実践 オーディオシステムのセットアップ - So-net

MJ2005年2月号 元原稿
実践 オーディオシステムのセットアップ
橋詰伸一
ていった。アンプはトリオTW410、ヤマハCA1000、
金田式プリアンプとメインアンプ(自作)、ソニー
TA-F555ESL、スピーカはトリオ製のお余り、ス
キャンダイナA25、KEF104と代えていった。今に
して思えば、自主的判断はまるでできなかった時
期である。
はじめに
筆者は「何を」よりも「どう使いこなすか」に重き
を置いている。とかく、「何に」目が向きがちであ
る。評価の高いものをかき集め、つなげばいい
音がでるか?否と言いたい。何を使うかで可能
性に差が出るのであって、実際に出てくる音は
使いこなしに左右される。食材がよければおい
しい料理ができるはずだが、調理や味付け次
第でそうなるとも限らないのと同じである。
オーディオマニアの多くは、自分の装置の音
は世界一とか、日本一ではないにしても、相当
にいいと思っているのではないだろうか。また、
その一方で、もっと良くしたいと願っているはず
である。
マスメディアなどの情報は参考になる。しか
し、自分のところに持ってきたらどうだろうか?
多くの場合には前提条件が異なるので、同じ
結果が得られるわけではない。何が前提条件
なのか?自分の所との違いが何なのか?どう
応用できるのか?
何かを試してみて、音に変化があったとする。
ここで大事なことは、何故そうなったかである。
理由を考えないで闇雲に先に進もうとすると、
迷路に迷い込む恐れ大である。迷走は多くの
無駄な労力と出費を伴うものである。
何故音が良くなった(変わった)かについて
は分からないことも多い。分からないことは、とり
あえずはそのままにするにしても、必ずそこに
は揺るぎない理由が存在するはずである。あな
たの、そして、筆者の音をより良くするために一
緒に考えていきたい。
第2期
約10畳の自室を得た機に、スピーカはインフィ
ニティルネッサンス90、アンプはデンオン(現デノ
ン)PMA-S10Ⅱとした。この時は約半年間にわた
り熱心にオーディオに取り組んだ。これについて
は
http://www003.upp.so-net.ne.jp/hashizume/
Thinking/Audio/Audio.htm
にまとめてある。この時期にオーディオにおける
自我が芽生えた。音がおかしいと感じても、以前
ならば、そんなはずはない、気のせいだろうと片
づけていた。それに対して、自分が感じたのは事
実であり、その理由が何だろうと考えるようになっ
たのである。
第3期
C-2000とP-3000が届いてからの、この4ヶ月ほど
である。当初の音には満足できなかった。そのた
めに、これまでとは違う取り組みをした結果、それ
までとは別世界の音が聞けるようになってきた。
今までに経験した最もいい音は、某社試聴室
で聞いたダイヤモンドを振動板に使ったスピー
カを専用アンプで鳴らした音だった。この上なく
鮮明でダイナミックでありながら、柔らかさと優しさ
とを併せ持っていた。この音が筆者の尺度ないし
目標である。
来歴
音を評価するうえでの原則
オーディオは趣味の一つである。キャリアは断
続的ではあるが40年近くになる。筆者の来歴を
簡単にまとめるが、同年代の人で、今でもこだ
わっているのであれば、似たところがあるのでは
ないだろうか。
音を評価する上で方法論を、はっきりさせてお
きたい。
*基本的な条件を整える。
*比較用ソースを固定する。ソースにはバラエティ
をもたせる。
*電源を入れて30分程度経ってから比較する
*聞く位置と音量を同じにする。
第1期
世はオーディオの黄金期だった。関係雑誌を
読みあさり、いいと書かれているものを買い換え
1
2004.12
橋詰伸一
*一度に多くの変更はしない。とかく複数の変更
が重なりがちである。変化が理解できないようなら
遡って個々の影響を確認する。
*即断は禁物。変更後は1週間くらいの評価(冷
却)期間をおく。何をしたら、どうなったか?どのよ
うな可能性が残されているのかをよく考えよう。
*不明点は不明点として残す。半年、1年経ってか
ら分かることもある。
安易に結論を出してはいけない
電源プラグとコンセントをとを医療用に換え
たら音が良くなったとしよう。これを単純に交換
のせいだと結論づけるのは早計である。そうし
てしまうと、行き着くところはウン万円もする電
源コードをとっかえひっかえ漁るようなことにな
りかねない。
音に影響する要素はたくさんある。この場合
は気になる点は
*AC電源極性を同じに差し直したか?
*屋内配線とコンセント間の接触具合は変わら
なかったか?
*スピーカやラインケーブルとの位置関係は変
わらなかった?
などである。コンセントとプラグだけを換えたつ
もりでも、音に影響する要素はたくさんあり、意
識 する、し な いに かかわ ら ず他 の 要素 が 変
わってしまうのが普通である。コンセント交換時
には、多分屋内配線ケーブルの先を切り落とし
てむき直すはずで、これも有利に働く。この
ケースでは、プラグを交換しないでも、汚れを落
として差し直しただけで音は相当に良くなるも
のである。
電磁波吸収シートをCDプレヤー天板裏側に
貼ったら音が良くなったしよう。この場合に電磁
波の影響がなくなったからといえるだろうか?
そうかも知れないし、単に機械的振動モードが
変わったせいなのかも知れないのだ。
おわかりのように安易な断定、あるいは、思い
こみは禁物である。状況を観察・把握して、よく
考えることが大切であり、、時間が経つと評価が
変わることもある。その意味では継続性も必要
である。
書いてみるとこうなるが、筆者自身が今でも、こ
れら原則から外れがちなことを白状しておきた
い。また、現実には逆戻りができない変更も多い。
人間の問題
ただスイッチを入れ直しただけなのに前日に
較べて音が悪くなったような気がすることがあ
る。その翌日は元に戻っていたりする。悪いとい
うのは、音がうるさかったり、生気がなかったり、
伸びがないように聞こえるのだ。なぜ、こんなこ
とになるのだろうか?外部から雑音が侵入して
いることも考えられるが、多くは自分自身のせ
いのような気がする。原則に書いたばかりだが、
原因としてボリュームの上げ過ぎがある。うるさ
さを感じさせる限界があり、それを越えると音が
悪くなったように勘違いするのである。また、こ
れも原則から外れる例だが、かけた曲自体が
違っていることがある。単なる勘違いなのだが、
こんなはずではなかったとなってしまう。さらに、
同じ曲を、同音量、同一条件で聞いても悪く
なったように感じることがある。この原因は、多く
の場合、多分自分自身の問題のようだ。すなわ
ち、よってきたるところは精神的、身体的不調・
変調である。逆にバカに良く聞こえることもあっ
て、このようなことは気分が優れた時に起こりが
ちである。本当は変わっていないのにもかかわ
らず、何とかしようと、いじり始めるとおかしなこと
になってしまう。いずれにしても即断は禁物で
あり、状況を的確に見極める必要がある。
リファレンスソース
現在の比較ソースは次のようなものである。今
ではジャズは聞かず、クラシック中心、それも最近
リファレンスCD
2
ではボーカルを好んで聞いている。
いる。これにはアース端子があるが、電気的に
は浮かせた(何も接続しない)状態にしている。
プラグはFURUTECH FI-11M(Cu)である。以前
は 松 下 WF5018の 端子メ ッ キを ヤ ス リで 削 り
取った上で1∼3ヶ月に1度磨いていた。かなり
くたびれてきたので新品に交換しようとして、は
じめからメッキがなければ手間が省けるであろ
うと、これにしたのだった。ACプラグのアース端
子はあった方がしっかりささるので3ピン状態
で使っている。AC出力の極性を確認した上で、
全ての接続機器に対して正規の極性となるよ
うに固定している。プラグを3ピンとしているの
で、そのような極性でしか差し込みようがない
状態になっている。
①エリック・カンゼル指揮シンシナティポップス テ
ラーク CD-80401
②タイタニック オリジナルサウンドトラック
SRCS8529
③ともしび鮫島有美子 COCO-75658
④ザ・ピーナッツ APCA-1046
ザ・ピーナッツが出てくるのが、何とも気恥ずか
しいところではあるが、正直を旨として話を進めて
いきたい。これは古い録音ではあるが、再生は結
構難しいのである。これらのリファレンスCDであ
れば、ほとんど音が出た瞬間に、どんな音が出て
いるかを判断できる。さらに、これらのうちで①の3
曲目シング・シング・シングが筆者にとってmust
である。少なくともこれだけはイメージ通りの音が
出て欲しいのである。各人毎にそれぞれそんな
音楽があるはずで、それを踏まえた上で、偏りが
ないようにソースを固定して欲しい。また、リファレ
ンスソースには是非人の声を加えて欲しい。音の
違いが最も分かりやすいのは人の声だからであ
る。
まずAC電源の極
性を合わせよう
実践編
それではC-2000とP-3000の立ち上げ時の問
題点が何で、これをどのように解決して音を仕
上げていったかに話を進めていきたい。
以下、何をどうしたかを順次書いていくが、参考
のために、経験、 理論、 ヒアリング、 好みのよ
うに判断した理由を付記する。また、さらに確認を
していきたい場合はペンディングとした。
下準備
C-2000とP-3000で音を出す前に少々乱暴で
はあるが次のような下準備をした。
①メインアンプのACコード交換
P-3000付属ACコードは前出フルテックのACプ
ラグとインレットプラグ同FI-15E(ロジウムメッキ)
つき自作コードに交換した。添付品はパワーアン
プ用としては役不足と感じたからである。経験
②レコードプレヤーの廃棄
何年かぶりでターンテーブルDP-3000のスイッ
チを入れたが回らなかった。今さら修理でもない
のでトーンアームとも捨てることにした。そのため
にCD専門と再生系はシンプルになった。
アキュフェーズC-2000・P-3000について
アキュフェーズのC-2000とP-3000を発売と同
時に購入した。E-408かE-530かの、いずれかに
にしようか迷った。試聴記は筆者のホームペー
ジ
http://www003.upp.so-net.ne.jp/hashizume/
Thinking/Audio/Accuphase.htm
にある。注文した時点ではデモ機はなかった
ので音は聞かなかった。もう買い換えはしない
という前提で、アキュフェーズと、そして、そのセ
パレートアンプの可能性にかけた。
音を出してみると
広がり、奥行き感や定位、低音と高音の伸び、弾
むような低音が出る、ボリュームを絞っても音がぼ
けない、ボリュームを最大にしてもスピーカ近づ
かないとノイズが聞こえないなど、大きな可能性
が感じられた。では、音に満足したかといえばそう
AC電源の極性
音の善し悪しに取り組む前に、まずACコンセ
ント周りの条件を整えたい。筆者はACコンセン
ト松下WN1318を2年程度で新品に交換して
3
入当時は定評あるものだった。ところがAUDIO
BASIC2004夏号103ページに「このラックは硬質
な響きが載るので好ましくないと買い換える人が
いる」とある。気にしていた音の濁りに関係あるか
も知れないと、説に従って4枚の棚板を支える各6
本のピンをすべて外し、フェルトを挟んでみた。確
かに効果があり、こうしたらSLC-10でも気になる
音は出なくなった。ヒアリング
思い起こせば組み立て時に6本のねじを調節
して、棚板をがたがないようにセットするのに苦労
した記憶がある。6点でガタがないように支えるの
は至難の業である。ガタがでないのは3点支持で
ある。理論
ではなく、もしかしてPMA-S10Ⅱの方が良かった
かも知れないというのが、この時点での正直な感
想である。
DAC10、バランス/アンバランスケーブル
C-2000 に は オ プ シ ョ ン ボ ー ド で あ る DA コ ン
バータDAC-10を組み込んだ。マランツSA8400の
アナログ出力と、デジタル出力をDAC-10を通し
た音とを聞き較べると後者の音が断然良い。色
彩感豊かで重心の低い音がする。ヒアリング、好
み
C-2000とP-3000間はバランスケーブル、あるい
は、一般的なアンバランスケーブルのいずかで
接続することになる。比較するとバランスケーブ
ルの方が重心も低く安定した音になる。以降はす
べてバランス接続とした。ヒアリング、好み
それでも濁りは残った
この時点ですでに、音には不満ないレベルに
達していた。ラックに問題があるのにもかかわら
ず7年間もなぜ気づかなかったのか?それは、
「悪い音」を避けて通ってきたからである。悪い音
がすると、その部分はとばしたり、CD自体をお蔵
入りさせたりしてきたのだった。いい音のするCD
を対象として、さらに良くなるようにしてきたわけ
で、ここで方向転換することにした。先のリファレン
スは問題ないように聞こえたが難物はこのCD
だった。
バランスケーブル (アキュフェーズSLC-10)
再生が難しいCD
(WPCS21248)
気になる音が出る̶ラインケーブル交換
なぜ前のPMA-S10Ⅱの方が良かったかもしれ
ないと感じたかといえば、大きなポイントとして、わ
ずかな濁りが気になったからだ。筆者は低音側
には鈍感な反面、中・高音側には敏感な傾向が
ある。高音にささくれがあるというか、引っかかりが
あるというか、これが気になるのである。どうしたら
これが抑えられるか?あれこれやってみたもの
の、はかばかしくなかった。たまたま、プリ・メインア
ンプ間をアンバランスケーブルに切り換えたとこ
ろ大いなる改善が見られた。バランスケーブルは
アキュフェーズ純正SLC-10だったので、ここに落
とし穴があるとは思わなかった。後に、このケーブ
ルのせいではないことが分かるのだが、バランス
ケ ー ブ ル は ア ク ロ テ ッ ク 8N-A2090 と し て 今 に
至っている。ヒアリング、好み
特に3曲目で裏声のような男性コーラスがキン
キン、ガサガサするのだ。 95年の録音なので、録
音自体に問題があるとは考えにくい。そこで、改
めて、他のCDを聞き直してみた。すると、このよう
な音が出ていないわけでもないことに気づいた。
気にならない程度にレベルが低いか、あるいは、
いい音が勝っていて、全体として気にならないと
いう構図なのだ。どうしたら、この僅かな濁りがとれ
るのか?
インターネットでタオックSSシリーズの検索をす
ると、まさしくこのラック用に御影石の棚板が売ら
れているのを発見した。わざわざこのシリーズ用
が用意されているということは、音に濁りを取るた
めの答えではないか。
http://www.mukai.gr.jp/ (向井建設のHP)
オーディオ用とはいっているが専門ではないよう
タオックSS-4のこと
この重さが40kgもある縦型4段ラックを7年間
使ってきた。現在では姿を消してしまったが、購
4
ずそうは高くないタングステンシートや防震シー
トの類を試してみた。結果は効果があるとはいえ
なかった。そして、あまり期待しないでアコース
ティックリバイブCP-4というクロロプレン製インシュ
レータを試した。ただの薄いゴム製円板なのだ
が、ラックと棚板の間に挟んであるフェルトの代わ
りにこれを使うと濁りが気にならなくなった。ここで
はじめて振動が音に影響している事実を認識し
た。さればと、J1 ProjectのインシュレータA40Rを
CDプレヤーの下に敷いてみた。こちらは、低音側
の出方に改善効果があるようだった。ヒアリング、
ペンディング
で、棚板1枚で6,850円と妥当な値段に思えた。
迷ったが、少なくとも見た目が良くなることだけは
間違いないので思い切って4枚とも取り換えるこ
とにした。
御影石の棚板最上段
(載っているのは3個のインシュレータ−後述)
棚板1枚が9.7kg、4枚とも交換したので収納機
器を含む総重量は120kgを越えた。一人では押
してもも引いても、根が生えたようにびくともしなく
なった。
効果はといえば全体的に音が静かになった。
不要な振動が収まったためと考えられる。ヒアリ
ング、理論
余った棚板はスピーカの下に敷いてみようかと
考えていた。左側スピーカの床が鳴りやすいの
だ。ところが、そうするまでもなく床鳴りは収まって
しまった。ラックは左側スピーカ前方に位置する
ので重量増が効いたようだ。おかげで低音が型く
ずれし難くくなった。ヒアリング、理論
肝心な音の濁りがどうなったかといえば、改善さ
れたとはいえなかった。ヒアリング、ペンディング
効果が認められたインシュレータ
低音側スピーカケーブルをよじってみたら
ルネッサンス90は4ウェイでクロスオーバ周波数
は150Hz、550Hz、3kHzである。このうち150Hzを
境に最低音のスピーカケーブルはベルデン727、
中高音はアクロテック6N-S1000で、完全なバイワ
イヤリング接続としている。両ケーブルとも2線平
行ケーブルである。ふと思いついて低音用ベル
デン727を割いて捩ってみた。中高音に効果を期
待したのだったが、意外にも目覚ましく低音が出
るようになった。中高音については若干ではある
が静かになったような気がした。狐につままれた
思いだった。ヒアリング、理論、ペンディング
ラック棚板の振動をコントロールする
声の濁りを取ろうとしてきたが暗礁に乗り上げ
てしまった。振動が影響しているのか、それとも別
の原因があるのか分からない。CDプレヤーを置
いている御影石棚板と支柱の間、そして、CDプレ
ヤーの足の下にブチルゴムをテフロンテープで
包んだ何とか式という自作インシュレータを挟ん
でみた。このインシュレータとは相性が悪いよう
で、今までに一度も効果があった試しがない。
音全体をなませるか、高音を出ないようにすれ
ば事態はいい方向に向かうはずである。しかし、
強い音は強く、鋭い音もそれなりに出したいので
ある。
確たる解決法は思い浮かばないので、とりあえ
オリジナルの727(上)と捩った727(下)
5
中高音用の6N-S1000は平行ケーブルである。気
になるので改めて他のケーブルと聞き較べてみ
た。結果は、これは換え難いというのが結論であ
る。目はぱっちりで、しなやかで上品な明るさを
もった音は筆者のシステムの要である。ヒアリン
グ、好み
低音用ベルデン727は撚るには長さが不足な
ので、オルトフォンのシールドつきスターカッド
ケーブルSPK-3900Q SILVERとした。(1,512円/
mで購入)この線は断面積の割に個々の芯線が
細いので、プラグを使わないでもスピーカ端子に
直接つなぐことができる。シールドは、アンプ側・ス
ピーカ側の、いずれにもつないではいない。
スピーカケーブルは時間の経過とともに音が悪
くなるが、むき直すと回復する。その点でもプラグ
は使わす直接端子につなげるのが好ましい。経
験
原因不明で音が良くなったり、悪くなったり
する
これは先に人間側の問題として取り上げた。そ
れは別にして、関係あるかどうか不明ではあるが、
ほとんど聞かなくなったFMチューナを撤去した。
ACケーブルや左右のスピーカケーブル、そして、
FM用同軸ケーブルが一緒くたに部屋の隅を
這っている。何かをすれば、これらの位置関係が
変わるのが気になった。何度か経験した末にFM
用ケーブルを片づけた。理論、ペンディング
スピーカケーブルはシールドつきスター
カッド線に
コードを撚るのはノイズ対策の定石である。撚
ることによって、電流が流れた時にコード自体
が出す雑音が少なくなり、かつ、外部磁界によ
る誘導起電力も小さくなるからだ。電源コードと
スピーカケーブルの位置関係はできる限り平
行にならないようにしてあるが、これが音に影
響するかどうかは微妙なところである。さらにバ
イワイヤリングの低音用と中高音用ケーブルと
は平行に這った状態となっているが、相互に
影響し合っているかはさらに微妙である。平行
線と撚り線でノイズに差があるのは図のように
説明される。理論
150Hz以下を受け持つ低音側バイワイヤリング
ケーブルは太くて(断面積が大きく)硬いケーブ
ルが適している。しっかりしたパワー感がある低
音だ出るのだ。経験
スピーカケーブルとして撚り線が良さそうだが
オルトフォン
のシールドつ
きスターカッド
スピーカケー
ブル
なお、スピーカを正面に見て、ラックは左側に置
いているので右が約1.5m長い状態、すなわち左
右が不等長のままにしてある。等長が好ましいと
もいわれるが余分な遊び(抵抗増)を嫌ったから
である。
電源ケーブル関係
スターカッドケーブルとは、ホット側とコール
後側とを各2線ずつ計4本を捩り合わせたもの
である。スピーカケーブルで効果があるとすれ
ば、電源ケーブルでも効果が期待できる。理論
そ こ で 手 始 めに CDプレヤ ーと MDデ ッキ 用
テーブルタップをスターカッド電源ケーブル使
用のOCB-1 DXsに交換した。また、プリアンプ、
メインアンプ、そして、CDプレヤー用3本の自作電
源ケーブルにも、先のシールドつきスターカッドス
ピーカケーブルを転用した。シールドはアンプと
CDプレヤー側GNDに落としている。このスピーカ
ケーブルを電源ケーブルとして使うのは安全規
格(PSE)上で法令違反となる。従って真似をして
もらいたくないところではある。
テーブルタップ変更による音への影響は次の
ような事件が起きたので今ひとつはっきりしな
平行線
磁束は加算される
撚り線
磁束は打ち消しあう
電流
磁束
撚り線が発する電磁誘導ノイズは
平行線に較べ小さい
6
かったが、3本の電源ケーブル変更は相当な効
果があった。音の壁ができて、これが押し寄せてく
る感じになった。ヒアリング
ボリュームを上げれば同音量にすることができ
る。P-3000では0dB、-3bB、-6dB、そして、-12dB
に切り換えられるが、-6dBを標準設定としてい
る。ゲインを下げればNFB量が増る結果として、
音の元気度は減退する反面、粒子は細かく滑
らかになる。-6dBが元気が失われ過ぎず、かつ
適度に滑らかな音になるように感じられる。ヒア
リング、好み
ケーブルは大きな応力を受けると音が悪
くなる?
OCB-1DXsのACプラグは2端子だったので
添付されていたアース端子を追加した。ACプ
ラグを分解して再度組み立て、音を出してみた
らひどく悪い音がしてがっくりきた。ところが翌
日になったら、嘘のように音は回復していた。こ
の間にしたことは単にCDプレヤー、プリアン
プ、メインアンプのスイッチをオフにして、入れ
直しただけである。他には一切何もしていな
い。にも関わらず前日はなぜ音が悪かったの
か?もしかすると、ケーブルに大きな応力がか
かると音が悪くなるのではないか?1日おいて
応力が緩和したせいで音が回復したのではな
いか?不器用なもので組み立て時に相当な
力でケーブルを引っ張った覚えがある。ペン
ディング
太くて硬いケーブルはエージングに時間が
かかるといわれている。これは応力の緩和に時
間がかかるせいかも知れない。とりあえず、デジ
タルケーブル、ラインケーブル、そして、スピー
カケーブルは、すべてできる限り緩やかな弧を
描くようにセットし直した。
P-3000のゲイン切り換えスイッチ
メ カ ニ カ ル ノ イ ズ(機 械 的 振 動)を コ ン ト
ロールする
再生が難しい先のコーラスが良く聞こえるよ
うになると他の嫌な音が気になるCDも音が良
くなった。それにも増して、元々音が良かった
CDはさらに良くなった。いろいろ試していくとメ
カニカルノイズをコントロールする重要性が分
かってきた。しかし、インシュレータを取っかえ
引っかえ試してみたが一進一退になってきた。
そこで、基本に立ち返り、ラックを組み直すこと
C-2000とP-3000の特技
パワーアンプP-3000にはゲイン切り換えス
イッチがある。ゲインを下げて、プリアンプ側で
同 組み直し後
ラックを組み直す前の配置
7
ンシュレータは外した上で、次のように配置した。
左奥の電源トランス下にまず1個、ドライブメカセ
ンター下にもう1個を配置した。残りの1個は向
かって右側の左右水平バランスがとれる位置に
セットした。重い後ろ側が1個で、前面側が2個な
ので、がに股状態である。前後方向のバランスを
取るためにOリングは後ろ側には2本、前側には1
本としたが、前後方向バランスは完全には取れ
ず、多少前上がりのままとしてある。理論
この状態で、静かで深々とした低音がきっか
り出るように感じられた。ただし、音の艶という
か、輝きというかが減退して、何か少し寂しい感
じがした。そこでC-2000とP-3000とにインシュ
レ ー タ と し て 各 々 J1 project の A5019R と
C48305を使ってみた。こうすることで不満はほ
ぼ解消した。ヒアリング、好み
なお、ソリッドテックのインシュレータを使うと
CDプレヤーはブヨブヨのこんにゃくに載せた
ような状態になる。滑り止めのOリングを入れて
も地震でどうなるか不安である。
ソリッドテックのインシュレータには、目黒のサ
ンマのように、骨を注意深く取り除き、油を抜き
いてしまったつみれのようになってしまったよう
なニュアンスが感じられた。そこで多少活気が
戻るように操作をしたわけである。このように振
動を何が何でも抑え込むのではなく、好みの
響きにコントロールしようというのが今様のやり
方である。
にした。従来は上からC-2000上にMDデッキの
を積み重ね、CDプレヤー、そして、最下段はP3000だった。(ラック上は空き)微少振動が効い
ているとすれば自然な配置の方がいいのでは
ないかと考えた。そこで棚板は等間隔に組み
直し、ラック上にCDプレヤーを持っていった。C
-2000、MDプレヤー、P-3000が各々ラック格段
に収まったわけである。CDプレヤーがここでい
いのか迷ったが、ケーブル長を短く、かつ、重い
ものを下にを原則とした。理論
インシュレータが最も効果を発揮するのは
CDプレヤーである。このインシュレータはソリッ
ドテックの515CHとした。入手できるインシュ
レータのほとんどは鍋敷きのようなもので、素材
そのもの性質に頼っている。対してこのイン
シュレータは車のサスペンションのような構造
となっている。3組のOリングがバネ、粘性のある
液体がショックアブソーバの役割を果たしてい
る。3個で4万円と高いが、インシュレータとして
納得できるものと感じられる。理論
消磁器アコースティックリバイブRD−2
今回のチューニングは、そろそろ行き着くとこ
ろまで行ってしまった。最後にCD消磁器を試
してみた。一時期話題になり、気になっていた。
CDが帯びている磁気を消去すれば音が良く
なるといわれている。CDが磁気を帯びている
SA8400用インシュレータ ソリッドテック515CH
このインシュレータは3個組である。これらをどの
位置に置くのか、それが問題である。SA8400のイ
水準器
内部ドライブ上の水準器でバランスを調整した
消磁器RD-2
8
結果は低音がモリモリ出た!といいたいとこ
ろだが、全体的に音がほぐれ、そして、濁りも出
にくくなったように感じた。効果は直後には現
れず、数分後に差が出てきて、翌日に、この傾
向がさらにはっきりしたような気がする。
接点復活剤はメッキや金属を侵す恐れがあ
るので、その選択と利用には慎重を期したい。
にしても、どうしてそれが音に影響するのかの
納得できる説明を見たことはない。考えても分
からないのだが、複数の人たちが、音が良くな
ると認めているようである。
この消磁器はマスメディアではCDすべてに
効果あるようにいわれている。実際に試してみ
ると、CDによりバラツキはあるが、確かに音は良
くなるようである。ただし、すべてそうだともいえ
ないような気がする。それは、変な例えではある
が、泥んこで汗だらけの子供と、きちんとした服
装の行儀のいい子と、どちらがそれらしいの
か?極端な表現なので誤解を招く恐れがある
が、クラシック系にはいいが、ジャズ系はどうな
のかと感じた。逆戻りはできないので、確信はも
てないのではあるが。
プラグやケーブルの消磁にも効果ありと書か
れていた。アンプでも、CDプレヤーでも内部に
磁気は必然として存在するので、そんなばかな
思う。試しに、電源プラグ、ケーブル、ラインケー
ブルを、このRD-2で消磁してみたら音が良く
なったように感じられた。一体どうなっているの
だと叫びたい気持ちである。何はともあれ、CD
はすべて消磁して聞いている。ヒアリング、ペン
ディング
まとめ
アンプを買い換えた当初は失敗かなと感じ
た。しかし不得意科目の克服を試みた結果、不
得意科目はほとんどなくなると同時に、得意科
目は一層得意になったようである。
お 気 づ き の こ と と 思 わ れ る が C-2000 と P3000固有の話はパワーアンプのゲイン可変く
らいである。これは、アンプを買い換えなくても
ずっといい音で聞けたことを意味する。ここで
の話は一般論といっても差し支えないはずで
ある。ただし、筆者はクラシック系が人なので、
行儀の良い血液型でいえばA型サウンドに仕
上がったようだ。ジャズ系なら違う方向に価値
観を見いだすだろう。イメージとして、アンプは
アキュフェーズではなくマークレビンソン、ス
ピーカはルネッサンス90ではなくJBLなら、ここ
で気にした僅かな濁りなど多分問題にしない
だろう。どちらであっても、得意科目がより得意
になったことからすれば、メカニカルノイズ(振
動)をいかにコントロールするかが重要な課題
だといえる。
電磁気とか電磁波が音に悪影響をおよぼす
ような言い方をよく目にする。試しに簡単な電
磁気テスター(マザーツールEMF825—秋月
電子で購入3,600円—人体への磁気の影響を
調べるのが主目的のようだ)で磁界を測ってみ
た。大きく針が振れるのは、CRTディスプレイ、イ
接点復活剤
CDプレヤーとDAC-10を結ぶデジタルケー
ブルは買ってから6年が経っている。アルコー
ル系クリーナで掃除をしたことはあるが、プラ
グは変色している。音への影響が懸念される
ので接点復活剤を使ってみることにした。種類
が多くて迷ったが、安心できそうなものとして
CAIG(ケイグ)R-5を選んだ。うたい文句に「驚
くほど電池が長持ち」「電球を更に明るく」「サ
ウンドをよりクリアに」「全ての動きをよくします」
とあり、チュ−ブ入りは1,000円程度で売られて
いる。ケイグは少なくとも5年ほど前から見かけ
たブランドである。
電球云々が気になったので、ついでに接触部
が銅無垢のACプラグにも試みた。説明書に従
い液は少量として、完全に拭き取った。
接点復活材
CAIG R-5
電磁波メータ EMF825
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ンバータ蛍光灯、動作時のマッサージチェア。
あとはノートPC液晶そばでわずかいに振れた
くらいだった。これは理論通りである。オーディ
オ関連はCDプレヤーを含めて、まったく針は
振れなかった。電磁気、電磁波と希薄な根拠で
言うなと一喝したいところではあるが、CD消磁
器を思い出すと、すっきりとは割り切れないとこ
ろもある。
世の中には、高価なオーディオ機器やアクセ
サリー類をやけにもち上げる人がいる。大事な
ことは自分のところでは、どうか?である。比較
の仕方に関する解説が最近では見あたらない
ようである。ここには役に立つ情報があるはず
なので、是非自身で考え、試みて欲しい。
ここのところエラートやハルモニアムンディの
コーラスの入ったCDをよく聞いている。柔らか
く、漂うようなコーラス、そして、低音を刻むベー
スやドラムスが誠に心地よい。かといって、リファ
レンスCD②のフルオーケストラも十分に満足
できる。他のリファレンスCD然りである。
これを読んで、いくらかかったかなどと電卓を
取り出したりしないで欲しい。ルネッサンス90は
とうに販売されてはおらず、同族はダリの一番
高いやつあたりである。そうすると、しめて・・・万
円。しかし、そんなにお金はかけなくても、どっち
でもいい極低音を我慢すれば、はるかにいい
音が出せる可能性は十分にある。個人レベル
でのいい音は幅があるものである。ただし、自
己満足度をそこそこにするためには、それなり
の取り組みが必要である。
分からないことも多いので、さらに追求してい
きたい。
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現在のシステム構成図
ルネッサンス90
SA8400
デジタルケーブル
SAEC EFF-2000 (0.6m)
DAC-10
中高音側
アクロテック6N-S1000
バイワイヤリング fc=150Hz
P-3000
C-2000
バランスケーブル
低音側
オルトフォンSPK-3900Q
(スターカッド線)
アクロテック8N-A2090
AC電源について
*C-2000とP-3000電源は2口壁ACコンセントから。
*SA8400はテーブルタップOCB-1 DXsを介して別の壁コンセントから。
*電源ケーブルは、すべてシールドつきスターカッド線
*ACプラグはFURUTECH FI-11M(Cu)、インレットプラグは同FI-15E(ロジウム)
インシュレータ
*SA8400—ソリッドテック515CH、C-2000—J1 Project A5019R,P-3000—同C48305
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