住宅等防災技術評価概要 平成 27 年 2 月 27 日 (一財)日本建築防災協会 1.評価番号 DPA-住技-64 2.評価取得日 平成 27 年 2 月 27 日(有効期限5年 平成 32 年 2 月 26 日まで) 3.評価技術名称 アラテクト 4.評価取得者名、所在地、連絡先 株式会社 LIXIL 東京都江東区大島 2-1-1 TEL:03-3638-8371 http://www.lixil.co.jp/lineup/construction_method/quake_resistant/ 5.技術の概要 アラテクトは、既存の壁の床から天井までの範囲について、既存の壁であるせっこうボードの上から、 アラテクトシートと称するアラミド繊維シートにエポキシ樹脂を含浸・硬化させたシートを重ね、施工 仕様に応じてビス等の接合具で留め付け仕上げられる。接合部の仕様は一般診断法の接合部ⅠまたはⅡ にすることを原則として補強することとしており、これらにより、既存の壁の耐震性を向上させる工法 である。 本工法は、既存の壁を解体せずに施工することを想定しているため、本工法の採用においては、事前 の十分な調査が重要であり、既存の軸組や下地となるせっこうボードの健全性、既存の接合部の仕様な どを詳細に調査した上で行うこととしている。 6.適用範囲 アラテクトの適用対象とする建築物を表1に、適用対象とする部位を表2に示す。 表1 項 アラテクトの適用対象建築物 目 建物用途 適用条件 一戸建の住宅、共同住宅、長屋 (1 階を車庫、事務所、店舗の住宅以外の用途に供する部分を含む) 適用対象 木造/在来軸組構法 階数 3 階建て以下 延床面積 500 ㎡以下 -1- 表2 アラテクトの適用対象部位 補強の場所 外壁の室内側、内壁の一方の側 横架材間寸法 2,500mm~3,000mm 柱間寸法(モジュール) 900,910,950mm 対象とする壁の上下空き寸法 横架材上端から床面までの寸法 横架材下端から天井面までの寸法 柱 大壁 100mm 以下 300mm 以下 :90mm×90mm 以上 間柱:27mm×90mm 以上 せっこうボード(耐力壁仕様、準耐力壁仕様) :厚さ 9.0mm~12.5mm 対象とする壁の仕様 (補強壁の下地) 柱 真壁 :90mm×90mm 以上 間柱:27mm×69mm 以上 縦受材(補強時に取付) せっこうボード 1):厚さ 9.0mm~12.5mm 1) 既存壁を剝し、下地となるせっこうボードを新設する。 なお、対象とする壁の軸組(柱、間柱、横架材)は健全であることを条件としており、調査により劣化 事象等が認められた場合には、修繕または交換を行い、健全な状態にすることで適用対象とすることがで きるとしている。 7.施工仕様 アラテクトの施工仕様は、大きく大壁仕様と真壁仕様の 2 種類がある。大壁仕様では配置位置により 中通壁・入隅壁・両入隅壁の 3 種、真壁仕様では配置位置により中通壁・入隅壁の 2 種、また、それぞ れにおいて柱径による違い(105mm 角以上と 90mm 角以上)を含め 10 種類の施工仕様を有している。 この 10 種類全てにアラテクトシートを用いるが、仕様毎に用いる接合具や施工手順が示されている。 中通壁とは、対象とする壁の位置が、入り隅部では無い位置にあるものを称し、入隅壁とは、対象と する壁の位置のどちらか一方が入り隅部であるものを称し、両入隅壁とは対象とする壁位置の双方が入 り隅部であるものを称している。 ここで、アラテクトにおける壁基準耐力を表3に示す。なお、下地となる、既存または新設のせっこ うボードは、本工法の壁基準耐力に含まれるため、下地せっこうボードの壁基準耐力を本工法の壁基準 耐力に加算することはできない。また、仕上げ材として、本工法の上から面材で仕上げがなされた場合 においても、仕上げの面材の壁基準耐力を本工法の壁基準耐力に加算することはできない。 -2- 表3 施工仕様 アラテクトの壁基準耐力 柱径 90mm 角以上 大壁仕様 105mm 角以上 90mm 角以上 真壁仕様 105mm 角以上 配置位置 壁基準耐力(kN/m) 中通壁 4.2 入隅壁 3.9 両入隅壁 4.2 中通壁 5.3 入隅壁 4.9 両入隅壁 5.3 中通壁 3.8 入隅壁 3.8 中通壁 4.8 入隅壁 4.8 300以下 (大壁仕様 概要図) (真壁仕様概要図) 300以下 梁(桁) 天井 梁(桁) 天井 下地せっこうボード (新設) 既存壁 せっこうボード ▲ 天井面 ▲ 天井面 縦受け材 柱 2100~2600 2100~2600 柱 アラテクトシート アラテクトシート 床 土台 専用 ビス・座金 -3- 床面 ▼ 100以下 100以下 床面 ▼ 床 土台 専用 ビス・座金 8.使用上の規定 アラテクトにおける使用上の規定を以下のように設けている。 1)アラテクトによる補強壁の長さに関する規定 本工法による補強壁の壁長さは、1.0P、1.5P、1.75P、2.0P(1P は柱間モジュールで、900、910、 950mm)としている。 2)仕上げの規定 アラテクトの上から施工する仕上げにおいて、構造用合板のように比較的耐力の高い仕様で仕上 げることは禁止している。また、仕上げに用いる壁の壁基準耐力は、アラテクトの壁基準耐力に加 算することはできない。 3)同一壁内の反対側の面における仕様の規定 アラテクトを適用する同一壁内の反対側の面における仕様については、柱の折損を防止する趣旨 から、以下のように規定されている。 ・両面をアラテクトによる補強壁とすることはできない。 ・反対側の面の仕様は、上部に開口があるような仕様の場合、せっこうボード程度までとしている。 4)連続配置の規定 アラテクトによる補強壁を連続して設ける場合は、連続配置可能な長さの制限があり、検討式また は設計マニュアルを用いて可否判断を行うこととしている。 5)柱の柱頭および柱脚の接合部の仕様は、接合部ⅠまたはⅡに補強することを原則とする。 但し、外壁側から施工が可能な柱頭柱脚接合金物の設置など、様々な方法で接合部Ⅰ、Ⅱにするこ とを検討したが、現場の状況等により補強が困難な場合には、施主に補強箇所が増え工事費が増加す ることなどの不利な点を説明し、施主の意向を受けた場合に限り、接合部Ⅲ、Ⅳとして補強計画を立 てることが出来る。但し、このような計画は極力避けることとしている。 9.設計者・施工者の要件 設計者の要件 アラテクトの補強設計は下記①かつ②の条件を満たしたものが行うこととしている。 ①(一財)日本建築防災協会または都道府県、定期報告取り扱い地域法人、全国の建築士会、全 国の建築士事務所協会が主催する「木造住宅の耐震診断と補強方法」講習会受講修了者 ②(株)LIXIL が行う技術(設計・施工)の講習会受講修了者 施工監理者の要件 アラテクトの施工監理者は下記①かつ②の条件を満たしたものが行うこととしている。 ①建築士、建築施工管理技士又は(一財)日本建築防災協会または都道府県、定期報告取り扱い 地域法人、全国の建築士会、全国の建築士事務所協会が主催する「木造住宅の耐震診断と補強 方法」講習会受講修了者 ②(株)LIXIL が行う技術(設計・施工)の講習会受講修了者 -4-
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