福岡病院 CPAP ニュース No.77 2012.05.01. “春眠、暁を覚えず”と言います。春は眠くな る季節のようです。明るくなっても気づかず眠っ ていることが出来ると良いのでしょうが、実際に は、早く明るくなるために早く目が覚めてしまっ て、睡眠時間、CPAP 使用時間が短くなっている 人が少なくありません。 このように、季節は日照時間を介して睡眠に影 響しますが、気温も影響している可能性がありま す。 ごく最近、寝室の室温の変化が無呼吸や睡眠に どのように影響するかを調べた研究がスウェーデンの大学の研究者から発表されました(Sleep 2012;35:513-517)のでそれを紹介します。 寝室の室温と無呼吸、睡眠 軽症から中等症程度で、治療をまだ開始されていない睡眠時無呼吸の患者 40 名でおこなわれた 実験的研究です。各患者で3夜にわたって睡眠ポリグラフが行われ、各夜で、16 度、20 度、24 度 と異なる室温が設定されました。室温の順序は患者ごとにランダムに設定されました。朝起きた時 に、眠気の程度が質問されました。 結果は、室温が高い方が、無呼吸・低呼吸は減り、睡眠時間が短くなるという結果でした。無 呼吸低呼吸の減少は平均 13%、睡眠時間の減少は平均 7%でした。睡眠の深さは差がありませんで した。 朝の起床時の眠気はどうだったのでしょうか。結果は、室温が高い方が眠気が強いという結果 でした。 この研究の結果をどのように解釈するかは難しい面があります。結果的には、室温が高い方が 無呼吸が少なかったにもかかわらず朝の眠気が強かった点は重要です。室温そのものが眠気に影響 しているのか、あるいは、睡眠時間が少なかったことが関係している可能性があります。 この研究から、眠気が残る場合は室温を下げてみるというのも一つの方法ですが、それで無呼 吸が増えるとしたら、むしろ睡眠時間を増やす工夫をするのが良いのかもしれません。
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