新聞記事から食の安全・安心を考える

新聞記事から食の安全・安心を考える(期間:2005年年末~2006年10月)
野口綾乃 04HE057
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12月13日
1月20日
3月23日
5月
5月29日
6月 7日
6月21日
7月
8月11日
9月18日
10月14日
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主な新聞記事
米国産牛肉輸入解禁(2年ぶり)
米国産牛肉禁輸(脊柱部混入)
EU、英国から牛肉輸入再開(10年ぶり)
白いんげんによる食中毒多発
残留農薬のポジティブリスト制度導入
食品衛生法改正 法律第53号
(平成19年4月1日から施行)
ワシントン日本輸入品に制裁関税をかける
法案提
米国産牛肉輸入再開
BSE感染牛、国内28頭目(北海道)
吉野家牛丼販売再開(1日限り)
北朝鮮の入国、入港、輸入禁止(半年間)
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残留農薬のポジティブリスト制度導入
規制の強化
導入後(ポジティブリスト)
導入前は残留してはならないものを示すネガティブリスト制度を採用していたため、基準値
が設定されていない農薬については、いくら残留があっても制限できず、食の安全確保上の
大きな問題となっていた。こうしたことから、厚生労働省は平成15年に食品衛生法を改正し、
基準値が設定されていない農薬等が、一定量を超えて残留する食品の流通を原則禁止する
ポジティブリスト制度に3年以内に移行することをきめた。
1月20日「科学的知見を踏まえ、米国産牛肉の
輸入を再開しました。消費者の視点にたって、食の
安全と安心を確保します。」そう小泉首相が演説し
た約5時間後、再び禁輸表明を余儀なくされた。
米国産牛肉に危険部位が混入していたのだ。
米国に対しての不安を抱えたまま7月再び米国産
牛肉が輸入再開となった。
この背景には、6月21日ワシントンで米議会の農
林族議員らが記者会見で「8月末までに輸入が再
開されなければ、日本からの輸入品に制裁関税を
かける法案」を提出したためと考えられる。
それでいいのか!?日本!!
Encephalopathy:BSE)
牛の脳の組織にスポンジ状の変化を起こし、起立不能
等の症状を示す遅発性かつ悪性の中枢神経系の疾病で
ある。
BSEの臨床的特徴
(1) 潜伏期間は3~7年程度、発症すると消耗して死亡、そ
の経過は2週間から 6ヶ月。
(2) 英国では3~6歳牛が主に発症。
(3) 臨床症状は、神経過敏、攻撃的あるいは沈鬱状態とな
り、泌乳量の減尐、食 欲減退による体重減尐、異常姿勢、
協調運動失調、麻痺、起立不能などであり、 死の転帰を
とる。
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8 諸外国のBSEの発生状況
今、注目されているのは米国産牛肉だが、諸外国でもB
SEは発生している。
OIE(国際獣疫事務局)の統計によると、1986年に英国
で発見されて以来、英国のほか、ベルギー、デンマーク、
フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、
オランダ、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、フィンランド、
オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、チェコ、スロ
ヴァキア、スロベニア、ポーランド、イスラエル、及びカナ
ダで国産牛の発生例が報告されている。
現在の輸入先は主にオーストラリアであり、世界的に見
ても、牛肉輸出国1位オーストラリア2位ニュージーランド
3位メキシコとなっている。
☆合格☆ 国内流通
★不合格★ 廃棄または積戻し
牛海綿状脳症(BSE)の原因となる異常
プリオンが蓄積する部位は、頭部やせき髄、
回腸遠位部が主なものであることが知られ
ているが、欧州での調査研究の結果、背
根神経節においても異常プリオンの蓄積
があることが分かってきた。BSE発症牛で
は、異常プリオンの量からみると、頭部、せ
右は正常なヒトのプリオンタンパク き髄等が約96%、背根神経節は約4%と
質の構造例だが,異常型ではα -へ 推定されている。量は尐ないながらも、こう
リックス(上図のピンクのらせん部分) した知見から、欧州連合や獣医衛生分野
が減ってβ -シート構造(上ではわず での国際機関である国際獣疫事務局(OI
かにある黄色の部分)に富むようにな E)において背根神経節を牛などの飼料や
り,熱や多くの試薬に対する耐性が 食品などの原材料としないよう規制が定め
高くなってしまう。この異常プリオンタ られている。OIEは、平成14年5月に総会
ンパク質が正常プリオンタンパク質に において国際動物衛生規約を改正し、BS
作用すると次々と異常型になっていく E発生国において牛の背根神経節を食用
ために感染作用が現れると考えられ にすべきではない部位として規定(平成14
年9月に公表)した。
ている。
この日本が新たに導入したポジティブリスト制度が中
国で波紋を呼んでいる。中国にとって日本は農産物の
最大の輸出先であり、この新制度の影響で対日輸出が
減尐し、新たな日中摩擦にもなりかねない。ただ、中国
政府は日本に対して検査の簡素化などを求めつつ、新
制度を「外圧」として国内農業の改善を促そうともしてい
る。国内の消費者からも食の安全を求める声が日まし
に強まっているからだ。
一方日本国内産については、農水省によると新制度
導入以降、都道府県などが実施する検査で基準を超す
残留農薬が検出されたのは、シュンギクで1件。使用す
べき農薬を取り違えたケースで、導入前でも違反にあた
るものだった。例年なら年20件前後の違反が見つかる
ペースが改善されており、新制度導入で農薬の適正使
用が徹底されたためではないかと思われる。
一律規準:人の健康を損なうおそれの無い量として厚
生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意
見を聴いて定める量
①米国
日本向け牛肉の輸出認定施設
・20ヶ月齢以下の牛肉 ・特定危険部位の
除去
・米農務省検査官による検査
②日本
動物検疫所(農林水産省) 検疫所(厚生労働省)
書類審査(衛生証明書の確認) 現場検査
BSEの原因といわれるプリオン
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4 ポジティブリスト制度の影響
ポジティブリスト制度
●国内や海外で使用される農薬や動物薬、飼料添加
物について、国際基準であるCodexや農薬登録保
留基準、先進諸外国の規準を参考として暫定的に
基準値が設定され、基準値をオーバーする食品に
ついては流通が禁止される。
●基準値が設定されていない場合には一律規準とし
て、0.01ppmが適用され、やはり基準値を超える場
合は流通が禁止される。
6 米国産牛肉の輸入までの流れ
米国産牛輸入解禁→禁輸→解禁??
9 牛海綿状脳症(Bovine Spongiform
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導入前(ネガティブリスト)
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・BSEは伝染病ではなく伝達性疾患と呼ばれ、媒介する
物が体内に入らなければ牛から牛へ、牛から人へ感染
を起こさない病気である。この病気を伝達する物質は
牛から牛への感染は主として肉骨粉、牛から人への感
染は特定危険部位 (脳、脊髄、眼、回腸)で、これらの
媒介物を除けば、牛から牛へ(母子感染以外)、牛から
人へ伝播することはまずないと考えられる。
・人は、BSE牛の脳や脊髄が含まれる食肉を食べたこと
でBSEに感染し、変異型ヤコブ病を発症している。多く
の人がBSEプリオンの含まれた牛肉を食べた可能性
があると推測されるのだが、なぜ、患者の数が尐ない
のか、その科学的理由はまったく分かっていない。
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白いんげんによる食中毒が多発した
今までの食中毒の発生状況を見てみると3位に自
然毒がくることは珍しい。これは、今年の4月29日
にTBS「ぴーかんバディ」で放送された白いんげん
ダイエットの効果によるもので、今年の5月上旬、各
地で白いんげんによる食中毒が多発した。
ダイエットの関心が高まっている背景を良いことに、
最近では何でもかんでもダイエットに良い食品など
が取り上げられているが、正しい理解を視聴者に伝
えることにもっと専念すべきだと思う。