「汚名」:STAFF&CAST 監督 アルフレッド・ヒッチコック(1899~1980)

「汚名」
:STAFF&CAST
監督☆アルフレッド・ヒッチコック(1899~1980)
特 徴:一貫して、スリラー・サスペンス映画を手掛けた。映像の大胆な駆使、小
道具の巧みな使い方、美女好み、センスあるユーモア感覚などで現在でも
圧倒的支持を受けている“スリラーの神様”
。
経 歴:ロンドン大学で美術を専攻し、広告代理店で商業デザインをやった後、ロ
ンドン撮影所で字幕書きになった。’21 年から監督となり、’26 年に「下宿
人」で初めてスリラーを手掛けた。’40 年にハリウッドに招かれて「レベ
ッカ」を監督し、以降世界に知られた“スリラー映画の神様”となった。
フランソワ・トリュフォー、ブライアン・デ・パルマなど、当代一流映画
作家の中にも、ヒッチコックの影響を受けている人は多い。
代表作:(‘45)白い恐怖 (’54)ダイアルMを廻せ、裏窓 (’55)泥棒成金 (’59)北北西
に進路をとれ (’60)サイコ (’63)鳥
受 賞:’67 年度アカデミー賞のアービング・サルバーグ(特別)賞。
出演者☆イングリッド・バーグマン(1916~1981)
経 歴:スウェーデンの王室演劇学校に学び、同国とドイツの映画に出演後、ハリ
ウッドに招かれ、40年代初めに美貌と演技力でスターとなった。既に結
婚していたが、’50 年にイタリアのロベルト・ロッセリーニに走り、一大
スキャンダルとなった。以降、夫の映画に出演、離婚してからはアメリカ・
ヨーロッパ映画に復帰し、名性格俳優といわれるようになった。
代表作:(’42)カサブランカ (’43)誰ために鐘はなる (’48)凱旋門 (’88)秋のソナタ
受 賞:
「ガス燈」(’44)、
「追想」(’56)、
「オリエント急行殺人事件」(‘74)でオスカー。
出演者☆ケリー・グラント(1904~)
経 歴:イギリスでミュージカル・コメディに端役出演していたところを発見され、
ブロード・ウェイへゲーリー・クーパーの後継者として売り出すが、どこ
か楽天的な軽妙さをヒッチコックに引き出されスターとなった。このコン
ビには傑作が多い。
代表作:(‘41)断崖 (’55)泥棒成金 (’59)北北西に進路をとれ (’63)シャレ-ド
受 賞:’70 年度アカデミー賞の特別賞。
ヒッチコックの作品は、批評するほどあまりたくさん見ていないけれど、
「汚名」
は傑作だと想う。この映画に関して言えばシナリオの一場面ごとに、この場面はどう
いうカメラワークだと効果が出るか、ということについてはヒッチコックは天才だと
想う。正直言って映画が終わった時、あっという間に終わり、いかに自分が「汚名」
に夢中になっていたかを知った。でも、本当にカメラの使い方がうまかった。例えば、
バーグマンが毒薬入りのコーヒーを毎日飲んでいくシーンである。セリフの上ではコ
ーヒーに毒薬を入れて殺すなんていうことははっきり出てこないのに、コーヒーカッ
プのアップの連続でわかってしまった。他にも、ハラハラさせるところではアップを
うまく使って、サスペンスを盛り上げていたと思う。
「汚名」ではヒッチコックの遊戯
を十分に堪能させてもらった。
松
浦
私はこの映画を今年の2月に、’83の最初の作品として見たのですけれど、当時の
私は明るい映画にも飽き、ちょっと重みのある、古いセピア色の映画を見たいナと思
っていたのでした。そこでこの作品がマアよさそうなンじゃないかナ、バーグマンの
作品見たことなかったし、ヒッチコックだし、モノクロ映画だし、それに「汚名」と
いう題名のちょっとミステリアスな響きにも興味を持ったし。そういうわけで映画館
に行ったのですけど、まさにこの作品は私の欲求を満たしてくれたのでした。シーン
のつなぎめに思わずクスッとなるようなカットを入れたり、ヒッチコックのソツのな
い手法も見逃せません。
もう多くは語りませんけど(というより、今日10/8、あと6分で3限が始まっ
てしまうのです)
、とにかく面白い映画だということです。
橋 本
映画館で白黒の映画を観たのは、あの「エレファント・マン」以来です。最近は映
画、T.V、また街の看板、歩いている人の服までやたらカラフルですよね。そういう
のに目が慣れているせいか、白黒の良さを久し振りに味わいました。 白黒にもかか
わらずバーグマンのあの美しさ、すごいナ…。やはりカラーとは違う白黒の良さでし
ょうか…。あっ!そういえばこれを観て「ローマの休日」を思い出しました。あれも
すてきだったナ…。
スパイのためとはいえよく結婚するナ…とか、不自然だナ…なんて思うこともあり
ましたが、観てるうちにそんなことはどうでもよくなるんですね…。だんだん夢中に
なってきちゃって…。
バーグマンがベッドでうつろな目をしているシーン。このまま死んでしまうのだろ
うか…いや、助けに来てくれる…きっと…と思っていると、やっぱりケリー・グラン
トがさっそうとあらわれ、助けてくれるんですね…。よかった…ほっとした…という
感じで終わったのはいいですけど、なぜか私は気になるのです。あの取り残されたア
レックスという人と年とったお母さんが…なんか心のこりです…。
最後に、
なんで外人さんってキスするのがあんなにうまくてきれいなんだろう…と、
変なところに感心してしまいました。日本人のキス・シーンってみてると、なんか息
がつまってきそうな感じになるけど、この映画のキス・シーンは全然そんなこと感じ
させない。やっぱり、むこうの人は日常茶飯事だからかな…。
この映画、すごい手のこんだ機械やお化け、すばらしい音楽など、目新しいものが
出たわけではないけど、なんかやはり素敵でした。またもう一度くらい、ゆっくり観
てみたいナ…。
お粗末ではありますが、感想とさせていただきます。
1年 黒沢