AnSn3 の電子構造とフェルミ面 〜An=Th, U, Np, Pu〜 琉大院理,琉大理 A 立津慶幸,眞榮平孝裕 A Electronic structure and the Fermi surface of AnSn3 Graduate school of Engineering and Science, University of the Ryukyus Faculty of Science, University of the RyukyusA Y. Tatetsu and T. MaehiraA 強相関電子系と呼ばれる電子同士の相互作用が非常に強い分野では, 4f , 5f 電子が引き起こす非常に興味深い物理的現象が数多く発見されている. この 4f , 5f 電子の振る舞いを明らかにすることは強相関電子系において最 重要課題である. PuSn3 AnSn3 (An=Th, U, Np, Pu)は, 立方晶 1.0 AuCu3 型(空間群は Pm3m) の結晶構造を 持つ物質であり, この結晶構造を持つ U, Np 化合物に対する理論的・実験的な研究 EF 0.5 は数多く成されている[1]. これらの物質 群の多くは, 強相関電子系に特有の大き な電子比熱係数や, 磁気秩序状態が観測 0.0 されている. 一方で, Th および Pu 化合物 に関する研究はほとんど行われていない. M X M R X R そこで今回, この物質群に対する 5f 電子 Z T S 図:理論的に導いた PuSn3 のバンド構造 の振る舞いを調べることを目的に, 理論 的な立場から AnSn3 の電子構造を計算した. 図は相対論的線形化 APW 法,局所密度近似に基づく交換・相関ポテンシ ャル,Muffin-Tin 近似,遍歴 5f 電子モデルにより得られた PuSn3 のバンド構 造である. フェルミレベル EF 近傍においてスピン-軌道相互作用により j = 5/2 と 7/2 の 2 つに分裂した 5f バンドが見られる. フェルミ面は 2 枚存在し, Γ点を中心とした小さな立方体からなるホール面, X 点中心の 12 個のダン ベルおよび M 点中心の 3 個のヒトデに似た形状の電子面で構成される. 講演では, 理論計算により導いた AnSn3 のフェルミ面および状態密度に ついても議論する. Energy [Ryd.] [1] D. Aoki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 75 (2006) 084710.
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