近頃の税務調査…赤字法人・タレコミ・IT・銀行・相続税

2002年4月22日
第397号
株式会社バード財産コンサルタンツ
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近頃の税務調査…赤字法人・タレコミ・IT・銀行・相続税
世の中の大半は赤字法人
税務調査官は本能的に税金を
取ろうとします。プロですから
当然です。取れそうな先を調査
先に選定します。赤字法人を調
査しても赤字が減るだけで税金
はでません。黒字法人を選定し
たくなる気持ちは分ります。し
かし黒字法人は激減しています。
最近は赤字法人への調査割合
が増えているようです。法人税
は赤字でも消費税は課税されま
す。つまり消費税に力点をおい
ての赤字法人調査です。
社内事情を知ってから調査
このご時世で内部告発やタレ
コミが急増のようです。「自分
たちにはリストラを強いて、経
営者ばかりいい思いをしてる。」
と感じる時代なのでしょう。
派遣社員からのタレコミも目
立つようです。調査中には調査
支援タレコミメールが入るそう
です。「調査官は何であの引き
出しを見ないのでしょうか…」。
相続税に納税猶予制度があり、
耕作をしていれば相続税を払わ
ずに済みます。「あの家は耕作
なんか全然していない」との匿
名電話が公衆電話から来ます。
会社ばかりでなくご近所や遠
縁からネタミやソネミ。きっか
けは色々のようです。
パソコンは必須
税務調査もパソコン持参が当
たり前です。調査先データをパ
ソコンに落としデータのマッチ
ングを行えば、異常項目の発見
は容易です。
国支給のパソコンは重いとか
で、調査官の超軽量私物ノート
パソコンも使われているようで
す。調査先データを私物のパソ
コンに残すなと、上司は口をす
っぱく指導しているとか…。
また情報のやり取りにメール
は今や当たり前。そのため税務
調査では社内メール情報を見よ
うとします。メールを見なくて
は調査が進まないという状況も
生じています。
「申述書」でなく「聴取書」
調査で何か見つかると「申述
書」を書かされ署名押印が求め
られました。でも実態は調査官
が書いて署名押印を求めること
も多々あります。当然に調査官
に都合のよく書かれたものも多
く、裁判等になると信用されな
いこともあるようです。
最近は「聴取書」です。調査
官が相手から何を聴取ったかを
文書に残すというもので、聴取
った相手からの署名押印も求め
ます。応じなければ、その旨が
「聴取書」に書き加えられます。
調査官が自分の責任で書くも
のなので「申述書」よりは裁判
上も信用があるとか。なお「申
述書」は形式上納税者によるも
のでコピーもとれますが、「聴
取書」は調査官のものなのでコ
ピーをもらえないでしょう。
相続税の銀行調査
相続税なら調査前から銀行へ
の資産状況の照会がなされ、な
にかあれば調査官はすぐ銀行に
行きます。対象は相続人の預金
ばかりでなく家族全員です。
預金預入時の署名押印付書類
を、マイクロフィルム等から調
査官は丹念に確認を取ります。
それが誰の筆跡か、どの印鑑か、
はすぐ分ってしまいます。
割引債は窓口で現金で買えば
記録が残らないと言われました。
でも窓口記録は残りました。
「何時何分に70歳代の細身の女
性がスーツ姿の40代男性に伴わ
れて現金で1億円持ってきた。」
厳しい調査にビビッてしまう
相続税の調査。「家族全員の
預金通帳を出してください」…
「これで全部ですね」「これで
全部と一筆下さい」…調査で家
族名義の預金がでてきて…「あ
れで全部と言いましたよね。だ
からこれは家族の預金でなく故
人の財産であり申告漏れです」
…もちろんこれはやり過ぎです。
認める必要もありません。でも
一般の人はビビッてしまいます。
調査官はプロで相続人は一般
の人でアマです。プロ対アマで
すから最初から勝負あり。
「故人のご趣味は?」「庭づ
くりでしたね…」なんていう思
い出話を聞けば、古びた大きな
庭石は高価なものでないか、課
税できないかなんて考えていま
す。プロ根性があれば当然です。
近頃の税務調査…赤字法人・タレコミ・IT・銀行・相続税