JGC AR05_(J)_0829 05.9.13 4:25 PM ページ 2 2 株 主 の 皆 さま へ 日揮株式会社 アニュアルレポート 2005 この一年を振り返って見ますと、まず世界の原油価格 マーケットに大きな変化が起こりました。産油国の政情 不安性や原油需給マクロバランスの変化に伴い、2003 年までは1バーレルあたり25∼30ドル程度で安定してい た世界原油価格の指標となる米国産ウエスト・テキサ ス・インターミディエート (WTI)のスポット価格が徐々に 上昇し、2004年10月には50ドルを突破し、2005年にお いても平均で50ドル台という高値を維持した状況となっ ています。この原油高は石油産業に大きな変化をもたら し、産油国石油会社、メジャーオイル、さらに国内石油・ エネルギー各社は原油高を受けて確実にオペレーション 左:代表取締役会長 兼 CEO 重久 吉弘 右:代表取締役社長 兼 COO 森本 省治 マージンを確保し、新たな投資意欲を高めています。ま た、時を同じくして中国など新たな大型消費マーケット が急激に拡大してきました。新マーケットの登場により、 石油のみならず、石油化学、一般化学分野においても大 きな需要が発生し、現在は何十年に一度のプラント投 資が世界的な勢いで起こっています。さらに原油高は代 替燃料の開発・生産の活発化を促し、当社の得意フィー 2004年度のアニュアルレポートをお届けするにあた り、株主の皆さまには日頃から当社ならびに当社グルー ルドであるLNGやGTLを含む天然ガス全般のプラント投 資も大幅な増加基調にあります。 プをご支援いただき心から御礼申し上げます。 このような市場の活況を受け、当社はバーレーン国営 2004年度決算は、株主の皆さまや多くの顧客のご理 石油会社から大型製油所の増設工事を受注しました。ま 解とご支援ならびに当社および当社グループの役員・社 た、サウジアラビアでは大型石油化学プラントの建設工 員の努力が実を結び、連結では売上高4,351億円、経常 事、さらに同国の国営石油会社(サウジアラムコ社)およ 利益160億円、当期純利益115億円、一方当社単体では び住友化学(株)が計画する石油精製・石油化学統合 売上高3,860億円、経常利益108億円、当期純利益86億 コンプレックスの基本設計役務を受注しました。本計画 円となりました。その結果、当社の株主配当金は一株に については2005年度も引き続き詳細設計以降の建設工 つき0.5円増配の8.5円配当とすることができました。ま 事も含めた業務を受注すべく全力を挙げております。 た、当社の新規受注は期初予想の3,700億円を上回る 4,393億円を確保し、受注残高は過去10年間で最高の 7,055億円に達しています。 一方、当社が従来から力を入れているLNG分野では 2004年度にナイジェリアとインドネシアで相次いで新規 JGC AR05_(J)_0829 05.9.13 4:25 PM ページ 3 3 受注を獲得しました。特にインドネシア・タングーLNG 策定に先行し、当社は既に2004年度中に非EPCビジネ プラント建設プロジェクトは産ガス国インドネシアの経 スを進展させる目的で投資事業の推進部門を営業統括 済復興への契機となり、オペレーターであるBPのLNG 本部内に設置しています。関係会社においても旭硝子 世界戦略を推進させ、さらにガス権益に出資する日本商 (株) と共同で所有していた触媒化成工業(株)の全株式 社・資源会社各社が待ち望んでいた案件であり、当社に を取得し、同社を100%子会社にするなど、 「シナリオ とってもアジアという重要市場への本格回帰を果たす 2010」のコンセプトは既に動き出しております。 エポックメイキングなプロジェクトとなります。 日々激しく変化する市場環境の中、新たな施策を積 また、環境ニーズの高まりを受け、多くの国内製油所 極的に打ち出さないことは停滞を意味します。当社のビ 向けにガソリンや軽油の深度脱硫装置建設工事を売り ジネスが活況を呈している現在こそが新たな経営戦略 上げました。当社は今後も卓越した技術力とプロジェク を策定し、実施する最良の時と確信します。日揮グルー トマネジメント力を駆使し、環境保全の観点も含めた顧 プは「シナリオ2010」の推進によりグループ全体の持続 客満足度の高いプラントを完成させ、当社のプレゼンス 的成長を目指し、未来のエンジニアリング企業体へと変 をさらに確固たるものにしていきます。 貌します。 当社は2001年に中期経営計画「成長へのシナリオ」を 策定し、2006年3月期の経営指標を売上高4,000億円、 株主の皆さまには、今後とも変わらぬご支援、ご指導 をお願いいたします。 当期純利益100億円、ROE7%を掲げています。全社一 丸となった努力の結果、この数値はほぼ達成可能な状 況となりました。残す期間はわずかですが、今後もこの 2005年7月 数値達成に向けて注力を怠らない所存です。 2005年7月、当社は「成長へのシナリオ」をベースとし 代表取締役会長 兼 CEO 重久吉弘 代表取締役社長 兼 COO 森本省治 てさらなる継続成長を目指し2006年度から5ヵ年にわた る日揮グループの経営戦略となる、新・中期経営計画 「シナリオ2010」を策定しました。 「シナリオ2010」の基本 方針はEPCビジネスのさらなる拡大、非EPC分野となる 事業投資の加速、さらには関係会社との相乗効果による 新ビジネスモデルの創造を通じて「未来のエンジニアリ ング企業体」への変貌を行うものです。詳細内容を本レ ポート (10ページ)にご紹介しておりますので是非ともお 読みいただきたくお願いいたします。なお、本シナリオ
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