AIMDを用いたIP-VPN 間公平性制御機構 大阪大学 大学院基礎工学研究科 本田 治 大阪大学 大学院情報科学研究科 大崎 博之,今瀬 真 日本電信電話株式会社 NTT 情報流通プラットフォーム研究所 村山 純一,松田 和浩 1 もくじ 背景 研究目標 公平性制御機構 I2VFC実現のアイデア I2VFCの動作アルゴリズム シミュレーションによる評価 まとめと今後の課題 2 背景 IP-VPN(IP Virtual Private Network) 既存のIPネットワークを利用 仮想的な専用回線を構築 サービスプロバイダが提供するIP-VPN PPVPN (Provider Provision VPN) 公平なIP-VPNサービスが求められる IPネットワークはベストエフォート型 IP-VPNの顧客間の公平性が必要 既存のトラヒックエンジニアリング技術では解決しない 3 研究目標 PPVPN のフレームワーク上で公平なIP-VPNサービ スを実現 VPN間公平性を実現 IP-VPNを構築するサイト間の公平性 VPN内公平性を実現 同一サイト内のエンドユーザ間の公平性 既存のIPネットワークへの導入が容易 転送速度/VPN数に対して高いスケーラビリティを実現 4 関連研究 文献[1] DiffServネットワークを前提 提案する帯域ブローカ(BB)でVPN間公平性を実現 我々の制御機構との違い コアルータのDiffServへの対応 → コスト増加 [1] I. Khalil and T. Braun, Edge Provisioning and Fairness in VPN-Diffserv Network , JNSM, 10(1):11-38,March 2002 5 VPN間公平性を実現 あるVPNの大量のトラヒックが他のVPNの帯域を圧迫 公平性の基準はプロバイダの考え方次第 e.g. 契約料が多いVPNは優先 VPNフローのスループットの比をプロバイダが規定可能 「VPNフロー」 = 「同じVPNに収容されているフローの集合」 VPN 青 VPNフロー 青 (スループット→60Mbps) サイト サイト IP network VPNフロー 赤 サイト (スループット→120Mpbs) (VPNフロー青のスループット):(VPNフロー赤のスループット)=1:2のとき公平と規定 サイト VPN 赤 6 VPN内公平性を実現 VPNの利用者間での公平性も必要 VPN内での帯域の配分は顧客が決定すべき事柄 VPN内で特定のフローのスループットが不当に低下しない 特定のフローのスループットが不当に低下しない VPN 青 サイト サイト IP network 7 既存のIPネットワークへの導入が容易 IP-VPNの普及要因 既存のIPネットワーク上に構築可能(低コスト) 既存のネットワークのインフラの変更を最小限 コアルータは変更しない コアルータは高価 かつ プロバイダの管理下にないこともあるため プロバイダエッジルータのみ変更 エッジルータは安価 かつ プロバイダの管理下にあるため カスタマエッジルータは変更しない プロバイダの管理下にないため 8 転送速度/VPN数に対して高いスケー ラビリティを実現 ネットワークの帯域の大容量化 数Gbpsから数十Gbpsへ VPN数の増加 個人単位でIP-VPNを利用も想定 VPN数が多くても高速なネットワークに対応可能 ハードウェアベースでの実装が必要 9 提案する公平性制御機構(I2VFC) 実現の基本的アイデア IP ネットワーク VPNごとにフローを集約 出側PEルータ サイト サイト 出側PEルータ 入側PEルータ VPNフロー サイト サイト PEルータ間でのAIMD型の ウインドウフロー制御 エンドエンド間でのフロー制御 (e.g. TCP-Reno) 10 AIMD (Additive Increase Multiplicative Dcrease)型のウインドウフロー制御 AIMDアルゴリズムに基づいてウインドウサイズを増減 ネットワーク中で輻輳(パケットの棄却)が発生していない ウインドウサイズを加算的に増加 ネットワーク中で輻輳(パケットの棄却)が発生 ウインドウサイズを乗算的に減少 定常状態におけるスループットTが既知[4] T ・・・・(1) a: 1ラウンドトリップ時間あたりのウインドウサイズの増加量 b: ウインドウサイズの減少量 R: ラウンドトリップ時間 p: パケット棄却率 [4]S. Floyd, M. Handley and J. Padhye, A comparison of equation-based and AIMD congestion contorol , Feb.,2000, available at http://www.aciri.org./tftc/ 11 VPN間公平性実現のアイデア VPNフロー毎にAIMD型ウインドウフロー制御を適用 ラウンドトリップ時間とパケット棄却率を測定 ウインドウサイズの増加量と減少量をVPNフロー毎に設定 VPNフローiとVPNフローjのスループットの比η η ・・・・(2) :VPNフローiの1ラウンドトリップ時間あたりのウインドウサイズの増加量 : VPNフローiのウインドウサイズの減少量 :VPNフローiのラウンドトリップ時間 :VPNフローiのパケット棄却率 : : 12 VPN内公平性実現のアイデア エンドエンド間で動作するTCP-Renoを利用 インターネット上の多くのトラヒックはTCP-Renoを利用 VPNフローを構成するフロー群は同一経路を通る ラウンドトリップ時間とパケット棄却率が等しい TCP-Renoの性質 ラウンドトリップ時間とパケット棄却率が等しいフローのスループット は等しい TCP-Renoを用いるフロー間でスループットが等しい I2VFCによる制御をTCP-Renoより緩やかに TCP-RenoとABRの制御の相互干渉が指摘 TCP-Renoの制御とI2VFCの制御の相互干渉を回避 13 既存のIPネットワークに容易に導入 可能を実現するアイデア 入側PEルータと出側PEルータ間でのみ制御 14 転送速度/VPN数に対して高いスケー ラビリティを実現するアイデア VPNフロー単位の制御 フロー単位の制御はVPN数が増加すると高負荷 再送制御などの特殊な制御は行わない 単純な制御にする [5]http://www.iready.com/Technology 15 I2VFC の基本的動作 AIMD型のウインドウフロー制御 入側PEルータのパケット送信数を制御 ウインドウサイズを更新 制御に必要な情報を取得 管理パケットを入側PEルータと出側PEルータで交換 パケット棄却率とラウンドトリップ時間を取得 管理パケットの交換 入側PEルータ IP ネットワーク AIMD型の ウインドウフロー制御 出側PEルータ 16 シミュレーションによる評価 (シミュレーションの目的) I2VFCの性能を明らかに VPN間公平性をどの程度実現できるのか ウインドウサイズの増加量,減少量とVPN間公平性の関係 17 シミュレーションによる評価 (シミュレーションのトポロジー) VPN フロー1 ボトルネックリンク(50Mbps) VPNフロー2 バックグランドトラヒック(15Mbps) 追加遅延発生器 (OPNETのインターネットを 模したオブジェクト) OPNET9.1Aでシミュレーションを実行 18 シミュレーションによる評価 (シミュレーションの設定) 公平性の定義 VPNフローのスループットが順に1:2:2:3:4のとき公平 各VPNフローは異なるラウンドトリップ時間 様々なウインドウサイズの増加量と減少量を設定 公平性の評価基準 :VPN フローiのスループット :VPN フローiのスループットの重み N :VPN フローの総数 完全に公平( が全て等しい)ならF=1 公平性が低下するにつれFが0に近づく 19 シミュレーションによる評価 (シミュレーション結果:a可変,b固定) 1 0.99 0.98 0.97 公平性 F 0.96 a=0.01∼0.09 a=0.05∼0.45 a=0.1∼0.9 a=0.5∼4.5 0.95 0.94 0.93 0.92 0.91 0.9 0.01 0.05 0.1 0.25 0.5 ウインドウサイズの減少量 b 20 シミュレーションによる評価 (シミュレーション結果:a固定,b可変) 1 0.99 0.98 0.97 公平性 F 0.96 b=0.012∼0.1 b=0.031∼0.25 b=∼0.5 0.95 0.94 0.93 0.92 0.91 0.9 0.01 0.05 0.1 0.5 1 ウインドウサイズの線形増加量 a 21 まとめと今後の課題 まとめ 公平なIP-VPNサービスを実現するI2VFCを提案した I2VFCの設計目標を議論した I2VFC実現のアイデアを議論した I2VFCがVPN間公平性が実現できることを示した シミュレーションについて述べた 今後の課題 過渡特性,スケーラビリティなどの評価 制御のパラーメータの自動設定機構の考案 22
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