記事 - 三重大学大学院医学系研究科薬理ゲノミクスHP

部・大学院を一貫した教育プログラムの試みがな
研究成果を報告し、他大学の学生や教員から多く
されています。たとえば、徳島大学MD-PhDコー
の関心と質問を受けていました。一方、最近MD-
ス、東京大学MD研究者育成プログラム、岡山大学
PhDコースを開始した和歌山医大前研究科長岸岡
ARTプログラムが、よく知られています。このよ
教授から、個人のライフスタイルに対応した多彩
うな厳しい状況の中で第二回医学研究学生フォー
なプログラムの紹介がありました。また全国的に
ラムが、三重大学環境・情報科学館で2013(平成
もフロンティアの一校である徳島大学の勢井教授
25)年12月21に開催されました(写真)。第一回
からは徳島大学グローバル・ステップアップ・プ
は、2013(平成25)年3月27日に奈良医大で開催
ラン(MD-PhDプログラム)の長年にわたるご苦
されました。また第三回は、2014(平成26)年に
労の情熱的なご講演が、多くの関心を引き寄せま
和歌山医大で開催予定です。三重大学環境・情報
した。その直後、このプログラムに参加している
科学館での第二回医学研究学生フォーラムは、緒
研究学生から成果報告があり、先進校の実績とし
方研究科長、竹村教務委員長、山崎大学院委員長、
て徳島の地に開花していることが明らかになりま
堀副学長、橋本監事、野阪教授、島岡教授、太城
した。いずれにしましても、全国的に厳しい社会
講師などのご参加をいただきました。さらに学外
状況は改善していく気配が希薄なので、各医学校
からは、岐阜大学、京都大学、奈良医大、和歌山
がそれぞれの状況を克服しながら一人一人の研究
医大、大阪市立大学、神戸大学、岡山大学、徳島
医を大切に育成し、グローバルに生き残るまとも
大学などから医学科学生や教員のご参加がありま
な医学校の研究医育成システムを再生するための
した。三重大学からは、医学科6年生今君、3年
たゆまない努力が不可欠である事を、確認できま
生植田君、2年生村上君、1年生芦川君が日頃の
した。
第二回医学研究学生フォーラム
全世界全分野518名の一人として中国政府研究賞を受賞
基礎医学系講座薬理ゲノミクス教授田中利男
大使館が中国教育部に推薦し、申請者の研究課題、
中国政府研究賞《国家優秀自費留学生奨学金
CHINESEGOVERNMENTAWARDFOR
科学研究の成果、学術論文レベル、発展潜在力、
OUTSTANDINGSELF-FINANCEDSTUDENTS
海外指導教員推薦、在外大使館の審査意見などの
ABROAD》は中国政府により2003年から開始され
評価に加え、研究領域の分布状況や同じ研究分野
た制度で、中国から全世界への自費留学している
の専門家の審議により総合評定されます。2013年
優秀な学生に授与されてきました。アメリカ、日
は全世界で518入だけに、日本全国の全研究領域
本、英国、カナダなど世界中29力国で中国の在外
で、わずか29人のみ授与されましたが、本学大学
一29一
院医学系研究科博士課程4年生の張貝貝君が、そ
す。その成果は、日本ケミカルバイオロジー学会
の一人として受賞しました。張貝貝君の研究論文
等に報告し、今回の博士論文に発展させました。
タイトルは、『QuantitativePhenotyping-Based
中国でもゼプラフィッシュ創薬は急激な展開をし
in四脳oChemicalScreeninginaZebra丘shModel
ており、ゼブラフィッシュベンチャー会社であ
ofLeukemiaStemCe]1Xenotransp]antation』で、
るHunterBiotechnology社が急成長しております。
PLOSONEに2014年1月15日掲載されました。張
これらのグローバルな研究開発動向も、今回の受
貝貝君は、2010年10月に、本学国際交流協定校で
賞に繋がったと思われます。現在は、新しい白血
ある広西医科大学修士課程修了後、国際推薦留学
病幹細胞阻害薬を発見し、その作用機序を解析し
生として本学医学系研究科博士課程に入学しまし
ております。さらに、2014年9月に本学大学院修
た。その後、まじめな研究生活を継続して、土日
了後、米国かヨーロッパでのボスドク研究生活を
や盆正月のゼブラフィッシュ餌やり等も嫌がらず
計画しております。
積極的に取り組み、続々と研究成果を出していま
○
2013年HighBloodPressureResearchScientificSession(AHA),
NewInvestigatorTravelAwardforJapaneseFellowsを受賞して
修復再生病理学下條尚志
世界最大規模の医学系学会である米国心臓協会
(AHA)高血圧部会主催の年次総会です。臨床と
基礎を統合したセッションを設け、両者を関連付
けるようなプログラムから構成されています。そ
して、活発な議論ができるように質疑応答に多く
の時間を割いているため、ネットワークを構築す
るチャンスが豊富にある学会ともいわれています。
今回、私達は病態形成時に発現するテネイシンーC
(TN-C)の遺伝子欠損マウスを使って高血圧モ
デルを作製し、心血管周囲における線維化進展の
分子メカニズムを検証しました。その結果、アン
この度、2013年9月11-14日に米国ルイジァ
ナ州ニューオーリンズにて開催されましたHigh
ジオテンシンllを負荷したTN-Cノックアウトマ
BloodPressureResearch(HBPR)Sc三entific
ウスでは血管周囲に起こる線維化が有意に抑えら
Session2013(Chair,Dr.ChristopherS.Wilcox
れることがわかりました。線維化とは、組織の傷
より授与)にてNewInvestigatorTravelAward
害部位への線維芽細胞の遊走・増殖と細胞外基質
forJapaneseFellowsを受賞させていただきまし
の沈着によって行われることを指します。・漫性炎
た。受賞演題は、「Tenascin-Cworsensmyocardial
症など長期的に組織傷害が持続する場合、過度の
inflamrnationandfibrosisbyenhancing
線維化増生により組織の機能は著しく低下するた
macrophageactivationviaNF一κBinmouse
め、線維化の制御は臓器機能維持につながると考
hypertensiveheart」です。
えられています。TN-Cと線維化の関連性は当研
HBPRとは、アメリカ合衆国に活動拠点を置く
究室をはじめとして世界中で報告されていますが、
一30一
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