研究活動の不正行為への対応規程

研究活動の不正行為への対応規程
制定
平成 19 年 6 月 20 日
(目的)
第 1 条
この規程は、「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」(平成
18 年 8 月 8 日科学技術・学術審議会)等に基づき、沖縄国際大学(以下「本学」と
いう。)における研究活動の不正行為に対する適切な対応の仕組みについて必要な事
項を定める。
(定義)
第2条
この規程において、研究活動の不正行為(以下「不正行為」という。)とは、
発表された研究成果の中に示されたデータ、調査結果等の捏造と改ざん、及び盗用を
いう。ただし、故意によるものでないことが根拠をもって明らかにされたものは不正
行為には当たらない。
2 捏造とは、存在しないデータ、研究成果等を作成することをいう。
3
改ざんとは、研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動に
よって得られた結果等を真正でないものに加工することをいう。
4
盗用とは、他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文
又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用することをいう。
5 この規程の対象となる研究者は、本学独自の研究費、文部科学省及び文部科学省
所管の独立行政法人の競争的資金、その他学外研究資金の配分を受けて研究活動
を行っている本学の研究者である。
(不正行為対応総責任者)
第3条
本学に、不正行為対応総責任者(以下「対応総責任者」という。
)を置き、学長
がその職を行う。
2 対応総責任者は、不正行為防止のために、研究者への啓蒙活動に努めなければな
らない。
(告発等の受付)
第4条
不正行為に関する告発等を受け付ける窓口(以下「受付窓口」という。)は、
教務部教務課とする。
(告発等の取扱い)
第 5 条 告発は、受付窓口に対して書面(別紙様式 1)、電話、FAX、電子メール、
面談などを通じて行われるものとする。
2
告発は、原則として顕名により行われ、不正行為を行ったとする研究者・グルー
プ、不正行為の態様等、事案の内容が明示され、かつ不正とする科学的合理的理
由が示されているもののみを受付ける。ただし、匿名による告発があった場合、
告発の内容に応じ、顕名の告発があった場合に準じた取扱いをすることができる。
3
対応総責任者は、書面による告発等、受付窓口が受付けたか否かを告発者が知り
えない方法による告発が行われた場合は、告発者に受付けたことを通知する。
4
報道や学会等により不正行為の疑いが指摘された場合は、匿名の告発があった場
合に準じて取扱うものとする。
5
告発の意思を明示しない相談については、その内容を確認・精査し、相当の理由
があると認めた場合は、相談者に対して告発の意思を確認するものとする。これ
に対し、告発の意思表示がなされない場合は、対応総責任者の判断で当該事案の
予備調査を開始することができる。
6
不正行為が行われようとしている、あるいは不正行為を求められているという告
発・相談については、その内容を確認・精査し、相当の理由があると認めたとき、
対応総責任者は、被告発者に対して警告を行う。
7
他の研究機関等から調査の要請があった場合、顕名の告発があった場合に準じて
取り扱いをすることができる。
8
受付けた告発・相談について、被告発者が本学以外の研究機関に所属する場合は、
被告発者の所属研究機関に事案を回付することができる。また、被告発者に対し
て警告を行った場合、対応総責任者は、被告発者の所属研究機関に警告の内容等
について通知する。
(告発者・被告発者の取扱い)
第6条
対応総責任者及び担当者は、告発内容や告発者の秘密を守るとともに、告発者、
被告発者、告発内容及び調査内容等について、調査結果の公表まで、告発者及び被
告発者の意に反して調査関係者以外に漏洩しないよう、関係者の秘密保持を徹底す
る。
2
調査事案が漏洩した場合、対応総責任者は調査中にかかわらず告発者及び被告発
者の了解を得て、調査事案について公に説明することができる。ただし、告発者
又は被告発者の責により漏洩した場合は、当人の了解は不要とする。
3
対応総責任者は、悪意(被告発者を陥れるため、あるいは被告発者が行う研究を
妨害するためなど、専ら被告発者に何らかの損害を与えることや被告発者が所属
する研究機関等に不利益を与える事を目的とする意思。以下同じ。)に基づく告
発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に告発者に対し、懲戒
処分等を行ったりしてはならない。ただし、悪意に基づく告発であったことが判
明した場合は、告発者の氏名の公表や懲戒処分等がありうるなどの警告を行う。
4
対応総責任者は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、被
告発者の研究活動を全面的に禁止したり、懲戒処分等を行ったりしてはならない。
(研究活動の不正行為対策委員会)
第7条
本学に、不正行為に関して調査するため、研究活動の不正行為対策委員会(以
下「対策委員会」という。)を置く。
(予備調査)
第8条
対策委員会に受付けた告発内容の合理性、調査可能性等について予備調査を行
うため、予備調査委員会(以下「調査委員会」という。)を置く。
2 予備調査は、告発者からの事情聴取又は告発に係る書面等に基づき、不正行為存
在の可能性の有無について調査を行う。
3 調査委員会は、告発を受付けた後、原則として 30 日以内に本調査を行うか否か
を決定する。
4 本調査を行わない場合、対応総責任者は、告発者に通知するとともに、予備調査
に係る資料等を保存し、告発者等の求めに応じ開示することができる。
(本調査の通知)
第9条
対応総責任者は、本調査を行うことを決定した場合、告発者及び被告発者に対
し、本調査を行うことを通知する。被告発者が本学以外の研究機関に所属している
場合は、当該所属研究機関にも通知する。
2 当該事案に係る研究が競争的資金によるものである場合、競争的資金の配分機関
に本調査を行う旨通知する。
3 本調査は、本調査実施の決定後、原則として 30 日以内に開始する。
(本調査)
第 10 条
本調査は、対策委員会において行う。
2 対策委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければなら
ない。また、対策委員には、学外者を含むことができる。
3 対応総責任者は、対策委員の氏名や所属を告発者及び被告発者に通知する。告発
者及び被告発者は、対策委員に不服があるときは、通知を受けた日から 7 日以内
に異議申立てを行うことができる(別紙様式 2)
。
4 異議申立てがあった場合、その内容を審査し、内容が妥当であると判断した場合、
対応総責任者は、当該異議申立てに係る委員を交代させるとともに、その旨を告
発者及び被告発者に通知する。
(本調査の調査方法・権限)
第 11 条
本調査は、指摘された当該研究に係る論文や実験・観察ノート、生データ等
の各種資料の精査や、関係者の事情聴取、再実験の要請などにより行うとともに、
被告発者の弁明の聴取を行う。
2 対策委員会は、被告発者に対し、再実験などにより再現性を示す機会、期間を保
障するが、引き延ばし目的のものは認めない。
3 本調査に対し、告発者及び被告発者などの関係者は誠実に協力しなければならな
い。また、本学以外の研究機関において本調査がなされる場合、当該研究機関に
協力を要請する。
4 対策委員会は、本調査に当たって、告発等に係る研究に関して、証拠となるよう
な関連資料等を保全する措置をとることができる。
5 対応総責任者は、当該事案に係る研究が競争的資金によるものであるときは、競
争的資金配分機関の求めに応じて、本調査の中間報告を当該資金配分機関に提出
する。
(認定)
第 12 条
対策委員会は、本調査の開始後、原則として 150 日以内に、調査した内容に
ついて、不正行為が行なわれたか否かを判定し、不正行為と認定した場合はその内
容、不正行為に関与した者とその関与の度合、不正行為と認定された研究に係る論
文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割を認定する。
2 不正行為が行われなかったと認定される場合であって、調査を通じて告発が悪意
に基づくものであることが判明したときは、対策委員会は併せてその旨の認定を
行う。ただし、この認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなけれ
ばならない。
(不正行為疑惑への説明責任)
第 13 条 本調査において、被告発者が告発内容を否認する場合には、自己の責任にお
いて、当該研究が科学的に適正な方法と手続に則って行われたこと、論文等の表現
の適切性について科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の被告発者の説明において、被告発者が生データや実験・観察ノート等の不
存在など、存在すべき基本的な要素の不足により証拠を示せない場合は、合理的
な保存期間(論文発表後 5 年間を原則とし、各学部において、各研究分野の特性
に応じ、5 年間を超えてこれと別の定めとすることができる。)を超えるときを除
き不正行為とみなす。ただし、被告発者が善良な管理者の注意義務を履行してい
たにもかかわらず、その責によらない理由により、当該基本的要素を十分に示す
ことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合はこの限りでは
ない。
(調査結果の通知及び報告)
第 14 条 対応総責任者は、対策委員会の調査結果を速やかに告発者及び被告発者(被
告発者以外で不正行為に関与したと認定された者を含む。
)に通知する。被告発者が
本学以外の研究機関に所属している場合は、当該所属研究機関に当該調査結果を通
知する。また、当該事案に係る研究資金を配分した機関にも当該調査結果を通知す
る。
2 悪意に基づく告発との認定があった場合、対応総責任者は告発者の所属研究機関
にも通知する。
(不服申立て)
第 15 条 不正行為と認定された被告発者及び悪意に基づくと認定された告発者は、調
査結果が通知された日から 10 日以内に、不服申立てをすることができる(別紙様式
3)。
2 不服申立ての審査は対策委員会が行う。ただし、不服申立ての趣旨が、対策委員
会の構成等、その公正性に関わるものである場合には、対応総責任者の判断によ
り、対策委員会に代えて、他の者に審査させることができる。
3 対応総責任者は、被告発者から不正行為の認定に係る不服申立てがあったときは、
告発者に通知し、当該事案に係る研究資金を配分した機関に報告する。告発者が、
本学以外の研究機関に所属している場合は、当該所属研究機関にも通知する。ま
た、悪意に基づく告発と認定された告発者から不服申立てがあった場合、告発者
が所属する機関及び被告発者に通知し、当該事案に係る研究資金を配分した機関
にも報告する。
4 対策委員会は、不服申立ての趣旨、理由等を勘案し、再調査を行うか否かを決定
する。再調査を開始した場合は、原則として 50 日以内に本調査の結果を覆すか
否かを決定し、その結果を告発者、被告発者等及び当該事案に係る研究資金を配
分した機関に通知する。また、告発者及び被告発者が本学以外の研究機関に所属
している場合は、当該所属研究機関に通知する。
(調査結果の公表)
第 16 条 対応総責任者は、不正行為が行われたとの認定があった場合は、不服申立て
期間を経過した後、速やかに不正行為に関与した者の氏名・所属、不正行為の内容、
公表時までに行った措置の内容、対策委員の氏名・所属、調査の方法・手順等調査
結果を公表する。
2
対応総責任者は、対策委員会において不正行為が行われなかったとの認定があっ
た場合は、原則として調査結果を公表しない。ただし、論文等に故意によるもの
でない誤りがあった場合は、調査結果を公表する。
3 悪意に基づく告発の認定があったときは、告発者の氏名・所属を併せて公表する。
(調査中における一時的措置)
第 17 条
対応総責任者は、本調査の実施決定後、対策委員会の調査結果の報告を受け
るまでの間、告発された研究に係る研究費の支出を停止することができる。
(不正行為が行われたと認定された場合の措置)
第 18 条
不正行為と認定された場合、不正行為への関与が認定された者並びに関与し
たとまでは認定されないが、不正行為が認定された論文等の内容について責任を負
う者として認定された著者(以下「被認定者」という。)が本学に所属するときは、
対応総責任者は、当該研究に係る研究費の使用中止を命ずることとし、不正行為と
認定された論文等の取り下げを勧告するとともに、本学就業規則に基づく処分等必
要な措置を講ずる。
2 学内研究費の使用中止期間等については、対策委員会において取り決める。
3 学外研究資金の使用停止期間等については、当該研究資金配分機関の定めに従う
ものとする。
(不正行為が行なわれなかったと認定された場合の措置)
第 19 条
不正行為は行われなかったと認定された場合、対応総責任者は、本調査に際
して実施した研究費支出の停止及び証拠保全の措置を解除する。
2 対応総責任者は、不正行為が行なわれなかったと認定された者については、その
名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講ずる。
3 告発が悪意に基づくものと認定された場合、対応総責任者は、告発者が本学に所
属しているときは、就業規則に基づく処分等必要な措置を講ずる。また、当該者
が他の研究機関に所属する場合は、当該所属研究機関へ通知し、その他の者の場
合は、その他必要な措置を講ずる等適切な処置を行う。
(守秘義務)
第 20 条 この規程における不正行為への対応に携わる者は、告発の内容及び不正行為
の調査に関する事項についての秘密を守らなければならない。
(事務所管)
第 21 条
行う。
この規程に関する事務は、関係部局等の協力を得て、教務部教務課において
(補則)
第 22 条 この規程に定めるもののほか、不正行為への対応手続及び対策委員会等の運
営に必要な事項については、別に定める。
(改廃)
第 23 条
この規程の改廃は、大学協議会がこれを行う。
附則
1
この規程は、平成 19 年 6 月 20 日から施行する。