レーザ計測技術の進歩により,3次元の地理空間データが容易に取得できるようになってき た。コンテンツも基盤地図情報の標高データのようにインターネットを通じて手軽に入手,利 用できる環境も整備されてきた。これに対して,3次元データを取り扱うソフトウェアは3次 元CADが主流と思われるが,GISでも3次元地形データを操作できる機能を持つ製品がある。 特に,GISで3次元地形データを取り扱う場合,鳥瞰図的な表現や,陰影段彩図のように3次 元のデータを2次元で立体的に表現するなど,このような使い方をすることでも,2次元のベ クトルデータでは提供できない価値ある情報を利用者に与えることができる。 一般的な3次元データを取り扱うソフトウェアでは,ウォークスルーやフライスルーによる アニメーションを作成することができ,精度の高い3次元データを利用し,実際の空中写真や 建物などの写真をテクスチャとしてマッピングすることで,より現実の世界に近く,迫力ある 3次元CGによるアニメーションを作成することができる。このため,3次元CGアニメーショ ンは,例えば大規模公共工事完成後の様子を一般の方にわかりやすく説明するなどの場面でよ く利用されている。 3次元CGアニメーションを見慣れてくると,どうしても,ここにプラスアルファの動きが 欲しくなる。例えば,川の水を流してみたい,山の上から岩を転がしてみたいなど,3次元の 地形上で何らかのオブジェクトに動きを付けてみたくなる。このような場面でお奨めしたいの が,Blender (http://www.blender.org/)である。Blenderは,オープンソースのフリーソフト ウェアで,3次元CGアニメーションを作成するための統合環境ソフトウェアである。特徴と しては,WindowsやMac OSなど,様々なOSで利用できること,3次元データを効率よく取 り扱うためのユーザインタフェース (図-1),氾濫や津 波シミュレーションを行う場合に便利な本格的な流体機 能を持っている (図-2) ことなどがある。Blenderは,一 部機能に発展途上の部分はあるものの,商用のソフト ウェアと比較しても決して見劣りすることはない。 ただし,普段GISを使い慣れている方であっても,3 次元CGアニメーションを作ることは簡単なことではな い。まずは,3次元データを,マウスとキーボードを駆 使して自分の見たい視点,位置に自在に操作できるよう な 「3次元操作慣れ」 が必要である。さらに,山のように 図-1 基盤地図情報標高データに衛 星画像をテクスチャマッピング した3次元地形モデル 提供されている機能を覚える必要があるが,これについ ては,Blenderはノウハウ本がいくつか出版され,日本 語でわかりやすく解説しているので,これらを活用する とよい。使用上の留意点としては,3次元地形データの サイズが大きくなると操作レスポンスが悪くなること, アニメーションを作成する際にはマシンパワーが必要と 3次元CGアニメーション作成ソフトウェア 107 なるため十分なスペックを持ったPCを利用することで ある。 3次元地形データを使って一味違った3次元CGアニ メーションを作ってみたいときには,ぜひBlenderを試 してみてはいかがであろうか。 (朝日航洋株式会社 大伴真吾) 図-2 津波シミュレーションの3次 元CGアニメーション事例 THE JOURNAL OF SURVEY 測量 2012.11 43 CW3_A9006_P43_知っ得ソフト.indd 43 2012/10/22 10:43:20
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