2016年4月15日 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿 安全保障関連法の施行

2016年4月15日
内閣総理大臣
安倍 晋三 殿
安全保障関連法の施行に際しての意見
東京都生活協同組合連合会
会長理事
伊野瀬 十三
先月29日、集団的自衛権の行使容認を主な内容とする安全保障関連法が施行されまし
た。私たちはこの法律について、憲法に違反する内容であり立憲主義にも反すること、法
律の運用基準があいまいで時の政府による恣意的な判断により他国との武力行使が可能に
なること、多くの国民が疑念と不安を抱えており審議が尽くされていないことなどの理由
から、法案審議の段階から拙速な結論を急ぐべきではなく、慎重かつ丁寧な議論を積み重
ねるよう求めてきました。しかし、私たちのこうした声は聞き届けられることなく、昨年
9月19日、参議院の特別委員会及び本会議において前例のない強行採決が行われ、法律
が可決成立しました。
法案成立後、私たち生活協同組合をはじめ、地方議会や法曹関係者、市民団体など広範
な組織や国民各層から同法の廃止や審議のやり直しを求める声があがり、半年を経過した
今日でもこうした意見が続いています。安倍首相は、安全保障関連法の成立した後も「国
民への丁寧な説明に努めていく」旨、繰り返し表明してきました。しかしながら、昨年秋
に野党各党が求めた臨時国会開催の求めにも応じず、今年1月まで先送りにした他、2月
19日に野党が共同で提出した安全保障関連法の廃止法案に関しても政府・与党は審議入
りを拒んでいる状況にあり、安倍首相自らが国民に約束した「丁寧な説明」は未だ果たさ
れているとは言えません。さらには、今年は日本国憲法の公布から70年という節目の年
を迎えますが、国政選挙の結果次第によっては、憲法改定に向けた動きが急速に高まるこ
とも懸念されています。
戦後70年間の日本の安全保障政策を大きく転換させるこの法律の施行にあたり、同法
に対する数々の疑念や批判の声について、そして日本と世界の平和の安定にもたらす影響
や戦後日本が平和国家として果たしてきた役割とこれからの国際貢献のあり方について、
国民に丁寧かつ真摯に説明することを政府に求めるとともに、一旦、昨年9月の法律成立
前の段階に立ち返るために法律を廃止し、日本の安全保障の基本政策について再度、国会
審議をやり直すよう求めます。
以上