)大日本蚕糸会常務理事 草野 洋一 平成3年度以降先進国型養蚕経営確立推進事業、次いで先導的養蚕農家育成推進事業(先導事業)を実施して きたが、今年、先導事業の最終年を迎え、新規事業を加えていわば「新先導事業」を実施する。 …………………………………………………………………… P 8 < 行 事 予 定 >◎第57回製糸夏期大学― 2004 Silk Summer Seminar in Okaya ― < 行 事 記 録 >◎東京税関関税監査官等の見学・研修 ………………………………………………………………………P12 (2) シルクだより <研究トピックス> 女性養蚕家、田﨑秀子氏を訪ねて ~ 晩 秋 蚕 期 の 栗 -養 蚕 体 系 と 防 疫 的 特 長 ~ 蚕業技術研究所 野澤 瑞佳 複合養蚕経営における蚕作安定のため、蚕業技 術研究所養蚕チームでは、農家における技術的調 査や防疫体系の確立に取り組んでいる。調査を進 める中で、栗栽培との組み合わせで活力ある養蚕 を行い、品質の良い繭を生産する女性養蚕家、田 﨑秀子氏 (茨城県千代田町) と知り合う機会を得 た。平成 15 年の晩秋蚕期に 3 週間ほど作業を共に しながら、田﨑宅の養蚕作業や防疫的特長を調べ たので紹介する。 訪問のきっかけ 養蚕チームで防疫対応を担当している私は、農 家で生産される繭の状況や飼育環境の様子を一度、 詳細に調べてみたいと考えていた。好運にも、平 成 14 年の貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成事 業に加えてもらい、養蚕農家を調べるチャンスが 訪れた。茨城県土浦地域農業改良普及センターの 高橋和男氏が管轄農家を快く紹介してくれたこと で農家と交流する機会が生まれ、現場の付き合い が持てるようになった。紹介していただいた 18 戸の養蚕農家 (霞ヶ浦町 9 戸、千代田町 4 戸、八 郷町 1 戸、石岡市 4 戸) を対象に、内部汚染繭の 発生実態を調べたところ、田崎氏の生産する繭は 品質が良く、地域の中でも優良な養蚕農家である ことを知った。 田﨑秀子さんは、この道 30 年のベテラン養蚕家 で、栗栽培を営む義父母をよく支えながら、地域 の農業委員や繭クラフトの講師を務めるなど、多 彩な活動を展開している。栗栽培との複合養蚕体 系では、栗の出荷と重なる晩秋蚕期は極めて多忙 である。そのような中で、田﨑さんは品質の良い 繭を生産しながら養蚕を続け、趣味の繭クラフト を通して活動の輪を広げている。 写真 1 停食作業の様子 配蚕から繭の出荷まで 田﨑さんは下大津の稚蚕共同飼育所 (茨城県 霞ヶ浦町) から配蚕を受けている。この稚蚕共同 飼育所では古くから天竜育が行われており、霞ヶ 浦町の養蚕組合員 ( 9 名) と、かつて蚕業技術員 として活躍された沢辺和夫氏が中心となって、桑 による稚蚕飼育を担当している。養蚕組合長を務 める松澤喜昭氏によれば、下大津の稚蚕共同飼育 所は今年で 40 年目を迎え、稚蚕の飼育形態は、先 達が長野県の稚蚕共同飼育所から学んだ方法を継 承し、今なおその技術は健在であるという。現在、 茨城県には稚蚕共同飼育所が 2 か所あり、下大津 の稚蚕共同飼育所は大宮町の稚蚕共同飼育所 (人 工飼料育) とならぶ重要な役割を担っている。田 﨑さんは配蚕当日、下大津の稚蚕共同飼育所で天 竜育の箱をトラックへ積み、沢辺さんとともに周 辺農家へ配蚕しながら自宅へ向かう。このような 取り組みからわかるように、田﨑さんは周辺農家 の養蚕を支える大切な存在である。平成 15 年晩秋 蚕期の田﨑さんの掃き立て箱数は 4 箱で、県内平 シルクだより (3) 均よりもやや多い。自宅に運んだ蚕を蚕室に移し、 起蚕の揃いを見ながら早口と遅口に分けるところ や、給桑のタイミングはさすがベテランである。 養蚕農家の朝は早い。私は自宅から田﨑宅まで 車で 50 分の道のりを毎日往復し、7 時前に着くよ うに心がけていたが、到着した頃には、すでに給 桑が始まっているか、終わっている。田﨑さんは 6 時前に起床して給桑作業を始めていたことを知 る。給桑に要する時間は、蚕の齢期により異なる が、通常、4 齢で 15~20 分程度、5 齢で最大に拡 座をした状態でも 1 時間程度である。午前の採桑 写真 3 イガ栗の集積風景 作業は 7 時半から 9 時頃までに行い、その間の採 妻も活躍しており、朝の給桑作業を始める頃には 桑量は 5 齢の盛食期で 35~40 束。田﨑さんはこの すでに栗拾いを始めていた。田﨑正一さんは今年 束を軽く二束担いで、トラックの荷台へ積んでい で 80 歳と高齢であるが、年を感じさせない働きぶ く。田﨑宅の桑園面積は約 130 a で 7 か所に分散 りである。正一さんとの会話では、昔の養蚕作業 している。桑園は平地や山の斜面にあり、利用で を聞かせてくれた。祖父の代にはすでに養蚕を始 きる場所には古くから桑が植えられていたことに めており、昔は母屋に蚕をあげて飼ったこと、条 気づく。桑園の分散利用には、凍霜害のリスクを 桑育を導入してから、だいぶ作業が楽になった等 軽減する役目もあるようで、作業を共にしながら の話を聞くと、養蚕技術の進歩は現場で実現して 「ここは霜の通りみちだから、霜害を受けやすい」 こそ意味があると感じる。平成 15 年は冷夏の影響 という話を聞くと、なるほどと感心する。 で栗の生育が悪く出荷量は例年の 3 分の 1 程度で あったという。出荷量は毎日 60~180 kg の範囲で あり、例年であればこの 3 倍の量をこなすという。 晩秋蚕期の掃き立て箱数は 4 箱で、この程度の飼 育量であれば取り組みやすいと田﨑さんたちは 笑って答えた。栗の選別と出荷を終え、昼食を取 る前に蚕へ軽く給桑する。この時間帯は桑が萎れ やすいということで、朝よりも少なめに、蚕が数 時間程度で食べ尽くす程度に与えている。残桑に よる床蒸れを防ぐ意味があるのだろう。昼食を終 え軽く休憩すると、午後の採桑作業に入る。翌日 の早朝に与える桑も収穫するため、採桑量は午前 写真 2 5 齢盛食期の採桑作業 午前の採桑作業を終え軽く休憩すると、イガ よりも多く、5 齢の盛食期で 40~50 束程度の桑を 刈る。16 時頃に採桑作業を終え、軽く休憩すると、 栗拾いとイガ剥き作業を始める。栗園の面積は 夕方の給桑作業にとりかかる。給桑量は早朝と同 約 200 a で、桑園面積よりも広い。背中に大き 様であるが、やや少ない印象を受ける。田﨑宅で な籠を背負いながら、自家製の“竹ばさみ”を は、例年晩秋蚕期の繭が軽い傾向にあり、相対湿 使用して、中腰姿勢でイガ栗を拾って歩く。こ 度が 80%以上となる夕方の給桑量をもう少し増 の作業では義理の両親である田﨑正一、こう夫 やしてみる価値がある。 (4) シルクだより 上蔟は 3 回に分けて行われている。熟蚕が見え 始める少し前につり取り網を入れ、軽く給桑し、 熟蚕が数頭見え始めた頃に条払い機で蚕を集めて いく。蚕の飼育では、上蔟適期の見極めが大切で あり、このタイミングを逃さないように気をつけ ている。集めた蚕を上蔟室へ運び、容器に 800 頭 前後の蚕を入れて一組の回転蔟に入れていく。1 時間ほど放置した後、回転蔟を吊り上げる。平成 15 年の晩秋蚕期は回転蔟が 117 個も吊るされてお り、例年にない豊作が期待された。収繭作業は上 蔟から 9 日目に行われる。回転蔟を下ろし、ボー 写真 4 ル蔟を外しながら、薄皮繭や玉繭、極小繭等を除 上蔟風景 き、収繭毛羽取り機で繭を回収していく。収繭し た繭はよく選繭した上で、蒸れないように広げて おく。この段階で選別可能な繭は外部汚染繭のみ で、内部汚染繭を 1 粒ずつ振りながら選別するこ とは困難であるし、農家では非現実的な方法であ る。田﨑宅の繭品質は年間を通して良好で、後述 するように防疫的配慮がよく行われているため、 ウイルス性の内部汚染繭が多発する可能性は低い と考えられるが、他の養蚕農家ではウイルス性の 内部汚染繭が多発傾向にあることを考えると、現 場に即した内部汚染繭対策を確立しなければなら ないと実感する。きれいに選繭された繭が一斉に 写真 5 選繭を終え、出荷を待つ繭 並べられた様子は見事であり、田﨑さんの力量の イルスが蚕に感染しにくいという点が、田﨑宅と 高さがわかる。今晩秋蚕期の成績は、箱あたりの 病蚕の多発する農家との違いである。訪問から実 収繭量が 43 kg、500 粒のサンプル調査に基づいた 感した防疫管理のポイントは、1) 温度管理、2) 上 内部汚染繭率は 0.8%であり、解じょ率も 89.8% 蔟室への出入り、3) 蚕室と上蔟室の距離、の 3 と良好であるから、極めて品質のよい繭が生産さ 点である。 れた。これだけ良い繭が取れるとやりがいを感じ る。 ◇温度管理 晩秋蚕期は季節の変わり目 品質の良い繭を生産する田﨑宅にもウイルスが 存在する。上蔟のピークを迎えた 9 月 27 日に、め ずらしく一頭の病蚕を発見した。節高症状を呈し た膿病 (核多角体病) の蚕である。田﨑宅のウイ ルス分布を古典的な手法である塵埃添食試験法で 調べてみると、上蔟室や母屋の玄関前などからウ イルスが検出されており、他の養蚕農家と同様に ウイルスが存在する。しかし、飼育環境中のウ 前述のとおり 9 月 27 日に病蚕を発見したが、こ のウイルス病は感染から 5 日前後で発病すること を考えると、感染時期は 9 月 23 日頃と推察される。 平成 15 年の晩秋蚕期は、配蚕から一週間は夏の陽 気で昼間の最高気温は 30~35℃、夜間の最低気温 も約 20~23℃の範囲にあった。しかし、台風の接 近を迎えた 9 月 23 日を境として急速に秋の陽気に 変わり、最高気温は 18~25℃、夜間の最低気温は シルクだより (5) 約 9~15℃と観測された。9 月 23 日は最低気温が イルスが蚕室まで入りにくい配置となっている。 約 9℃、最高気温が 25℃であり、昼夜の寒暖差が このような施設配置と上蔟室への防疫的配慮が、 16℃もあった。蚕は低温に置かれるとウイルスに ウイルス病の発生を抑制しているのだろう。 感染しやすくなることがすでに知られており、今 回のような気温の変動が病蚕の発生に影響する可 能性がある。季節の変わり目にある晩秋蚕期は、 夜間の気温変化を予測しながら暖房の措置をとる などの配慮が必要で、温度の管理が難しい蚕期で ある。特に夜間の低温には気をつけたい。 ◇上蔟室への出入り 核多角体病ウイルスは上蔟室に溜まりやすい 今回の訪問と平行して、複数の養蚕農家を対象 としたウイルスの分布調査も行ってきたが、春蚕 期の開始直前から、春、夏、初秋および晩秋蚕期 の収繭直後に、蚕室、上蔟室、貯桑場および母屋 の玄関前から“ほこり”を採集して、ウイルスの 存在と農家間の共通性を調べてみると、上蔟室に はウイルスが溜まりやすい。田﨑宅の上蔟室から も蚕期を通してウイルスが検出されており、上蔟 室での作業を通して蚕室へウイルスが入りこむ可 能性は十分に予想された。しかし、田﨑さんの取 り組みは万全で、配蚕前に蔟器類を組み終えて消 毒を済ませると、蚕の飼育中には上蔟室へ入らな い。このような取り組みから、ウイルスが蚕室に 入りこむ可能性は極めて低いと考えられる。 ◇蚕室と上蔟室の距離 蚕室と上蔟室は離れているほうがよい 田﨑宅の養蚕施設が優れている点は、ウイルス 写真 6 繭クラフト作品“陽炎” 楽しみは繭クラフト工芸 田﨑さんは繭クラフトサークルを結成し、地域 の講師として、また繭クラフトの芸術家として大 いに活躍している。田崎さんは自分で育てた蚕の 繭を独自に考案した染色法できれいに染める。染 色素材には、栗の渋皮や野菜の皮などを利用して おり、自然な色合いを大切にしたクラフト作品を 発表している。写真の“陽炎”に見られるような 大型の作品から、ブーケやコサージュといった美 しい装飾品も手がけており、いずれの作品も人気 がある。田﨑さんや関連団体の悩みの種は、クラ フト用の繭が手に入り難いことである。このよう な繭の安定供給を望む声があり、貴重な意見とし て耳を傾けた。 が蓄積しやすい上蔟室と、蚕を扱う蚕室が独立し 養蚕農家には、田﨑秀子さんのように、地域の ており、かなり離れていることである。主要な蚕 農家を支援しながら、楽しく養蚕に取り組んでい 室から上蔟室までの距離は 85 m で、熟蚕を回収し る方々がいる。そして小規模ながらも高品質の繭 て上蔟室へ運ぶために、トラックを利用する。茨 を生産する環境がよく維持されている。日本の養 城県の養蚕農家をみていると、1 階が蚕室で 2 階 蚕農家が優れている点はここにある。これからも が上蔟室の農家や、蚕室と上蔟室が近接している 安心して養蚕が継続できるように技術的な支援を 農家が多い。このような農家ほど、ウイルス性の 続けていきたい。 内部汚染繭が多発する傾向にあり、徹底した対策 を導入しないと内部汚染繭は減りにくい。その点、 田﨑宅は蚕室と上蔟室が離れており、上蔟室のウ のざわ みつよし:蚕業技術研究所 養蚕チーム E-mail:[email protected] (6) シルクだより < オ ア シ ス > 珈 琲 礼 讃 (財)大日本蚕糸会監事 市川 博昭 珈琲は薬か嗜好飲料か 焙煎度の浅いアメリカンコーヒーの 10 倍もニコチ つい最近、本邦初の温泉抽出「本格コーヒー風呂」 ン酸が多いとのことです。 が箱根小涌園にオープンという新聞折込チラシを 見て、びっくり仰天しました。牛乳風呂は聞いたこ 珈琲は豆か種子か ともありますが、あの踊るウイーン会議の立役者で ところで、私が農林省に入った当時、農林大臣は あったフランスの外相タレイランが賛美した「悪魔 河野一郎で新しい村づくりを始めていました。当時 のように黒く、地獄のように熱く、天使のように優 入省した同期の法経学士 16 人の半分は既に東京生 しく、恋のように甘いコーヒー」を湯水のように使 まれの都会育ちで占められており、私どもは、昔え うとは世の中の価値観がひっくり返った思いがし らい先輩が長野県に出張し、痩せた土地に咲く可憐 ます。 な白い花を指して「あの花は何か」と聞き、蕎麦を 江戸幕府末期の長崎出島に初めて輸入された珈 知らない霞ヶ関の役人と軽蔑された話を先輩から 琲に「溜飲を消す」医療効果があるとしるした医書 聞かされ、お前達は出来る限り地方へ出掛け現地で もあり、当時から珈琲は薬として健胃作用、利尿効 現物の勉強をしてこいといわれたものです。 果があるといわれてきたが、一方、コーヒーはロー スト(焦がす)することから発ガン性ありとされた り、平成 2 年にはノルウエーの国立健康審査機関が コーヒーとコレステロールの因果関係を調査し、毎 日コーヒーを飲む人は明らかにコレステロールが 多く、心臓病による死亡率が高いと発表しました。 もっとも女性の場合、この死亡率が著しく低いため 「喫煙とストレスがコレステロールの蓄積を加速 させている」とも推測されると言及しております。 ロブスター種の花(他花受粉) 平成 9 年 6 月の壮快別冊に「多くの病気を治すと その私が、横浜でえらい失敗をやらかしてしまった 最近の研究で続々わかったコーヒーは薬だ!」が世 のがコーヒーでした。農産園芸局の総務課長として に出て、目下日本人に急増中の肝臓ガンや大腸ガン 所管の横浜植物防疫所を尋ね、恒例のランチによる をコーヒーが強力に防ぐことが実験で判明し、あま 湾内視察を終わり、所長室に入ったところ、ガラス つさえ、アイスコーヒーを毎日飲むとコレステロー 瓶に詰めて並んでいる青い豆を見て、この大豆はア ル値が下がり心臓病まで防げるとなると、何が常識 メリカ産かときいてしまったのです。ところがこれ か何が非常識か混沌とし、常識のウソを執筆した石 がコーヒー豆で、生憎私は初めてコーヒー豆に対面 垣ドクターではないが、無知では長生きできない、 し、大豆そっくりの青豆がコーヒー豆とは知らな 長生きすればいろいろなことを経験することが良 かったのです。近頃では、コーヒー豆はチョコレー く判ります。アイスコーヒーがコレステロール値を ト色をした豆と思っている人もおります。グリーン 下げるという薬理効果は、コーヒー豆を焙煎すると ビーンズと呼ばれるコーヒー豆が、ソイビーンズと 加熱によりトリゴネリンがビタミン(ニコチン酸) 呼ばれる大豆などの穀粒ではなく、果物の種子であ に変化し、このニコチン酸はタバコに含まれるニコ ることを知っている人も少ないようです。 チンとはまったく別物で血液中のコレステロール コーヒーの樹はアカネ科の植物で、「アラビアの 値を下げる薬理作用があるということだそうです。 ジャスミン」と呼ばれ、白い花が咲き、ジャスミン 特にアイスコーヒーのコーヒー豆は焙煎度が深く、 のような芳香を放ち、2~3 日で散り、果実はさく シルクだより (7) しています。現在、赤ん坊を含めた頭数 1 人で年間 コーヒー茶碗 250 杯を飲んでいますが、世界一の フィンランドの 5 分の 1、世界第 12 位のアメリカ の半分程度です。しかし、日本人の飲料としては、 緑茶の 3 倍、紅茶の 25 倍以上をコーヒーで飲んで います。 最近のコーヒー豆の国際相場は長期低迷してお りますが、日本が 1 年間に輸入するコーヒー豆のC IF価額は 900 億円で、これが国内の卸段階で 2 倍となり、さらにロースト工場で焙煎され、小売段 アラビカ種の花と実(自花受粉) 階で約 12 倍となりますが、焙煎により目方は 20% らんぼうに似てチェリーといわれ、その中に球形の 目減りしますので、約 9,000 億円の市場がコーヒー 種子が二つあり、これがコーヒー豆です。コーヒー 豆だけで形成されております。なお、コーヒー豆の の樹は、赤道を中心とした熱帯、1 年の平均気温が 輸入港は、横浜、神戸、名古屋だけで、東京港には 16~26℃、年間 1,800 ミリの降雨のある海抜 600 殆んど水揚げがありません。横浜と神戸でそれぞれ ~2,000mの高地にアラビカ種、600m以下の低地に 40%、名古屋港で 20%のシェアーで、横浜港に水 ロブスター種が栽培され、ブラジル、コロンビアの 揚げされるコーヒー豆の 50%は帝蚕倉庫に入りま 南米で 46%、メキシコ、グァテマラなどの中米で すので、大体全国港湾在庫の 20%は帝蚕倉庫にあ 17%、合わせて中南米で 63%の生産シェアーを占 ります。 め、残りはアフリカ 20%、アジア・オセアニア 17% です。 ところで、喫茶店のコーヒー一杯分の値段は、従 来からラーメン代、タクシー初乗り料金、女性の時 給水準とほぼ同じで推移してきましたが、外資系を 珈琲の味わいと値段 含めたカフェーブームで 150 円コーヒーが普及し 最高級といわれるブルーマウンテンは、甘味、酸 コーヒー専門の喫茶店が激減しております。何とか 味、苦味にコクと香りを一つに調和して合わせ持ち、 600 円のコーヒーを実現したいと業界は努力して 単品でも十二分に賞味できる数少ない豆で、イギリ おります。それにはストーリー、物語が必要といわ ス王室用の豆として有名ですが、これもジャマイカ れます。例えば、標高 2,000mのキリマンジャロの 島の海抜 2,000m以上で昼の温度と夜の温度差が 南斜面に栽培され、玉露のような昼夜の大きな寒暖 7℃以上あって、果実が充実して香りとコクと酸味 差に鍛えられたブルボン種で、水洗後天日乾燥し、 を増すといわれます。 野性的で力強い酸味とコク、豊かな香りと太陽を特 世界 10 カ国で生産されたコーヒー豆の 8 割は国 外に輸出され、生産・輸出国が発展途上国、輸入消 費国が先進国という南北貿易の典型といわれる国 徴とするスーパープレミアムコーヒーといったス トーリーが必要だそうです。 お茶といえばコーヒー、ティータイムの代わりに 際商品がコーヒー豆の特徴です。日本は、アメリカ、 コーヒーブレークがビジネスに、会社経営に欠かせ ドイツに次ぐ第 3 位の輸入国で、つい最近フランス ないといわれます。コーヒーで間を持ち、余裕とゆ を追い越しました。戦前は 8,000 トンが最高でした とりを感じます。オアシスにはコーヒーは欠かせま が、昭和 35 年の貿易自由化で 10,000 トンを超え、 せん。 現在 40 万トンを輸入し、 40 年間で 40 倍と急増し、 いちかわ インドネシアの輸出相当分を 1 国で買い占めてい ひろあき:(財)大日本蚕糸会監事 電話:0427-34-6793 る状況です。 これは戦後インスタントコーヒーが普及したこ この稿の写真 2 葉は、いずれも「UCCコーヒー とと最近は缶コーヒーの伸びに加えて、セルフ式カ 博物館」(神戸市ポートアイランド内)から借用い フェーチェーンがレギュラコーヒーの消費を増や たしました。 (8) シルクだより < ト ピ ッ ク ス > 平成 16 年度の先導的養蚕農家育成推進事業 (財)大日本蚕糸会常務理事 草野 洋一 以上のような状況に対応して、養蚕複合農業拡大 1.はじめに 財団法人大日本蚕糸会では、平成3年度から12 運動を支援するとともに、先導的養蚕農家(先導農 年度までの10年間、農林水産省、蚕糸砂糖類価格 家)を拡大していく観点から、従来型の先導的養蚕 安定事業団(現(独)農畜産業振興機構)、県、全国養 に加えて、新しい型の先導的養蚕を併せて推進する 蚕農業協同組合連合会(現全国農業協同組合連合 こととし、このため、平成16年度は、現在実施中 会)等の指導・協力をいただきながら、先進国型養 の先導事業に加えて、先導事業の次期対策を視野に 蚕経営確立推進事業(先進事業)を実施し、超多回 おいた技術や経営の面からの実証事業及び関連事 育大規模養蚕経営技術の開発と普及に取り組んで 業(新先導事業)を実施することにしました。 きました。 また、平成13年度からは、蚕糸絹業が置かれて いる厳しい情勢下において、今後の全国養蚕農家の 3.平成16年度に行う新先導事業の内容 (1)新タイプ先導的養蚕農家育成実証事業 これまで実施してきた先導事業を含めて、今後支 中核となるべき大規模養蚕経営農家が直面してい る課題を早急に解決する必要があるとの考えから、 援していくタイプの養蚕農家(群)を次の4つのタ 引続き関係各方面の指導・協力を得て、先導的養蚕 イプに分け、それらを育成するための実証事業を推 農家育成推進事業(先導事業)を実施することとし、 進することにしました。 16年度までの計画で、経営調査、革新的技術の実 証、染織部門との連携を含んだ繭生産組織の活性化 等の事業に取り組んでいるところですが、最終年度 ① 絹製品と一体化した繭生産(提携システム)実 証型 になる今年度は、先導事業に加えて新たな事業も加 いわゆる川上(養蚕農家、製糸等)、川中(撚糸、 わることになりましたので、その紹介を致したいと 精練、染織等)、川下(織物卸、小売り等)が提携 思います。 して、国産の繭から繰糸した生糸を使った絹製品を 消費者に提供していく生産・販売システム(提携シ 2.新事業の背景と目的 養蚕農家の高齢化が進む中で、養蚕農家戸数・繭 ステム)を構築することは、海外からの輸入品(生 糸、撚糸、絹織物、絹製品)との競争を考えると、 生産量は年々減少しており、この現状に対応するた 養蚕のみならず製糸、染織等の分野においても今後 めには、既存の養蚕農家への対策だけでなく、新規 の重要課題となってくると考えられます。 養蚕農家の確保、養蚕農家とシルク工房など国産の このため、本事業では、このような提携システム 繭・生糸を使った絹製品の生産・販売に取り組んで のうち、比較的大きな企業間の提携(日本絹業協会 いる組織(会社)との連携等を含めた総合的な対策 の事業で実施中。)よりは、むしろシルク工房等と を推進することが緊急の課題となっています。 連携し絹製品つくりと一体化した繭生産への取組 このような中で、新規養蚕農家の確保への取組を (シルク工房型提携システム)を重点的に推進する 含めて、地域営農推進の一環として繭増産を図ろう こととし(養蚕農家が絹製品つくりの一部又は全部 とする「養蚕複合農業拡大運動」が、平成15年度 を行う場合を含む。)、このシルク工房型提携シス から展開されており、関係者一丸となった取組が求 テムの構築の実証に必要な経費(養蚕、繰糸、染織 められています。 等、提携システムを構築する各部門に対し、構築す シルクだより (9) るに必要なハード及びソフト経費)の一部を助成し 技術員、普及組織、県先導協等)による本実証事業 ます。また、実証事業関係者(事業実施農家、蚕業 の分析検討会(全国)を開催します。 今後の先導的養蚕農家育成体系イメージ <先導的養蚕農家の拡大及びシルク産業全体、更には消費者にまで繋がる養蚕(提携システム型…ト レサビリティシルク)の展開> ⑤ネットワークのフレーム(最終) ④蚕糸等専門技術者 (当面は、拡大された先導的養蚕農家間及び (専門技術者登録、用語集 その関係者とのネットワークを中心に出発) の整理等を委託) (将来 NPO 的組織も検討) ○蚕種、蚕具等製造 ◎先導的養蚕 ①先導的養蚕農家の拡大 川 上 現在の先導的養蚕農家 +従来型の先導的養蚕実証型 +個別指導新規養蚕実証型 ③研修システム +川下との連携システム実証型 (新規養蚕農家、 先導農家の後継 ○製糸 者等への研修を ○生糸流通 先行実施) ② 提携システム の構築 ) 川 中( 下) ○撚糸、精練 シ( ル ク 工 房 型 提携システム 連携 に重点。 マーケットイン (川上・川下の全体ではない。) 川上・川下提携システムのフレーム ニーズ 消費者 +個別指導複合養蚕拡大実証型 シルク工房等 ○染織、整理 ○織物卸、小売り H16 年度は、上記①~⑤として取り組むべき課題の一部について、プリテスト的な技術・経営実証事業 等として先行的に実施する。また、先導事業の次期対策について検討する委員会を本会内に設置するととも に、必要に応じて課題ごとのワーキンググループを委員会の中に設置する。 (10) ② シルクだより 個別指導新規養蚕・複合養蚕拡大実証型 新規に養蚕を行う農家(復帰農家を含む。)及び 複合経営の中で養蚕経営の規模拡大に取り組む養 蚕農家個々について、養蚕を中心とした複合経営類 型を蚕業技術員(仮称)が普及組織の協力を得なが ら当該農家とともに作成し、養蚕複合経営のメリッ トを具体的に示すとともに、2年間は当該農家を普 及組織と連携して濃密指導をすることとし、蚕業技 術員が行うそれらの活動に必要な経費の一部を特 別活動費(定額)として助成します。当該農家に対 機械による条桑収穫 しては、新たに又は規模拡大して行う養蚕について の技術や経営の実証に必要な経費(例えば、桑園整 備、機械等)の一部について助成します。また、上 そのために必要な経費(例えば、新しく開発された 記①と同様に、本実証事業の分析検討会(全国)を 栽桑や育蚕関係機械、夏作物(野菜、花等)を導入 開催します。 した新たな複合経営を行う場合(今年度に、このよ うな複合経営の事例調査分析を実施することにし ていますので、来年の3月頃までには具体的な経営 事例を報告できると思います。)の関係機械施設等) の一部を助成します。 (2)新規養蚕農家、養蚕後継者等研修事業 蚕糸技術者(指導者)や一般養蚕農家の養成(研 修)の問題については、国レベルで検討すべき課題 であり、農林水産省において検討していただくよう 要請することにしていますが、上記(1)の事業実 先導的養蚕農家の大規模桑園 施に関連する下記研修については、他事業と連携・ 分担して、16年度から先行的に実施します。 ③ 地域養蚕振興実証型 ア 養蚕農家研修 ① 地域として養蚕振興に取り組む養蚕農家群に対 新規農家対象 し、その実証に必要な経費(例えば、新技術や新品 復帰農家及び複合養蚕拡大農家を対象とし 種(桑、蚕種)の導入、買桑調整、共同防除等につ ます。実施は群馬県蚕業試験場、福島県農試梁 いて検討する会議費、遊休桑園や罹病桑園の共同改 川支場、鹿児島県蚕業試験場等や先導農家等に 植、農薬被害に対応するための桑園の集団化や移動 委託することを考えています。 ② に伴う桑園整備、地域の稚蚕共同飼育所の廃止によ 先導農家(上記(1)の事業実施農家を含み ます。)の後継(予定)者対象 り、地域の稚蚕飼育も引き受けている先導農家の稚 先導農家等の後継者が先進農家(複合経営部 蚕飼育関連機械施設、桑園の共同防除関連機械施設 門を含みます。)で行う長期・中期・短期研修 等)の一部を助成します。 (国内留学) ④ 新技術実証型 新しい養蚕技術に取り組む養蚕農家(群)に対し、 イ 提携システム関係者研修 上記3-(1)-①の事業関係者に対し、川上、 シルクだより (11) 川中、川下それぞれの分野を相互に理解するため なお、今後の課題として、全国先導農家等技術・ の概論程度の研修(座学、現場見学・実習等)や 経営交流会の開催、パソコン等を利用した先導農家 提携システムを円滑に進めるための助言等を実 等を中心とする幅広いネットワークの構築、HPや 施します。なお、今後の課題として、養蚕技術者 掲示板の作成、ネットワーク参加農家等への講習や への専門研修、小学校等教師への研修・教材の支 交流会の開催、セリシン高含有等の特殊な繭、手紬 援等も検討していきたいと考えています。 生糸、繭クラフト、シルク工房等で製造された絹製 品等のネット販売の構築等にも取り組んでいきた (3)技術・経営交流事業 いと考えています。 点的存在になりつつあり、ややもすると地域農業 の中で孤立しがちな養蚕農家の結びつきを、養蚕農 家を中心とした情報ネットワークを構築すること により、物理的な距離を越えて点から線、更には地 域や県を越えた面的なものにして連帯感を醸成し ていくことは、養蚕産地の育成を図る観点から有力 な手段であると考えられます。 このため、16年度は、情報交流ネットワークの 構築の在り方について検討を行うとともに、そのプ リテストとして、先導農家等間及びその関係者(蚕 4.次期対策についての検討 業技術員、普及組織、農協、県、試験場、製糸、関 先導事業は16年度で終了する予定となってい 心のあるシルク工房等提携システム関係者、大日本 ることから、これまでの先導事業の総括を行うと 蚕糸会の蚕業技術研究所及び蚕糸科学研究所、全農、 ともに、今日における蚕糸絹業をめぐる国内外にお 大日本蚕糸会本会等)とのネットワークを構築する ける情勢の変化等を踏まえ、先導事業の次期対策に 実証事業を先行的に実施したいと考えています。 ついて、その必要性、事業対象、事業内容、予算規 模、事業執行体制等について検討する委員会を本会 内に設置するとともに、この検討委員会の中に、各 地方等における蚕糸等技術者のOB等の結集やそ の活力の活用の仕組(NPO的なものも想定)等を 含め、蚕糸絹業に関する技術基盤を確保、伝承し、 技術指導等の要請に応えていくシステムの整備等 について検討する分科会や、全国の先導農家等が、 養蚕や複合作物の技術や経営の問題、更には後継者 の確保や結婚問題等について本音で語り合う交流 会の開催や、先導農家等間、更には技術指導者、川 下関係者、シルクに興味を持つ市民等とも日常的に 交流するための、パソコン等を利用したネットワー 機械による蚕の飼育 ク構築等について検討する分科会を設置すること も考えています。 ① 先導農家間等ネットワーク構築実証事業 (当面はネットワーク参加希望者のメールアド レス等の収集・整理・提供) くさの よういち:(財)大日本蚕糸会常務理事 E-mail:[email protected] (12) シルクだより < 行 事 予 定 > 製糸技術研究会 ◎第57回製糸夏期大学 ― 2004 Silk Summer Seminar in Okaya ― 平成16年7月22日(木)13:30~ 23日(金)12:00 ・今後の蚕糸業と大日本蚕糸会・研究所の役割 (財)大日本蚕糸会副会頭、蚕糸科学研究所所長 佐藤 豊 ・群馬シルクによるオリジナルニットの商品展開 (有)ミラノリブ代表取締役社長 笹口 晴美 ・これからの絹を考える 繰糸工場見学 税関では、輸入貨物の品目別に関税率が異なるた め輸入貨物が関税品目分類表のどの品目に当たる 元(財)大日本蚕糸会蚕糸科学研究所 小松 計一 ・シルクテクノロジー研究の展開方向 (独)農生研 昆虫生産工学研究G長 繭(くず繭を含む)、生糸、絹糸、絹織物の製造 町井 博明 ・日本の絹の美しさとファッション 静岡文化芸術大学大学院教授 かを判断することが極めて重要である。そこで、 及び生糸(家蚕糸)、野蚕糸、絹糸、絹紡糸、絹 紡紬糸の見分け方などについてサンプルと資料に 深井 晃子 よる見学・研修を行った。 ・ヨコハマブランドシルクの復活に挑む (株)椎野正兵衛商店代表取締役社長 椎野 秀聰 < 行 事 記 録 > 蚕糸科学研究所 ◎東京税関関税監査官等の見学・研修 平成16年6月16日(水)13:30~16:00 ビデオマイクロスコープによる布地の判定 講義は、佐藤所長の「蚕糸・絹業の現状」、 清水研究員の「生糸の製造・副産物」、 青木研究員の「絹関連素材の特徴」 をテーマとして、この研修のために独自に作成し 座学・講義 蚕糸科学研究所は東京税関からの依頼により生糸、 たテキストを中心にサンプル及びプロジェクター 絹糸など輸入繊維製品の材質、種類などの鑑定を を駆使して行われた。 行ってきた。今回、絹及び生糸に関する知識の向 所内では、繰糸工場と揚返場で生糸の製造工程を、 上を目的とした見学、研修の依頼を受け、繊維製 展示室で蚕・繭・糸から織物までの絹・これから 品の分類に携わっている税関職員に座学、見学及 の新しいシルクを見学し、物理実験室でビデオマ び総合討議を内容とする見学・研修を行った。 イクロスコープによる布地の判定などを行った。 №18 発行:財団法人大日本蚕糸会 平成 16年7月号 編集:財団法人大日本蚕糸会 蚕業技術研究所 編集:財団法人大日本蚕糸会 蚕糸科学研究所 シルクだより 〒169-0073 東京都新宿区百人町3-25-1 TEL 03-3368-4865・4891 E-mail:[email protected](担当:三戸森研究員) FAX 03-3362-6210
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