国際会計基準(IFRS)人材の年収

2011.4.28
グローバルホワイトカラー人材マーケット
調査レポートシリーズ
No.5
Research Paper Series of Global White-collar Talent Market No.5
国際会計基準(IFRS)人材の年収
Annual Income of IFRS Talent
黒沢 敏浩 Toshihiro KUROZAWA
(株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント
フェロー
Fellow - JAC Recruitment Co., Ltd.)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<概要>
2009 年 6 月の金融庁企業会計審議会の「我が国における国際会計基準の取り扱いについて(中間報告)」
で、早ければ 2015 年の国際会計基準(以下「IFRS」)
(※1)の強制適用(アドプション)が提起され、
IFRSへの対応が注目を浴びるに至った。その後、IFRSに関して、多くの企業が人材採用を含め対
応に取り組み始めているが、IFRS人材の年収について調査したものは未だ存在しない状態にある(※2)。
そこで、該当分野で豊富な実績を持つデータ(※3)により、今回、日本初になる年収の統計を作成した。
その結果、「事業会社・外資」の区分では、30 代の中央値が 650 万円、40 代が 910 万円、「事業会社・
日系」では、20 代が 450 万円、30 代が 700 万円、40 代が 1,000 万円、
「監査法人」では、20 代が 610 万
円、30 代が 830 万円、40 代が 950 万円となった。
企業にとっては、経験者採用の場合、①外資系企業での実務の経験者を採用する、②待遇をしっかり準
備して日本企業のIFRS対応プロジェクト参加者を採用する、③監査法人での経験者を採用する、とい
った選択肢がある。
<Abstract>
Business Accounting Council in Japan FSA reported that IFRS mandatory adoption in 2015 at the earliest.
Enforcement of IFRS talent is important for listed companies of security market in Japan. In spite of the
importance, there is no statistics about annual income of IFRS talents. So, I research annual income of IFRS talent
first in Japan.
Main findings are following; Median of 30s income in industrials (non-audit, non-consulting) foreign company is 6.5
million (M) Japanese Yen (JPY) per annual. 40s is 9.1MJPY.
20s in industrials Japanese company is 4.5MJPY.
30s is 7.0MJPY. 40s is 10.0MJPY. 20s in audit firm is 6.1MJPY. 30s is 8.3MJPY. 40s is 9.5MJPY.
Important points in hiring IFRS talents are following; 1. Hire candidates with experience of accounting under IFRS
in foreign company. 2. Hire candidates with experience of IFRS Project in Japanese company in enough
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compensation. 3. Hire candidate with experience of audit or consulting under IFRS in audit firm.
キーワード: 国際会計基準、 国際財務報告基準、 IFRS、 経理、 年収
明らかにすることとした。
目次
I
はじめに
II
調査の方法
材の年収相場を調査し、今後の企業・経理パーソ
III
調査結果
ン・日本社会にとっての参考にしたいと考えてい
IV
おわりに
る(※7)。
V
注
経理関連職種におけるIFRS関連実務経験人
II
I
はじめに
調査の方法
当社への登録のあったデータを元に調査した
グローバルな金融市場の展開の中で、国際的な
(※8)。なお、当社は、経理関連求人ポジション
会計基準の収斂(コンバージェンス)が進みつつ
について、人材紹介会社では国内最大級の求人数
ある。現在のグローバル金融市場の働きについて
を保持しており、経理マーケットの現状をかなり
は世界同時不況を招いた等賛否両論あるが、企業
反映していると推測される。
2010 年 1 月 1 日から、2011 年 4 月 15 日までの
活動自体のグローバル化が進む以上、金融につい
新規登録者のデータを対象としている。
ても共通化が進むのはある程度普通の流れかと思
「経理・財務・経営企画」の職種の人材のうち、
われる。
その中で、2009 年 6 月に金融庁企業会計審議会
IFRS の実務経験が、面談等コメントの「特筆すべ
が公表した「我が国における国際会計基準の取り
き事項」に明瞭に含まれるものを IFRS 関連人材と
扱いについて(中間報告)」において、IFRSに
定義している(※9)。
関して早ければ 2015 年の強制適用(アドプショ
III 調査結果
ン)を 2012 年を目処に決定するという案は、実際
2010 年 1 月 1 日から 2011 年 4 月 15 日の間に新
の導入準備(※4)を考えるとあまり時間が無い点
もあり、大きな衝撃をもたらした。
規登録された当社経理関連人材のうち、
「特筆すべ
強制適用が高い可能性で予想されたことにより、
き事項」にIFRSが含まれている人材を抽出し、
区分したところ、図 1 のような結果となった。
経理関連の仕事における新しいスキルの要求がも
たらされた。IFRSへの対応は多くのコストが
図 1 の見方は、次のとおりである。箱ひげ図(Box
予想される上、そのコスト抑制には早めの対策が
Plot)の中で、下から順に、最小値、最小値からの
有効と考えられるからである(※5)。しかしなが
第 1 四分点(25 パーセンタイル)、中央値(メディ
ら、IFRS関連の実務経験を持つ人材はまだ少
アン)、第 3 四分点(75 パーセンタイル)、最大値、
ない(※6)。
となっている(※10)。縦線部が、最小値から最大
この希少な存在としてのIFRS実務経験人材
値の幅、円柱部が、第1四分点から第3四分点の
の年収相場がどうなっているのか、今回、初めて
幅、横線の部分が、中央値となっている。これら
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図1 IF RS人材の年収
1,780
3,000
1,500
1,400
1,400
1,300
1,225
1,175
1,200
1,160
1,100
現在年収(万円)
1,100
1,000
1,400
1,000
1,000
960
950
900
910
837
900
800
830
800
798
700
680
650
600
570
500
700
700
690
563
480
500
450
450
400
400
390
350
300
30代
40代
事業会社・外資
20代
677
610
600
615
600
500
800
725
30代
40代
事業会社・日系
20代
30代
40代
監査法人
は、100 人いた場合、年収の低い方から並べて、1
験、と定義している。そのため、IFRS 基準で自社
番目が最小値、25 番目が第1四分点、50 番目が中
の決算を行う外資系金融機関等は、ここでは「事
央値、75 番目が第3四分点、100 番目が最大値と
業会社」として区分している。監査法人について
いう意味である。実際の例を当てはめて説明する
は、互いの人材の流動性も高く、外資系と日系で
と、図の一番左端、「事業会社・外資」
「30 代」で
の違いがあまり大きくないことが予想されるため、
は、最小値が 500 万円、第1四分点が 570 万円、
外資・日系の区分を行わなかった。外資系と日系
中央値が 650 万円、第3四分点が 837 万円、最大
については定義が諸説あるが、ここでは便宜上、
値が 1,000 万円ということになる。
外国に親会社がありレポーティング(報告)する
カテゴリーは、次のように区分して集計した。
ものを外資系企業、日本が本国であるものを日系
まず事業会社と監査法人に分け、事業会社を外資
企業として区分した。文中で「日系企業」
「日本企
系企業と日系企業(日本企業)に区分した。その
業」と呼ぶ場合、同じものを指している。なお、
後、年齢で区分している。「事業会社と監査法人」
区分しにくい存在は今回あまり確認されなかった
については、自社の決算を行う立場にある事業会
(※11)。
社でのIFRSでの実務経験と、クライアント(顧
年収は、前年の全年収の額面を指している。ま
客)に対して IFRS 基準での監査や IFRS 関連のコ
た、離職中などで前年度の年収がない場合、在職
ンサルティングを行う監査法人での IFRS 実務経
時の年収と定義している。賞与、時間外手当、そ
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4 点目は、年齢が高くなるほど中心部のばらつき
の他の手当は含まれる。不労所得は含まれない。
結果は、図1のようになった。
「事業会社・外資」
が大きくなるという点である。全てのカテゴリー
では、30 代の中央値が 650 万円、40 代が 910 万
において、第 1 四分点から第 3 四分点までの幅が、
円、「事業会社・日系」では、20 代が 450 万円、
年齢層が高くなるほど開いている。具体的には、
30 代が 700 万円、40 代が 1,000 万円、
「監査法人」
第3四分点の年収から第1四分点の年収を引いた
では、20 代が 610 万円、30 代が 830 万円、40 代
値は、
「事業会社・外資」では、20 代が 267 万円、
が 950 万円である。
30 代が 495 万円、「事業会社・日系」では、20 代
この結果で興味深い点は次の 7 点である。
が 90 万円、30 代が 185 万円、40 代が 427 万円、
1点目は、年齢ごとに年収が高くなっている点
「監査法人」では、20 代が 162 万円、30 代が 283
である。具体的には、中央値を比較することで明
万円、40 代が 360 万円となっている。これは年齢
確になる。
「事業会社・外資」では、30 代の中央値
が高まるほどキャリアが多様化するということを
が 650 万円に対し、40 代では 910 万円と高くなっ
考えると、妥当な結果であると思われる。また、
ている。また、
「事業会社・日系」では、20 代の中
年収が高めになるほど、企業規模等の影響を受け
央値が 450 万円、30 代が 700 万円、40 代が 1,000
ることも、この背景にあるだろう。
万円となっている。
「監査法人」では、20 代が 610
5 点目に、外資系と日系で比べた場合、「同じ年
万円、30 代が 830 万円、40 代が 950 万円となっ
齢層で、日系の方が外資系より給与レベルが高い」
ている。また、円柱部の位置関係で比較しても、
という点である。具体的には、30 代に関して、
「事
全ての第 1 四分点および第 3 四分点が、同一カテ
業会社・外資」の中央値は 650 万円であるのに対
ゴリー内において、年齢順に高くなるように分布
し、
「事業会社・日系」は 700 万円であり、高くな
している。これに関しては、年齢と関連キャリア
っている。また、40 代では、
「事業会社・外資」は
の年数が一致しているケースも多く、多くの要因
910 万円であるのに対し、「事業会社・日系」では
が関係する妥当な結果がでていると考えられる。
1,000 万円となっている。これに関しては、通常は
2 点目は、各区分の年収は他の区分と重なってい
「福利厚生面(社宅・退職金等)を考慮しない年
るという点である。年収に関しては企業毎や本人
収の額面で見た場合、年収は外資系の方が高い」
毎により大きく異なっているということを反映し
傾向があるのに対し、逆転しているという点で、
ている。最小値から最大値までの幅を見てみると、
大変興味深い現象である。この背景には、外資系
どのカテゴリーでも非常に多くの部分が重なって
企業におけるIFRS実務経験は、以前から運営
いる。
しているIFRS(※12)に基づく経理処理・決
3 点目に、重複具合に関して、特に第 1 四分点か
算処理などであるのに対して、日本企業における
ら第 3 四分点に掛けて、
「事業会社・外資」と「監
IFRS実務経験は、IFRS対応プロジェクト
査法人」は比較的重なっているのに対し、
「事業会
での経験ということで、特に選ばれた有力な役職
社・日系」は重なりが小さい。これは、
「事業会社・
者や有力なメンバーが選ばれていることが背景に
日系」が比較的年齢と年収の相関が高いのに対し
ある。
て、
「事業会社・外資」「監査法人」が相対的に年齢と
6 点目に、監査法人での経験者は、30 代での年
年収の相関が低いことを反映していると考えられ
収が高いということである。具体的には、30 代の
る。
「監査法人」は、中央値が 830 万円と、
「事業会社・
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外資」の 650 万円、
「事業会社・日系」の 700 万円
も頼りになる点がある。今回の調査で、外資系企
に比べて高い数値になっている。但し、監査・コ
業でのIFRSの経験者の年収が他の選択肢に比
ンサルティングサイドからは、事業会社サイドへ
べて、意外と低いことが判明した。ここから採用
移りたいという希望がある人材も多く、年収が下
するということは、一つの考えられる選択肢とな
がる形で採用することも可能である。実際に年収
るであろう。なお、日本企業の 20 代の中心部分(第
を下げての採用に成功している事例も多い。事業
1 四分点の 390 万円から第 3 四分点の 480 万円)
会社サイドへ移りたい理由は、自分の会社の立場
給与で、外資系の優秀な経験者を採用するのは、
で仕事をしたいという場合と、監査法人での激務
厳しい状況にある。この水準で採用する場合は、
を緩和したいという理由とがある(※13)。
IFRSの経験には特にこだわらないことがまず
7 点目に、監査法人での経験者の給与は、40 代
必要だろう。
なると、他業界並みに落ち着くということである。
第2に、日本企業でのIFRS対応プロジェク
具体的には、
「監査法人」の 40 代の中央値は、950
ト経験者の採用である。IFRS対応プロジェク
万円と、「事業会社・外資」の 910 万円、「事業会
トそのものを経験しているので、IFRS対応時
社・日系」の 1,000 万円と比べても、あまり変わ
の課題と対策について、そのまま経験を活かして
らない額となっている。この年代まで来ると、監
もらうことが期待できる。但し、他社でIFRS
査法人でのポジションが、一握りのパートナーと
対応プロジェクトに属している人材は、あまり切
それ以外で大きく分かれることが背景にある。
迫した転職理由を持っていない傾向があるので、
なお、それぞれの要素には、企業規模、職位、
日本企業でIFRSのプロジェクトに属している
経験年数などの要素が関係してくると想定される。
人を採用するには、今の会社での待遇を上回る、
また、紹介会社登録バイアス(※14)も想定され
しっかりした年収や転職後のキャリアパス上の魅
るため、その点は留意が必要である。ただし、今
力を用意する必要がある。
回対象とした経理などの管理部門系職種では、営
第 3 に、監査・コンサルティングサイドでのIF
業や技術などの社内での人数の多い職種と違い、
RS関連経験者の採用である。監査・コンサルテ
社内での適切な昇進・異動ポジションが限られて
ィングサイドの経験者は、①単一ではなく複数の
いる等の問題があるので、比較的広範囲の人材が
企業を見ている、②外部の視点から見ている、の 2
登録する傾向が高く、他の職種に比べるとバイア
点が魅力である。監査・コンサルティングサイド
スが少ないと思われる。
は、特に 30 代は年収が高い傾向がある。よって、
採用には金がかかるが、実際は現在年収を下回る
IV
おわりに
年収で採用することができることも多い。そのた
企業経営者及び企業支援関係者には、次の2つ
めには、事業会社での経理の魅力を出していくこ
のことを示唆できると思われる。
とが有用である。それは、事業会社の立場で経理
IFRS 人材の採用を考える場合、IFRS 経験者の
業務を行うこと自体の魅力と、日常的な激務が緩
場合では、次の 3 通りの方法が考えられるだろう。
和されることの魅力との 2 点がある。実際にこれ
第 1 に、外資系企業でのIFRSを用いた実務
での多くの実例がある。また、40 代のさらに経験
経験者の採用である。実際にIFRSに基づいて
豊富な層を狙っていくという手もある。
の経理処理を実施しているので、その意味では最
これらとは別に、IFRSに関しては、未経験
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者でも採用していくという企業も多い。IFRS
の変化は、取引先とのやり取りの基準も変わるため、仮に発生した場今
関連求人のうち、IFRSの実務経験を求めてい
は、取引先も影響を受ける。などといった問題があり、一見するより簡
る求人は、全体の 12.4%である(※15)。全体の業
単なことではなく、また、目の前の対策が必要となっている。ただ、こ
務負担を考えれば、決算経験等のある英語力のあ
こではIFRSの対応を論じることが目的ではないため、正確な情報は
る経理実務経験人材(※16)を強化して、教育等
関連書籍等も多数発行されているので各自確認されたい。
の対策も行いながら、全体で対応していくという
※5. 早めに対応する(具体的には「よりよい教育」
「早めのプロジェクト立
のも悪くないだろう。
ち上げ」
「精度の高い影響初期評価」
「プロジェクトのよりよい運営」
「子
会社とのよりよいコミュニケーション」
)ことにより、IFRS対応の総
V
注
コストが抑制される。コスト抑制へのポイント、コスト総額については、
※1. IFRSについては、国際会計基準、国際財務報告基準などの訳語が
EUへの導入時に関するICAEW(英国勅許会計士協会)の報告書「EU
あるが、本稿ではIFRSと呼ぶこととする。なお、国際会計基準とい
Implementation of IFRS and the Fair Value Directive 」( U R L
う訳語に対しては、従来からIFRSとは別にIASがあるが、本稿で
http://ec.europa.eu/dgs/internal_market/docs/evaluation/2007-eu_imp
は企業会計審議会の用語(国際会計基準=IFRS)に従うこととする。
lementation_of_ifrs.pdf)を参照。コスト総額はP61~。コスト抑制の
※2. 当社調べ。
ポイントはP70。
※3. 当社は国際的な経理分野について国内最大級のデータを保持している。
※6. その結果、IFRS未経験の経理経験者を採用する企業も多い。また、
当社では従来からの欧州系企業のIFRS人材、監査法人のIFRS人
実務上のIFRS経験は無くても、IFRSの知識と経理の経験で採用
材等を確保しており、日本企業のIFRS人材についても、2009 年 9
する求人も多い。黒沢敏浩「グローバルホワイトカラー人材マーケット
月に人材紹介業界初のIFRS特設ページを開設し、またセミナー等の
調査レポートシリーズ
実施等により重点的に人材を確保してきている。
~企業会計審議会中間報告から 1 年半を契機に~」
、2011 年 1 月、
No.3 経理求人におけるIFRS関連の動向
http://www.jac-recruitment.jp/jac/customer/report/global/gwmr003.p
※4. IFRSに基準を切り替えるということだけなら決算の書類を少し書
df による。
き換えたら良いことで一見何でも無いように思われるが、①切り替え時
には、過去からの3期分のB/Sと2期分のP/Lが必要になるといわれる。
※7. 本稿の内容は、2011 年 4 月 20 日に東京において企業の人事・経理責
すなわち、2013 年3月末の時点からの財務諸表が用意できるように対策
任者を招いて実施された「Accountancy Conference 2011」での発表の
する必要がある。②収益認識基準が変わることになる可能性があるので、
一部を元に詳細を追加・作成している。
現場でのデータ把握の対策を打たないと、後から経理で対応しようとし
※8. 株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントの業務システムから、実
ても手遅れになる可能性がある。③導入前に、1年間はドライラン(リ
際のデータを閲覧し、定量データと定性データを把握した。調査データ
ハーサル)したいという考えもある。④仮にシステムの変更をするなら、
は、2011 年 4 月 18 日時点のものである。また、データの精度について
さらに早めの対応が必要である。⑤IFRS自体が変化し続ける(いわ
は、実際の業務用データのため、一定の精度はあるが、逆にそれ以上は
ゆる”moving target”)ので、ある時点のIFRSを想定して対策を実施
保証されない。
している最中にもIFRS自身が変わり、必要な対策が変わってしまう。
※9. ここでのIFRSの定義としては、当然ではあるが、IFRSのみを
⑥移行期間の分は2つの基準で重複して財務諸表の作成が必要になり、
含んでいる。日本基準以外という意味では共通するが、US-GAAP(米
業務が増える。⑦税務などの単体決算は従来の日本基準が維持され、I
国会計基準)は含んでいない。US-GAAPの下で英語での会計処理が
FRSベースのものと2種類作り続けることになる可能性が高い。⑧I
できるUS-GAAP実務経験者は、IFRSへの対応に関しても一定の
FRSは原則主義で細則の作成が禁じられている。⑨IFRSは海外・
効果があると考えられるが、ここではIFRSそのものの経験者に限定
英語で決められる(IASBの本部はロンドン)ので、日本語翻訳版に
して論じるため、除外している。
対応すればいいとはいえ、理解しづらい。⑩収益認識基準が変わるなど
※10.中央値(メディアン)を採用する理由は、母集団をもっとも代表する
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からである。算術平均は、実態より高い値を出す傾向があり、その点、
中央値は妥当な数字がでる。
※11.サンプルが少なすぎる区分は傾向を適切に表さないため、省略してい
る。
※12.欧州では、2005 年からEU域内の上場企業に対してIFRSを強制採
用している。その詳細は関係情報を確認されたい。
※13.これに限らず、コンサルティング・アウトソーシングサイドから、イ
ンハウスで事業会社での仕事に移りたいという転職理由は多い。この場
合、年収が下がるケースも多いが、それでも転職する人材は多い。また、
この場合、勤務時間も改善されることが多い。
※14.現在のキャリアに将来に渡って全く迷いの無い場合、登録型の人材紹
介会社に登録する動機付けは少ない。このため、紹介会社のデータベー
スには、多少の偏りがある傾向がある。
※15.同書。黒沢 2011。
※16.調査では、IFRS関連の 2010 年の新規求人全体のうち、46.0%が決
算経験を要求している。残りは必ずしも決算経験までは必須としていな
い。また、全体の 53.1%が英語力を必須としている。それ以外でも 20.4%
が英語力を尚可要件としている。同書。2011。
黒沢 敏浩(くろざわ・としひろ) 株式会社 ジェイ エイ シ
ー リクルートメント フェロー。中小企業診断士。社団法人
日本証券アナリスト協会検定会員。公認内部監査人(CIA)
。
内部統制評価指導士(CCSA)。GCDF-Japan キャリアカ
ウンセラー。
E-Mail: [email protected]
Twitter : t_kurozawa
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