GMパワートレイン 2004年の製品ラインアップは、変化する市場トレンドに迅速に効率よく対応 新しい GM パワートレイン製品は過去二年間のGMの積極的な製品戦略を反映して います。この戦略に基づいて、GM は 2004 年に向けた一連の新製品の発表に至りまし た。この戦略は、顧客に世界で最も優れたパワートレインを提供することにより、「輸送製 品とその関連サービスにおける国際リーダーになる」という GM のビジョンを実現するも のです。 GM パワートレイン担当副社長であるトーマス・G・スティーブンスによって導かれたこ の戦略は、イメージ、高性能およびハイバリュー製品の3本柱で構成されています。2004 年、GM パワートレインは、この3つの要素を全て実現した新製品および改良製品を市場 に導入します。 GM パワートレイン製品のおよそ1%は、いわゆる「イメージ」製品です。これを最も適 確に例証している製品が、洗練度が高く、既存のカム・イン・ブロックタイプの量産エンジ ンの中でも最もパワフルなコルベット LS6 V-8 でしょう。 2004 年型 LS6 は、キャデラッ クの中でも最もパワフルな量産車である CTS-V にも採用されています。 高性能分野の製品には、現代の最先端の技術を適用しながら、GM のグローバル規 模を活用して低コスト生産を実現させた、デュアル・オーバーヘッド・カム、完全可変バル ブ・タイミングなどの高度な機能を備えたパワートレインが含まれています。さらに、当カ テゴリーには、ビュイック・ランデブ、キャデラック CTS 、キャデラック SRX に搭載される 新しい 3.6L V-6 VVT(可変バルブ・タイミング)、シボレー・コロラドや GMC キャニオン ピックアップに搭載される直列 5 気筒 Vortec (ボルテック)3500 と直列4気筒 Vortec 2800、キャデラック XLR と SRX に搭載される後輪駆動用に開発されたものとしては初め てのノーススター製品であるノーススター 4.6L V-8 VVT、そしてサターン ION レッドライ ンに搭載されるエコテック 2.0L スーパーチャージャー付直列4気筒などがあります。 GM パワートレインの製品戦略の3本目の柱は、優れた価値の提供です。この分野の戦 略は、必要に応じて全く新しい技術を導入しつつ、基本的には、顧客に最大の価値を提 供するための既存技術の改善を基礎としています。この代表的なものが、2004 年型 シ ボレー ・マリブ用の新しい 3500 V-6 とポンティアック ・グランプリ用の 3800 シリーズ III です。現在開発中の製品としては 2005 年型の3種類のスポーツユーティリティ車にディ スプレイスメント・オン・ディマンド(可変シリンダーシステム)付きで導入される Gen IV ス モールブロック V-8、そして可変バルブ・タイミングを使用した GM 初のオーバーヘッド・ バルブ・エンジンである 3900 V-6 があります。3900 は、全く新しい 2005 年型ポンティ アック G6 の新車に搭載され、その他の GM 車にディスプレイスメント・オン・ディマンドを 付加したバージョンは 2005 年にデビューします。 これらのハイバリューエンジンは、業界でも最もロイヤルティーの高い顧客層に向けれ らており、それに、電子制御スロットルなどの新しい機能を備えています。こうしたハイバ リューアプローチは、ポンティアック GTO へのコルベット LS1 の V-8 改良型エンジンの 応用といった形でも実行されており、その結果、この伝説的なマッスルカーの現代版にユ ニークなアメリカン・キャラクターが付加されました。 このビジネス・アプローチは GM の膨大な国際的エンジニアリング・リソースをフル活 用しています。このアプローチは、単にエンジンだけでなく、トランスミッション、ドライブシ ステム、電子制御、そしてディスプレイスメント・オン・ディマンドなどの業界をリードする新 技術や、シボレーシルバラードや GMCシエラハイブリッド・フルサイズ・ピックアップに搭 載されるハイブリッド・パワーなどにも適用されています。これにより、効率と卓越した品 質の実現に焦点を絞ったパワートレイン生産と自動車アプリケーション面での画期的な 多様性と柔軟性が実現します。 一言で言えば、GMパワートレインは、当社の製品に、他の自動車メーカーには真似の できない息吹、深み、そして多様性を提供します。 「私どもの継続的な目標は、品質、信頼性、耐久性、そして、人によってその定義が異 なるパフォーマンスを提供することです。世界のベストになるため、私どもは、さまざまな 顧客セグメントの要望とニーズを理解することに全力を注いでおり、それにより、当社の 能力を最大限に活用し、新しい市場トレンドに応えたパワートレインと改良品を提供でき る迅速な行動力を蓄積しようとしています。」(スティーブンス副社長) 真のグローバル企業として 3.6L V-6 VVT ほど、GM パワートレインのビジネス・アプローチを適確に体現している エンジンは他にありません。この 60 度 DOHC V-6 はオーストラリア、ドイツ、北米、スウ ェーデンの GM 技術センターのベスト・プラクティスと創造力を結集して、グローバル・ア プリケーション用に開発されたものです。V-6 VVT は最新の鋳造技術からフル・フォーカ ム・フェージング、超高速データプロセッシング、トルクベースのエンジンマネジメントシス テムまで、最先端の自動車エンジン技術を採用しています。 その機能には、アルミ製ブロックとシリンダーヘッド、完全可変バルブ・タイミング、デュ アル・オーバーヘッド・カム、 低摩擦メンテナンスフリータイプのローラーフォロアー・バ ルブ・オペレーション、フローティング・リストピンとオイルジェット機能付きアルミ製ピスト ン、焼結6ボルト・メイン・ベアリングキャップ付き鍛造クランクシャフト、デュアルステージ 可変インテーク・マニホールド、電子制御スロットル、完全隔離カムカバー、そして騒音、 振動、不快音を軽減するための各種機能、およびエンジン取り付けタイプの小型ハイブ リッド・エンジンコントロール・モジュールなどが挙げられます。 しかし、V-6 VVTは単なる技術的に洗練されたエンジンではありません。当初から、こ のエンジンは、その基礎設計をベースに複数のバリエーションを想定して開発されていま す。このモジュラー型V-6は世界市場の異なったタイプの自動車への応用が可能であ り、エンジン横置きの前輪駆動プラットフォーム、縦置き型後輪駆動用、そして横置きま たは縦置きのいずれかを採用している4輪駆動用まで、アプリケーションをあまり変更せ ずに応用できるよう設計されています。 基本アーキテクチャーは、主要な鋳物を全ての改良型で共有しており、2.8Lから3.8Lま での排気量の展開が可能です。この結果、幅広い車種に適した非常に個性的なエンジ ンがゼロからの開発ではなく、最終的仕上で可能となりました。 さらに、このグローバル V-6は、大掛かりなリエンジニアリングに頼ることなく、いくつかのコンテンツ・オプションを 実現できるよう設計されています。また、3.6L V-6 VVTに代表される自然吸気、シーケン シャル・ポート・フュエル・インジェクションタイプのエンジンの他に、このエンジンは大幅な 燃費向上につながる、リーンバーン(層状吸気)、もしくは理想空燃比(ストイキ)による直 噴式エンジンへの応用も可能です。また、このエンジンは、さまざまな馬力およびトルク 特性のターボチャージャーにも耐久性を犠牲にすることなく対応します。 要するに、V-6 VVTは、幅広いエンジン回転領域での高出力、高トルク、優れた燃費、低 公害、騒音・振動・ハーシュネスコントロール、優れた耐久性、そして低いメンテナンスコ ストを全てバランス良く提供することができます。 現在のGM DOHC V-6に比べ、グロー バルV-6 VVTは、20%高い最大出力、13%高い最大トルクを発揮します。最も重要なポ イントは、最大トルクの90%が1600~5800 rpmの範囲で実現できる点でしょう。 エコテック 2.0L SC GM のグローバルな技術力によって開発されたもう一つのエンジンがエコテック 2.0L スーパーチャージ・エンジンで、これは ION(アイオン)レッドラインで 205 馬力(153kw)を 実現します。アルミ製、デュアル・オーバーヘッド・カム、4気筒エンジンは 2000 年型サ ターン L シリーズに導入されたオリジナルの自然吸気エコテック 2.2L エンジンの改良版 です。エコテック 2.0L SC エンジンには、4バルブ・シリンダーヘッド、メンテナンスフリー・ チェーン駆動カムシャフト、カウンター・ローテーティング・バランスシャフト、統合オイルク ーラーが装備されています。 M62 スーパーチャージャーが追加されたことにより、送風機を低い rpm で回転させる ことができ、トップエンドパワーを維持しながら耐久性を向上させ、騒音を軽減することが できます。GM は中型車に使用されている量産タイプの 3800 シリーズ II SC V-6 エンジ ンの Eaton スーパーチャージャーに関して長年の経験を持っています。 Saab 2.0L エンジンからエコテック 2.0L に採用された主なコンポーネントには、ダイレク トマウントのオイルクーラー、ピストン冷却用のオイルジェット、ヘビーデューティー・ピスト ン、より強固なコネクティング・ロッド、鍛造クランクシャフト、大型オイル・サンプ、耐久性 に優れたナトリウム入り排気弁、高強度アルミ製シリンダーヘッドなどがあります。 エコテック 4気筒エンジンは、GM にとって、厳密な意味で最初のグローバルエンジン・ ファミリーです。 この 16 バルブ・DOHC エンジンは、騒音と振動が少なく、信頼性と耐久 性の高いエンジンとして、卓越した燃費と低排ガスを実現します。エコテック 2.2L は現在、 シボレー ・キャバリエ、ポンティアック ・サンファイヤー およびグランダム、オーズモビル・ アレーロ、サターン L300 及びアイオンそして VUE(ビュー)に搭載されています。このエ ンジンはまた、オペル・べクトラ、アストラ 、ザフィーラなどのいくつかのヨーロッパ車にも 使用されています。エコテック 2.2L は、2004 年型シボレー・マリブの標準エンジンとして 採用が発表されており、エコテック 2.0L の直噴ガソリンエンジンは、オペル・シグナムの 2004 年モデルに採用されています。可変バルブ・タイミング付きの新しいエコテック 2.4 L エンジンは、全く新しい 2005 年型シボレー ・コバルトとともにデビューする予定です。 地域の特殊なニーズに対応 V-6 VVT同様、GMパワートレインの新しいVortec 2800 と3500は、高性能、 高効率、 高コスト効果を実現するための設計、組立に焦点を絞って開発されたエンジンです。これ らの直列エンジンは、主に、北米を中心とした根強い中型ピックアップトラックのニーズに 対応するために開発されたものです。 Vortec 2800 2.8L I-4(直列 4 気筒)は、全ての新型シボレー ・コロラド と GMC キャ ニオンピックアップのベース・エンジンとして採用されています。 これは、数々の業界賞を 獲得した Vortec 4200 I-6 と新しい Vortec 3500 I-5 とともに共同開発されたもので、そ れまで主に高級セダン用エンジンだけに採用されていた機能や先端技術を中型ピックア ップ用エンジンに取り入れたものです。これは、性能、燃費、低排出、騒音・振動・ハー シュネスコントロール、そして、独自の耐久性向上機能と優れたメンテナンスコストをバラ ンス良く組み合わせたエンジンです。 これは、4輪駆動を提供しているこのセグメントで 唯一の直列4気筒エンジンでもあります。 2003 年3月に発表された調査によると、Vortec 2800 は中型ピックアップの中で最もパ ワフルな4気筒エンジンで、ほとんどの V-6 よりも高い馬力と優れた燃費を誇ります。 このエンジンは 4 気筒の経済性と6気筒のパワーをあわせ持ちます。アルミ中心の構 造、可変バルブ・タイミング、デュアル・カウンター・ローテーティング・バランスシャフト、メ イン・ベアリングラダー構造、ダイレクトマウントの補機類、電子制御スロットルなどの技 術は、Vortec 2800 が開発される以前は、エントリーレベルのピックアップにはほとんど使 用されていませんでした。 Vortec 3500 3.5L 直列5気筒エンジンは、さらに優れた機能を備えています。 コロラド とキャニオンに搭載されるこのオプション・エンジンは、Vortec 2800の全機能の他に、シ リンダーがもう一つ加わり、この5気筒用に特別設計されたバランスシャフトを装備してい ます。また、このエンジンはダッジ、フォード、日産、トヨタの競合するピックアップのV-6エ ンジンよりも高い馬力を発揮します。 最高峰のスター製品 GMパワートレインのエンジン・ラインアップの頂点に立つノーススター 4.6L V-8 VVT は、新天地を切り開く画期的な製品です。これは、ノーススターエンジンとしては初めて、 キャデラック XLRおよびSRX用に、横置きではなく、縦置きの後輪駆動用に開発されたも のです。ノーススターの開発チームの目標はシンプルで、しかも、要求度の高いものでし た。すなわち、馬力とトルクの妥協のないバランス、顧客に真の価値を提供する最先端 技術、アクティブなドライビングを刺激するスムーズで洗練されたパフォーマンスの達成 です。 一言で言えば、開発チームのゴールは、ハイエンド、ハイパフォーマンスの高級ロード スターと SUV 向けのエンジンの新しいベンチマークを確立することでした。 この目標は見事、達成されました。10.5:1 の圧縮比を誇る新しいシリンダーヘッド、 フォーカム連続可変バルブ・タイミング、ハイパフォーマンスバルブなど、ノーススター 4.6L VVT に導入された技術のリストは圧倒的です。しかし、自動車市場の最上級セグメ ントにおいても、顧客は「技術」よりも、実際の「結果」を重視します。ノーススター RWD エ ンジン の数字をみると、高出力のノーススター FWD に比べて、馬力とトルクでは5%の 向上、燃料消費率はほぼ同じ、騒音・振動・ハーシュネスでは大幅な改善がみられます。 最も重要なことは、ノーススター V-8 VVT とパワートレインの新しい Hydra-Matic 5L50E のオートマチック、またはクラッチレス・マニュアルシフティングの5速トランスミッション を装備した XLR は、このクラスをリードする一流のパフォーマンスを発揮するということで す。 ハイバリュー GMパワートレインの製品戦略のもう一つの重要な要素は、顧客は、さまざまな特性を 実現している特殊技術よりも、最終的に品質、価値、そして現実的なパフォーマンスを求 めているのだという信条です。「適切な技術」の重要性に関するこの認識から生まれたの が、米国の中型セダンで最も優れた価値を提供している2004年型シボレー ・マリブに搭 載されている新しい3500V-6エンジンです。 3500は、GMの3400 V-6を完璧に再設計した結果生まれたエンジンです。そのブロック とシリンダーヘッドは、より優れた剛性とNVHコントロールを実現するために、大幅な改良 が加えられました。新しいインテークシステムにより、燃費が向上し、また、耐久性を強化 するためにクランクとピストンも改善されました。その結果、3500はこのクラスの車の中で もパワフルな200馬力(149kw)と220lb-ft(298Nm)のトルクを実現する、メンテナンスコス トに優れたしかもスムーズな、耐久性の高いエンジンとなっています。 2004年型ポンティアック・グランプリ に搭載されている新しい3800 Series III V-6 も同 じ発想から開発されたものです。GMの 3800 V-6 は、シボレーのオリジナル・スモールブ ロックがV-8に対応するのと同様に、V-6エンジンに対応するものです。「生産数」とその 変わらぬ価値と機能からみると、3800はこれまでに開発されたV-6の中でも最も重要な エンジンです。新しいSeries IIIは、オーバーヘッドカム・エンジンと同等、またはそれ以上 の馬力、効率、排ガス性能を持つ競争力のある現代的なエンジンとしての評判をさらに 高めました。 Series III の開発動機となったのは、品質改善、パフォーマンス、柔軟性、NVHの軽 減、手ごろな購入費、そして電子制御スロットルなどのコンテンポラリーなハイテク機能を 備えたエンジンを求める顧客からの要望でした。3800 Series III は、これらを燃費やユニ ットコストを犠牲にすることなく実現し、同時に 2005 年に実施される二アゼロエミッション 規制にも対応を準備しています。 結論として、Series III は、価値および顧客満足の面で 既に GM でも最も評価の高いエンジンをさらに改良したものです。 グランプリ GTP に搭載されているスーパーチャージ 3800Series III は、現在、最も洗 練度の高いスーパーチャージ技術を結集した、当セグメントだけに採用されている Eaton Gen V スーパーチャージャーを装備しています。このスーパーチャージャーは、以前のも のよりも効率が大幅に改善されています。この結果、2004 年型グランプリは、このクラス でも抜群の出力および加速を実現し、スポーツセダンとクーペのバイヤーが、エンジンの ほとんど回転領域で期待する優れた「操縦性」を提供します。 大型エンジン Vortec 2800や3500などの革新的なエンジンは、GMがトラック部門で優位を維持する ための重要なコンポーネントです。しかし、GMのパワートレインのリーダーシップは、中 型ピックアップだけに限定されるものではありません。 GMのDuramax (デュラマックス)6600 6.6L ターボ・ディーゼルV-8 は、2004年1月か ら、より優れた出力定格と、燃費および排気の大幅な向上を提供します。Duramax 6600 とAllison(アリソン) トランスミッションを搭載したSilverado(シルベラード)とシエラ 2500 HD および3500 シリーズのトラックには、3100rpmで従来より10馬力多い310馬力を発揮 する新しいエンジン・バーションを搭載します。このエンジンのトルク定格は1600rpmで 590lb-ftと、以前の最高値をはるかに上回るものです。 全般的に大幅な改善が行われたDuramax 6600 6.6L ターボ・ディーゼルV-8エンジン は、今後もGMパワートレインの合弁会社であるオハイオ州のモレインDMAXエンジン工 場で生産されます。ガソリンエンジンを好む大型ピックアップのバイヤーは、今後も GM の伝説的なビッグブロック、Vortec 8100を選択することができます。馬力とトルクで比較 すると、Vortec8100は、競合するV-10エンジンよりもパワフルであり、エンジンサービス の有効期間は20万マイルです。高出力のVortec6000は、高級SUV市場のクラスリーダー であるキャデラック・エスカレードと EXTが必要とする優れたパワーを提供します。 燃料節約技術 GMの革新的なディマンド対応シリンダー・ディアクティベーション・システムは、2004暦 年に、2005年型GMC Envoy XL 、Envoy XUV、シボレー TrailBlazer EXTに搭載されてデ ビューします。このシステムは米国連邦政府が要求する試験において、6~8%の燃費 向上を実現します。 以上3つのSUVには、トラック用のGMの新しいGen IV スモールブロックV-8が搭載され ます。新しいディスプレイスメント・オン・ディマンド型Vortec5300スモールブロックは、トラ ックオーナーの多くが、ほとんどの時間を必要以上のエンジン・パワーで運転していると いう単純な前提に基づいて設計されたものです。多くのオーナーは、重い荷物の輸送に 備えてパワフルなV-8エンジンを選びますが、普段の通勤または交通混雑時には、この パワフルなエンジンの能力のほんの一部しか使われていないのが現状です。その結果、 体積効率が悪くなり、燃費に無駄が生じます。 ディスプレイスメント・オン・ディマンドは、これに常識的なソリューションを提供する技 術です。このシステムでは、ほとんどの運転状況下でエンジンのシリンダーの半分のみ を使うことで燃料を節約し、ドライバーによる加速や荷物を運ぶためにフルパワーが必要 な時は、残りのシリンダーをシームレスに再起動させます。エンジンコントロールモジュー ル(ECM)によって制御されているこのディマンド制御システムは、軽い荷物を運ぶ時に、 自動的に1つおきにシリンダーを全て停止します。技術的に言うと、これにより熱損失、焼 損、摩擦を減らし、シリンダーからシリンダーへの燃焼サイクル変化を低下させることに よって、作動中のシリンダーの熱、体積、および機械的効率を向上させます。その結果、 ディスプレイスメント・オン・ディマンドは、より優れた燃費と運転コストを実現します。 ディスプレイスメント・オン・ディマンドは、ECMに作り込まれている潜在力を出発点に、 エンジンが本来持っている能力を最大限に活かす技術です。ディスプレイスメント・オン・ ディマンドに必要な唯一の追加コンポーネントは、停止するシリンダー用の油圧駆動の バネ付ロッキングピンを持ったバルブ・リフターと、リフター・オイル・マニフォールド・アセ ンブリです。これは、当面、Envoy(エンボイ)XL、Envoy XUV およびTrailBlazer EXT に採 用されますが、2004年以降は、全てのVortec V-8と、3900を始めとする一部のハイバ リューV-6エンジンに採用されます。2008年までには、年間200万台以上の車にディスプ レイスメント・オン・ディマンドが装備される予定です。これによる潜在的な燃料の節約 は、年間数百万ガロンに上ると推定されます。 来年のディスプレイスメント・オン・ディマンドの導入までに、GM パワートレインは、トラッ ク向けの革新的な燃料節約技術も提供します。2003 年末に量販車と商業車の顧客向け に生産が開始される 2004 年型シボレー Silverado と GMC Sierra 1500 のハイブリッドモ デルでは、10~12%の燃費向上と、排気ガスの大幅な削減を実現しています。これらの ピックアップは、新しい推進技術と組み合わせた Vortec 5300 V-8 と Hydra-Matic 4L60E4 速オートマチック・トランスミッションを採用しています。 ハイブリッド・ピックアップの燃費向上に大きく貢献をしているのが、異なる運転状況の もとで自動的にエンジンを停止、再スタートさせる機能です。従来のスターターとオルタネ ータの代わりに、ハイブリッド・ピックアップは、コンパクトな 14kw 電子誘導モーターと、エ ンジンとトランスミッション間の空間効率を高める特許設計と統合させたスターター・ジェ ネレーターを採用しています。このスターター・ジェネレーターは、スピーディで静かなスタ ート電力を提供し、燃料節約のために自動的にエンジンを停止、スタートさせます。ま た、これは、バッテリー充電用の電流も提供し、回生ブレーキによって燃費を向上させま す。 ディスプレイスメント・オン・ディマンドの場合と同様、GM パワートレインは、ハイブリッ ドの開発にも徹底したアプローチを採用しています。ハイブリッドは他の Vortec 5300 エ ンジンと同じ 290 馬力(216kw)、325lb‐ft(441Nm)を実現し、エンジンパフォーマンスも通 常のガソリンエンジンと同等になる予定です。ハイブリッドトラックは駐車中は、基本的 に、電力を使うツールやその他の電気作動機器を作動させるための電気コンセントを装 備した、動く発電所となります。 代替燃料 ハイブリッド・システムやディスプレイスメント・オン・ディマンドなどの先端技術の他、よ り伝統的な代替燃料エンジンも、引き続きGMの2004年パワートレイン製品カタログの重 要な部分を占めています。 Vortec5300は、フルサイズ・スポーツユーティリティ市場に初めてフレックス燃料を導入し たV-8エンジンです。シボレー Tahoe(タホ) 、Suburban(サバーバン)、GMC Yukon(ユー コン) 、Yukon XLに標準搭載されているこのエンジンは、最大85%のエタノールを含む燃 料を使用しても、パフォーマンスが低下しません。CNG Vortec 6000 は、圧縮天然ガスを 燃料として使用します。 小型エンジンでは、エコテック 2.2Lの天然ガスバージョンがシボレー Cavalier(キャバ リエ)に搭載されています。このバイフュエル4気筒エンジンは圧縮天然ガス(CNG)また はガソリンで稼動します。CNGが主要燃料で、CNGタンクの圧力が一定のレベル以下に なると、エンジンは自動的、しかもシームレスにガソリンに切り替えます。ちなみに、この エンジンは、前輪駆動のCavalierドラッグ・レーサーに搭載されている1000馬力以上を出 す、レース用に改良されたニトロメタンを燃料とするエンジンと基本的に同じものです。 ハイパフォーマンス GMパワートレインは、高性能ぶりは、レース場から一般道路まで、あらゆる場面で立 証済みです。 新しいノーススター 4.6L V-8 VVTを搭載した キャデラック XLRは、0-60マイル加速お よび1/4マイル加速では、長年にわたって高級ロードスターのベンチマークとされてきた 標準仕様の メルセデス・ベンツ SLを上回ります。XLRは0-60mph(-0-97km/h)を5.9秒、 0.4kmを14.5秒で加速し、最高速度は、ほとんどのハイパフォーマンス自動車メーカーの 自主的な制限速度である155mph(249km/h)を記録します。 スポーツカーの幅の反対側に位置する 2004 年型サターン ION レッドラインも同様の パフォーマンスを発揮します。同車のハイパフォーマンスエコテック 2.0L 直列 4 気筒エン ジンは、サスペンション・チューニングとより強力なブレーキを備えた完璧なスポーツカー の心臓部であり、若い前輪駆動ホットロッド・ファンをターゲットにしています。Eaton ヘリ カル Roots スーパーチャージャー、Air-to-Water(空/水冷式)インタークーラー、ハイフ ロー・インテイクおよびエキゾースト・マニフォールドを装備したエコテックレッドラインは、 1リットル当たり 100hp(75kw)を実現し、このクラスでは最高の1リットル当たり 100lb‐ft (136Nm)のトルクを発揮します。エコテックファミリーの一員として、このエンジンは卓越し た耐久性を誇ります。この高強度ピストンは、オイルジェットにより冷却されます。 このほか、GMの新しいGen IV スモールブロック V-8を基礎に、新しいLS2 6.0 literが 2005年型コルベットC6の標準エンジンに採用されます。このLS2により、コルベットの標 準パフォーマンス・レベルはさらに引き上げられ、6000rpmで400馬力、4400rpmで400lb‐ ftのトルクを発揮します。これは、これまでのコルベット・エンジンより50馬力、トルクでは 40lb-ftも高い数字です。これは、間違いなくコルベットに搭載される標準スモールブロッ ク・エンジンとしては、最もパワフルなエンジンです。 GM の新しいパフォーマンス・ディビジョンとの密接な協力により、GM パワートレインの エンジニアは、キャデラックの中でも特に人気のある CTS セダン用に 5.7L LS6 を開発し ました。GM でも最もパワフルな乗用車用エンジン(同時に世界有数のスポーツカーエン ジンでもある)と、キャデラック特有のスムーズなアイドリングを実現するために特別開発 されたエンジン・マウントにより、CTS-V は、あらゆる面で、長年にわたって高級スポーツ セダンのベンチマークとされてきた BMW のMシリーズの車を含む、ヨーロッパおよび日 本の最高レベルの高級パフォーマンスセダンと同じ、またはそれ以上のパフォーマンス を発揮します。CTS-V は直接の競争車種である BMW の M3 を楽に超えるパフォーマン スを発揮し、公表されている数字では、M3 を最大馬力で 77 馬力(57kw)上回ります。事 実、CTS-V は、それよりかなり高価な BMAW M5 と比較しても、馬力とトルクの面で勝っ ており、同時に、カム・イン・ブロック V-8 エンジンでしか味わうことができないアメリカ車 独特の男性的な魅力を楽しむことができます。 生まれ変わったポンティアック GTO も数々の業界賞を獲得した GM パワートレインの 5.7L LS1 V-8 を搭載しています。Corvette LS1 と同様、GTO の改良型には、アルミ鋳造 エンジンブロック、シリンダーヘッド、そして熱可塑性インテーク・マニフォールドを装備し ています。この車は、マスキュラー・クーペとしての GTO の伝統にふさわしい、優れた発 進時特性を備えています。 トランスミッション ノーススター 4.6L V-8 VVTの強力なトルクに対応するために開発された新しいHydraMatic 5L50-E5速オートマチック・トランスミッションは、世界でも技術的に最も洗練された トランスミッションです。キャデラックXLRは、ユニークなトルクチューブとトランスミッション のリアマウントにより、このロードスターは完璧な50-50の重量配分を実現し、抜群のバラ ンスとハンドリングを発揮します。5L50-Eでは、ドライバーは、よりアグレッシブな運転が 必要な時に、瞬時に通常のオートマチック・ギア・セレクションをドライブ・シフト・コントロー ル(DSC)に切り替えることができます。 ギア・セレクターを軽く操作するだけで、オートマ チックからクラッチレス・マニュアルシフトに切り替えることができ、レバーを軽くタップする だけでアップシフト、ダウンシフト操作ができます。 このような品質と性能はハイエンドの車種だけに限られたものではありません。サター ン ION では、GM パワートレインによって、手ごろな価格のサブコンパクト・クラスにも、洗 練された 5 速オートマチック・トランスアクスルの採用が実現しています。さらに、サター ン ION と VUE も、最先端の VTi 可変トランスミッションを装備しています。VTi は、伝統 的なステップレシオ・オートマチック・トランスミッションに比べエンジンの効率が高く、マ ニュアル・トランスミッションと実質的に同じ燃料効率と素晴らしい加速、および登坂能力 を発揮します。 先端の電子制御システム ディスプレイスメント・オン・ディマンドなどの先端技術の他に、GMパワートレインはそ の電子制御技術を生かして、車の運転をよりシンプルにするためのさまざまな機能を提 供しています。多くのエンジンに採用されているクーラントロス保護システムにより、エン ジン冷却水が完全に無くなっても、エンジンのパワーを下げることによって、ドライバー は、サービスが受けられる安全な場所に到着するまで運転を続けることができます。ま た、オイルレベル・センサは、オイルレベルのチェックの手間を無くし、また、GMのオイル ライフ・システムはすでに業界の標準になっています。 ほとんどのオイル交換インジケーターは、あらかじめ決められた走行距離に基づいて 機能しており、その走行距離は、標準化された運転サイクルにおけるオイルの予想寿命 を元に算出されています。光感知デバイスに頼るシステムはコストが高く、また、一定の オイル劣化特性に対応することができません。オイルライフ・システムでは、まず、ECM が、エンジンのrpm、温度、荷重またはrpmの変化、および一定の荷重と温度のもとでの 運転時間など、いくつかの可変要素の蓄積データを記録します。この情報を元に、システ ムがオイルの劣化を計算し、オイルがその寿命に近づくと、オイル交換を知らせます。つ まり、本当にオイル交換が必要な時にだけ、交換を行えばよいシステムなのです。 広さ、深さ、価値 2Lから8L以上までの4、5、6、7、8気筒エンジン、5および6速マニュアル・トランスミ ッション、FF及びFR用の4速および5速のステップ・レシオと無段変速オートマティック、 デュアル・レンジ4輪駆動と全自動フルタイム4輪駆動、そしてマリーンエンジン、産業用エ ンジン・アプリケーション分野におけるリーダーシップなど、GMパワートレインの製品の幅 は圧倒的です。 GMのパワートレインのエンジン、トランスミッション、ドライブシステムのラインアップの 右に出るものはありません。この多様性は、顧客のニーズと市場の需要に対し、迅速で コスト効率の高い対応をしなければならないという、私どもの中心的な発想を反映してい ます。この発想に基づき、GMは、今後もこの業界におけるリーダーシップを維持、拡大し ていきます。 ### 連絡先: Randal Fox GM Powertrain Communications Phone: (248) 857-0323 E-mail: [email protected]
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