朝日中央綜合法律経済事務所グループ http://www.ac

ASAHI CHUO
一定の医薬品についてインターネットによる販売を禁止する薬事法施行規
則の規定が無効であることを理由として、原告らがインターネットにより医
薬品を販売する権利を有することを認めた高裁判決。
本件は、一定の医薬品について、インターネットによる販売を禁止した薬事
法施行規則の規定(以下「本件規定」という。)が制定されたところ、インタ
ーネットによって医薬品を販売していた原告らが、本件規定は法律の委任なく
国民の権利を制限するものであり、無効であるとして、当該医薬品をインター
ネットによって販売する権利があることの確認等を求めた事案である。
主な争点は、医薬品の販売方法を厚生労働省令に委任する薬事法の規定が、
インターネットによる一定の医薬品の販売を一律に禁止することを委任する趣
旨と認められるかどうかである。
本判決(東京高等裁判所平成24年4月26日判決)は、薬事法36条の5
及び同法36条の6の規定がインターネットによる一定の医薬品の販売を一律
に禁止することまでを委任したものとは認められないことを理由に、本件規定
が法律の委任によらないで国民の権利を制限する省令の規定であり、国家行政
組織法12条3項に違反すると判示して、原告敗訴の第一審判決を取り消し、
原告の請求を認容した。
本件の第一審判決(東京地方裁判所平成22年3月30日判決)は、薬事法
36条の5及び同法36条の6の規定の趣旨が、一定の医薬品の安全性の確保
のために当該医薬品のリスクを専門的技術的な判断に基づき定めることにある
ことにかんがみると、本件規定が当該医薬品について販売及び情報提供の方
法・態様を具体的に定めた結果としてインターネットによる販売ができなくな
るとしても、それは薬事法の委任の趣旨に沿った規制に必然的に随伴する結果
として薬事法の委任の範囲に包含されているとして、本件規定を有効と判示し、
原告らの請求を棄却していた。
朝日中央綜合法律経済事務所グループ
http://www.ac-law.jp