顎 ・口腔領域における悪性 リンパ腫症例の 臨床病理学的検討

口科誌
J.
Jpn.
Stomatol.
Soc.
47(2):
175•`180,
April,
1998
顎 ・口腔 領 域 に お け る悪性 リ ンパ腫 症 例 の
臨床 病 理 学 的検 討
Clinical
and
Histopathological
Lymphomas
in
山
一
隆
山
川
暗
五
郎
松
尾
水
野
明
夫
岡
邊
SUYAMA,
Goro
: Ten primary
were treated
in our department
histopathologically.
The results
1) The patients
consisted
pain in 1.
3) The presumed
the submental
were tumor
primary
lymph
生
長
光
空
閑
祥
浩
治
男*
Michio
Haruo
TOKUHISA,
Yoshihiro
KUGA,
OKABE*
lymphoma
in the oral
1985 and
and 6 females.
formation
site of the tumor
nodes
道
and maxillofacial
1997, were
examined
Their
mean
in 5 cases,
tumor
was the submandibular
in 1, the upper
in 3, and inflammation
5) Laboratory
was positive
examination
6) Non-Hodgkin'
cell type
cases
in 1.
in 2 cases,
follicular
indicated
s malignant
was applied
medium-sized
large
and
gingiva
in 4,
and spontaneous
lymph
nodes in 2 cases,
in 3, the lower
gingiva
in 1,
malignant
the hard
tumor
in
in 1.
a high LDH level in 5 cases
and anti-HTLV-I
antibody
in 4 cases.
classification
the tumor
clinically
age was 61.9 years.
swelling
palate in 1, the oral floor in 1, and the mandibular
bone in 1.
4) The initial clinical diagnoses were malignant
lymphoma
in 4 cases,
2, benign
region,
were as follows:
of 4 males
2) The chief complaints
久
MATSUO,
between
Region
徳
and
cases of malignant
Malignant
滋
YAMABE,
Takemitsu
MIZUNO
of
Maxillofacial
辺
Shigeru
KAWASAKI,
Akio
which
and
陶
Kazutaka
Abstract
Oral
Studies
mixed
of nodal
lymphoma
according
was
diffuse
In the cases
diffuse mixed
in 1.
lymphoma
was
diagnosed
in all
to the LSG classification.
large
in 1 case,
of extranodal
diffuse
analysis
were T-cell type,
pleomorphic
lymphoma,
in 2, diffuse pleomorphic
Immunophenotypic
cases .
Histopathological
In the cases of nodal
the tumor
in 1,
cell type
in 2, diffuse lymphoblastic
of surface
and 3 of 7 cases
markers
revealed
of extranodal
lymphoma,
and
follicular
was
diffuse
in 1, and
that
lymphoma
2 of 3
were
T-cell type.
7) According
to the Ann Arbor
staging
classification,
4 cases
were in stage
I , and 6 cases
長 崎 大学 歯 学 部 第 一 口腔 外 科 学 教 室(主 任:水 野 明 夫 教 授)
長 崎 大 学 歯 学 部 口腔 病 理 学 教 室(主 任:岡 邊 治 男 教 授) *
First Department
of Oral and Maxillofacial
Surgery,
(Chief : Prof. Akio MIZUNO)
* Department
of Oral Pathology
, Nagasaki
University
OKABE)
〔
平 成9年10月31日
受 付,平 成9年12月23日
受理〕
Nagasaki
School
University
of Dentistry
School
(Chief:
of Dentistry
Prof.
Haruo
176
口科 誌1998年
陶 山 ・山 辺,他
were in stage
8) For
IV.
treatment,
chemotherapy
9) Five patients
survival
Key
radiotherapy
were performed
rate
were
alone
was performed
in 1, and chemotherapy
alive
and
5 patients
had
died
in 1 case,
alone
both
radiotherapy
was performed
as of May
1997.
The overall
5-year
was 29.2 %.
words:Non-Hodgkin's
lymphoma(非
Histopathological
緒
ポ ジ キ ン リ ン パ 腫),Clinical
study(病
〔Received
study(臨
床 的 検 討),
理 組 織 学 的 検 討)
Oct.31,1997,Accepted
Dec.23,1997〕
V.1抗
言
体,lymphoma
study
group(LSG)分
よ る組 織 学 的 分 類,免 疫 形 質,Ann
頭 頸 部 領 域 は 悪 性 リ ンパ腫 の 好発 部 位 とい わ れ,特 に
頸 部 リ ンパ 節 お よびWaldeyer輪
病 期 分 類,治 療 方 法,お
Arbor分
性 リ ン パ 腫 の 約9割
(NHL)で,そ
の うち 約2割 が頸 部 リ ンパ 節 に初 発 す る
よび 予 後 に つ い て検 討 を行 っ た 。
結
は非 ポ ジ キ ン病
1985年4月
果
か ら1997年3月
まで の 検 索期 間 中 に 当科
と され る1'4)が,顎 ・口 腔 領 域 か ら の 報 告 は比 較 的 少 な
で 治 療 した 全 悪 性 腫 瘍 一 次 症 例 は147例
い 。 わ れ わ れ は,当 科 で 経験 した悪 性 リ ンパ 腫10症
悪 性 リ ンパ 腫 の 占め る割 合 は6.8%で
例
につ い て 臨 床 統 計 的 に観 察 を行 い,病 理 組 織 学 的 に も検
1.主
討 を加 え,若 干 の 知 見 を得 た の で報 告 す る 。
主 訴 は腫 瘤 形 成 が5例,無
ま で の12年
2.初
間 に長 崎 大
あ り,そ の うち
あった。
訴(表1)
う腫 脹 が1例,疹
対 象症 例 お よ び方 法
か ら1997年3月
類に
類 に よる
は発 生 頻 度 が 高 い1)。
本 邦 で は,悪
1985年4月
and
in 8 cases.
痛性 腫 脹 が3例,疹
痛 を伴
痛 が1例 で あ っ た 。
発 部 位(表1)
推 定 初 発 部 位 は,リ
ンパ 節 性 で は 顎 下 リ ンパ節 が2例,
学 歯 学 部 附 属 病 院 第 一 口腔 外 科 を受 診 した悪 性 リ ンパ 腫
オ トガ イ下 リ ンパ 節 が1例 で あ り,節 外 性 で は上 顎歯 肉
症 例10例
が3例,下
を検 索 対象 と した 。 これ ら10症 例 はす べ て一
次 症 例 で あ り,性 別 は 男性4名,女
1)。 年 齢 は31歳
か ら82歳
歳 で あ っ た(表1)。
まで,そ
性6名 で あ っ た(表
の 平 均 年 齢 は61.9
これ らの症 例 群 に対 し,主
定初 発 部 位,病 悩 期 間,臨 床 診 断,LDH値,抗HTL
表1当
リ ンパ節 性 リ ンパ 腫
節外性 リンパ腫
訴,推
顎 歯 肉,硬 口 蓋,口
底`),お
よ び 下 顎 骨6)が
そ れ ぞ れ1例 ず つ で あ っ た 。
3.病
悩 期 間(表1)
病 悩 期 間 は4日 か ら3か 月 で,10例
以内であった。
科 の 悪性 リ ンパ 腫 症 例(1985∼1997)
中7例
は1か
月
悪性 リンパ腫 の臨床病理学的検討
47巻2号
表2当
177
科 の悪 性 リンパ 腫 症 例(1985∼1997)
リ ン ノ噸 行性 リ ン ノ明重
節 外 性 リ ンパ 腫
4.臨
cell typeが1例,Tcell
床 診 断(表1)
臨 床 診 断 は,10例
疑 い で あ り,2例
中4例
が 悪 性 リ ンパ 腫 ま た は そ の
が 悪 性 腫 瘍,3例
炎 症 が1例(症
例7)7)で
が 良 性 腫 瘍,さ
らに
あ る が,10例
中5例
の上昇 が み られ
で あ り,節 外 性
typeが3例
であった。
期 分 類(表2)
Arbor分
10.治
参 考 値 は202∼435
にLDH値
typeが2例
typeが4例,Tcell
4例,Stage
当 病 院 臨 床 検 査 室 に お け るLDHの
類9)によ る病 期 分 類 で は,StageIが
IV6例 で あ った 。
療 方 法(表2)
治 療 は,症 例5で
は当 科 に入 院 させ,本 学 医 学 部 附 属
病 院放 射 線 科 で の 放 射 線 療 法 と当 科 で の 化 学 療 法 併 用 に
た。
6.抗HTLV-T抗
て行 っ た 。 そ の他 の 症 例 にお い て は,当 科 にて 腫 瘤 の 切
体(表2)
検 査 結 果 が 不 明 で あ っ た 症 例5を
免 疫 血 清 学 的 にHTLV-1抗
陽 性 が4例
で,陰
7.LSG分
除 く9症
全 てが非 ポ ジキ ンリ ンパ 腫
療 法 な ど)の み が施 行 さ れ た 。
large
よ びfollicular
type,お
各1例
typeが6例,follicular
はlargecell
びpleomorphic
typeが1例
対 し放 射 線 単 独 療
cell
後(表2)
予後 に 関 して は,1997年5月
type,diffuse
29.2%で
typeが1例
行 例 で あ り,症 例5で
で あ り,diffuse
type,mixedcell
typeが
type,お
はmixed
脳 梗 塞,症
進
例7で
重 度 の肺 炎 を合 併 し死 亡 した 。症 例4は31歳
よ り初 診 よ り約4か 月 で 死 亡 した 。 症 例3と
StageIで
あった。
は あ っ たが,症
病 化 し,初 診 よ り1年5か
疫 形 質(表2)
免 疫 組 織 学 的 に 分 類 し た と こ ろ,リ
よ
DICと
あ っ た 。死 亡 した5例 中3例 はStageIVの
はDICと
存5
累積 生存 率 は
は
で
あ った が,脳 転 移 に加 え,腫 瘍 の急 速 な進 展 と敗 血 症 に
各2例,lymphoblastic
typeの1例
現 在 に お い て,生
例,死 亡 が5例 で あ り,初 診 よ りの5年
medium-
で あ っ た 。 節 外1生 で はdiffuse
で あ り,follicular
typeで
11.予
類8)に よ る 組 織 型 の 内 訳 は,
リ ン パ 節 性 で はdiffuse
typeが
症 例10に
法 が行 わ れ た 以外 は,す べ て 化 学療 法(VEPA,CHOP
あ り,LSG分
sizedcell
た は生 検 術 を施 行 し,確 定 診 断 を得 た 上 で,
の 内訳 は,StageIEの
pleomorphic
8.免
体
除生 検 術,ま
本 学 医学 部 附属 病 院原 研 内 科 に転 科 させ て 行 わ れ た 。 そ
で あ った 。
類(表2)
(NHL)で
typeで
例 に 対 し,
体 を 検 索 し た と こ ろ,抗
性 が5例
組 織 学 的 分 類 で は10例
cell
9.病
Ann
あ った 。
5.LDH値(表2)
1U/1で
で はBcell
ン パ 節 性 で はB
よ り4年6か
例3は
症 例8は
早 期 に リ ンパ 性 白血
月後 に死 亡 し,症 例8は 初 診
月 後 に腫 瘍 死 した 。 症例2と6で
は早 期 に
178
口科 誌1998年
陶 山 ・山 辺,他
リ ンパ 性 白 血 病化 した が,化 学 療 法 が奏 功 し,現 在 ま で
が あ る11,12)。
本報 告症 例 群 に お い て も,初 診 時 臨 床 診 断
寛解 を得 られ て い る 。 さ らに症 例2は 早 期 の 胃癌 の重 複
で悪 性 リ ンパ 腫 と した の は10例
が 発 見 され,リ
腫 瘍,1例
ンパ 性 白 血 病 寛解 後,本 学 医学 部 附属 病
院 第 一外 科 で 手術 を受 け,現 在 経 過観 察 中 で あ る 。
考
悪 性 リ ンパ腫 は,リ
ら,生 検 前 に鑑 別 診 断 を しぼ り込 む こ と は,非 常 に 困難
ンパ系 組 織 に 由 来 す る悪 性 腫 瘍 の
首肯 できる。
約40∼50%を
度 と,NHLが
占め る
圧 倒 的 に多 い10)と
され,本 報 告 症例 群 も10例 全 例 がNHLで
あった。
乳 酸 脱 水 素 酵 素(LDH)は
報 告 され て い るが,
い う結 果 も従 来 の報 告 の範 囲 内 で あ っ
た。
高 値 を示 した5症 例 の う ち,治 療 後7
年6か 月 生 存 中の 症 例10を
悪 性 リ ンパ腫 は そ の発 生 部 位 に よ り,リ ンパ 節 性 リ ン
nodal
lymphoma)と
lymphoma)に
約60%が
節 外 性 リ ンパ 腫(extra
分 類 さ れ る 。NHLで
か か わ らず,初 診 よ り1年5か
の
節 外性 で あ
あ っ たに も
月 後 に死 亡 してい る。
ン パ 球 性 ウ イ ル ス1型(humanT-
lymphotropic
virus type
T細 胞 性 白血 病(adult
は,そ
リ ンパ節 性 で あ り16),30∼40%が
除 く4例 は予 後 不 良 で,特
に症 例3に お い て は臨 床 病 期 がStageIで
ヒ ト好Tリ
パ 腫(nodal
悪 性 リ ンパ 腫 の 予 後 に 深
く関与 す る と され てい る17,18)。
本報 告 症例 群 に お い て も,
初 診 時 のLDHが
口 腔 領域 に お い て,全 悪性 腫 瘍 に対 す る悪 性 リ ンパ 腫
の 占 め る 割 合 は,0.5∼8.6%11.15)と
炎 症 性 疾 患 の い ず れ に も合 致 しない よ う な症 例 で は,常
に悪 性 リ ンパ 腫 を念 頭 にお く必 要 が あ る と記 して い るが
非 ポ ジ キ ン病(non-Hodgikin'slymphoma,NHL)
当科 で の6.8%と
I;HTLV-1)は,成
T-cell
独 立 した新 しい 疾 患 概 念 で あ る こ と を踏 ま え,ヒ
この ウ イル ス はATLの
る西 南 日本 に主 に 分 布 し て お り,endemic
多 発 地 域 で あ る九 州 を 中心 とす
areaの
に お い て も10例 中7例 が節 外 性 で あ っ た 。 口 腔 領 域 に
つ で あ る長 崎 県 にお け る健 康 成 人 の 抗HTLV1抗
お け るNHLの
性 率(キ
初 発 部位 に つ い て は,安
%,顎
井 ら3)が 本 邦
を ま とめ,歯 肉28.9%,顎
下 お よ び頸 部 リ ンパ 節23.8%と
ャ リ ア)は5∼10%で20,21),一
骨26.3
non-endemic
areaで
こ の三 部 で 約80
い る。ATLの
発 症 にHTLV.1が
%を 占 め,そ の他 の部 位 で は,上 顎 洞,唾 液 腺 が6.6%,
か に され て 以 来,Tリ
頬 部 ・口唇 が2.6%,口
V1抗
蓋 ・口底 が13%で
あったとし
こ の 抗HTLV-1抗
NHL症
areaで
は顎 下 お よ び頸 部 リ ンパ 節 が10.9%,Waldeyer輪
2.9%で
あ り,節 外 性 で は歯 肉30.4%,口
耳 下 腺11.6%,頬
口底4.4%,口
部9.6%,舌6.7%,下
唇2.2%で
が
方,九
は0.3∼1.2%で
関 与 す る こ とが 明 ら
ンパ 増 殖 性 疾 患 に お い て 抗HTL
体 に つ い て 山 田 ら19)は,endemic
あ る 長 崎 県 の 症例 群 を検 討 し,次 の 通 り ま とめ
て い る。1)ATLに
お い て は 全 例 抗 体 陽 性 で あ り,T
細 胞 リ ンパ腫 で は68%,B細
顎 骨4.4%,
抗 体 陽性 で あ っ た 。2)HTLV-1陽
性T細
はATLと
を 合 併 しや す く,
胞 リ ンパ 腫 で は9.5%が
同 様 に 皮 疹 や 高Ca血[症
お い て も,リ ンパ 節 性 で は顎 下 お よ び頸 部 リ ンパ 節,節
HTLV-1陰
外 性 で は歯 肉 に多 か った 。
し,予 後 不 良 の傾 向 に あ る 。3)HTLV.1陽
初 診 時 の 主 訴 につ い て,花 沢 ら1)による と,腫
脹 ・腫
に顎 下 ・頸 部 リ ンパ 節 に 初 発
性T細
リ ン パ 腫 はATLと
Pleomorphic
た4例(症
害 な ど を挙 げて い る。 本 報 告 症 例 群 の 主 訴 も10例
細 胞 性 やHTLV-1陰
の み にあ った 。
性T細
例2,3,4,9)の
胞 リ ンパ 腫 で あ っ
うち3例 がATL化
性T細
胞 リ ンパ 腫 に比 べ 予 後 不
類 を採 用 した 組 織 学 的
分 類 は,窪 田 ら22)による と計52例
中diffuse
所 見 を欠 き,そ の 罹 患 部 位 に よ り多種 多様 な 症状 を示 す
例(96%)を
占 め,リ
た め,時
diffuse large
cell type(7例)とdiffuse
と して 炎 症 性 疾 患 や 良 性腫 瘍 に 誤 診 され る こ と
し,B
良 の傾 向 に あ っ た こ とは興 味深 い 。
顎 ・口腔 領 域NHLのLSG分
特 異 的 な 症状 また は 局所
胞
同 様 に 悪 性 度 の 高 いdiffuse
症 例 群 に お い てHTLV.1陽
中9
を示
性T細
typeの 組 織 像 を と る例 が 多 い 。 本 報 告
した 症 例 群 はす べ て これ で あ った と して い る 。 また,こ
例 が 腫 脹 ・腫 瘤 で あ り,そ の う ち随 伴 症状 は疹 痛 が1例
胞 リ ンパ 腫
胞 リ ンパ腫 に比 し高 いLDH値
の 随 伴 症 状 と して,痙 痛,知 覚 異 常,嚥 下 障 害,閉 口 障
口腔 領 域 に初 発 したNHLは
州 以外 の
あ る21)とさ れ て
蓋17.0%,
あ っ た と して お り,本 報 告 に
瘤 が そ の 大 部 分 を 占め,特
一
体陽
体 を測 定 す る こ とは 欠 か せ な い もの とな っ た が,
て い る 。 花 沢 ら1)は本 邦 口腔 外 科 施 設 よ り報 告 さ れ た
例 の文 献 的観 察 を行 っ た と こ ろ,リ ンパ 節 性 で
トにお
い て は じめ て発 見 され た 白血 病 レ トロ ウ イル ス で あ る19)。
る10)とい われ て い る。 しか し,口 腔 領 域 にお い て は 節 外
報告
人
leukemia;ATL)が
性 の 割合 が 多 い とす る報 告3,1114)がほ とん どで,本
に お け る報 告 例76例
が 良性
で あ り,そ の ため,癌 や 他 の リ ンパ 節 腫 脹 を きた す 各 種
総称 で,ポ ジ キ ン病(Hodgikin'sdisease,HD)と,
が,本 邦 で は10%程
で,3例
に発 生 した悪 性 リ ンパ 腫 は特 有 の 臨 床 像 に乏 しい こ とか
察
とに 大 別 され る 。 欧 米 で はHDが
中4例
が 炎 症 と され て い た 。 萩 場 ら4)は頭 頸 部 領 域
typeが50
ン パ 節 性 リ ン パ 腫19例
では
medium一
悪性 リンパ腫 の臨床病理学 的検討
47巻2号
sized cell type(5例)が
diffuse large
多 く,節 外 性 リ ンパ 腫 で も
cell typeが31例
中15例
で あ った と し
て い る 。本 報 告症 例 群 に お い て もdiffuse
中7例
を 占 め た が,diffuse
typeが10例
pleomorphic
typeが
179
の 発 生 頻 度 は 低 く,特
に節外 性 リ ンパ腫 の病 態 に 関 す る
報 告 は 比 較 的 少 な い た め,予
は 困 難 で あ る 。 よ っ て,今
比
例 群 のLSG分
れ に よ る と62例
中,diffuse
占 め,そ の 内訳 は
typeが58例(94%)を
typeが19例,pleomorphic
lymphoblastic
&
Burkitt
type 16例,
follicular
typeは4例(6%)と
largecell
typeが3例
type7例
で あ り,
少 な く,そ の 内 訳 は
で,mixedcell
typeが1例
で
胞 リンパ腫 の
他 の 地 域 の25∼41%に
あ る24)と い う報 告 が あ る が,顎
節 性,節 外 性 に関 わ らずB細
対 して 高 率 で
・口腔 領 域 で は リ ン パ
胞 リ ンパ 腫 が 多 い22・25)と
さ
れ て お り,同 じ く九 州 地 区 の 症 例 群 を 対 象 と した 窪 田
ら22)の報 告 に お い て も圧 倒 的 にB細
胞 リ ンパ腫 が多 か っ
た 。 こ う い っ た なか で,10例
中5例 がT細
で あ っ た 当科 で の結 果 は,顎
・口腔 領 域 にお け る報 告 の
胞 リ ンパ 腫
胞 リ ンパ 腫 の 頻 度 が 高 い こ とが 特 徴 的 で
あ っ た 。T細 胞 リ ンパ 腫 はB細
か ら1997年3月
ま で の12年
経 験 し た 悪 性 リ ン パ 腫 一 次 症 例10例
別 は 男 性4名,女
61.9歳
胞 リ ンパ 腫 と 比 較 して
性6名
2)主
定 初 発 部 位 は,顎
下 リ ンパ 節 が1例,上
口 底,下
下 リ ン パ 節 が2例,オ
顎 歯 肉 が3例,下
顎 骨 が そ れ ぞ れ1例
4)臨
床 診 断 は,悪
悪 性 腫 瘍 が2例,良
5)5例
顎 歯 肉,硬
症 が1例
の 上 昇 が み ら れ,4例
で あった。
にお いて抗
体 が 陽性 で あ っ た 。
6)組
織 学 的 分 類 で は10例
全 て がNHLで
あ り,
LSG分
類 に よ る 組 織 型 の 内 訳 は,リ
ンパ 節 性 で は
diffuse
large
pleomorphic
cell typeが1例,diffuse
typeが1例,follicular
medium-sized
AgNOR染
pleomorphictypeが2例,diffuse
mixed
cell
large
cell
typeが
cell
typeが
typeが2例,diffuse
lymphoblastic
typeが1例,follicular
mixed
cell typeが1例
で あっ
胞 増 殖 能 が 高 い こ と を報 告 して い る 。 これ らの こ と よ り,
た 。 免 疫 組 織 学 的 分 類 は リ ン パ 節 性 で はBcelltype
T細 胞 リ ンパ腫 の 占め る 割合 が 比 較 的 多 か っ た こ とは,
が1例,Tcelltypeが2例
本 報 告 症 例 群 の 治 療 成 績 に大 きな 影 響 を与 え て い る と考
typeが4例,Tcelltypeが3例
7)AnnArbor分
え られ る 。
従 来,悪 性 リ ンパ 腫 の 治 療 は 放 射 線 療 法 単独 で 行 わ れ
て い た が,最 近 で は化 学 療 法 の 進 歩,こ
と に他剤 併 用 に
よ る大 量 間 欠 的 投 与 法 に よ って,高 い 完 全 寛 解 率 が 期待
で き る よ う に な った27)。治 療 法 の選 択 は,stageIで
は
放 射 線 単 独 また は放 射 線 療 法+化 学 療 法 の 併 用 が 多 く,
口 蓋,
性 リ ンパ 腫 ま た は そ の 疑 い が4例,
2例,diffuse
胞 リ ンパ 腫 は 有 意 に細
トガ イ
ず つ で あ っ た。
性 腫 瘍 が3例,炎
にLDH値
HTLV-1抗
痛
で あ った 。
患 に お け る病 理 組 織 型 と細 胞 増 殖 能 との 関連 につ い て,
色 さ れ た核 を画 像 解 析 を 用 い て 検 討 した 結
均 年齢 は
痛 性 腫 脹 が3例,疹
痛 が1例
1例 で あ っ た 。 節 外 性 で はdiffuse
胞 リ ンパ腫 に比 べT細
につ いて 臨床病 理
で あ り,平
訴 は 腫 瘤 形 成 が5例,無
を 伴 う腫 脹 が1例,疹
予 後 不 良 とす る報 告 が 多 く22,25,26),前
述 の 山 辺23)も本 疾
果,B細
間 に当科 で
であった。
3)推
九 州 地 区 で の 全 リ ンパ 腫 に 占 め るT細
中で は,T細
1985年4月
1)性
あ った と して い る。
割 合 は68∼75%と
語
学 的 に検 討 を行 った 。
type8例,medium-
sized cell type8例,mixedcell
結
類 につ い て
は 当教 室 の 山 辺23)が報 告 して お り,そ
largecell
後因子に
関す る統 一 的 な指 標 の確 立 が 望 まれ る 。
較 的多 か っ た こ とが特 徴 的 で あ っ た 。節 外 性 リ ンパ 腫,
特 に 口腔 粘 膜 原発 のNHL症
後 因 子 に 関 す る 詳細 な検 討
後 症 例 を 集 積 し,予
9)予
り,初
Iが
で あ っ た。
療 は 放 射 線 療 法 単 独 が1例,放
併 用 が1例,化
外 性 で はBcell
で あ った 。
類 に よ る 病 期 分 類 で はStage
4例,StageIVが6例
8)治
で あ り,節
学 療 法 単 独 が8例
後 は1997年5月
診 よ り の5年
射線
・化 学 療 法
で あ った 。
現 在,生
存5例,死
累 積 生 存 率 は29.2%で
亡5例
であ
あ っ た。
stageが 進 む につ れ て 化 学 療 法 に依 存 す る傾 向 にあ り1),
今 回の 症 例 群 に関 して も,こ の 傾 向 は認 め られ た 。 化 学
中 心 と し たVEPA療
が 施 行 さ れ たが,こ
stageH∼IVの
法,CHOP療
法など
文
れ らの 標 準 的 な 化 学 療 法 に よ り,
進 行 例 にお い て も40∼50%の
症例 が治
癒 可 能 とす る報 告28)もみ られ る。
顎 ・口腔 領 域 に お け る悪 性 リンパ 腫 の予 後 に 関 して は
不 良 とす る報 告 が 多 いが,顎
断 ・治 療 に ご 協 力 い た だ い た
長 崎 大 学 医 学 部 附属 病 院 原研 内科 に深 謝 い た します 。
療 法 はdoxorubicin(ADM)とcyclophosphamide
(CPM)を
稿 を 終 え る に あ た り,診
・口腔 領 域 にお け る本 疾 患
1)
花 沢 康 雄,
伊 藤 公 介,
献
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