位相雑音に強い低速 PSK 信号の復調方式の提案

位相雑音に強い低速 PSK 信号の復調方式の提案
杉山
克己†
菅原
寿之††
江上
俊一郎†††
Proposal of Demodulation Method of Low Bit Rate PSK Signal with Noise
Katsumi Sugiyama†, Toshiyuki SUGAWARA††, Shunichiro EGAMI†††
(†Shibaura Institute of Technology,
††
Mitsubishi Electric,
†††
Former Shizuoka University)
(概要)
通信衛星を経由して受信した低速 PSK 信号の復調は,衛星中継器や受信地球局の局部発振
器で発生する位相雑音が受信機の狭帯域 PLL の補足範囲外にまで受信周波数を変動させるた
め,困難であった.本論文は低利得地球局による衛星通信に応用する目的で,DSP を用いて
受信信号の選択(フィルタリング)と復調を行う方式を提案する.低速 PSK 受信波を一定長
で切り取って得た時間領域サンプルを FFT して周波数領域サンプルに変換し,この中から所
望の帯域内にあるサンプル列を選択後,IFFT して時間領域サンプルに戻せば,狭帯域制限し
た BPSK 受信波の時間領域サンプルを得る.この時間領域サンプルの 2 乗値を FFT すると,
搬送波周波数の 2 倍に相当する離散周波数付近にピークを持つ周波数領域サンプルが分散し
て現れる.現れたピークサンプルにその隣接サンプル 1 つを加えた 2 サンプルから再生搬送
波を求め,BPSK 受信波と時間領域で乗算すれば,復調出力が得られる.本方法では位相雑
音が揺らぐ周期に比べ,短い時間で受信波を切り出しながら,逐次,切り出し区間ごとに搬
送波の再生と復調処理を行っており,位相雑音を含んだ低速 PSK 信号の復調が可能である.