2-1. 総説 外国人が日本に入国するには,査証(ビザ)の取得が必要です。但し,査証免除国の国 民が短期間,日本へ入国するのには査証は不要となっています。2011 年5月現在,日本政 府は短期滞在に限って 61 の国と地域に対し査証免除措置を行っており,国別や地域別に 在留期間が決まっています。日本へ入国時に入国審査官による審査が行われ,問題がなけ れば上陸が認められ,在留資格と在留期間が付与されます。入国審査時には専用機械によ る指紋検査や顔写真の撮影などの生体識別が行われています。 在留資格とは,日本国内での活動内容により 30 に分類されています。就労できる在留 資格や就労できない在留資格,身分関係に基づく資格などで構成されています。 「短期商用 等」の査証で日本に入国する場合, 「短期滞在」の在留資格が付与され,在留期間は 15 日, 30 日又は 90 日のいずれかが付与されます。 「短期滞在」の在留資格では就労することがで きませんが,市場調査,商談,駐在員事務所の開設,在日本支店の設立や日本法人の設立 などを行うことはできます。 日本で在日本支店の代表として,あるいは日本法人の役員として経営管理を行う場合, 「投資・経営」の在留資格を取得しなければなりません。又,駐在員として活動するには, 「企業内転勤」の在留資格を所得しなければなりません。これら「短期滞在」以外の在留 資格のことをこのガイドブックでは,便宜上「長期在留資格」と呼ぶことにします。 2-2. 短期滞在査証申請 2-2-1. 短期滞在査証申請のフローチャート 以下の内容は,中国人が日本入国査証を申請する際の手続きについてです。 旅券の取得 身元保証人の決定及び必要書類の準備 査証申請人に必要書類を送付 日本大使館,総領事館にて査証申請 査証(ビザ)取得 渡航,上陸審査 日本入国 16 福岡市に相談(一定の基準を満 たせば福岡市が身元保証人に) 福岡市が身元保証人にな り必要書類を交付 前のページのフローチャートのように,日本入国査証を取得するまでのおおまかな流れ を説明すると,①まず日本側で身元保証人を決定します。②身元保証人は,招へい理由書, 滞在予定表,身元保証書,招へい機関に関する資料を作成し,コピー各一部ずつを添えて, 海外にいる査証申請人に送付します。身元保証人には,一定の在留資格に係る外国人につ いて,その入国・在留関係の許可の申請に際し,申請人が滞在費や帰国旅費がないときの 支払及び申請人に日本国法令を遵守させることが求められます。一般商取引等で発生する 金銭等の保証人ではありません。③海外にいる査証申請人は,②の書類と旅券,写真を持 って日本大使館か総領事館にて査証申請を行います。なお,中国国内で査証を申請する場 合,日本大使館や総領事館が指定する査証申請代理機関に行うことになります。 2-2-2. 短期滞在査証の取得(福岡市が身元保証人になる場合) 中国の国籍をもつ方が日本に入国するためには,日本居住者による身元保証が求められ ます。福岡市では身元保証人がみつからないために,福岡市へ進出するための入国と調査 ができないという方に対して,一定の審査を行った上でその身元を保証し,入国できるよ うに支援しています。以下では,福岡市に拠点を設立するための在留資格取得について, 詳細に記述しています。 1.旅券の取得 調査するために日本に送る社員の旅券を取得して下さい。 2. 「短期商用等」査証の取得と入国 「短期商用等」の査証を取得します。 (1)進出検討企業は,次の書類を福岡市に提供して下さい。 ¾ 会社概要(営業許可書のコピーを含む) ¾ 会社の財務諸表 ¾ 対日ビジネスの意向書(想定している日本ビジネスなどを記載) ¾ 駐在予定者の履歴書 (2)福岡市は以上の情報を元に信用調査会社などを通じて調査を行い,基準をクリアす れば,福岡市が身元保証人となって,短期商用等査証の取得に必要な招聘理由書,滞在予 定表,身元保証書を発行し,進出検討企業に交付します。 (3)進出検討企業の来日予定者は,居住地を所管する日本大使館,総領事館において査 証申請を行って下さい。申請には福岡市が発行した上記の書類のほか,査証申請書,旅券 が必要です。その他に暫住書,職業を証明する書類,営業許可証のコピーが必要になる場 合があります。 (4)国有企業又は上場企業の役員や部長職の方は,数次査証の申請も可能です。 (5)通常,審査期間は書類の受理後1週間から1か月程度です。 (6)調査担当社員が日本に入国します。これで「短期滞在」という在留資格で,入国か ら許可期間(90 日,30 日,15 日)以内での日本滞在が認められます。 17 2-2-3. 短期滞在査証の取得(一般申請) 中国国内に在住している中国人の方が,短期商用の目的で90日以内の滞在という短期滞 在査証を申請する際の手続きの概要は次の通りです。 1.招へい人及び身元保証人の方は査証申請に先立ち,次の書類を準備して下さい。 (1)招へい理由書 招へい人の住所,氏名,連絡先と査証申請人の国籍,職業,氏名,性別,生年月日,招 へい目的,招へい経緯,申請人との関係を記入する書類です。申請人が複数の場合は,代 表者の身分事項を記入し,残りの申請人身分事項については全員分のリストを作成し,添 付して下さい。 (2)滞在予定表 査証申請人全員の滞在予定をできるだけ詳細に記述して下さい。例えば,××××年× 月×日×時××から××便で××空港着,××××年×月×日××会社と打ち合わせ,な どその日の予定を詳細に記入して下さい。また,毎日の連絡先と宿泊予定先も記入して下 さい。 (3)身元保証書 査証申請人の国籍,職業,氏名,性別,生年月日,年齢ならびに身元保証人の住所,職 業,氏名,生年月日,年齢,電話番号,申請人との関係(会社・団体等が招へいする場合 には担当者の氏名,所属先,電話番号も記入)について記入し,身元保証人が査証申請人 の①滞在費,②帰国旅費,③法令の遵守,について保証する書類です。申請人が複数の場 合は,代表者の身分事項を記入し,残りの申請人身分事項については全員分のリストを作 成し添付して下さい。招へい人が日本の中央府省庁の課長職または大学の教授以上の者で 業務上招へいする場合には省略してかまいません。 (4)招へい機関に関する資料 会社・団体概要説明書:会社・団体名,代表者氏名,所在地,資本金,年商,従業員数, 事業内容,沿革,国内外支店など一覧,今回の招へいにおける相手方との取引・交流関係 及び経緯を記入します。 1)法人登記済み機関の場合(国又は地方公共自治体の場合は不要) 法人登記簿謄本(発行後3か月以内のもの),しかし日本の株式市場上場企業の場 合は,最新版の会社四季報写しに代えて差し支えありません。 2)法人未登記機関の場合 次のうちいずれかの書類,①会社・団体概要説明書,大学教授による招へいの場合 は,在職証明書を代わりに提出して下さい。②案内状又はパンフレットなど招へい機 関の概要を明らかにする資料。 各種申請用紙の様式については,日本国外務省のホームページからダウンロードするこ とができます。 2.上記の書類とコピー1部を査証申請人に送付して下さい(日本外務省や日本大使館, 総領事館には送付しないで下さい)。なお,審査時の問合せなどに備えて,別途書類のコ ピーを取っておくことをおすすめします。中国での国内手続きに長期間を要する場合があ りますので,書類の作成,送付は可能な限り早めに行って下さい。 3.中国国内の査証申請人の方は,上記書類とは別に旅券,写真,その他必要書類を中国 18 国内で準備する必要があります。必要資料は申請の内容によって異なりますので,事前に 中国国内の日本大使館,総領事館にお問合せ下さい。 4.上記のすべての書類が揃いましたら,申請人の方は,居住地を管轄する日本大使館, 総領事館において査証申請を行って下さい(日本国内での申請はできません)。各提出書 類は,発行後3か月以内(有効期間の記載のある書類は有効期間内)のものを提出して下 さい。なお,申請時に提出した書類は旅券を除き返却できません。 5.申請が受理された後に,日本大使館,総領事館において審査を行います。また必要に 応じ,外務省において審査する場合もあります。 審査期間は申請内容により異なりますが, 受理後1週間から1か月程度です。この間,必要に応じ書類の追加提出を求められる場合 があります。 6.査証の有効期間は3か月です。査証の有効期間の延長はできません。なお,日本国内 に代理人を立て最初から長期在留資格を取得する方法もあります。日本国内の代理人によ り,駐在員として勤務するのに必要な「企業内転勤」等の在留資格認定証明書を取得して もらい,日本赴任予定者にこの証明書を郵送し,赴任予定者が日本大使館領事部または領 事館にこの証明書の原本を提出して査証申請を行います。この代理人には資格などに要件 がありますので,代理人を要望する方は福岡入国管理局,福岡市役所かこのガイドブック の発行者に相談して下さい。 また,何らかの理由で在留資格認定証明書を取得できない場合は,日本大使館,総領事 館に直接査証の申請をすることもできますが,この場合,査証審査の結果が出るまで相当 長期間を要する場合もあります。 2-3. 長期在留資格の申請 2-3-1. 就労ビザ申請のフローチャート 以下のように,日本にいる代理人(入国管理局から認定を受けた行政書士または弁護士) に在留資格認定証明申請を依頼して,交付された在留資格認定証明書を申請人に送付して もらい,在外日本公館で就労ビザの申請を行う方法以外にも,就労ビザ申請を行う本人が 「短期滞在」等の目的で滞在している場合には,本人が在留資格認定証明書の申請を行う ことも可能です。但し,追加資料の提出や在留資格認定証明書の受取に支障が出る場合が ありますので注意が必要です。また,在留資格認定証明書交付時に日本に滞在している場 合,日本国内で「短期滞在」等の在留資格から在留資格認定証明書で認定された就労資格 へ変更できる場合があります。 近年,在留資格認定審査が厳格化されていますので,代理人に依頼する場合は,打合せ を十分に行うことが重要です。 19
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