eパスポート国際互換性検証センター - 一般財団法人ニューメディア開発

Ⅱ ICカード・ICチップ関連事業
電子政府、電子自治体の情報インフラとして、また市民生活の身近なセキュリティ・デバイスの一つとして
期待される最先端のICカード・ICチップ関連技術の開発を進めるとともに、その普及推進に努めています。
ICカード関連基盤技術開発事業と
相互運用性確保の推進
した新領域ITサービスの実証実験により、システム導入に
利用者がICカードを便利に安心して利用できるようにす
eパスポートの相互運用性に関する事業
伴う技術面、利用面での課題を検証しました。
るために、新世代ICカード共通システムの開発を行いました。
ICカードの中にアンテナを内蔵し非接触タイプBインタフェー
eパスポートは、パスポート冊子の中に非接触ICチップと
ス(ISO14443準拠)を採用した、高セキュリティで多目
アンテナを格納し、
リーダとの間を電波インタフェースで
的利用が可能でPKI機能を搭載可能な、新世代のICカード
通信し、発行国情報や個人の顔画像等の生体情報の格納
の基盤となる技術です。開発に並行して、普及促進を図る
による偽造の防止や入出国審査等の厳密化を図るもので
ため、複数の企業によるICカードやリーダライタの開発が
あり、非接触ICカード国際標準規格の延長線上の技術で構
行わることを想定し、相互運用性、互換性の確保を図るこ
成されています。
とを目的に、近接型通信インタフェース実装規約書を作成し、
そのため、異なる国々で開発されたeパスポートとリー
広く公開し、互換性確保のための検証方法を具体化し、互
ダ間の相互運用性、互換性の確保は必須の要件となってお
換性検証事業も継続して実施しています。
り、国際互換性検証の一環として、日本政府(経済産業省、
このような互換性確保への取組は、その後、住基カード
外務省)が主催し、当協会が運営し、
2005年3月に23か国
の導入、国家公務員証ICカードの導入、eパスポートの導入
が 参 加し、つくば 国 際 会 議 場 にお い て「 e P a s s p o r t
等における互換性検証作業に継承されています。
Interoperability Test Session」を開催しました。当
Sessionでは、当協会が開発した、標準ePassport、標準
広域、多目的、高度化利用を推進する
ICカードシステムの実証実験
リーダを使用した互換性検証を行い、欧州のePassport
標準化団体であるEssenグループが開発した試験ソフトウェ
アを使用した検証も同時に実施しました。既にこのような
ICカードの普及推進を図るため、各種地域で実証実験を
イベントが豪州で2回、米国で1回開催されており、つくばイ
行ってきました。北海道滝川市ではICカードを利用した商
ベントの後の2005年11月にはシンガポールで、
2006年5
店街ポイントカードシステム等の導入、岐阜県益田郡では
月にはベルリンで同様のイベントが開催され、政府、関連
広域に渡る公的証明書交付サービス等の導入、横須賀市
企業等の協力を得て、国際的なeパスポートの相互運用性
では、非接触ICカードを利用した子育て総合支援サービス
の向上に努めてきました。
等の導入、IT装備都市研究事業では、住基カードの導入の
先駆け的な位置付けをもって、全国21の地域54市町村で
eパスポート導入における海外協力
約120万枚の非接触ICカードと約8500台のリーダライタを
導入し、各地域の特性にあわせた大規模な実証事業、新潟
国ごとに異なる出入国審査環境においてe−パスポート
県柏崎市では交付開始した住基カードの独自利用領域を
を利用した出入国審査業務及びシステムの実用性を検証
活用し、健康管理、介護情報連携、災害時避難者確認等の
するために、タイ、ベトナム、フイリピン。中国の空港に実験
アプリケーションを搭載した、健康・安心システムを導入す
用出入国審査システムを設置し、各国の出入国審査官によ
る等、各地において様々な実証実験を行ってきました。
る出入国審査を実施し、業務フロー、システムの操作性、性
能等を測定し、評価を行いました。
多機能ICチップを活用した新領域ITサービス
に関する研究開発・実証事業
また、東アジア開発途上国へのODAの一環として、e-パ
スポート発給・運用管理システムに関し、日本国政府の技
術面、資金面での援助の可能性を探るFSを実施しました。
ユビキタスネットワーク社会が到来すると考えられますが、
そこにおいては十分な安全性を備え、利用者に安心感を与
え、利便性を享受できるセキュアでかつ適切な認証の実現
が不可欠です。要素技術であるセキュアICチップ等を活用
5
ICカード・ICチップ関連事業経過
平成14年度
15年度
16年度
17年度
18年度
新世代ICカード共通システムの開発と相互運用性の基盤技術開発
横須賀ICカード
柏崎市ICカード
(住基カード、多目的)
日欧ICカード/Smar
tME
I
J
Iプロジェクト
先進的AP事業
国家公務員身分証カード
CDC事業
CL
IC事業(カード発行、互換性検証、
コンサル)
多機能ICチップ活用サービス事業
e-Passport Depository
非接触ICカード普及センター(CLIC)の運用
「住民基本台帳カード」等非接触ICカードの発行受託
平成15年5月1日付けで当協会内に「非接触ICカード普及センター」
(CLIC:Contact-Less IC card deployment center)
を設立しました。CL
ICでは、下記の業務を行っています。
1.
非接触ICカード発行業務
2.
互換性検証業務
市区町村、法人等からの委託により、国際規格に準拠した非接触
近接型ICカードタイプBの各種カード発行業務を行っています。
平成15年度から配布されている住民基本台帳カードについては、
全国の市区町村より、カード発行業務を受託しています。発行カー
ドは、TypeⅠカード(自治体等のカード発行者が事前に利用サー
ビスを書き込む方式)およびTypeⅡカード(サービス提供者が書
き込む方式)の2種類です。市区町村が独自にデザインしたカード
についても仕様の範囲内で受託発行を行います。
非接触ICカードや非接触リーダ/ライタの互換性を検証します。
互換性が検証された製品については、メーカーおよび製品名の公
表と、該当メーカーには互換性検証確認済の証明書を発行します。
・実装仕様の策定と公開
・互換性 :非接触ICカードおよび非接触リーダ/ライタ機器
・検証項目:電波特性試験、機能試験(クロステスト)
・ホームページでの公開 等
発行業務の流れ
市区町村
ニューメディア開発協会
(非接触ICカード普及センター)
発行委託
発行済カード
カード運用管理
●住民基本台帳カード交付、運用管理
カード発行
●住民基本台帳カード発行
住民基本台帳カードの利用
住民
住民基本台帳
カード
当センターではカードの調達代行を含めたカード発行業務だけではなく、
市区町村調達カードをお預かりしてのカード発行業務も行います。
(原則、当センターにて互換性が確認されたカードを対象とします。)
3.
技術コンサルティング業務
電子政府、電子自治体の構築に関連し、非接触ICカード、
リーダ/
ライタ、カード発行機等を導入する際の技術的な問題解決のため、
また、標準仕様の普及活動のために技術的なコンサルティングを
提供します。
・電子政府関係府省や、電子自治体関係市町村の要望調査や現地調査
・要望に基づく関係機関へのコンサルティングの実施
・報告書等による技術的な調査事項の報告等
eパスポート国際互換性検証センター(e-Passport Depository)
「つくば国際互換性検証イベントにおいて、ICAO加盟各国から提起されたeパスポートの互換性検証センターの設立要望に応えて、日
本政府(経済産業省、外務省)は、
「ePassport Depository」として提案し各国の賛同を得て、
2005年11月に当協会に「eパスポート国際
互換性検証センター」を設置し、運用を開始しました。
eパスポート・デポジトリでは、各国が発給したサンプルeパスポートを保管し、当協会が整備する標準リーダや、メジャーな各国のリーダ
との互換性検証を行うとともに、
リーダ開発企業からの持込による互換性検証試験も実施しています。
e-Passport Depository での試験分類
e-Passport Depository での試験形態
eパスポート
リーダ
試験分類
対 象
費 用
試験内容
各国、各ベンダが持込むリー
ダシステム
各国政府機関が発給する eパスポート・サンプル
保管試験
政府機関
無料
をデポジトリで保管し、標準リーダ、企業持込みリ
実機組合せ試験
実機試験
ーダとの検証試験を行う
政府機関
無料
持込試験
開発企業 1000$/日
保管中の各国パスポート
eパスポートまたはリーダをデポジトリに持込み
標準機との組合せ試験
試験するもの。デポジトリが保管する各国の eパ
スポート、標準 eパスポート、標準リーダ、各国のメ
標準機試験
ジャーなリーダとの組合せでの試験等を実施する。
試験結果は、当該政府機関や関係企業等に報告するとともに、新たな共通的な技術項目に関してはICAO(国際民間航空機関)にも報告しています。
6