なぜ泡(あわ)ができるのだろう?

なぜ泡(あわ)ができるのだろう?
~泡の研究~
岐阜市立長良西小学校
5年
岩井
佑太朗
グラフを見
1.研究の動機
僕は今まで,炭酸飲料が苦手だった。しか
ると,温度が
し最近,シュワシュワ感が好きになり飲める
高いサイダー
ようになった。そうしたら,シュワシュワ出
の方が,高い
る泡についての関心が高まり,くわしく調べ
位置まで泡立
てみたいと思い研究することとした。
った。このこ
とから,温度
2.研究の内容
が高い方が,
(1)サイダーの泡は何でできているのか
サイダーにと
サイダーの泡は,二酸化炭素であると予想
けている二酸
して,確かめることと
化炭素が外に
した。二酸化炭素かど
出やすいのだ
うかを調べるには,石
ろうと考えた。
灰水を用いる。実験器
結果:温度が高い方が,泡立ちがよかった。
具はペットボトルにス
トローを付けて,泡だ
(3)氷を入れるとどうなるのか
け取り出せるように自
次に,泡立
作した。
結果は,石灰水にサ
ちやすかった
写真 石灰水での実験
常温のサイダ
イダーの泡を通すと白くにごったので,サイ
ーを氷を入れ
ダーの泡は二酸化炭素であることが明らかに
たコップに注
なった。予想は的中した。
いで,泡の立
結果:サイダーの泡は,二酸化炭素である。
ち方を比べた。
結果は,氷の
(2)温度のちがいで泡の立ち方はちがうのか
ような急に冷
実験は,次のように行う。
たい物と混ざ
ア.室温のサイダー(約 33℃)
っても,泡は
イ.冷蔵庫で冷やしたサイダー(約 14℃)
立ちやすいことが分かった。
このアとイのサイダーを,プルトップを開
結果:氷ありの方が,泡立ちがよかった。
けて 10 秒後に,コップの口の高さからいっ
きに注ぐ。実験は続けて 2 回行う。
実験を開始すると,室温のサイダーはプル
(4)飲み物によって泡の立ち方はちがうのか
僕 が よ く 飲 む ,「 十 六 茶 」「 コ ー ヒ ー 牛 乳 」
トップを開けると,
「プシュー!!」と大きく
「野菜ジュース」で泡の立ち方を比べた。方
て長めの音を出して,気体がたくさん出た感
法は,ペットボトルにそれぞれ飲み物を注い
じだった。結果は,泡の高さを測定して,次
で,泡の立ち方を比べ,さらに 10 回から 100
のような棒グラフにまとめた。
回ずつ振って,様子を比較した。その結果を
(6)温泉水はどれぐらい泡立つのか
次表に示す。
【結果表】飲み物別の泡が立つ高さ (cm)
有馬温泉に旅行に行った機会を利用して,
10 回
20 回
30 回
50 回
100 回
温泉水の泡の立ち方も調べることとした。有
2.0
3.0
3.0
3.5
3.8
馬温泉には,
「炭酸泉」と「金泉」があり,
「金
7.0
9.0
11.5
13.5
15.3
泉」は茶色ににごっていたので,泡立ちやす
2.0
2.5
2.6
3.4
3.5
十六茶
コーヒ
ー牛乳
野菜ジ
ュース
いと考えた。実験の結果は,やはり茶色くに
ごった「有馬の金泉」では,白い泡がコップ
のふちに付き,名古屋の堀川と同じぐらい,
【飲み物別の泡が立つ高さの違い】
泡立ちやすいと感じた。「有馬の炭酸泉」は,
細かい泡は立つものの,すぐに消えてしまっ
た。
結果:色の着いた温泉水では泡が立ちやすかった。
3.研究のまとめ
(1)炭酸飲料水の泡の正体は二酸化炭素で
ある。
(2)炭酸水は温度が高いほどよく泡立つ。
しかし,氷を入れても泡立ちやすい。
【写真
コーヒー牛乳をふった様子】
(5)川や海の水はどれぐらい泡立つのか
近所の天神川や鳥羽川,岐阜市中心部の荒
(3)乳化剤の入っているものは,泡立ちや
すい。「起泡」という現象による。
(4)水が汚れていると泡立ちやすい。
田川,そして名古屋市堀川の水,さらに名古
(5)食塩水は泡立ちやすい。
屋港の海水を使って泡の立ち方を比較した。
(6)名古屋港の海水は泡立ちやすいが,塩
きっと,いろいろな物が混ざっているこうし
た水は,精製水と比べて泡が立つと思った。
の影響もあり,汚れだけが原因ではない。
(7)少量でも洗剤が川に流れ込むと,川は
泡だらけになるだろう。だからこそ,環
境保護が必要。
(指導教諭
白木克郎)
4.審査評
飲めるようになった炭酸飲料。飲むと「シ
ュワシュワ」と感じる泡に興味をもち,泡の
正体を探った研究である。泡の立ち方に目を
向け,
「液体の量や振り方」,
「温度」,
「注ぐ高
【写真
100 回ふって白い泡が出てきた様子】
川や海の水は,汚れが混ざっているので,
精製水と比べると,泡がよく立った。さらに,
名古屋港の海水の方がよく泡立った。しかし,
その後の実験から,食塩水も泡立ちやすいこ
とが確認できたため,海水が泡立ちやすいの
は,汚れだけが原因とは言いにくいと思った。
さ」や「不純物」などに着目して実験を行っ
た。ここでは,泡の秘密を条件統一して調べ
ている点が,5 年生の追究方法として大変に
素晴らしい。そうして得た結果や考えをもと
に,発展的な課題を設定して,追究の幅を広
げている。例えば,川の水に目を向け,環境
保全に関する視点からも言及することができ
ている。