スポーツアスリートのブランド価値 -消費者ベースのブランド価値モデル- 大田 祐輝(競技スポーツ学科 スポーツビジネスコース) 指導教員 吉田 政幸 キーワード:アスリート、ブランド価値、サッカー日本代表 1. 緒言 フィーリングの 5 因子において、他の選手(遠 近年、日本においてスポーツアスリート(以 藤、中村、稲本、田中)よりも統計的に高い数 下アスリート)は製品や企業の広告塔として、 値を示した。本田はブランドロイヤルティの 4 消費社会に大きな影響を及ぼしている。近年で 因子でも行動的ロイヤルティと傾倒的ロイヤ は、消費者がアスリートに関して持っている知 ルティで他の選手よりも高い結果となった。 識、感情、経験、愛着を基にブランド価値を算 出することで、消費者とアスリートが持ってい ブランド ロイヤルティ るブランド力の詳細を説明することが求めら 行動 3.75 集団 3.27 れている。そこで、本研究は消費者の視点から アスリートのブランド価値を多次元的に測定 ブランド評価 5.31 し、アスリートと消費者との絆の強さを測るこ 客ベースのブランド構築モデルを理論的基盤 とした調査尺度を、日本サッカー代表選手のの ブランド力を測定できるように修正した質問 項目を用いた。2010 年 W 杯期間中に、滋賀県 にあるスポーツ単科大学の競技スポーツ学科 のクラスを履修する学生を対象として、授業の 最初の 10 分間を利用して 208 票を配布し、そ の場で回収した。 3. 結果 本研究では、W 杯に出場した代表選手 5 名 のブランド価値を測った。図 1 はその中でも最 も高い数値を示した本田圭佑の結果である。ブ ランド認知、パフォーマンス、イメージ、評価、 ブランドイメージ 5.20 ブランド認知 5.54 研究方法 基本属性に加えケラー(2003)が提唱する顧 ブランドフィーリング 4.36 ブランドパフォーマンス 5.41 とを目的とした。 2. 態度 3.39 傾倒 3.06 図1 本田のブランド価値の測定結果 4. 結論 結論として、本研究は消費者がアスリート に関して持つ知識、感情、経験を基にアスリ ートのブランド価値を多次元的に算出し、ア スリートと消費者の関係を説明したことか ら、スポーツマーケティング研究に果たす学 術的貢献度は高い。本卒業研究は、アスリー トのブランド価値を測定する研究の一助と して、役立つものと期待される。 【引用参考文献】 Keller, K.L. (2001). Building customer-based brand equity. Marketing Management,10(2),14-19.
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