方程式と不等式 (1) 方程式とは? 文字を含んだ式において、その文字がある特定の値のときに等式が成り立つもの を方程式といいます。方程式にあてはまる文字の値を解といい、解を求める事を 「方程式を解く」といいます。 例えば、次のような問題を考える時に方程式を立てます。 大井君はアメ玉を5個持っていました。河野君のアメ玉と合わせると8個になりま した。河野君は何個のアメ玉を持っていましたか? 第2章文字式でも勉強しましたが数学として解くには、わからないものを文字で置 きかえます。(ひとまず文字で置いてから式を立て具体的な数を求めます。) 河野君の持っているアメ玉をX個とすると、 5+X=8 という式がなりたちますね。これが方程式です。 この方程式の解は、X=3になります。 方程式の解き方は次の項目で勉強します。 (2) 方程式の解き方 5+X=8を例にして考えてみましょう。 この方程式の意味は5にある数xを加えると8になります。ある数xはいくつか? という問題です。 以下のようにして解きます。 5+x=8の両辺から5をひくと、5+x-5=8-5となります。 ・左辺=5+x-5=x ・右辺=8-5=3 左辺と右辺はイコールで結ばれているので、 x=3となり、ある数が求まりました。 これが基本的な考え方です。 これをふまえて、移項という作業を勉強しましょう(方程式を解く上で重要な知識 移項 です。) 等式または不等式で一方 移項とは、数字や文字をイコールの反対側へ移動させる事です。 えて他方の辺に移すこと そして、イコールの反対側へ移動すると符号が変わります。←ポイント! さきほどの方程式を例にしましょう。 左辺にx、右辺に数字がくるように移項します。 5+x=8 x=8-5 ←左辺の5を右辺に移項するとマイナス5になる [サンプル 5-1] ・x-2=5 x=5+2 ←左辺の-2を右辺に移項して2 x=7 ・2x=x+1 2x-x=1 ←右辺のxを右辺に移項して-x x=1 ・2x+3=x+5 ←左辺の3と右辺のxをそれぞれ移項する 2x-x=5-3 x=2 の辺にある項の符号を変 練習問題 5-1 次の方程式を解きなさい。 (1) x+9=11 (2) x-5=-2 (3) 2x=4 (4) x+4=2x+6 (5)2xー1=x 解説 (1) x+9=11 x=11-9 ←左辺の9を右辺に移項して-9 x=2 (2) x-5=-2 x=-2+5 ←左辺の-5を右辺に移項して+5 x=3 (3) 2 x=4 ←両辺を2でわる x=2 (4) x+4=2x+6 x-2x=6 ー4 ←左辺の4と右辺の2xをそれぞれ移項する -x=2 x=ー2 (5)2xー1=x ←左辺の-1と右辺のxをそれぞれ移項する 2 x-x=1 x=1 (3) 二次方程式とは? すべての項を左辺に移項して整理した時、左辺がxの2次式( a x 2b xc=0 の形)になる方程式を二次方程式といいます。 二次方程式の解法は大きく分けて、次の二つがあります。 ①因数分解を使った解き方 ②解の公式を使った解き方 ←過去の出題率100% 二次方程式をみたら、まずは、因数分解を考えます。因数分解できない場合には、 解の公式を当てはめていくのが基本です。 ①因数分解を使った解法 二次方程式 x 2 3 x 2=0 左辺を因数分解すると、 次に、左辺の x1=0 よって、解は x1 、 を考えてみましょう。 x1 x 2=0 と x2 x2=0 となります。 がそれぞれ0になる x を求めます。 ですから-1 と-2 が当てはまります。 x =−1,−2 [サンプル 5-2] ・ x 2−4 x 3=0 x−1 x −3=0 ・ x 2−2 x−3=0 x1 x −3=0 よって x =1,3 よって x=−1,3 練習問題 5-2 次の二次方程式を解きなさい。 (1) x 22 x−15=0 (2) x 2−1=0 (4) 2 x 2−3 x −2=0 (5) 6 x 27 x−5=0 (3) x 2−9=0 解説 (1) (2) (3) x 22 x−15= x−3 x 5=0 2 x −1= x−1 x1=0 x 2−9= x −3 x3 =0 よって、 よって、 よって、 (4) 2 x 2−3 x −2=2 x 1 x−2 =0 (5) 6 x 27 x−5= 2 x−13 x5=0 x =3、−5 x =−1、1 x =3 、−3 よって、 よって、 1 x =− 、2 2 1 5 x = 、− 2 3 ②解の公式を使った解法 因数分解できない場合は、解の公式を使って方程式を解きます。 出題率 100%なので絶対暗記してください。 二次方程式 解の公式 ax 2bxc=0 x= の解は、 −b ± b 2−4ac 2a ※a は 0 以外の数 (a=0 だと二次方程式でなくなるため!) 2 x 25 x1=0 の場合で考えると a =2 、 b=5、c=1 だから、これらの値を解の公式に代入します。 −b ± b 2−4ac −5 ± 52−4 × 2 ×1 −5± 17 x= = = 2a 2× 2 4 ±の符号でまとめて書いていますが、実際には解は以下の二つ存在します。 x= −5 17 −5− 17 、 4 4 [サンプル 5-3] 4 x 2−7 x−6=0 a =4 、b=−7 、c=−6 だから、これらの値を解の公式に代入します。 −b ± b −4ac 7 ± −72−4 × 4 ×−6 7 ± 145 x= = = 2a 2 ×4 8 2 練習問題 5-3 次の二次方程式を解きなさい。 (1) 5 x 26 x−2=0 (2) 2 x 23 x−1=0 解説 (1) (1)は、b が偶数です。 a =5 、b=6、 c=−2 だから、これらの値を解の公式に代入します。 −b ± b 2−4ac −6 ± 6 2−4×5×−2 −6± 76 −6 ± 2 19 x= = = = 2a 2 ×5 10 10 −3 ± 19 約分して x = ←分母と分子を2でわって約分した。 5 (2) a=2、 b=3、c =−1 だから、これらの値を解の公式に代入します。 −b ± b −4ac −3 ± 3 −4 ×2×−1 −3 ± 17 = = 2a 2× 2 4 2 x= 2 一般に ax 2 bxc=0 の bが偶数の場合 2 a x 2b xc=0 −b ± b2−ac x= a が成り立ち、少し計算が 楽になります。(約分の必 要がなくなります。) (4) 二次方程式の発展問題 例えば、二次方程式 x 23 x 2=0 の解は、因数分解を利用して解が x =−1,−2 となる事を学んできました。 この二つの解を、元の方程式に代入すると当然0になります。 ・ x =−1 を元の方程式に代入して計算すると0になります。 ⇒ ・ −123 ×−12=0 x =−2 を元の方程式に代入して計算すると0になります。 ⇒ −223 ×−22=0 つまり、解を元の方程式に代入すると0になります。この基本を押さえた上で高認 では次のような問題がよく出題されています。 [サンプル 5-4] x の二次方程式 4 x 2−3m x−m=0 (m は定数)の解の一つが-1 であるとき m の値を求めよ。 解の一つが-1 であるから、元の方程式に代入すれば0になるとわかります。 よって、x=-1 を代入すると これを整理すると よって m=−2 4 −12 −3m ×−1−m=0 42m=0 となります。←m の方程式になりました! 練習問題 5-4 xの二次方程式 2 x 2m xm7=0 (m は定数)の解の一つが 2 であるとき、m の値は[キク]である。(平成 20 年第 2 回高認試験) 解説 解の一つが 2 であるから元の方程式 2 x 2m xm7=0 に代入します。 2 2 2 m×2m7=0 整理すると 3m15=0 となります。 これを満たす m を求めると m=−5 となります。 練習問題 5-5 x の二次方程式 x 2a−5 x−6=0 (a は定数)の解の一つが 3 であるとき、a の値は[ケ]で、もう一つの解は[コサ]である。(平成 18 年第 1 回高認試験) 解説 x 2a−5 x−6=0 3 23a −5−6=0 93a−15−6=0 の解の一つが3であるから代入すると a について解くと a=4 これを元の方程式に代入すると、 x 2 4−5 x −6=0 2 x −x −6=0 x−3 x2=0 よって x=-2、3 である。 よってもう一つの解は-2とわかります。 となります。 (5) 不等式とは? 不等式とは、数や式の大小を不等号を用いて表した式のことです。 高認試験では、一次不等式と二次不等式の計算問題が頻出しています。 ①一次不等式 (1次式の不等式) 「ある数xの2倍に1を加えた数は、xの5倍より大きい」を不等式で表すと、 2 x15 x となります。 これを解くには、一次方程式と同じように、以下のように解きます。 2 x15 x 2 x −5 x1 ←5 xを左辺に移項した。 −3 x1 1 x − 3 ←マイナスで割ると不等号の向きが変わる。 [サンプル 5-5] 2 x3 ≦ x5 を解きます。 2 x−x ≦ 5−3 ←xを右辺、3を左辺に移項した。 x ≦ 2 一次不等式 [重要ポイント] 両辺にマイナスをかけたり、両辺をマイナスでわると不等号>の向きが変わる事に注意。 [サンプル 5-6] x 52 x6 (1)一次不等式 x −2 x6−5 −x1 ←2x を左辺、5 を右辺に移項した。 ←移項した式を整理した。 x −1 (2)一次不等式 を解きます。 ←両辺をマイナスでわると、不等号の向きが変わる。 x 43 x10 x −3 x10−4 を解きます。 ←3x を左辺、4 を右辺に移項した。 −2 x 6 ←移項した式を整理した。 x −3 ←両辺を-2 でわった。 練習問題 5-5 次の一次不等式を解きなさい。 3 x−22 x 1 (1) (2) 2 x−55 x4 解説 3 x−22 x 1 (1) 3 x−2 x 12 2 x−55 x4 (2) x 3 2 x−5 x45 −3 x9 x −3 練習問題 5-6 次の一次不等式を解きなさい。 (1) 3 x −2 x1 2 (2) 0.2 x−1x0.5 解説 高認試験の一次不等式では、分数や小数を含んだ問題が頻出! 3 x −2 x1 2 両辺を2倍すると 3 x−22 x1 となる。 3 x−22 x 2 3 x−2 x 22 ←2x を左辺、-2 を右辺に移項した。 (1) (2) x 4 0.2 x−1x0.6 2 x−1010 x6 となる。 2 x−10 x610 ←10x を左辺、-10 を右辺に移項した。 −8 x16 両辺を 10 倍すると x −2 ←両辺を-8でわった。 ②一次不等式の文章問題 高認試験では大問2で2問、方程式や不等式の応用問題が出題されています。こ のタイプの問題は、単純に公式に当てはめるのではなく、自分で式を立てなければ いけないので、やや難しい所もあります。(どうしても苦手なら、配点は 10 点程度な のでバッサリ切り落としても大丈夫です。) まず何を求めるのか?何と何が等しいか問題文をよく読み分析します。そして求め たい数量を文字で表し方程式を作ります。 文章問題のポイント ①問題分析 何を求めるのか?数量関係を調べる。 ②文字の決定 求める数量を文字にする。 ③方程式をつくる 数式で表す。 ④方程式を解く 因数分解などを利用して方程式を解く。 上のポイントを意識して、過去問題や類似問題で慣れる必要があります。 [サンプル 5-7] ボール 1 個を的に当てるゲームがある。ボールが的に当たったときの得点は 5 点ではずれたときの得点は 1 点である。このゲームを 20 回行うとき、 合計得点を 70 点以上にするには、最低[キク]回当てなければならない。 ボールが当たった時をx はずれた時をyとすると条件より x y=20 ・・・① 5 x y ≧ 70 ・・・② y =20− x これを②に代入すると 5 x 20−x≧ 70 これを解くと、 x ≧ 25 よって、最低 13 回当てなければならない。 2 ①を変形して、 ③二次不等式 (2 次式の不等式) 二次不等式の計算問題も高認試験では頻出です。大問3の二次関数の項目で出題さ れますが、以下の公式を暗記しておけばグラフなどを使う必要はなく、機械的に正 解できます。 a x 2b xc0 の解を求めるには、まず左辺を因数分解して x−α x− β の形にする必要があります。 二次不等式 二次方程式の項目で学習したように、 x−α x− β=0 の解は x=α,β (α<β)とわかります。 この前提知識をもとに二次不等式を解きます。 a x 2b xc の解がx=α,β (α<β) のとき ・二次不等式 a x 2b xc0 の解は、α <x< β ・二次不等式 a x 2b xc0 の解は、x< α、β<x これも具体的な問題をこなす事で自然と身につきます。暗記するべきポイントは二 次不等式の不等号の向きによって解の範囲が変わる所です。 [サンプル 5-8] x 2 −x −60 を解きます。 左辺を因数分解すると x2 x−30 (1) 二次不等式 二次不等式の公式より、-2<x<3 x 2 −x −60 を解きます。 左辺を因数分解すると x2 x−30 (2) 二次不等式 二次不等式の公式より、x<-2、3<x 練習問題 5-7 次の二次不等式を解きなさい。 (1) x 24 x30 (2) x 2−3 x 0 解説 (1) x 24 x30 左辺を因数分解すると x1 x 30 二次不等式の公式より、x<-3、-1<x (2) x 2−3 x 0 左辺を因数分解すると x x−30 二次不等式の公式より、0<x<3
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